了平とサバイバル
少しだけ伏線
かなりツッコミどころ満載な捏造
緑一色だった木々が徐々に彩を鮮やかにしていく頃─────俺は並盛山の山奥にいた。
切っ掛けは了平だ。
いつもの極限ダッシュで俺の家にやって来た了平は背中に大荷物を背負って玄関の戸を叩いた。
まだ日の昇っていない明け方の事だった。
「八朔トレーナー!!修行に行こう!!!」
「今から、か?……ふむ、了平。親御さんに許可は貰ったか?」
「極限にまだだーーー!!」
「うむ。母君は今起床なされておるかな」
「ぬ?うむ。起きているぞ?」
「よし、電話を貸すから中に入ると良い」
俺に断るという選択肢はなかった。面白そうだったからな、つい。
そして笹川家の母君に了平が事情説明。
どうやらトレーニングがマンネリ化したようで、気分を変える為に3日程山篭りをしたいらしい。
その説明の後俺が電話を替わり、今からお伺いして良いか尋ね、電話を切る。
「了平よ、今から準備の後お主の母君に挨拶してくるからな、その足で山に向かうとするか」
「応ッ!!」
シャベルはともかくダウジングは必要か?
了平よりもひと回りふた回り大きな荷物を整理し、不要なものを取り敢えず家に置いて、逆に俺自身サバイバルに必要なものを背負い袋に詰めると、家の戸締りをして外へ出る。
「行くぞ、了平。極限にな」
「応!!極限ッッ!!」
了平の妹君そっくりにのほほんとした母君から無事許可を得、3日責任を持って預かる旨を直接伝え、いざ並盛山へ。
「了平よ、3日間の目標はあるか?」
「極限に熊を!!倒す!!」
「はっはっは!そうか、熊を倒すか」
今頃は熊も冬眠の為に食い溜めを始めている頃だ。あと少しすれば子熊連れの凶暴な母熊が現れる。山に立ち入るどころか篭るのは好ましいとは口が裂けても言えんのだが……。
「それも良かろう。だがな、俺の目の届く場所に居るのだぞ。俺はお主の引率ゆえな」
「分かった!!」
丁度、俺も鍛え直したかったしな。護衛任務と思って、やるか。
一応
鮮やかな紅葉、葉の薫り、さくりと踏みしめる音。
「極限ストレートォォ!!」
「ぐるるぁぁああ!!」
「なんのこれしき!!極限アッパー!!!」
「……まさか本当に熊と戦うとは」
のんびりと切株に座り、いつでも割って入れるよう片手に木刀を握り、軽いフットワークで熊の攻撃を尽く避ける了平を眺める。
本来熊は臆病な生き物だ。数の利がなければ大体逃げるか、様子見で威嚇し、相手側が遠退くのをじっと待つ程には。飢餓状態と子育て中の母熊は寧ろ向かって来るが。
であるので、熊五郎(了平命名)が了平のスパーリングパートナーになっているのはかなり驚いている。
鼻頭に同族のものと思われる爪傷を負った熊は二本足で立ち、2mを超す巨体を俊敏に動かし、了平の力強い拳を真正面から受ける。少しずつ了平から学び始めたのか何処か拳を避けるような、腕で防御するような素振りが見受けられる。
む……ボクシング……熊……。
「ボクシン
「極げーんッッ!!!」
「ぐおおぉぉぉ!!!」
おっと、そろそろ日が暮れるか。
「了平、熊五郎〜そろそろおひらきにしよう……、」
あれだけ熱中しておるのだ、止まる筈もないか。
仕方あるまい。
ヒュッと木刀を宙に投げ、回転して落ちてくる木刀の柄頭を足の甲で蹴り飛ばす。
「はァ……ッッ!」
ガッ─────カァン!!
「ぬぉぉおおお?!?!」
「ぐるあぁぁぁ?!?!」
刀剣男士の脚力で蹴り飛ばされた木刀は、見事熊と了平の眼前を通り抜け、その先にあった木に深々と柄まで埋まり、漸く止まった。
─────時雨蒼燕流 攻式三の型、遣らずの雨
剛との戦いは目に焼き付いている為やろうと思えば出来るものだが、うむ、戦闘に組み込むには俺には無理だ。全て時雨蒼燕流に変えねばならん。はっはっは。
蹴り飛ばした状態の脚を下ろしつつ。
目を白黒させる彼らの様子に思わず笑みが零れた。
「そこまでにして、食事にしような」
熊五郎と出会したのは初日の昼過ぎだった。つまり初めの初めだな。
どうやら縄張りに踏み入っていたらしく川の清流付近で遭遇し、紆余曲折を経てこうなった。
最初は襲い掛かってきたものだがな、了平が気付く前に腰に挿していた木刀で打ち据え林の方へ吹き飛ばす。ゆらりと木刀を揺らし、熊も俺を警戒する中。
「俺の名は極限パンチニスト笹川了平!!お前に決闘を申し込む!!!」
俺の後ろから飛び出した了平が、ファイティングポーズで熊に名乗ったのである。
……時々俺は、了平を尊敬したいような、暫く観察していたいような、そんな気分にさせられる。
霊力で作った式に集めさせていた木の実の山を熊五郎に、俺達は木組みの焚き火台を囲み、栄養価をきちんと見極めた山菜鍋をつつく。
肉は山菜採りの間に突撃してきた小振りの猪である。狩猟期間だのなんだのは、銃刀法違反を後暗いやり取りで有耶無耶にしている俺が言えたものでは無いな。許可も何故かあるしな、はっはっは……笑い事ではないか。ともあれ捌くのはサイズもあって短時間で済んだ。
了平はライト級のボクサーを目指しているらしく、現在筋肉量を増やす運動をしているのだとか。
「ボクシング部の顧問が、オレの身長ならば今後を見据えてライト級を目指せと」
「まあ、伸び盛りだしな」
「ウゥゥ……」
木の実の山を食べ尽くしたのか熊五郎はひと唸りすると、のっそりと四つ足で森の奥へと帰っていく。
「明日も此処で待っておるぞ!熊五郎!!」
「グァウゥッ!」
次は決着をつけると言わんばかりの両者に俺はくすりと笑声を零した。
「了平よ、お主はいずれ大物になるぞ」
「??極限に何の事だ!!」
「はっはっは」
俺は何も言わず薄切りにした猪肉を追加した。
朝にトレーニング、昼から晩まで熊五郎との手合せ。
了平の朝は夜明けと共に始まる。
「極限におはようだ、マサトレーナー!」
「うむ、おはよう。ロードワークに行くか?朝餉が先か?」
「ロードワーク!!」
山道をも何のその。駆け出す了平の気配を追いつつ、後方より木の上からそれを追う。……朝方は野生動物も起き出す頃合い。万一が起こらぬよう見守るのも引率の務め。
拠点には強めに作った式である大鳥を置き、野生動物が近付かぬよう追い払わせる。
霊力に物を言わせれば鳥の大きさを鷹ほどにも出来、その気配は俺と同一。野生動物に縄張りと思わせる事も出来るようだ。
そろそろ時間だと了平に追い付いて拠点場所へ誘導する。
朝食は飯盒で炊いた米、焚き火台で湯気を立てる味噌汁、川で取ってきた川魚の串焼きだ。
プロのボクサーの食生活面での減量は試合前のみという。なるべく偏らぬよう味噌汁には野菜を多く入れ、昨日の山菜の和え物を皿に。
「んまいぞーーー!!」
「それは良かった」
そして俺は川に調理器具や皿を洗いに、了平は熊五郎とスパーリングを開始。
濡れた皿を了平らの元で拭きながら見守る。
……熊五郎だが、付け焼刃ながらボクシングの型が出来てきたと思う。強靭な肉体による顔以外の防御を捨てた攻めの姿勢。了平はそれに対してより気を滾らせて拳を振るうのだ。
そういえば木の上を駆け回っていた時に気付いたのだが、川上に沿っていくとそこそこ大きな滝に大きく切り立った城壁の如く巨大な崖、そしてそこに掛かる長い木の吊り橋を見掛けた。
もしかすれば上の方は良く人が通るのやもしれん。此処は樹海も同然だが。
「昼餉だ」
「ぐるぁっ!?」
「ぬおおっ!?」
木刀が木に突き刺さる。
各々昼餉を終え川で汗を流した後、第2ラウンドが始まる。
夕食の準備を進めていれば、傍に何故か小動物が近寄って来ていた。昨日猪を捌いたのだが……霊力の影響か?動物は霊的なものに反応を示すと言うし、実際浮遊霊状態でもよく視認された覚えがある。我が朋友も本丸の馬によく好かれていたしな。
……いや、まあ、気にするまい。そう不利益がある訳では無い。人が滅多に立ち寄らないからという理由もあるやもしれぬ。
集めた木の実の山から零れ落ちたものが目的らしく、ヤマモモを齧る姿が良く見られるようになる。
まあ、そんなこんなで戦い続きの3日間、最終日。
「極限に世話になったな、熊五郎!!」
「ぐぁう!」
残念ながら打ち倒す事は叶わなかったが、お互い有意義な時間だったのではなかろうか。
擦り傷だらけの了平と最後に良い拳を顎に喰らった熊五郎。
まるでクロスカウンターのような体勢で、同じタイミングで地面に倒れ込んだのだった。
痛み分けに近いが、2人には種族を超えた友情が芽生えたようで、互いに肩を組んでいる。
うむ、双方良い顔だ。
これならばマンネリ化もスランプも解消しただろう。
「……さて、お主らもそろそろ離れぬか」
モモンガだの兎だの鹿だの鳥だの猿だのに擦り寄られて動けん。
少し座禅に入れば好きに頭に留まる膝に乗る顎を乗せるといった具合で、どうにも。
御蔭で身体が獣臭いぞ。
「3日とはいえ、邪魔したな」
よっこいせ、と立ち上がると渋々動物達が身体から離れた。
「帰るか、了平」
「おう!ではな熊五郎!また来るぞ!!」
「がぅるるる!!!」
……その時はまた付いて行くとしよう。遭難でもされれば寝覚めが悪い。
道無き道を掻き分けて、数時間の道程を経て俺達は山から脱したのだった。
「そういえば了平」
「むっ、なんだマサトレーナー」
「熊五郎は雌だぞ」
「なぬーーーッッ?!」
《それであの写真なんだね》
「うむ。よく撮れているだろう?」
マーモンの手元にある現像された写真には、三日月と熊にのしかかられた少年らしい人影、そして多種多様な野生の動物達が各々ポーズをとって写っていた。
《君……遊びじゃないんだからさ》
「はっはっは……正直すまんかった。反省する」
《……はぁ。君はもうそれでいいんだと思うよ。寧ろ現地に馴染めば馴染む程、そこでの有用性はバカにならない》
「……マーモン殿も、この地が争いの中心になると考えているか?」
《今更だよ。ボンゴレボスの血を、マフィア界は決して逃しはしない》
冷淡な程に冷静な口調でマーモンは言い捨てた。
《僕
「なるだろうなぁ。巡り合わせ、とでもいうのか。周りに多くもの良き才が埋もれているのだ。ああ、きっと騒動の中心になるだろう、もしくは最中へ集ってゆくのだろう、そう思う」
《……運命なんて僕は信じない》
「ん、否定はせん。人それぞれよ、考え方など」
未来を切り拓くのはいつだって人間の心だと三日月は何処か遠くを眺めて、思い出すかのように呟いた。
《……まあいいけどね。じゃあ切るよ。近々粛清があるから忙しいんだ》
「ああ、時間を取らせたな」
観察記録・其ノ拾玖
監視対象に異常無し。
現地協力者と敵対勢力の暗殺者が接触、確保。
拷訊した情報を別紙に添付する。
辛うじて均衡を保った状況は予測では護衛側が不利に傾く為、少なくとも2ヶ月以内には護衛の増援が見込まれる。
此方の素性の露呈を危惧するのであれば暗殺者の速やかなる排除を、表向きの立場が盤石である為不要ならば静観の指示を待つ。
報告は以上、監視を継続する。
尚、拷問された暗殺者は海の藻屑となっている模様。
ヤクザって怖いね、
なんでこう、予定通りに進まないんだろうね(プロット見ながら)
メイりんが紅葉を肴にお酒呑んでるところにしようと思ってたのに……(血涙)
皆さんはちゃんと狩猟規定を見るようにね。害獣指定の猪でも狩猟期間は決まってます。猟区に入るにはその土地の管理者の承諾が必要みたいです(ニワカ知識)
そもそも猪って狩猟期間外だとあんまり脂が乗ってないっぽいね。そこはホラ、二次元でお約束のご都合主義でなんとかして(懇願)
それと大事なのは寄生虫とかダニとかね。バーナーで炙って毛を燃やし切るか、熱湯掛けて毛抜きするんですって。
内臓もちゃんと見てから食べる部位を考えようね。心臓に寄生虫いたら破棄するようですね。
実際野外で捌いたら虫とか集るので注意、らしい(ニワカ)
ちゃんと火を通して食べると安心できるかも(?)
あと資格がないと落とし穴作って落とすのもダメっぽい
箱罠は良かったと思う。スリングショットで鳥を落としたとか云々あったけどそもそも当たらないようですね
まあミカさんは木刀で首を刎ねてますけどね、(本文外)
要するにプロのマタギの人と一緒に猟に挑もうねって事だわ……
実はミカさんによる猪解体も描写しようと思ったけど取り敢えず書いてやめました。流石に需要ねぇわ(長々失礼しました)
霊力の提議とは。
私は現代のリアルなスピリチュアルではなく、二次元的ハァァァァ!!!の方で活用。
刀剣乱舞の偵察は拙作では霊力から削りだした自分自身、という設定。
ミカさんの偵察は中程あたりかなぁと思いつつ月の色と言っていい金色にした。後悔はない。あと鳥に戯れさせたくてこうした(前話)
そんな感じ(ざっくり)
依代がなかったら霊的存在は物質に触れないだろ?
……。
おれたちのミカさんはさいつよなんだ……!(暴論)
ってな感じでツッコミどころ満載の19ヶ月目でした。
原作初めは大体そんなもん(曲解)
真面目に調べ回って考察して全部覆されて一から考え直して……ってしてると日が暮れるどころか夜が明けるわ
原作ではヴァリアーって8年間無期限停止処分でしたけど、その時はその分の仕事誰がこなしてたんだろ。9代目守護者?雇われ暗殺者?いやいや、クーデターで幹部全員生き残ってるヴァリアーのこなしてた高難易度任務やろ?内側だけではどうにもならないし、だからといって外に依頼すればボンゴレが弱ってると思われて敵対組織に攻め込まれかねない。
それなら飼い殺しにして、命は奪わず手打ちにしてやったんやぞ(ドヤァ)ってした方が都合良いし外面にも懐深い流石はゴッドファーザー!!ってなると思うんだよね
これだけでこの文字数
お付き合いありがとうございました(五体投地)
因みに私はゲーム未プレイです。エヴォカトーレもベラドンナ・リリーもヴァルテスカも出ません。日常編にNINJAも出ません。デルタ匣もないです。そういう訳です