月が揺蕩う復活譚   作:マスター冬雪(ぬんぬん)

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お久しぶりです生きてます。
誰も見てないよな??という精神でこっそり投下

23ヶ月目の話。



第28話

 

 

今朝方、普段より一回り肌寒い空気に目が覚めた。時計を見ればまだ4時を回ったばかりで、いつもより30分早い時間帯。

カーテンを開けたその先。町が雪で真っ白に染まっていた。

 

白銀の世界とはこの事か。降り積もり、音を吸い込んで。静謐な世界はまるでひとり取り残されたような感覚すら覚える。

中庭に足を踏み出して、芝生の上に積もった処女雪にそっと線を描く。吐息は白く濁り、灰色の空へと溶けていった。

悴んだ指を擦り合わせながら、雪の一片に手を伸ばす。

 

「寒いな……」

 

庭に作った花壇には、白い雪に塗されたビオラが精一杯花を咲かせている。その隣にはキンポウゲ科のクリスマスローズ、そして八重のカランコエ。その足元にはヒューケラの葉がすっかり雪を被っていた。

 

 

 

セーターにコート、帽子、手袋。マフラーに眼鏡を忘れずに身に付けて町へ出る。この時間帯は人も少なく、擦れ違うのは新聞屋だったり、トレーニングをしている者だったり、俺のように散歩する者に限られている。が、流石に雪の日だ、散歩仲間は見当たらなかった。

 

ふと後ろから迫ってくる気配に、景色から目を離して振り向く。

 

「極限におはようだ八朔トレーナー!!」

「了平か。うむ、おはよう」

 

こんな日もトレーニングとは、なんとも熱心な事だ。

了平はいつものトレーニングウェアに桃色のマフラーを巻いて息を弾ませている。了平が防寒具を身に付けているなんて珍しい。花の刺繍が縫い付けられたそれは女児用のマフラーだと分かる。

 

「それは?」

「京子がしていけと言ったのだ。オレは風邪など引かんというのに」

 

成程、妹君か。

 

「そうかそうか……まあなんだ、兄想いの妹君よなぁ。今日はこと、冷える故」

「うむ。良きボクサーは健康管理もしっかりせねばならんしな」

「そうさな……と、途中で話し込んで悪かった。気を付けて行くのだぞ」

「おう!」

 

ロードワークに戻った了平を見送り、俺も日課の散歩を続ける。

 

「、また降り出したか……」

 

手袋越しにも感じる寒さにすら感傷を抱くというもの。

掌に息を吐きかけて、遠くで聞こえ始めた子供らの楽しげな声に耳を傾け、庭を飛び跳ねる近所の犬と戯れる。

軒先に積もった雪で赤い実の目をした小さな雪だるまを作って飾り、白い息を弾ませながら、いつものように何気ない事に思考を巡らせるのだ。……今日の夕餉は鍋だな。(ぬく)いものが食べたい。

 

 

家に帰ってマフラーとコートを脱ぎながら炬燵の電源を入れ、いつもの甚平と羽織の袖に腕を通し、(くりや)のコンロに水を入れたヤカンを乗せて火を付ける。その足で冷えた書斎から参考書と問題集とノートを持ってきて炬燵の中に入ると、深く息を吐いた。人の身は寒さにも弱い。悴んだ手指を擦り、徐ろに頬に当てて冷たさに思わず驚きつつも、火照り、熱を持った頬にはその冷たさがかえって心地よかった。

そっと、読み込まれ少し草臥れた冊子の頁を捲り、所々書き込まれたメモ書きを指でなぞる。

 

「いよいよ来月か」

 

1年掛けた甲斐あって準備は万端、といったところ。

八朔政宗()が教師となるまであと1ヶ月に迫っていた。

その地に留まって教鞭をとるとなると信用がなければ出来ぬ事。俺のような戸籍もない流離人では特にそうだ。

良きものとなるか悪しきものとなるか、何れにしろ希少な経験には変わりないのである。

とても、楽しみだ。

 

「ん、スク殿に叱られぬよう気を引き締める事としよう」

 

先月の報告を思い返して、少し口端を歪めた。

 

─────"アルコバレーノ(赤子)であるリボーン殿がどのような形でツナに接触を図るか"。

 

甲高い笛の音に席を立つ。用意した急須にヤカンの湯を注ぐと緑茶の深い香りが広がった。

 

……、愉悦にも似た感情は期待のようで、その発露は神としてなのか人としてなのか、時折分からなくなる。

確かにふつふつと湧き上がる感情は人目線での物だが、それを理解するには至らず、俺はどこか俺自身を客観視しているのだ。これが刀剣男士(神の分霊)としての視点なのか、俺特有のものなのか。

 

「何十年何百年と渡り歩いてきて尚、未だに俺は無知なのだった」

 

もしくは世界は途方もなく未知に溢れているのだった。

おどけたように呟いて炬燵で蜜柑を味わいながら、湯呑みの熱い茶を啜る。

 

「やはり彼は護衛として来るのだろうか?付きっきりとなるのか?何にせよ怪しまれぬよう今まで通りの行動を心掛けるが良かろうな」

 

俺が沢田家と関わっている以上、接触は必定。

つまり奈々嬢の飯を食いに行くのもツナと関わるのもいつも通りにという事だ。プルトーネとしての行動は最小限になるだろうが。日中だけではなく夜中までともなると流石に疲弊する。

 

……いや別に、奈々嬢の飯が食いたいが為という訳では無いのだぞ?うむ。がっちり胃袋を掴まれているとは誰の事かな、と1人惚けて笑う。

 

真面目な話、細やかな指示は本部から齎されるだろうから、俺は自然体であればよいのである。そもそもそれを求められてこの任に着いているのだしな。

実力の程は多少なりとも露呈しようが、そこは外国生活が長く荒事も経験があるとでも言えば良い。嘘ではないしな。

 

それで万事良しとし、頭の中で纏めていた今月分の報告書に区切りを付けた。また内容が浅いと言われそうだが、そこは勘弁してもらいたいところだ。

 

 

 

 

 

「─────言われた通り、"八朔政宗"の情報に肉付けしておいたよ」

「礼を言うぞ、マーモン殿」

「お礼はいいから、規定の口座にA級任務相当の報酬を入金しておいてね」

 

流石に天下のボンゴレや最強の殺し屋相手では不安があったのでな、と言う三日月にマーモンは不本意そうに鼻を鳴らした。

 

「ここにきて奴の名前を聞くなんて思わなかった」

「"黄色"殿の事か?」

「まあね、」

 

口振りとは裏腹に嫌悪はなく、何故今このタイミングなのだというようなウンザリとした口調だった。

 

「……アイツとは腐れ縁だ。味方ならまだしも、敵なら厄介極まりないよ」

「ほう」

「肉弾戦も得意とし、銃を構えれば外さない。だけど、ただの銃の名手だったなら僕だってこんなに警戒しないさ

……アイツの真骨頂はその観察眼だ」

 

そう断言したマーモンはリボーンを警戒している。口では呪いを解きたいと言いながらその努力の見られない所が天才ゆえの傲慢だと思うと、少し、否かなり癪に障るが。

 

「生憎僕は専門外だからね。格闘とかいう汗臭い事には詳しくない。だから僕から不確定な事は言えないけど。……こんなナリでもアイツは紛れもなく、僕と同じ、嘗て選ばれし7人(イ・プレシェル・ティ・セッテ)と呼ばれていた男だ」

「……選ばれし7人?」

「……、」

 

話し過ぎた、とマーモンは口を噤む。

 

「話は終わり。詳細は報告書に」

「ふむ、あい分かった。ではまた連絡する」

 

三日月はやんわりと微笑みながら、受話器を置いた。

 

 

 

 

 

観察記録・其ノ弐拾参

 

監視対象に異常無し。

現地治安は安定、相談役としての役割は最小限に控えつつ、裏での操作をある程度行っていく。

新たな潜入に向けて万全を期し、情報面の強化と事前準備を完了。来月より状況を開始予定。

 

報告は以上、監視を継続する。

 

 

 




わぁい文字数が少ねぇよぉ(白目)

改めましてお久しぶりです
何となくモチベーションが上がらずここまでズルズルやって来ましたすみませんでした

ネトゲしたり動画見たりカラオケ行ったりしてサボってました楽しかったです(やめるつもりはないからこそ長い目を見て、慌ただしく更新せず一旦休止して英気を養ってました)(本心と建前が逆である)

原作も目前ですので小説全体を見直してみたり回収し忘れた伏線がないか見たりして、そろそろやる気が出たので書き上げたのがこれになります(残念な事に私の目は節穴)
文字数が究極に少ないのね、すみませんっした


リボーン相手にするのだから、雲雀氏から見て"怪しいところは……まあ、ないね"くらいじゃ駄目だと思ったのでマーモンさんに情報面の強化をお願いしました。これでええやろ、


あとミカさん、リボーンの最強の殺し屋というのの最強という頭文字に(ガタッ したでしょ、ステイ!!!



スマホ替えた時に引き継ぎできなかったとうらぶをもう一度開始。じじい来ねぇ……(難民)
書いたら出ると信じて書き続ける……
もどきでゴメンね、でも来てくれるって信じてるから(はよ来い)
富士札も松札も捧げるからァ!!

4時間……4時間……数珠丸ゥゥゥ!!(嬉しい)
4時間……4時間……小狐丸ゥゥゥ!!(嬉しい)

ちゃうんやて、ジジイの方なんやって……
これで驚きジジイの方が先に出たら多分氏ぬやつ(きっと嬉しい)
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