月が揺蕩う復活譚   作:マスター冬雪(ぬんぬん)

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超短め。イエッサー!


第37話

 

今日の予定としては、1年A組は昼前に調理実習を設けているらしい。といっても第1回である為、火も包丁もあまり使わないおにぎりを作るらしいが。

まだ日も出て間もない頃、玄関に覚えのある気配がして目を覚ます。

 

「帰ったかベルど─────」

 

 

……先ず薫ったのは、何処か甘く懐かしい鉄錆の臭い。

滴るのは紅く黒い雫。

纏った黒衣は重く張り付き、その白い肌は隙間なく黒く染まり切って。

 

その相貌に伝う赤は涙にも似て─────吊り上がった口角はゆっくりと開かれる。

 

 

「しししっ、ただいま三日月」

 

 

……頭の先から足先まで真っ赤な血で染まったベル殿がにたぁっと笑いながら立っていた。つまるところいつも通りである。

 

噎せ返る程の血の臭いはどうにも久し振りで、身の内をざわりと逆立たせた。

 

「うむ。おかえりだベル殿」

 

取り敢えずシャワーを浴びてくるが良い。落ちなくなるぞ?

 

 

 

 

 

わしゃわしゃとその指通りの良い輝かな髪をタオルで掻き乱し乾かしてやりながら、ベル殿の愚痴に相槌を打つ。

 

「依頼人は上から目線でオレに命令してくるし、殺しの獲物は雑魚ばっかだしさ。監視がいなかったらぜってぇぶっ殺してたし。依頼人の奴ホントはオレの事怖がってんだぜ?監視を盾に偉ぶってやがったからさあ、寧ろ監視含めて全部纏めてぶっ殺そうかと」

 

「ふむ、そうか……戦うならば、どうせなら手強い方が良いよなぁ。でも、結局は我慢したのだろう?偉いなぁベル殿は」

「……しししっ、だってオレ王子だもん。偉いのはトーゼン」

「はっはっは。そうであった」

 

よし、できた。

最後にささっと櫛を通してやり、綺麗に磨いたティアラを乗せる。

 

「ま、いいんだ。ストレス解消に全部バラバラにしてきたし、依頼人のびびった顔見れたし」

「おお。俺も驚いたぞ」

「しっしっし。嘘ばっか、オレたちいつもあんなんだったろ」

「はて、そうだったかな?」

 

で、また監視を撒いてきたと。

ベル殿はいつものように笑って、俺の方を振り向いた。

 

「なー三日月ぃ、また殺ししよーぜー?こんなクソだりィ任務なんて投げてさー。……見たぜ、あの平和ボケした候補者サマ。アイツがボンゴレボスになるなんてヨモスエ(世も末)ってやつ?ボンゴレもこの先長くねーよ。ならさっさとボス見っけてボンゴレから離反した方がいいって」

「それを決めるのはボス殿だろう?」

「そーだけど。……元からあんまりボンゴレ()に興味なかったけど、今は大概見限ってんだ。アイツらみーんな腐ってやがる。部下にするのもお断りだぜ。シュクセーだシュクセー」

 

昏い笑みを浮かべて、ベル殿は嘲笑う。俺達を、そして自分を。……ああ、前は天真爛漫としていたが、このような顔もするようになったのか。するように、なってしまったのか。

 

「……なんてな。どーせ断んだろ?三日月はボス一筋だもんなぁ〜うししっ」

「……」

「……おい、なんか言えよ」

「……ふ、」

 

思わず小さく笑う。

 

「そうさな……もしボス殿が俺を手放す時が来た時には、お主と共に旅するのも悪くはないだろう」

「!……結局ボスについてくんじゃねーか」

「それはお主もであろう?」

「……ししっ、そーだけどさ。ちぇっ、じーさんにはお見通しかぁ」

 

 

じゃ、約束な。

ああ、約束だ。

 

 

 

 

 

「八朔先生、知ってます?今日の調理実習!」

「うむ、おはよう宮迫先生。おにぎりだろう?知っておるよ」

「沢山貰えたら八朔先生のお弁当僕にください!!」

 

はて?それは一体どういう?

 

「あっ、やっぱり。あのですね、」

 

……どうやら毎年恒例で、女生徒が作ったおにぎりの1部を担任教師も相反与れるらしい。まあ、貰えるかどうかは定かではないが。

 

「いやいやいや、八朔先生なら貰えるでしょ」

「そうか?」

 

だと良いなぁ。

 

「というより生徒のおにぎりを分けてほしい、ではないのか?」

「いやぁ、八朔先生のお弁当は確実に美味しいですからね!!……下手に貰うと政宗先生にあげたのに!って生徒からブーイング食らいそうだし」

 

そういうものか。

 

 

で。何人かの女生徒には約束されていたのだが、どうにもトラブルがあったらしく平謝りされてしまった。

 

「沢田が全部食べちゃって……」

「酷いよねぇ?」

「ほう?それにしては、あまり怒っているようにも見えんのだが」

 

あれだけ楽しそうに話していたのだが。

 

「えっと、ほら……ねえ?」

「うん……」

「まさか沢田があんだけ笹川さんの事好きだとは……」

「??」

「政宗せんせ……沢田の奴に愛の女神が降臨したのよ」

 

……愛の女神とは?

 

「先生も覚えてるでしょ、沢田が笹川さんに告白したの……パンツ一丁で」

「ん。ああ」

「で、今回のも……山本くんと獄寺くんが笹川さんのおにぎり食べようとしたんだけど」

 

 

──────食ったらぶっ殺すぞゴラァ!!

 

 

「?!」

「あ、いや……食べたら死ぬんだぞーって言ってなかった?」

 

なんだ、また何かに巻き込まれたのか?リボーン殿に聞けばわかるだろうか。

いや、だが……本当に笹川のおにぎりを欲してそう言ったのであれば。うむ、赤飯だな。赤飯を炊こう。今晩は赤飯だ。

 

「まあ……それで、足りなかったって皆のおにぎりも食べちゃったんですよ」

「それ程笹川のおにぎりが美味かったという事か」

「そうなのかな?」

「好きな人補正もあるでしょ」

 

うむ。つまりツナの恋模様はクラスの皆に筒抜けと。……はっはっは。ツナよ、強く生きろ。

 

 

 

 

 

「セキハンってジャッポーネじゃ祝いの食べモンだっけ」

 

不味くはねェからいいけどさ。

王族らしく丁寧且つ荒くれ者(ヴァリアー)らしく大胆に箸を進めるベル殿。

 

「生徒の成長を祝って、というところかな」

「ふぅん……あ、そーいえば」

 

ごくんと口の中の物を飲み込んだベル殿はテーブルに肘をつく。

 

「この町に毒サソリが来てんだってさ」

「毒蠍……?」

「そ。毒サソリ ビアンキ。毒殺を得意とする殺し屋。得意技は毒で出来た料理を食わすポイズンクッキング。暗殺が得意で極度のクソエイム(射撃下手)。標的は泡吹いて惨めに死ぬらしいぜ。王子普通の毒なら平気だけどこれは無理!王族的に俗世のモンとか口に合わねーもん」

 

何かが当てはまったのか俺は成程、と思ったが、終始それが何なのか分からずじまいだった。

 

「お代わり要るか?」

「んー貰う」

 

 

 

 




お赤飯は無事沢田家にも届けられましたとさ。
「なんで赤飯ーーー?!」
ビアンキさんが仲間入りしたお祝いでは?(鼻ホジ)

また1人沢田家ファミリーが加わりまして。
そんでナチュラルにJCに囲まれてるミカさんというね、

今回大体ベル回でしたと。
修羅味が足りなくて禁断症状起こしそうです(ハピエン勢)
取り置きしておきますね〜。他にSAN値直葬とどう足掻いても絶望も取っとくんで〜(在庫処理)
思う存分今の内にほのぼのしていれば宜しい。

ではね。また来月。
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