ってな感じでどうぞ。
日差しの強い日が続く。日本の夏はイタリアよりも湿気が多く、肌に纏わるような熱気が特徴的だ。
普段は庭先や玄関付近に打ち水をし窓を開けて風通しを良くするのだが、慣れない気候にぐったりするベル殿を不憫に思い、現在拠点では冷房の電源を入れている。文明の利器よな。
蝉の鳴く外から汗を拭いながら部屋の中へ戻る。この時期になると春に植えたインパチェンスが鮮やかに咲き、千日紅が鮮烈な彩を添えている。一角には定番の向日葵も植えてある。ちょっとした花畑だ。
「一流の殺し屋集団である暗殺部隊ヴァリアーの幹部候補ともあろう男が、ガーデニング趣味?うしししっ、何それウケる」
「そうか?花はいいぞ〜」
ソファーに寝転ぶベル殿が棒アイスを口にして笑う。
「んぁ。三日月ぃ、アイス無くなった」
「ん?もう無くなってしまったのか。ベル殿よ、食べ過ぎると腹を痛めるぞ」
「だってあちぃんだもん。今日休みなんだろ?買ってきてよ。もーちょい良いやつな」
「うむ。"もうちょい良いやつ"、だな。分かった」
7月という事もあって陽射しは非常に強く、コンクリートの照り返しが更に気温を高く感じさせる。
見上げれば目にも鮮やかな青空、太陽は白く輝き、雲は高くを泳いでいた。
手で庇を作りながら見上げ、ふと前方に見えた人影に手を振る。
「おお、奇遇だなあハル嬢」
「はひ?政宗さんじゃないですか!」
快活に笑う一つ結びの少女の名は三浦ハル。緑中学校の1年生だ。……彼女との出会いは数年前、とあるケーキ屋で。
町を散策する一環であちこちを歩き回り、小腹が空いた為に甘い香りの漂う小洒落た店に導かれるように立ち入った。イタリアにいた頃ルッス嬢が非番の際決まって焼き菓子を振舞ってくれたのが懐かしかったのだったか。
が、ちょうど八つ時で大変込み合っていた為どうしようかと見回していたところ。
"すみません、お客様。相席でよろしければ……─────"
その相席の相手が彼女であったのだった。
口いっぱいに甘味を頬張って笑う顔が幼くも愛らしく。
「政宗さんはこんなホットでヒートなお時間にどうされたんです?お仕事ですか?」
「いや、今日は休日でな。少し買い出しに出たところだ。そういうハル嬢もか?」
「はい!授業で使うノートがなくなっちゃいまして……」
「うむ、勉強熱心だな」
「そんな事ないですよ〜」
さて、このような炎天下で立ち話も何だろう。
近くに目を走らせ、少し待てと笑い、自動販売機に硬貨を入れる。
「貰ってくれ。水分はこまめに摂るのだぞ、こんな日は特にな」
「えっ!そんな、悪いですし、」
「良い良い。年寄りのお節介だ」
「政宗さんはまだまだヤングですよ?!」
「はっはっは、ありがとう。……気にするようなれば、何かお薦めのケーキでも教えてくれ」
「はひ……わかりました。ハルのイチオシの美味しいケーキ、必ずお教えしますね!」
「うむ。楽しみにしているぞ」
手を振り擦れ違う。……さて、早く行かねばベル殿が待ち草臥れてしまうか。
まあ、だからといって急いだりはしないのだが。
たまには炎暑の下、団扇で火照った頬を扇ぎながら町を歩くのも乙なものだ。
のんびりと蝉の声に耳を傾け、噴き出るような汗を拭い、時に太陽にも負けぬと肌を小麦色にしながら駆け回る子らを眺め……。
……うむ。暑いな。
店の中は冷房が良く効いていて、俺は少し身震いしつつ目的の氷菓子を買って帰宅する。
……途中、腹を抱えて神社の方面へ駆けて行った獄寺の姿を見掛けたが、はて。そちらに厠はないぞ?
「あっ、マサさん!」
「ツナか。……もしや獄寺を追っているのか?」
「!そ、そう!どっちに行ったかわかる?」
目に見えて青ざめた顔をしていたにも関わらず凄まじい速さであったものなぁ。
汗だくになりながらもツナは獄寺を心配しているようで、俺は其方へ指を差す。
「あちらへ行ったぞ。真っ直ぐ人気のない場所へ行ったのだろう、恐らく並盛神社ではないかな」
「あ、ありがとう!」
息を切らせたツナは躓きながらも並盛神社へ走っていく。
「……青春。良きかな良きかな」
それ、絶対違う。
彼にそう言える人間は、残念ながらその場にはいなかった。
「あと10日かぁ」
ベルフェゴールは三日月が買ってきたアイスを口に運びながらぼんやりと呟く。
「寂しいのか?」
「ばっか、ンな訳ねーじゃん!的になりてぇの?」
はっはっは。そう言いながらもう投げているではないか。
三日月は鋭く研がれた銀閃を受けて指で撫ぜる。よく手入れされているナイフはキラリと三日月の双眸を反射した。
「こんな平和ボケした蒸し暑い町にいたら腐っちまうっての!」
ニィッ、と口角を上げて白い歯を覗かせたベルフェゴール。
「なんだよ。じーさんこそ寂しいのかよ?」
「はははっ!これは一本取られた。……うむ、お主がいなくなると寂しくなるなぁ」
「……、恥ずかしげもなく言うなっての」
べ、と舌を出して顰めっ面すると、ベルフェゴールは溶けかけたアイスを一気に口に入れる。
「ちべてっ……、どうせスグ会えるって。だってじーさんもヴァリアーなんだから」
「それもそうか」
三日月は穏やかに笑い、手にした湯呑みを傾ける。
「ボス帰って来たら三日月が雲の幹部って事になんのかなー?そしたらオッタビオのクソ野郎も粛清して、もっかいボンゴレに叛逆すんの」
「さて……」
「しししっ!あん時はちょっと厳しかったけど楽しかったよなー。9代目の守護者ジジイばっかだったけど強かったし」
「うむ。確かに」
「……ま、結局意識飛ばしちゃったんだけどさ」
「9代目の右腕が2人して相手だったのだろう?」
「そっちこそ。……ってか三日月の方がアレだったろ」
三日月はボンゴレ本部強襲の際、ほぼ1人で、9代目守護者であるブラバンダー・シュニッテンとビスコンティを相手に善戦している。足止めを主にしていなければ、そして時間がもう半刻もあれば、三日月は自ずから降参する事もなくその2人の命を刈り取っていたやもしれないのだが。
「確かに……楽しい立合いだったなぁ」
「だろ?ボスがまた叛逆するって言ったら絶対参加するわ」
「うむ。ボス殿が入用と言うなれば、俺も刀を振るうとするか」
三日月は最近あまり刀を振るっていないと思い、また振るいたいとも思い、腕を握る。
─────う、む。拙いな。今度剣道部に場所を借りるか、もしくは久しぶりに道場に顔を出しに行くべきか。
そんな三日月の様子を目敏く察したベルフェゴールはにんまりと笑う。
「三日月、今度の
「……ベル殿〜……」
「うしししっ!ジョウダンだっての!」
それよりゲームしようぜ!
ベルフェゴールは出しっぱなしのゲーム機のコントローラーを三日月に投げ渡し、楽しそうに笑った。
なお、案の定ベルフェゴール氏はアイスの食い過ぎで腹痛になりました(無慈悲)
暑い日が続きますねぇ(挨拶)
漸く季節が小説に追い付いてきた感じありますね(違う)
ぬん氏は部屋の冷房付けっぱなしですよ、ええ。
ぬん氏冬生まれなんでね!蒸し暑い夏とかね!!苦手!!!
【速報】ベル氏、10日でイタリアに帰国【予定】
日常編を多少彩ってくれた彼に惜しみない拍手を(訳:マンネリ防止に呼んでしまってすみませんでした)
お気に入り1000企画Part1、ハルとの出会い。
こんな感じで京子ちゃんとの出会いも書くので待っててね!