月が揺蕩う復活譚   作:マスター冬雪(ぬんぬん)

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半年は放置し過ぎだと思います(戒め)


第40話

真夏の眩い太陽の下、ふと橋の下から声が聞こえ見下ろすと、びしょ濡れのツナがタオルを手にしたハル嬢から追い掛けられていた。なんだなんだ、鬼事か?青春よなぁ。仲良き事は美しきかな、と。

好好爺然と笑いながら、三日月は今日とて町を歩く。

 

 

 

 

 

「じゃ、ジーさん。オレもう行くわ」

 

 

先日、それは夏休みに入る直前。ベル殿は散歩に出掛けるようにふらりと俺の家を、ひいては並盛町を出て行った。退屈だったがそれなりに楽しかったと後ろ手に手を振りながら。

 

「うむ。気を付けて帰るのだぞ」

「誰に言ってんだっての」

「はっはっは。我らがヴァリアーの誇る切り裂き王子様には、不要な心配であったな」

「うししっ!分かってんじゃん♪」

 

ニイッ、と口角をぐっと上げて機嫌が良さそうにベル殿は笑う。

別れとは疎むものではない。出会いがあるからこそ別れがあり、そしてその逆もまた然り。死に別れという訳ではない。我らはきっとまた再び相見えるのだから。

─────赤き斜陽の御許にて、必ず。

 

 

 

さて、世は夏休みシーズン到来である。と言ってもそれは生徒達にのみ限る。俺達教師は夏休みも変わらず仕事があるので学校に通勤している。

 

そんな夏休みの最中でもツナと武とは顔を合わせていたりするのだがな?

 

「さて、今日の“補習”を始める……前に、プリントの“間違い”について話さねばな」

「八朔せんせー、それって問7だろー?」

「うむ。すまんな、どうやら俺の教材が混ざってしまっていたらしい」

 

印刷した時点では間違いなかったので、恐らくリボーン殿の仕業であろうとは思うが。まあ、あくまで俺の想像ゆえ確かではない。疑わしきは罰せずというのでな。

その問題は除外して添削を、と口にした所で、少しでも補習の時間を減らしたいらしい小柳がその問題の解き方を教えて欲しいと挙手した。

 

「ああ良いぞ、これは俺の落ち度故。だが先に1から6まで黒板に……そうだな、これは主らに書いてもらうかな」

 

テストの問題を抜粋し数字と文章の形を少し書き換えたものであるから、返されたテストをキチンと解き直していれば直ぐに終わる宿題だ。

当てられて怠そうに前に出てチョークを手に取る生徒らに軽く頷いてみせる。

 

「では解説に入るぞ〜」

 

 

 

 

 

 

「ホント、大変だったんだよマサ兄!!」

 

と、ツナが話を聞いて欲しいという感情半分苦情半分でそう訴えた。

 

「うむ……悪かったな。許せよ、解けなければ落第とは言ってなかったであろう?……いや、もしや、解こうとしてくれたのか。教科書のどこにも解き方は載っていなかっただろうに……」

「うっ……だって、リボーンが……」

 

怯えたような顔で何事かを呟くツナに成程と頷く。大方脅されでもしたのだろう。話を促すとツナはぱっと喜色を滲ませて経緯を語り始める。

どうやら初めは補習組である武と一緒に勉強する約束をしたらしい。成績優秀の獄寺の手を借りれれば百人力だと獄寺も呼びつけ、ツナの家で課題を始めたのだとか。順当に解き進め、問7で手が止まったのだと。

 

「リボーンはひと通り解けるまで教えないとか言うし……」

 

途中にハル嬢考案の我慢大会やらランボ殿の乱入、そして獄寺の姉であるというびあんき嬢の参戦など、色々とあったらしい。

 

びあんき嬢、びあんき嬢……ああ、もしや前にベル殿が言っていた、毒サソリという殺し屋だろうか。聞けばなんとツナを暗殺しに此処までやって来たらしく、今ではツナに家庭科を教える家庭教師の1人として沢田家に居候しているとか。何があってそうなったのやら。

にしても、家庭科か。はて、毒サソリは毒殺が得意だった筈……ああいや、普段作る料理が毒入りである訳がないか。それは些か偏見というものであろう。決め付けは良くない。

 

何はともあれ。

 

 

「大変だったのだなぁ……。ツナは良く頑張っている。それに、毎日がとても楽しそうだ。俺はとても嬉しいぞ」

「……マサ兄には、オレが楽しそうに見える?」

「楽しくないのか?」

「……騒がしくて、いつも大変な目に遭うけど、……楽しいよ」

 

ツナは目を細めて笑う。

ああ、その目だ。真っ直ぐな、明日への希望を宿した目。

眩しいくらいに綺麗な目だ。

真っ青な、晴れ渡る暁天よ。

 

いつ見ても、それは良いものだ。とても、とても。

 

 

 

 

 

 

 

家に帰っても人の気配がないというのは少し、寂しいものだ。この2週間はベル殿がいたので、今では家が広く感じる。

今日は月の綺麗な日なので、俺はそっと庭先に腰かけて酒を嗜む事にする。

 

 

小耳に挟んだ事なのだが、7月の満月をbuck moon、男鹿月と呼ぶらしい。RThunder Moon(雷月)Hay Moon(干し草月)とも呼び名はあるが、古くアメリカでは7月に角の生え変わるオスの鹿に因んでそう呼んだという。

 

国違えば月も名や姿をも変える。

いつの世もヒトはこうして月を見上げていたと思えば、いつもながら感慨深い。

 

 

 

「なぉん」

「おお、来たか。今宵は来るのではないかと思っていたぞ」

 

勝手知ったると庭先に降り立った猫はとうに成猫だった。すん、と匂いを嗅ぐと、ゆったりとその脚は俺の腰掛ける縁側に登る。

 

「主、ベル殿がいた時は欠片も姿を見せなんだ。彼奴も悪い人間ではないぞ?」

 

まあ、些か血の臭いは濃いが。それらは言葉の綾というもの。

それが嫌なのだとつんと澄ました顔が器の中の餌を齧る。

 

「まだ血錆の匂いがするか」

「なぁご」

「ふむ……俺はまだお前に嫌われたくはないからなぁ。俺も、気を付けるとしよう」

 

どうでもいいと言いたげな黒猫は腹を満たし終えるとひと鳴きして、俺の服に身体を擦り付けてくる。

 

「ふふ、まあ待て。毛繕いは逃げぬ故」

 

味をしめたのだろう。酒を呑む俺を構う事無く膝に乗り、もう一度なーごと鳴いた猫はもぞりと俺に背を向けて丸くなった。

そっとその背にブラシを入れながら、駄賃だとその喉を引っ掻くと、猫は心地好さそうにぐるぐると喉を鳴らした。

 

「慣れたものよな」

「……なーぅ」

 

 

ああ、今宵も月が美しい。

 

 

 

 

 

 

 




みっじかいなおい(セルフツッコミ)
慣らし運転的な意味合い兼ねてるとはいえこれは……(思わず目を塞ぐ)
いやだって問7って参加しないとあっさり風味になるのは仕方なく無い?なくなくない?だってミカさん教師だもの……


ベル氏、ログアウト。
散歩に出掛けるようにあっさり出ていくイメージが強くて。お疲れ様でした。これからヴァリアーが更に影が薄くなるというか寧ろ影が無くなる感じありますけど僕は挫けません。嘘です挫けそう。

問7。
ぶっちゃけこれ書きたくて数学教師にした感あるけど無理みがあった。泣きたい。


遅れ申して申し訳ありませんでしたァァァァァァァ(焼き土下座)
部署異動とかコロナ騒動とかやばみのやばばだったのでアホみたいに放置してしまったのである……
月イチに戻ると言ったな、ありゃ嘘だった。ごめんなさい(遺言)(灰になる)
まだ落ち着きそうにないですね。次はまた遠くなりそう
でも入江正一氏は出さないといけませんので頑張ってまるっと書きます。

エタるのはいやだ、エタるのはいやだ、エタりません、本編終わるまでは……(それ何百回言ってるのかな???)
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