月が揺蕩う復活譚   作:マスター冬雪(ぬんぬん)

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評価ありがとうございました〜!
なんかUAがぐんぐん成長していってますね。豆の木か。


今回は2ヶ月目の話。
ミカさんの毎日と予兆。
不穏だぜ。フラグぅ




第7話

 

 

 

並盛道場。

 

此処では剣道だけではなく、時間別で柔道や空手なども教えている。所謂場所だけを借りて、というやつだ。

しかし実のところ、体作りの段階では道場の持ち主である師範代が最も詳しかったりする。昔取った杵柄だそうだ。

 

 

 

道場では立合いだけではなく、言ってしまえば見栄え重視の殺陣(タテ)を月一で行っている。子供たちには後者の方がウケがいいが、まあそれはそれ。前者の方は中学生あたりの、部活でも剣道をしている子にそこそこ人気がある。見稽古出来るよう気を使っているからな。

 

「独眼竜先生、ありがとうございました〜」

「また殺陣見せてね!」

「うむ、気を付けて帰れよ」

 

政宗、だからか独眼竜先生と呼ばれている。……俺は三条銘なんだが。それとなく申し訳なさが立つが、子供たちの期待に応えて眼帯でも付けるべきだろうか。……なんてな。

そう思う程にはこの渾名を気に入っているという事だろう。

 

「いやぁ、政宗くんが来てくれてから随分賑やかになってきたよ」

「ん?別に、俺がいなくとも皆各々に剣を楽しみ、真剣に向き合っていたと思うがなぁ」

 

そうかい?それだったら嬉しいね〜、と穏やかに笑うが、この人も中々の腕を持っている。伊達に師範代ではないな。

ああ、因みに人斬りの才能は皆無だ。

 

「ところで政宗くん、剣舞に興味はないかい?ちょっと勉強してこない?」

「ははは、さては師範代、俺を見世物にしようとしてないか?」

「え、ええー?まっさかぁ〜……!」

 

ならば何故視線を逸らす?

にしても、剣舞か。やるのと見るのとでは随分勝手が違うだろうな。ぼんやりと嘗ての記憶を思い出しながら、気が向いたらなと返した。

 

 

 

……不測の事態が起きた場合、即座に介入できる立場。

 

言うは易し行うは難し。関わり過ぎては護衛に怪しまれかねない。

うーん、と座禅を組みながら頭を捻っている。無理に関わりに行こうとせず、もういっそ近所のおにいさん(年齢詐称)でいいんではないか?と。つまり今まで通りである。

丁度拠点もご近所と言っていいしな。時たま会っては話を聞いている程度だが、不自然ではなかろう。

あまり考えるなとスクアーロ殿にも言われているし、まあ、何とかなるであろうよ。

 

「師範!!トレーニング終わったぞ!!」

 

道場の戸をスパンっ!と開け放ったのは白髪の少年だ。

 

「む?八朔トレーナー、師範代は何処だ?」

「師範代は今備品の買い出しに出ているぞ」

 

彼の中で俺はトレーナーで落ち着いたらしい。

師範代の方はというと備品……竹刀や袴等のあれこれにはこだわりがあるらしく、俺はよく留守を頼まれるのだ。俺はアルバイトなんだがそれでいいのか?

 

「では了平、運動後のくーるだうんをしようぞ」

「おう!」

 

膝の上の本、【スポーツトレーナーのすゝめ】を脇に置く。

まだ身体が出来ていない内は医学的な視点からトレーニングのサポートしてやらねば。少なくとも本格的にボクシングを始めるまでは。今は下地の段階だから師範代も協力できているが、いつかは限界が来るからな……。その時はジムだのなんだのに探してやるつもりだ。子を導くのは先立の役目である。

……1度ルッス嬢に聞くか。同じ格闘技だしな。

 

 

 

 

 

最近偶に気温の高い日もあり、日の入りも遅くなり始めた。そろそろ梅雨が来るのだろう。

商店街の美味いと評判のパン屋で買ったメロンパンを食べつつ夕暮れを眺める。今日も平和だ。

朝起きて、軽く竹刀を振って、井戸端会議に参加して、ツナの話を聞いて。夜中に刀を振って就寝する。

穏やかな、表の人間が何気ないと感じるであろう日常。

 

最後の一欠片を食べきって、ぱん、と手を払う。

 

 

「……さて、少し仕事をしてくるか」

 

脇に挟んだ地図を広げ、其方へ進む。

 

それは勢力図。

大小様々な組織の分布。

表の光に隠れた、裏社会の蠢く闇。

不測の事態、が起きぬようにする事は、諜報よりは得意な事だった。

 

「今日はここに護衛がいるか……大分行動範囲が読めてきたな」

 

 

様々な色で書かれた精密な勢力図。これは系列毎に色を変え、名称を記したもの。

 

別の紙には黄色いペンと桃色のペンで書かれた幾つもの円が重なったような範囲。これはツナとその母君の行動範囲。

 

青のペンの点は護衛が隠れる場所、そして3箇所の赤い点。これが、護衛が入れ替わる地点だ。

入れ替わりは大体夜中の2時か昼の12時だな。拠点となるのは……多くて2箇所。

この辺だ、と。鉛筆で丸をつける。

 

俺もヴァリアーで5年絞られているからな。この程度は朝飯前だ。

 

「護衛の所属は十中八九ボンゴレだが、"表か裏か"だけでも調べておこうか」

 

直通の電話か何か、なくても何かしらの痕跡が見つかるやもしれんからな。手は出さん。覗くだけだ。

 

 

「……にしても、些か暴力団が多い気がするのだが……」

 

想像以上に地図が色彩豊かになってしまった。大小あるとはいえ購入したペンを全色使っても足りないとは、予想外。

この町に幾つもの勢力があるというのは……やはり何かがここに集まってきている、何らかの予兆かなにかか。

 

……これは、うーん。いつか対策を取ろう。すぐには無理だ。

だからといってこのまま勢力が拡大したり潰し合ったりすれば、任務に影響する。

 

「護衛自身がツナ以外を守る為にまともに動くとは思えんしな」

 

その時失うのは、他でもない無辜の民なのだ。

 

 

 

 

 

 

1度家に戻り、全体的に黒い私服風潜入服に着替えて気配を消す。特殊な素材で作られたそれは伸縮性のある繊維で作られているらしく防御力もそこそこあり、ナイフくらいなら多少の打撲で済むという。「流石に貴方の刀は無理よぉ!」らしいが。

路地裏を通り建物の上を駆けて、該当地点で物見を放つ。

 

物見。別名偵察。刀から顕現した刀剣男士が持つ力のひとつ。

程度はあれど索敵が出来る式神を周囲に放つ技能である。

俺の式は金色の鳥。目立つが今宵は幸い満月の明るい月夜。範囲も狭い故失敗する事はなかろう。

 

想定通り暫くして式が手元に帰ってきた。

ひゅんひゅんと手元で飛んで、見たものを知らせてくれるのだ。

 

「やはりか」

 

建物の中には2人。彼らが拠点を空ける事はなさそうだ。

 

「vongole……やはりボンゴレふぁみりーが関わっているのか。……CEDEF。ちぇでふ?」

 

チェデフ、CEDEF。何だったか……こう、喉のあたりまで来ているんだが……。

 

顎に指を当てて、ぽん、と手を打った。

 

 

「……ああ、思い出したぞ。……門外顧問機関か」

 

Consulenza Esterna Della Famiglia。

ボンゴレファミリー独立諜報機関。言うなればイタリアのフロント企業だ。

平常時はボンゴレの部外者だが、緊急時にはボンゴレボスに次ぐ権限を持てる、実質ボンゴレファミリーのNo.2。

レヴィ殿が組織図を教えてくれた時、鬱陶しいと言いたげに説明してくれていた気がする。

 

「……成程、今の門外顧問は沢田家光……ツナの父親か。然もありなん、だな」

 

そうか、一般人の女性と恋愛結婚したのか。

 

ボンゴレファミリーの若獅子と名高い男が若い内に継承権を永久的に破棄したと聞いていたが……やはり妻には裏の事を話してはいないらしい。少しでも害が及ばぬよう苦心したのだろう。よりボンゴレファミリーに忠誠を誓い、尽くす事で、家族を守ろうとした。

が、相次ぐ候補達の不審死。

門外顧問である自分が内々であれ候補として名が挙がっていた事など深く調べれば出る。その自分が結婚し、子をつくった。

現ボンゴレボスは既に高齢。息子であるザンザスは行方不明。

 

─────次のボス候補は、自分の息子である。

 

尚更隠さなければと思っただろう。

ボンゴレファミリーに忠誠を誓った自分は、ファミリーに強要されれば何れ子を差し出さなければならないというのに。

 

愛する妻に対して。愛する子に対して。

それが、酷い裏切りだとしても。

 

 

……あくまで俺の想像だが。

 

「まふぃあ界の掟破りは死、か。……家光殿は凄いな」

 

憎まれてもいいから命だけは守らなければ、と。

人の力は侮れん。

ともあれ、ツナの護衛に関してはボンゴレだけではなくCEDEFにも関わりがあったという事。

……報告せねばな。

 

「機会があれば会ってみたいものだ」

 

 

 

 

 

「もしもし、俺だが」

《もっしもぉし、スクちゃん今出掛けちゃってるわよォ》

「あなや。掛け直そうか」

《ん〜、良かったら伝えましょうか?秘匿回線だからって何度も掛け直しちゃ、あんまり宜しくないでしょうし》

 

三日月の連絡を受け取ったのはルッスーリアだった。

丁度いいとその申し出を受け入れ、頼む三日月。

 

「────という訳でな。近々現地の暴力団勢力が動きそうだから、許可を貰いたくてな」

《あら、いいんじゃなぁい?そっちの任務は全権ミカちゃんが持ってる訳だし、暴力団ってアレでしょう?ジャパニーズマフィア。一般人じゃないんだから大丈夫大丈夫》

 

勢力争いなんてされて本部の目が向いたら任務どころじゃないでしょう?

確かに、と三日月は頷く。

 

「火種は予め消しておく、と伝えて欲しい。あくまで隠密にな」

《了解よぉ。他には?》

「うむ……、……ああそうだ。実は立派な戦士にしたい少年がおってな。身体を鍛えるにあたって必要なとれーにんぐ方法はないか?」

《戦士?》

 

表向き指導者をしている事、そこに来ている少年の事を三日月は語る。

 

「ぼくしんぐというすぽーつの選手になりたいのだそうだ。むえたいとは違うが、立ち競技だろう?中々の素質を持っているし、何か参考に……、……ルッス嬢?」

《……、……ミカちゃん》

「?」

 

何それ紫の上計画じゃないのおおぉぉぉぉ!!!

 

 

ルッスーリアの歓喜は後々、ルッスーリア自身の首を絞める事になるのを、2人はまだ知らない。

 

 

 

 

 

 

観察記録・其ノ弍

監視対象に異常無し。第二監視対象に母親を追加する。

監視対象を護衛する人員の特定に成功。所属は独立諜報機関CEDEF。ボンゴレファミリーへの直通の連絡手段がある事を確認。監視対象の行動範囲、護衛の潜伏位置、護衛の拠点位置を別紙地図に記載済み。

現地にて暴力団(ジャパニーズマフィア)の勢力間で緊張が高まっている。大規模な抗争が行なわれた場合任務の継続が困難になる恐れあり。此方で対処を行う。その結果勢力図が変動する可能性がある為、次の報告で改めて報告を行う。

 

 

 





短いのはお察し。

広い心で赦すのです。
そうすれば世界は平和になる(菩薩顔)

次はミカさんちょっとだけ動く。
プロット?ありません。
予定だから。変更ありだから……!

次話は暫くお待ちくださいね……

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