提督「いくらなんでもこれは無いだろ……」
海風「どうかしたのですか?」
提督「海風か?いや、そのな……お上からの要望で今度、お見合いすることになったんだ」
海風「あ、そうなのですね!おめでたいことですね!」ニコニコ
提督「いや、断るつもりなんだが……」
海風「ほぅ……」ピクッ
提督「ど、どうした!?表情が羅刹みたいになってるぞ!?」
海風「何でもありません。で、どうして断るのですか」ニゴニゴ
提督「お、おぅ!?その……相手が十歳以上も年下なんだよ……」
海風「別に良いじゃないですか?」
提督「よくないわ!俺はアラサーだぞ!?その年下ということはまだ未成年の女の子ということだぞ!?」
海風「何も問題ないのでは?」
提督「問題大有りだろ!そんな若すぎる子と結婚するわけにはいかないだろ!提督なのに、警察官から疑われるようになるわ!」
海風「同意の上なら問題ないかと」
提督「それは、そうだろうけどな……。大体、お見合いなんて本人の意思が無いのと同じだろう。まだまだ茶目っ気がある年頃の女の子が、こんなおじさんと結婚させられるなんて残酷だと思わないか?」
海風「海風は思わないですよ?」
提督「マジで?」
海風「まじです」
提督「それまたなんで……」
海風「お見合いとはいえ、お相手の事はある程度聞きますし、お写真で容姿も拝見しますよ。そこから興味を持つなんて、よくあることだと思いますね」
提督「そんなものなのか?」
海風「そんなものです。人との出会いなんて、何が切っ掛けになるなかわからないものですし」
提督「確かにそうだが…… 」
海風「それに、好きになってしまえば、年齢差なんて関係ないですよ!」
提督「いくらなんでも、それは純真すぎる気がするんだが……」
海風「女の子はいつも夢を見るモノです!」フンス
提督「……なるほど」
提督「でも今回は断ーー」
海風「それはダメですよ。良いですか?元帥閣下からの要請で行くとしても、お相手は提督に興味を持った女の子なのですよ?その好意を無下に扱うなんて事、日本男児にあるまじき行為ですよ?据え膳食わぬはなんとやら、ですよ?」
提督「お見合いした当日に何段階先に進むと思ってるんだ海風は……。取り敢えず、今回はことわーー」
海風「ですから、それは良くないと、海風は思うのですよ。確かに十二歳も年下の女の子がお見合いのお相手かもしれませんが、お相手の方は本気で提督と結婚したいと思っているのですよ?」
海風「その女の子が勇気を出してお見合いの場を整えて貰ったんです。提督はそれを無下に扱うのですか?」
提督「妙にお見合いすることに肩を持つな……。まぁ、わかった。取り敢えず行ってみるだけ行くか……」
海風「ふふっ、その意気です。あ、海風、明後日から一週間の休暇を貰いますね。では!」
提督「…………取り敢えず行くだけ行って破談にして貰おうか」
このときに、提督は気づく事ができなかった。海風が縁談の事に関して妙に詳しかった事を。
お見合い当日 相手の所有する長屋にて
提督「……そう言えば、お見合いの相手の写真とか無かったな。年齢以外にわかってるのは大企業の創設者、それも本家のお嬢様って事くらいか」
??「お待たせしました」三つ指挨拶
提督「いえ、待ってませんよ」ペコペコ
??「初めまして、私、幡野海梨(はたのかいり)と申します。本日は宜しくお願い致します」
提督「こちらこそ初めまして、日本海軍にて上級大将を任されておる者です。宜しくお願い致します」ペコペコ
??「もう少ししたら婆やがお茶をもってきてくださると思います」顔アゲ
提督「あ、おかまいなく。ーーって海風!?」
海風「あっ、ばれてしまいましたか。さすが提督ですね」
提督「な、なんで、ここに!?」
海風「言ってませんでした?私、幡野財閥本家の一人娘なんです」
提督「な、なんでそんなお嬢様が艦娘に……」
海風「色々と事情があるのですが置いときます」
海風「そんなことより」
提督「全然そんなことじゃない気がするんだが……」
海風「婚約してくださりますよね?」
提督「断定なんだな……。それにしてもなんで俺なんだ?」
海風「私が、提督の事を好きになっちゃったからですよ。それにわが財閥の跡取りとして、申し分がない能力を持ってますし」
提督「……さっきから衝撃の事実のフリーフォール過ぎて困るんだが」
海風「うふふ。骨が折れましたよ?コネのある元帥を脅して提督とのお見合いをセッティングするのは」
提督「さらっとお金持ち特有の癒着とえげつなさを暴露したよこの子……」
海風「婚約して、くださりますよね?」ウルウル
提督「今更儚い子アピールしても逆効果この上ないんだが……裏が無いか勘繰ってしまうんだが……」
海風「裏なんてありません!コレだけは断言させて頂きます!」
提督「お、おぅ!?」
海風「提督が好きだから、手に入れたいだけです!」
提督「お金持ち特有の所有物的な言い方出ちゃってるよ……。いやまぁ、俺はその……海風の事は嫌いじゃないし、どっちかというと好きだと思う。でも、海風、本当に俺でいいのか?」
海風「勿論。寧ろ、あなたじゃないと駄目なんです」
提督「そうか……。ありがとう」ニコッ
海風「!」ズキューン
提督「因みに、断ったらどうするつもりだったんだ?」
海風「あ、婚約を受けてくださると捉えて良いのですね?」
提督「まぁ……海風が……いいなら……///」
海風「うふふ、カワイイ……。ありがとうございます。お断りされたらですか?そうですね。何度でもセッティングしなおし
ますよ?それこそ、好きになってくださるまで」
提督(魔王からは逃げられないということか……)
海風「うふふ。よかった。では、ここから私達の伝統に付き合ってもらいます」
提督「……へ?」
海風「爺や婆や!」
外へと繋がる襖バシーン!!
中にあった襖バーン!!
お布団ドーン!!
海風「うふふ。婚約が決まったら、そのお相手の子供を妊娠するまで寝床を共にする風習がありまして」
提督「ウソダッ!!」
海風「嘘じゃないですよ。じゃあ、行きましょう!」
提督「なんでそんなに乗り気なんだ!?アーレー!!」
この後、一週間かけて子作りした