ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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第三章 36 京都を襲いし悲劇の真相(苦笑)

 

 

 

 

 そして俺達はホールに降りて、戦闘準備を整える。

 

 姐さんが移動の為の準備をしている間、俺は自販機でジュースを買って飲んでいた。

 

 これが最後の晩餐になるってのは勘弁だな。意地でも生き残らねえと。

 

 さて、それじゃあ行くとするか……。

 

「うそだぁあああああ!!!」

 

 と、イッセーは絶叫を上げた。

 

 なんだなんだ?

 

「どうしたイッセー」

 

「ヒロイ! 俺の可能性が痴漢を生み出してた!?」

 

 ………はい?

 

 いや、お前は覗きはするけど痴漢はしてないだろ。その辺に関しちゃ俺はよく知ってるぞ?

 

 意味が分からん。どういうこった?

 

「俺の体から飛び出た俺の可能性が、入り込んだ人を次々と痴漢にしてたんだ!!」

 

 さらに意味が分からん。

 

 いや、お前が歴代赤龍帝最強の女戦士の協力の元、可能性を開放させたのは知ってる。確か、元々がアジュカ様が悪魔の駒のブラックボックスを使ったとかなんとか。

 

 で? それが何で痴漢を生み出してんだ?

 

 訳が分からねえ俺に、アザゼル先生がため息をついて肩をすくめた。

 

「ようは、可能性と一緒にイッセーの乳に対する欲求まで入り込んだ結果、乳が欲しくて欲しくて堪らなくなって痴漢に及んだってわけだ」

 

 ………なんだそのバイオハザード。

 

 いや、つーかイッセーの乳に対する欲求は、常人じゃ理性が保てなくなるレベルってことだよな。そうじゃないといけないわけで。

 

 どんだけ乳好きなんだよ。てかそれでよく覗き程度で済んでたな、オイ。

 

「松田には謝らねえと。その所為で、あいつは男の乳なんぞに……」

 

 松田も駄目だったんかい!

 

 てか男の乳!? そんな見境なくなるレベルで乳が欲しくなんのかよ!?

 

 ……ん?

 

 つまり、それって……。

 

「―あの精神攻撃はお前の所為かぁああああ!!」

 

「ぎゃぁああああああ!?」

 

 俺が我慢できずにイッセーの顔面をぶん殴ったのは、仕方がないと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前、どうすんだよこの馬鹿野郎」

 

「そ、そんなこと言われても……」

 

 イッセーが戸惑う気持ちも分かるが、しかしこれはまずいって。

 

 パワーアップを試みたら、京都の人達を痴漢にしてましたってどういうこっちゃ。

 

 可能性と一緒に色欲迄持ってくなよ。どんな仕組みで起きたのか本気でわからねえ。

 

 っていうか、お前の色欲ってどんだけなの? ただの人間がおっぱいジャンキーになるとか異常だろうが、なあ。

 

 なんか、そんなレベルの色欲を持っておきながら、強姦と化してないこいつがものすごいまともな奴に思えてきた。

 

 覗きで済んでるだけコイツ我慢してるよ。褒めていいよ。

 

 でも怒られた方がいいな。示しは付けねえとな。

 

 アザゼル先生も頭を抱えている。

 

 そりゃぁなあ。こんな大騒ぎの中、更に別の大騒ぎがこっちの所為だって知ったらなぁ。

 

「ま、こういう事情なら流石に仕方がねえ。後で俺達がフォローするとするか」

 

「イッセーの名前出すのは流石に可愛そうですけど、掛かった費用はイッセーが払うべきだと思うんすけど」

 

「反論できない……」

 

 仕方がないだろうイッセー。人生台無しになるレベルの非常事態だぞ。訴えられたら確実にお前が負けっぞ。

 

 まあ、手持ちの金じゃ足りないってなら無利子で貸してやるから我慢しろ。

 

 英雄派の連中と戦う前に、ややこしい展開になったのは面倒だな、オイ。

 

 ……英雄派、か。

 

「ヒロイ、どうした?」

 

 と、アザゼル先生に勘付かれちまったな。

 

「いや、英雄派についてちょっと思うところがありやしてね」

 

「ああ……。俺も、確かにちょっと考えてるところはあるな」

 

 イッセーも思うところがあったのか、うんうんと頷いた。

 

「英雄って、なんなんだろうなって、俺も考えてるよ」

 

 ああ、そうだな。

 

 英雄派。英雄の末裔達を中心として構成された、禍の団の大規模派閥の一つ。

 

 数においてはもっと上回っている派閥は多いが、質においては高水準だ。

 

 神滅具保有者が三人もいることから言って、個々の戦闘能力なら禍の団でもトップクラスだろう。

 

 そんな連中が、敵になっている。

 

「……人間の時は凡人だった俺からしてみれば、英雄ってのは、羨望の的なんですよね」

 

「あ~なるほど。それが敵になったから、色々考えこんじまったって事か」

 

 やれやれといわんばかりんに、アザゼル先生は肩をすくめた。

 

「イッセー。お前がなりたいものは何だよ」

 

「そりゃもちろんハーレム王!! それもレーティングゲームでも連戦連勝の、最強のハーレムを作りたいです!!」

 

 先生の質問に、速攻でイッセーはガッツポーズまでして答えた。

 

 もはや脊髄反射レベルだな。ここまで執念があるからこそ、常人では耐えられない強大な煩悩を持ってんだな。

 

 だけどまあ、それがあるからこそここまで頑張れたわけで……。

 

「それでいいじゃねえか。お前はお前のままでいろ」

 

 そう言って、先生はイッセーの肩を叩いた。

 

 ふむ。普段はいい加減だけど、なんだかんだでいい先生してるんじゃねえか。

 

 流石堕天使の総督だ。言う事が違うぜ。

 

 そして、その視線は俺に映る。

 

「まあ、英雄を目指しているヒロイからしてみりゃ、色々と複雑か?」

 

「まあ、思うところはありますわな」

 

 俺は苦笑する。

 

「そもそも英雄なんてのは、神話の時代でもなけりゃぁそれなりに大義や正義のある連中同士の殺し合いですぜ? そういう意味じゃあ、あいつらは立派に英雄をやってますわ」

 

 そう、英雄なんてのはそんなもんだ。

 

 一人殺せば殺人者だが、戦場で百人殺せば英雄。それが真実だ。

 

 歴史上、様々な英雄は敵対している者にとってはただの人殺し。しいて言うなら、彼らが勝者になったから褒められているようなものだ。

 

 それに敗者となった側だって英雄が生まれることはある。第二次世界大戦の英雄筆頭格何て、基本的に枢軸国側(負けた方)だ。

 

 だから、俺は英雄に変な夢は見てない。

 

 戦いにおいて、現代から見れば悪逆非道である虐殺という行為を行った英雄は数多い。時代を先取りしすぎて、当時にとってノンマナーな行為をした英雄も数多い。そしてそれらを行っておきながら、英雄ともてはやされる存在は数多い。

 

 英雄とは総じて血生臭いものだ。そこに異論は欠片もねえ。

 

「英雄ってのは輝きだ。例え血濡れであろうと、それすらかき消すほどに輝いてるから讃えられる。そんなもんはとっくの昔に分かってんだよ」

 

 そう、それが本音だ。

 

 ジークの本家である英雄シグルドは、穴に隠れて不意打ちという、暗殺者じみた真似でファーブニルを倒した。

 

 ヘラクレスのオリジナルは、酒に酔って喧嘩して、師匠を殺した男だ。暗殺行為も実行に移した事がある。

 

 ジャンヌ・ダルクのオリジナルは、当時の騎士達にとってのタブーを犯して勝利を手にした。文句を言った婦女子に暴行を加えたという逸話を聞いた事もある。

 

 そして、三国志の英雄である曹操も基本悪役の側だ。

 

 英雄には負の側面がある。それは確固たる事実だ。

 

 だが、それでも……。

 

「それでも俺は輝きたい。あの輝きに見せられた者として、俺は彼女みたいに輝きたい」

 

 そう。それが俺の原点だ。

 

 あの時の姐さんみたいになりたい。その決断に変わりはない。

 

 だから、特に戸惑うことはない。

 

 ……あいつらは大義あるヴィクター経済連合に与して英雄になる事を選んだ。英雄の末裔として、自らも英雄になろうとしている。それはある意味で当然の事だ。少なくとも尊敬する存在や先祖のように自らもまた英雄足らんとするのは褒められるべき行いだ。

 

 俺は姐さんに助けられて、同じように輝きたいと願った。それこそが原風景だから、そうなりたいと目指している。それは誰にも否定させない。

 

 英雄としてあの悪辣ぶりは許しがたいが、定義の問題だ。もうどうしようもないだろう。

 

 だから、後はぶつかり合うだけだ。

 

「行ってくるぜ、アザゼル。ちょっと英雄倒して英雄になってくる」

 

 さて、そういうわけで頑張るとするか。




ヒロイは英雄に幻想を見ていません。

英雄とは、基本的に殺し合いで歴史に残る成果を上げてきたものだという事実を彼はしっかりと認識しています。

だから近年の創作作品でもあるように「英雄ってのはただ敵を倒したから英雄になったんじゃねえ!! 人間的にも素晴らしい奴のことを言うんだ!!」なんて反論はしないです。むしろそういうのを「わかってないなお前は」とか言っちゃえます。

そのうえで、自分を救って照らしてくれたリセスという「英雄という輝き」に焦がれ、自分もまた輝きになりたいと思っているだけなのです。







実際、英雄について調べてみると英雄派のやり方はそこ迄見当違いではないですからね。

強大な相手を倒すため、きちんとそれなりの準備や策を用意したうえで立ち向かってる英雄は数多い。英雄派のオリジナルや先祖については本編で書いた通り。

彼らはりっぱに先祖をインスパイアしたうえで戦ってます。そう言う意味では原作五章の策投げ捨ててもぶつかるぜって乗りの方が「先祖参考にしろよ……」といわれてもおかしくありませんね
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