ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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はい、ついに修羅場に突入


第四章 4

 

 レイヴェルのお袋さんは、露骨にレイヴェルがフリーだと繰り返した。

 

 お袋さんはレーティングゲームをしないとのことで、今はそのお袋さんの僧侶をやっている。つまりトレードを受け付けるってことだ。それをイッセーに執拗に繰り返した。

 

 もうこれ、直接明言してねえけどそういうこったろ。イッセー大人気だな、冥界だと。

 

 で、そんなこんなで通信が途切れる中、イッセーは首を傾げた。

 

「……どういう意味なんだろうな」

 

 俺は、つい聖槍を槍王の型を叩き込みたい衝動にかられた。

 

 一発ホントに叩き込んでやろうか。こいつせめてトレードさせたいとかいうことくらい気づけよ。

 

「イッセー。イッセーって馬鹿っすよね」

 

「酷いなペト! 確かに俺は馬鹿だけどさ、レイヴェルが今は主がいないようなもんだってことはわかるぜ?」

 

 ペトの辛辣な言葉にも、イッセーは的外れなことを言ってくる。

 

 こいつ本当に駄目だろ。どこまでも駄目だろ。

 

 一発本気でぶん殴ってやろうかと思い始めたが、それより先に限界超えたやつがいた。

 

 ……お嬢が、無言で立ち上がると部室を出ようとする。

 

「あれ? 部長、どうしたんですか?」

 

 イッセーが気になったのか声をかけたけど、これまずくね?

 

 実際、お嬢はぷるぷると肩を震わせていた。

 

「……イッセー。貴方にとって、私は何?」

 

「え?」

 

 イッセーは、明らかに訳が分からないって感じだった。

 

 あ、これマジでまずい。

 

「イッセー! いいか、よく考えて答えろよ!!」

 

 俺はとっさに声を上げるが、そこでイッセーは首をかしげながらも深呼吸した。

 

 そして一言。

 

「よくわかりませんけど、部長は俺にとって立派な主様で尊敬する部活の部長です!!」

 

 沈黙が響いた。

 

 これ、一発本気でぶん殴った方がいいんじゃねえか?

 

 割とマジで殺意がわいてくる中、部長はもう我慢できてねえのか涙すら流した。

 

「……馬鹿!!」

 

 そして勢いよく走って駆け出していく。

 

 うん。これはさすがにストレスがやばいことになるわなぁ……。

 

「イッセー君。さすがにこれはひどいよ」

 

 木場が、いつもの笑顔を完全に消してイッセーを避難する。

 

「え? 酷いって、なにが?」

 

 まったく訳が分からないって表情で、イッセーはそう答える。

 

 それに、木場はさすがに苛立ちを隠せてない。

 

「そういうところさ。流石にものには限度があると思うよ」

 

「同感だ。私もこういうことには鈍いが、イッセーはさすがにひどすぎる」

 

「ほんとよ! リアスさんがかわいそうだわ!!」

 

 木場に乗っかってゼノヴィアとイリナもかなり怒っている。

 

 うんまあ、さすがにこれはむかつくな。

 

 そりゃぁ、直接的にはこくってないぜ? アプローチだけだぜ?

 

 それにしたって、一線超えるところまで言っておきながら、好意をかけらも想定しないってのはさすがにまずいんじゃねえか?

 

「……最低です」

 

 うわぁ、小猫ちゃんの今までにない絶対零度の罵倒が出たよ。

 

「酷いですイッセーさん! なんでリアスお姉さまの気持ちに気づこうとしないんですか!!」

 

 アーシアなんて涙迄流してる。

 

 そして、肝心のイッセーは……。

 

「………え?」

 

 何もわかってない。

 

「現実にいると糞でしかないって属性はあるけどさ、なんでお前は二つも持ってんだよ。さすがに最悪だぞ」

 

 俺はそういうほかねえ。

 

 覗きの常習犯と、女の子の露骨なアプローチを無自覚スルーする鈍感野郎。

 

 どっちもリアルにいたら相当嫌悪感抱く奴はいるけど、なんでこの馬鹿二つも同時に持ってんだよ。

 

 何が何だかわからないなりにイッセーはお嬢を追いかけようとするが、しかし朱乃さんがその肩に手を置く。

 

「今イッセー君が行っても逆効果ですわ。おとなしくしていてください」

 

 ニコニコ笑顔をしっかり消して、こちらもかなり険しい表情。

 

 まあ、朱乃さんとしても少しはストレス溜まってたのが、ここで爆発したって形何だろうな。

 

「なあ、ギャスパー。俺ってそんなにダメか?」

 

「………はい。かなりダメダメかと」

 

 ギャスパーもフォローの余地がねえな。

 

「あの、お母様の所為ですよね?」

 

「いやいや。これはイッセーにそもそもの原因があるッスから、レイヴェルは気にしすぎない方がいいっすよ」

 

 おろおろするレイヴェルにペトがフォローを入れるが、そのペトもイッセーになんというか微妙な表情を浮かべている。

 

 そして、イッセーは全く持ってそれを理解していなかった。

 

 こいつ、ちょっといくらなんでも病気なんじゃねえか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー、これより「イッセー流石に鈍感すぎ会議」を始めたいと思います!」

 

 イッセーはとりあえず作業に行かせて、俺達はいったん会議を行うことにした。

 

 既にアザゼル先生とロスヴァイセさんも呼び出して、準備万端だ。

 

「あの野郎、まさか今だにまったくモテてるのに気づいていないとかマジか」

 

「レイヴェルさんのお母さんの念押しも理解してないようですね。イッセー君はそういう方向でも問題児なんですね」

 

 アザゼル先生も呆れ、ロスヴァイセさんもため息をついている。

 

 ああ、これは流石にまずいだろう。

 

「……とりあえず話をまとめると、流石にこれはちょっとおかしいわね」

 

 姐さんが、とりあえず木場がまとめた資料を見て眉をしかめる。

 

「百歩譲ってリアスの行為に鈍感なのはいいわ。そもそも初めての出会いで裸を見せている辺り、イッセーの中でリアスに痴女的な印象が出てくるのは当然といえば当然。そこで私とペトで慣らされていれば、そういう方向になってもおかしくないもの」

 

 ……そんなことしてやがったのか。別の意味で殴りたくなってきやがったぜ。

 

 だが、問題はそこではない。

 

 ペトもそこは気づいているのか、同じく資料を見ながら首をかしげる。

 

「でも、最初の子作りだけを目的にして、更に今でも子作り主体で迫っているゼノヴィアはともかく、アーシアや小猫まで同じようにスルーするのはおかしくないっすか?」

 

「同感だね。特にアーシアさんの件はわざとやっているとしか思えないスルーの仕方だよ」

 

 木場もそれに同意を示し、全員が続いて頷いた。

 

 そう、百歩譲ってお嬢はまあいいんだ。

 

 最初に裸を見せてしかも気にしないだなんて真似ぶちかませば、誰だってイメージに痴女とか性に開放的な属性が加わるだろう。それが原因でスルーしてしまってもおかしくない。お嬢にも問題があるってんだ、これは。

 

 だが、アーシアに関してはおかしい。

 

 なんでも最初から嫁入り修行とか言って同居を勝ち取ったらしい。その時点でつまりそういう意味だという方向で取ってもおかしくねえはずだ。

 

 はっきり言って最近は痴女化が進んでるけど、その前からアーシアはイッセーに好意をしっかり示している。それは誰の目から見ても明らかだ。

 

 ゼノヴィアに関してはペトの言った通りではある。イッセーを子作りのターゲットにしたことが原因で、全てにおいてそれがイメージになってもおかしくない。しかし俺もターゲットの一人になっていたにもかかわらず、完全スルーされているということを忘れてはいけない。

 

 朱乃さんに関しても不倫狙いと堂々と公言しているのにもかかわらず、遊ばれているとか可愛がられている認識で統一されている。プールでの喧嘩のときとか、男嫌いとかいう情報が出ていたにも関わらずイッセーを特別視している発言も出てたというコンボがあった。つかデートの件で気づくべきだったな。

 

 小猫ちゃんに至っては露骨だろう。この子はその辺の貞操観念がかなりしっかりしている部類なのに、子どもを作る相手としてイッセーをターゲットにしている発言をしていたと自己申告がある。この時点で少なくともそういう相手の候補として見られている事ぐらいは分かってもいいはずだ。

 

 ……そもそも学園中で「催眠術で魅了している」だなんて噂になるぐらい、オカ研女性陣のイッセーに対する好意は誰の目から見ても明らかだ。

 

 イッセーだけだ。イッセーだけが「そう見えるだけ。実際は違う」だなんて考えている。

 

 なんでだ? なんでハーレム王になりたいとかいうぐらいガッツいてるのに、女子からの露骨な行為やアプローチをスルーする?

 

「……ねえ、イッセーって実は恋愛に興味がないってことは考えられない?」

 

 と、姐さんがそんなことを言ってきた。

 

「リセスさん? イッセー君はハーレム王になりたいと、堂々と言いきってそれを原動力にしていますのよ?」

 

「ハーレムを作りたいと恋愛をしたいというのはまた別よ」

 

 朱乃さんの呆れ半分の反論に、姐さんはそう告げた。

 

「こういうのはイッセーに悪いけど、女を自分のものにしたいっていう執着心と、恋愛感情ってのはまた別だわ。欲望のはけ口としてしか見ない輩ってのは少なからずいるもの」

 

 と、嫌そうな表情を浮かべるけど、しかし口調そのものは平然と姐さんは告げる。

 

 ……ああ~、ディオドラとかまさにそういうタイプだよなぁ。

 

「もちろんイッセーがそうだなんて言うつもりはないわ。だけど、恋愛的なアプローチをここまでスルーするってことは、恋愛をする気がないってことじゃないかしら?」

 

 姐さんはそういうと、とりあえず出されたお茶に口をつける。

 

「でも、イッセー先輩はリアス部長と恋人になれたらいいとか言ってた時ありましたよ?」

 

 ギャスパーがそんなことを言うが、確かにその通りだ。

 

 イッセーがお嬢に好意を抱いてるのは、誰の目から見ても明らかだ。

 

 それなのに、お嬢からのアプローチをイッセーはスルーしている。

 

 ……もう訳が分からねえ。

 

 俺達が顔を見合わせて首を傾げていると、ペトが手を上げた。

 

「あの、イッセーと一番付き合いが長いイリナに聞きたい事があるッス」

 

「なになに?」

 

「イッセーて、さらし者になった経験とかはあるっすか?」

 

 その質問に、俺達は首を傾げた。

 

 ん? どういうこった?

 

「どゆ意味?」

 

「いや、告白の手紙出したらそれを黒板に張り出された……とか、そういう恋愛がらみで酷い目にあって、本人気づいてないけど無自覚に恋愛ごとを避けるようなトラウマになってる……とかあるのかなぁって思ったッス」

 

 なるほど。それはありうるな。

 

 そもそも朱乃さんとのデートの時、朱乃さんが超うきうきしていたのに「本命の前の予行演習」だなんて発想する事がおかしいんだ。

 

 自分で気づいてないだけで、恋愛ごとを避けている……っていうのはあるかもしれねえな。

 

 俺は感心してるが、なんかかなり沈黙が響いた。

 

 具体的には、俺がグレモリー眷属と関わる前のメンバーだ。それもギャスパーを除いた。

 

 なんだ? すごい汗流してるぞ?

 

「「「「ぁあああああああああ!!!!!」」」」

 

 一斉に天啓が閃いたかの如く大声を上げる。

 

「なんだよ。なんかあいつトラウマでもあんのか? まぁ覗きの常習犯とか、表の人間は嫌いそうだから手酷い振られ方してもおかしくねえけどよぉ」

 

 アザゼル先生が苦笑を浮かべるが、その先生にすごい勢いで四人の視線が集中した。

 

 それも、ものすごい非難の視線だ。

 

「あらあら。ある意味全ての元凶が何をほざいておりますの?」

 

「アザゼル先生。ことの発端は貴方ですよ」

 

「……先生が作ったようなものです」

 

「アザゼル先生。すいませんが朱乃さん達の言う通りです」

 

「………え゛?」

 

 アザゼルが何を言われているのか分らないという顔をする中、四人を代表して木場が口を開いた。

 

 それは、兵藤一誠という男が悪魔になる、その最初の出来事になる。

 

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