ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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戦闘は激しさを増し、そしてオカ研は絶不調。

その状況の中、数少ないまともに戦えるペトとヒロイが相手をするのは……


第五章 16 相克天秤

Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 姐さんと木場がジークフリートを相手している間、俺とペトはドーインジャーを叩き潰していた。

 

 コイルガンの嵐が物理的にぶち抜き、光力の弾幕がエネルギー的にぶち抜く。

 

 だが、ドーインジャーの数は一向に減らねえ。

 

 くそが。生産速度が面倒だな。一向に減らせる気がしねえ。

 

 そして、まともに数を減らせてるのが俺ら二人ってのもヤベえ。

 

「く……っ」

 

「雷光よ……っ」

 

 お嬢と朱乃さんが攻撃を放つが、一度に一体が限界だった。

 

 手を抜いているわけじゃねえ。単純に、出力が出せてねえだけだ。

 

 どれだけ強い魔力をもっていようとも、闘おうとしても、心がついていけてねえなら意味がねえ。

 

 小猫ちゃんもレイヴェルもドーインジャー一体にてこずってるし、アーシアの回復のオーラもろくに効果を発揮してねえ。

 

 ヤベえ。このままだと押し切られるぞ。

 

「ど、どうするっすか!? このままだと、抑えきれないっすよ!?」

 

「しゃあねえ! 戦略的に補給源をぶっ潰す!!」

 

 やるしかねえか。このままだとジリ貧だ。

 

 そしてこういう類の敵に対抗する最適解は、本体を叩き潰すという一点。

 

 まあ、問題はニエの野郎は禁手でそれをカバーしてるって事なんだけどな。姐さんにも悪いとは思う。

 

 とは言っても、流石に今回はお嬢達の事があるからな。悪いが半殺しで撤退に追い込む程度は勘弁してくれよ!!

 

 そして、数が多いから狙撃は無理だ。つまり、今のペトでも流石にキツイ。

 

 と、言う事で俺だ。

 

「ペト! 足止め頼む!」

 

「五分でお願いするッス!!」

 

 OK! 命かけるぜ!!

 

 ペトが弾幕の密度を強引に上げてドーインジャーを抑え込んでいるうちに、俺は突貫する。

 

 全身にホンダブレードを展開して攻撃をガン無視。そして強引にドーインジャーの群れを突貫する。

 

 狙いはニエ・シャガイヒ一点特化。とにかく撤退に追い込んで終わらせる!!

 

 俺は速攻でニエに切りかかるが、そこに割って入る奴がいた。

 

「させない!!」

 

 プリス・イドアル!!

 

 俺と同じくイドアル孤児院の出身で、姐さんの同期。そして、ニエの従僕。

 

 姐さんと同じようにニエを追い込んだ罪悪感から、ニエに付き従う事を選んだ女。

 

 それに関しちゃ俺が何か言う権利はねえだが、つってもこのタイミングで邪魔されても困る。

 

 ……姐さんには悪いが、遠慮している暇はねえ。

 

「ぶった切る!」

 

「負けない!」

 

 聖槍の一撃を、氷の壁が防ぐ。

 

 もちろん聖槍の攻撃力なら一瞬でぶっ壊せる程度だが、それでも一瞬のタイムラグができる。

 

 その時間差で、プリスは間合いを取ると即座に炎をまき散らした。

 

「舐めんな!!」

 

 俺は魔剣を大量に生成して、その炎をやり過ごす。

 

 しかし、それで視界が遮らえた隙をついて曲射の魔力攻撃が俺に襲い掛かる。

 

 それを聖槍で薙ぎ払いながら魔剣をばらまいて壁を作るが、大量の氷が同じように生成されて魔剣を操作する事が困難になった。

 

 そして、俺の頭上の影が揺らめいた。

 

 上を見ると、そこには大量の水の塊があった。

 

 なんでだ? 重量で叩き潰すなら、氷を叩き付けた方がもっと楽に倒せるだろ?

 

 そう思いながら魔剣でドームを作って防御するが、その瞬間に水が爆発した。

 

 同時に大量の湯気が出て、俺は聖槍の加護が無けりゃ全身火傷を負うところだった。そもそもこの衝撃で並の中級悪魔なら即死してる。

 

 大容量の水による水蒸気爆発。なんて技持ってるんだ、あの女!

 

 とにかくしのぐが、その瞬間に湯気は霧になって俺の視界を塞ぐ。

 

 とっさに電磁力によるレーダーを張って生体電流で探知を試みながら動き回ってかく乱する。

 

 そして、俺はプリスの居場所に検討をつける。そしてプリスも俺の居場所を正確に把握したらしい。

 

 まっすぐ接近するプリス相手に、俺は魔剣を生成するとコイルガンを生成。遠慮なく叩き込んだ。

 

 まあ、向こうも位置が分かってるからかわされるとは思ったけど、プリスは反応が遅れたのか、攻撃がいくつか掠める。

 

「……うぅっ!」

 

 悲鳴を押し殺しながら、プリスはそれでも俺に接近すると、魔力で丸鋸を生成した。

 

 とっさに魔剣を生成した壁にするが、だけど、バターナイフでバターを切る感じで両断される。

 

 くそ! 切れ味意外と高いな! 単純な魔力のブレードにしちゃ切れ味が高い。下手な聖魔剣を上回るんじゃねえか?

 

「クソッタレ! なんだよそのチート能力は!」

 

 俺はニエに近づけなくて舌打ちしながら文句を吐いた。

 

 とにかく切れ味が鋭い。

 

 いや、一瞬ですっぱり切るわけじゃねえから、盾さえあればかわしやすい。

 

 だけど、トルクがあるというかなんというか、頑丈なものもちょっと時間をかければぶった切るこの切れ味は面倒だな。

 

 チェーンソーというかなんというか。ちょっと時間差はあるけど、ぶった切れる能力なら下手な刃物を凌駕してやがる。

 

 魔力で科学を再現とか、反則じゃねえか!?

 

「それもあるが、それ以上に厄介なのは彼女の神器だ」

 

 と、リムヴァンと超絶バトルを繰り広げながらアジュカ様が俺に声をかける。

 

 なんすか? これ、なんか種が。

 

「どういうことですかアジュカ様! なんか他に仕掛けが?」

 

「リセス君の下位互換と考えてくれればいい」

 

「あ、そういうこと言っちゃう? うちの味方に不利なこと言っちゃう!?」

 

 リムヴァンがアドバイスを阻止しようとするが、アジュカ様の眷属の猛攻で妨害されている。

 

 その援護を受けながら、アジュカ様は更に説明してくれた。

 

相克天秤(デュアル・マクスウェル)。熱量そのものを操る神器だ。……彼女は、魔力でそれを歪める事で様々な現象を可能としている熱エネルギー操作特化型のウィザードタイプなんだ」

 

 ね、熱エネルギー操作?

 

 なんで熱エネルギーを操作するだけでそんな事ができんですか?

 

「魔力と併用する事で、氷や炎を生み出すように歪める。そしてそれを併用する事で、水分を操作して霧や水蒸気爆発を発生させる。つい先日の襲撃時には、蜃気楼も生み出してたな」

 

「……っ!」

 

 アジュカ様の冷静な言葉に、プリスは焦りの表情を浮かべる。

 

 マジっすか。本当に熱量操作を魔力で歪めるだけでそんな色んな事できんですかい!?

 

 あ、でも魔剣ぶった切った丸鋸は?

 

「最も恐るべきは先程の丸鋸だ。刃をいくつも用意する事で対象を切断するのは当然の事、交互に高熱と低温の刃を併用する事で、熱衝撃による切断対象の強度劣化も同時に行っている」

 

 なるほど。つまりディストピアアンドユートピアの劣化再現ってわけっすか。

 

 交互に熱したり冷やしたりすると金属がもろくなるのと同じか。考えたな。

 

 っていうか、そんな事を実行に移せるってのがまず優秀な証拠だ。流石姐さんやニエの幼馴染。やればできる奴だ。

 

 枕営業ありとは言え、メジャーデビュー寸前にまで漕ぎ付けたセミプロアイドルなだけあるじゃねえか。まじめに勉強したら国立大学とかも狙えるんじゃね?

 

「わ、わかったからって何だっていうの! ニエ君には手を出させない!!」

 

「アンタの覚悟も立派だけどよ、種さえ分かればやりようはある!!」

 

 ああ、その種が分かれば、俺なら対抗可能だ。

 

「サンキューですぜ、アジュカ様!! あとは俺が!!」

 

 俺は即座に魔剣を生み出す。

 

 それは、かなり特殊な魔剣だった。

 

 魔剣の柄からワイヤーが伸び、大量の板が接続された魔剣。

 

 実用性はかなり低い。使う時に即座に魔剣を作り出せる魔剣創造の持ち主である俺だからこそ意味がある。普通の奴なら持ち運びが不便すぎて誰も使わねえ。

 

 だが、プリスが相手ならこいつが一番効果的だ!!

 

「どんな魔剣だって!!」

 

 プリスは俺が振り下ろす魔剣相手に、真向から丸鋸で迎撃する。

 

 確かにその丸鋸は驚異的だ。

 

 高速回転する刃はかけても瞬時に再生するから、その気になれば格上の装甲だって時間をかければ切り裂ける。しかも、交互に発生する熱衝撃があるからその切断速度はマジで速い。

 

 文字通り削り取る刃だ。その気になれば聖魔剣だって切り裂ける。相当の時間接触させれば、伝説クラスの聖剣魔剣だってぶった切れるだろう。

 

 だが、この魔剣に限っていえば話は別だ。それ位の相性差がある。

 

 実際、丸鋸を見事に受け止めて見せた。

 

 そしてその瞬間、俺の魔剣につながっているプレートの周囲で、はたから見れば異変と言えそうな現象が起きる。

 

 一部のプレートに触れていた金属が自重に耐え切れなくて曲がる。別のプレートの触れていた水分が凍結する。

 

 その現象は、はたから見れば意味不明。だが、魔剣の特性で歪めているとはいえ、立派な科学現象だ。分かる奴は分かる。

 

 そして、アジュカ様とリムヴァンは分かる側だった。

 

「ほう、ペルティエ効果か」

 

「ペルチェエフェクト!?」

 

「正解!!」

 

 ペルティエ効果。もしくはペルチエ効果。またの名をペルチェ効果(エフェクト)

 

 異なる金属を接合して電圧をかけたうえで電流を流すと、熱の放出などが起きる現象。電圧によって温度差を作り出す科学的な現象。

 

 車に乗せるサイズの冷温庫。医療用の機器。コンピュータの冷却などに使われる技術だ。

 

 それを魔剣の特性で拡張発展させ、熱量をプレートに移動させる事で高熱攻撃や冷凍攻撃などを防御する為の魔剣が、このペルチェブレード。

 

 炎や凍結をメイン攻撃にする悪魔は多かったんで編み出した代物だけど、こんなところで大活躍するとはな。

 

「う、嘘でしょ!? そんなのあり!?」

 

「科学と神秘の融合だからな! ちょっとぐらいはありだろ!!」

 

 俺は何とか状況を拮抗に持ち込む事ができた。

 

 プリス・イドアルの相克天秤の天敵ともいえるこの魔剣なら、聖槍よりもやりやすい。五分五分にまで持ち込めたぜ!!

 

 ……五分五分じゃダメなんだよ!!

 




相克天秤はリセスのディストピアアンドユートピアと元ネタが同じです。

ネットサーフィンしてる間に見つけた中二バトルモノの解説からネタを拾って、さらに別のISっぽい無敗な作品のデータを盛り込んで発展させたのが相克天秤。逆に変に盛り込まず、そのネタの上位形態を参考にしたのがディストピアアンドユートピアです。

ヒロイの紫に輝く双腕の電磁王に匹敵する汎用性の高さを持っていますね。ついでに応用で近距離での熱源感知もできます。

そのためプリスはサポートタイプの多少はこなせるウィザードタイプ。加えて丸鋸がディストピアアンドユートピアほどではないけど科学的に威力を向上させているため、禁手に至っていないのにもかかわらずヒロイ相手に善戦しています。









対するヒロイも科学的アプローチでたいこう。だいぶ前に調べさせたペルチェエフェクトを同じく異能で捻じ曲げて運用して対抗しました。

とはいえ今のままでは五分で突破など不可能。このままだと大ピンチなわけですよ
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