ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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そういうわけで、本章クライマックスである曹操戦、スタートです。

曹操の新たな奥の手、それがここで明かされます!


第五章 30

 

 さて、それじゃあ俺達はどうしたもんかねぇ。

 

 とりあえず、目の前の敵をどうにかするのが一番か?

 

「どうするよ? こっから先は俺やオーフィスが参加するが?」

 

「我、ドライグ助けに行く?」

 

 オーフィス。お前素直すぎるぞ。

 

 ああ、こいつ本当に子供だっただけなんだな。精神年齢が小学生ぐらいなんじゃねえか?

 

 イッセーが懐かれてる理由が良く分かるぜ。あいつ、子供のヒーローやってるからな。

 

 それに、敵将をぶちのめすっていう状況なんだから、そりゃまあ総力戦を挑むってのは理に適ってんだが……。

 

「まあ、十分ぐらい待ってくれねえか?」

 

 男の意地ってのも、あるんだよなぁ。

 

 ちょっと気持ちが分かっちまうっつーか。こういうのがロマンなのかねぇ。

 

 絶対手を出すなとは言わねえから、せめてもうちょっと待ってほしいって思っちまうのが本音だな。

 

「というより、貴女が戦うとリリスが更地になりかねないわ。お願いだから静かに待っていてくれないかしら?」

 

 お嬢がため息とともにそう言って止める。

 

 ……ああ、子供だから加減ができねえのか。なるほどなるほど。

 

 ふむ。だったら……。

 

「オーフィス。飴上げるから、ちょっと待ってなさい。俺が行く」

 

 うん、ここは俺が行った方がいいんだろうな。

 

 出来る事なら、奴との因縁は清算したいしよ。

 

「ならば俺も行こう。万が一にでも兵藤一誠が倒されるのは我慢ならない」

 

「待て。それなら俺が行こう。俺としても流れてしまったあいつとの戦いを望んでいるからな」

 

「そこ、ケンカしないで。……間を取って私が行こうかしら」

 

 すいません、そこの神滅具使い三人。イッセーと曹操の戦いをガン見する権利を奪い合わないでください。

 

 俺だって言われてみれば凄く見たいんだよ。歴代で最も異彩の赤龍帝と、聖槍を宿した英雄の末裔の激戦とか、マジで見たい!!

 

「……なら、ここは私達が受け持ちましょう」

 

 と、その言葉に俺達は視線を向ける。

 

 そこには、ソーナ会長達シトリー眷属とバアル眷属、そしてシーグヴァイラ・アガレスとその眷属達まで一緒になっていた……いや違う!!

 

 いつの間にか、かなりの数の悪魔が集まってる!!

 

「先程から派手に動いているおかげで、すぐに場所が分かりました。……というより、イッセー君が本当に生きているとは思いませんでした」

 

 眼鏡が微妙にずれてるソーナ会長が、激戦を繰り広げている方向に視線を向けて汗を一滴流した。

 

 ああ、やっぱりツッコミどころだらけだよな、この展開は。

 

「……そうね。いつまでもヒロイ達におんぶにだっこではいられないわ。冥界の未来は悪魔が守らなければならないもの」

 

 お嬢がそう言うと、一歩前に出る。

 

 そして両手を構えると、莫大な魔力を収束させる。

 

 ……寒気が感じるレベルの魔力だ。これ、下手したらヴァーリでももろに喰らうとやばいんじゃねえか?

 

「あらあら。グレモリーの次期当主は恐ろしいにゃん」

 

「ま、ある意味この嬢ちゃんも「ルシファー」の血族だしなぁ! おっぱいドラゴンのスイッチ姫ならそれぐらいできねえとよ!!」

 

「私としては木場祐斗が気になりますね。数人がかりとは言え、私が勝ち越せなかったジークフリートを屠ってグラムの担い手となったのですから、それなりの強さを見せてもらいませんと」

 

「お兄さま? 流石に今は慣れてない事もありますし、遠慮してください」

 

 ヴァーリチームもマジでノリノリだ。こりゃ、かなりのレベルで戦えるんじゃねえか?

 

「……行きなさい、ヒロイ」

 

 俺が唖然としている間に、お嬢が微笑を向ける。

 

「イッセーだけに曹操の相手をさせるのも癪でしょう? 私はイッセーが勝つって信じてるけど、勢い余って屠られたら残念なのではなくて?」

 

 お嬢……。俺のこと気遣ってくれてるのか。

 

 ありがとよ!!

 

「行ってきますぜ、お嬢!!」

 

「あ、させると思ってんのか!!」

 

 ヘラクレスがミサイルをぶっ放すが、俺は魔剣を大量に展開するとそれを防いで突破する。

 

「待ってもらおうか。俺としても兵藤一誠の曹操対策をこの目に焼き付けたい」

 

「ヒロイ! あなた姉貴分を置いて何を面白そうなものを見てくるのよ!!」

 

「……やはり俺も行くべきか。何やら別の意味で何かが起こりそうだ」

 

 ……これ、イッセーがやばくなってもあっさり曹操鎮圧できるんじゃねえだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな事を考えていた俺は、曹操のことを心の底からなめてかかっていた。

 

 正式完成型の複合神器保有者。それも、最強の神滅具である聖槍の担い手。

 

 奴が、そんなぬるい敵であるわけがないって事に、俺達は欠片も思い至っちゃいなかったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐ……がぁあああああああ!?」

 

 もだえ苦しむ曹操を見て、俺は何とかなったって安心した。

 

 いや、マジで作戦はあったんだよ。決まれば勝てるって自信はあったんだよ。

 

 シャルバが俺に使った、サマエルの毒。あれをドライグ達が回収してくれたおかげで勝ち目が見えた。

 

 あれは、サマエルに向けられた聖書の神様の怒りが呪いとなってできた物。それは龍と蛇に対して向けられているらしい。

 

 そして、曹操は吹っ飛ばされた目の代わりにメデューサの目を移植していた。

 

 メデューサの目は俺でも知ってる。頭が蛇の化け物だ。

 

 そう、蛇ならサマエルの毒が効くはずなんだ。

 

「……まさか、メデューサの目が裏目に出るとはね」

 

「ああ。転生悪魔の俺でも体が滅びた。魔王の末裔のヴァーリもろくに動けなかった。……ただの人間のお前に、メデューサの目は過ぎたおもちゃだったんだよ」

 

 曹操のそう答えながら、俺はスイッチ姫のおもちゃを見る。

 

 隙を作る為に、このおもちゃの機能を使って毒を発射したんだけど、いい感じに成功したよ。

 

 まさか玩具が勝利の切っ掛けになるとはなぁ。何が勝利の切っ掛けになるかなんて、分からないもんだ。

 

 だけど、これなら勝てる。

 

「確かに、このままだと負けるね」

 

 曹操もそれが分かってるのか、苦笑を浮かべた。

 

 ああ、喰らった事があるから断言できる。

 

 これは、例えフェニックスの涙やアーシアの神器があっても治せない。喰らった時点で曹操の負けは確定だ。

 

「俺は業魔人を持ってない。槍と神器でやっていこうとしたのが裏目に出たか。それなら最初から、メデューサの目なんて使うべきじゃなかった」

 

 そうか、業魔人とか持ってきてないのか。

 

 ちょっと安心したぜ。なんでも神器のドーピング剤らしいし、使われたら無理やり動くんじゃないかって不安だった。

 

 だけど、ないなら俺の勝ちだ。

 

 それがない状態で戦えるほど、サマエルの呪いはちゃちなもんじゃない。

 

 なのに……。

 

「聖書の神の遺志には反抗され、聖書の神の呪いには侵される。まったく、聖槍の使い手として皮肉なものだよ」

 

 なんで、曹操は余裕の表情を浮かべてるんだ?

 

 曹操は人間だ。俺みたいに悪魔になってないし、神器で強化されてるとは言っても限界がある。

 

 なのに、曹操はこの状況で激痛に悶える事はあっても焦ってはいない。

 

 なんでだ? なんで、なんでそんな余裕がある?

 

「だが兵藤一誠。君は、一つだけ驕り高ぶっているところがあるぞ?」

 

「……ほぅ、一体何がなのか、俺にも教えてくれないか?」

 

 と、そこにヴァーリが現れた。

 

 っていうか、サイラオーグさんにリセスさんに、ヒロイまで現れたよ。

 

 え、何このオールスター!! イグドラフォースが襲撃してきた時と同じ、神滅具チームが勢揃いじゃねえか!!

 

「まあ、兵藤一誠は俺の得物だ。お前如きでは倒せないさ」

 

「勝手に取らないでくれるか? 兵藤一誠との戦いが流れていて、俺も不完全燃焼なのだが」

 

「あら、それなら私としても負けられないわね。英雄を目指す者として、冥界の英雄であるイッセーには対抗意識があるわ」

 

「あ、俺も俺も。姐さんたちの輝き(英雄)目指してっから、ちょっと負けたくねえな」

 

 なんで四人とも俺に夢中なんだ! リセスさん以外帰ってくれていいです!!

 

 俺はハーレム王になりたいんだ。断じて、男とむさくるしいことをしたいわけじゃないんだよ!! 美人の女性や女の子プリーズ! 野郎は帰れ!!

 

 その光景に曹操は苦笑し―

 

「いや、俺が倒すさ。……今この場で、君達もまとめて」

 

 ―そう言い切り、槍を構えた。

 

 なんだ? いったい何をする気だ?

 

「させるか! 出させる前に倒す!!」

 

 ヒロイが容赦も遠慮もなく、聖槍を構えて突きかかる。

 

 だけど、その一撃は曹操のほうの聖槍が放つ輝きに阻まれて曹操に届かなかった。

 

 なんだ!? 曹操の奴、この場で逆転する切り札でもあんのか!?

 

「……神を射貫く真なる聖槍。そこに眠りし死した神の残滓よ」

 

 曹操がそう言いながら、ゆっくりと立ち上がる。

 

 そんな中、俺とヴァーリはドラゴンだから気づいた事がある。

 

「サマエルの毒が……消え去っている!?」

 

 そう、ヴァーリが目を見開いて言った通りだ。

 

 叩き込んだはずのサマエルの毒が、消え去っていく。

 

 その奇跡に、俺は以前曹操が出そうとした覇輝(トゥルース・イデア)を思い出す。

 

 あれは結局不発に終わった。そして詠唱も違う。

 

 ……だったら、あれは何なんだ!?

 

「我が内より湧き上がる、覇道と理想を浴びて、

祝福と滅びの間を抉る唯の槍と化すがいい」

 

 更に詠唱を続けながら、曹操の全身は光り輝く。

 

 聖槍の切っ先のように青白い光が曹操を包み、そして神も蒼く染まっていった。

 

 ……ヤバイ。

 

 俺はそう感じた。

 

 この感覚。これは―

 

「汝よ、遺志すら語れぬ傀儡と成りて、その子らの道筋を照らす極星となり果てよ!」

 

 俺の、真女王に近い………っ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 その瞬間、曹操を中心とした数百メートルの空間が、聖なるオーラで吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんだ!? なにが、起きやがった!?

 

 俺は目を見開いて、槍とホンダブレードで防ぎ切った聖なるオーラの残滓を見る。

 

 これは、聖槍の出力から言っても考えられねえ。少なくとも、俺は瞬間的にでもこれと同次元の出力を出すことなんてできやしねえ。

 

 なんだ、この化物クラスの出力は!?

 

「……覇輝というのはね、聖書の神の遺志に頼ることなんだよ」

 

 そういいながら、曹操がオーラを振り払って姿を見せる。

 

 青白い輝きを見に纏い、そして髪を青く染めた曹操が、そこにはいた。

 

「だから、聖書の神の遺志が俺を拒絶したり相対している相手の方を選ぶと何も起きないんだ」

 

 俺は、その曹操の姿を見て震えが止まらない。

 

 これは、恐怖だ。

 

 俺は、心の底から今の曹操を恐れてやがる。

 

「そこで、俺は考えたんだ。……まず俺がなすべき事は、聖書の神の遺志をねじ伏せる事だとね。言わばあれだよ、ヴァーリがやった事と同じ事を、俺は複合禁手という形で成し遂げたんだ」

 

 そう言いながら苦笑する曹操は、静かに慈愛すら込めて俺達に視線を向ける。

 

 圧倒的な力が、俺達を見据えてきた。

 

「まあ、どちらかといえば兵藤一誠の紅の鎧が近いか。一発勝負が限界の極覇龍より、もっと安全に使えるからね」

 

 そして、曹操は聖槍の切っ先を俺達に向けた。

 

「これが、俺の現段階の到達点、覇光(ヒューマンズ・イデア)さ」

 

 そして、曹操は好戦的な笑みを浮かべた。

 

「鍛錬を積み、研究を行い、そしてそれを生かして高みに至るのは君達だけじゃない。そう思い込むのは驕りというものだよ、兵藤一誠……!」

 

 その言葉と共に、曹操は槍を構えて突撃をしかけて来た。

 




詳細については次回から。

ただひとついえるのは、今この場にいるメンバー全員が死力を尽くす、それほどの強敵だという事実だけです。









それとこの章、エクストラマッチをはさむことにしました。

次の章はウィザード編とダークサイド編ちょっとにして、本格的ににリゼヴィムがでてきて悪意を巻き散らかしまくる四冊分を丸ごとひとつの章にするつもりです。そしてベリアル編からが最終章で、リムヴァンを倒してイレギュラーズの「ヒロイとリセスが英雄になる物語」はいったん終了という感じで予定しています。アザゼル杯編は、また別の物語として書きそうですね。

で、そのまえに小休止というか、ここで片付けとかないと忘れてしまいそうな複線を回収します。

時系列としてはオカルト研究部がミリキャスを訪問している間。ヒロイたち三人は別件で以来を受けてヨーロッパに飛ぶこととなります。

そこで知る、ある戦闘狂のナイーブな内面・・・・・・とくれば、大体どんな展開かわかるかもしれませんね。ちょっと最終章はてんかいが原作とは変わるので。
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