ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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そんなわけで、エクストラマッチ、ヨーロッパ偏。








そういえば、あいつまだ倒してなかったよなぁと、皆さん思い出してくれるでしょう。


第五章 35

 ヨーロッパ。それは、俺の生まれ故郷。

 

 ヨーロッパ。それは世界主要国の多くが集まる地方。

 

 そう、そんなヨーロッパに、俺達は来ていた。

 

「姐さん。俺、もう日本に永住するかと思ってたぜ」

 

「まあ、あそこ魔境と化してるものね。英雄としてはああいうところで住んで活動するべきでしょうね」

 

 うんうんと、姐さんは俺に同意してくれる。嬉しいぜ!!

 

 だってここ数か月、日本は世界レベルのトラブルが頻発しすぎだろ。

 

 北欧神話の悪神が暴れるわ、旧魔王の末裔が亡命するわ、世界中の英雄の末裔が京都のクーデターに一枚かむわ、挙句の果てに色んなあれな魔法関係者による戦闘が勃発しやがった。

 

 おい、平和国家日本どこ行った。国際的に見ても平和度高い国家なのは間違いなかったはずだぞ。

 

 なんでド級のトラブル頻発してんだよ。あれか? 普段下火だから燃え盛ると激しく燃えちまうのか?

 

 俺も流石に、この数か月で神話級の激戦を何度も潜り抜ける羽目になるとは思わなかったぜ。しかも半分以上日本で経験してんじゃねえか。

 

 最早トラブル大国ニッポンって言ってもいいな。どんだけだよ。

 

「いや、俺らホントに日本に骨埋めても英雄になれそうだよなぁ」

 

「同感。いろんな神話から技術も人も入ってきそうだし、そういうトラブルには事欠かないでしょうねぇ」

 

 しみじみと、俺と姐さんは頷いた。

 

 そんでもって、そんな俺達二人を見て、ペトがため息をついた。

 

「お姉様もヒロイも、なに老人みたいなこと言ってるっすか」

 

 そういうと、ペトは周りを見渡して警戒心を強くする。

 

「割と重要な仕事ッスよ。それこそ、最近の激戦にも匹敵する難易度なんスから気を張るッス」

 

「ごめんごめん。こっちに来るのは久しぶりだからなんかはしゃいでたわ」

 

 姐さんが素直に謝るのも当然だ。

 

 今回の仕事は、その日本のトラブルと比べても遜色ねえ、割と大変な仕事だからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 で、具体的にどんな仕事なのか。

 

 そもそも、この仕事を依頼されたのは数日前。それも、アザゼル先生から直接の以来だ。

 

 俺と姐さんがアザゼル先生に呼び出されて、あの人が駒王町に個人的に持っている研究施設に連れて来られる事となった。

 

 ……何の人体実験受ける事になるのかとマジビビリしたね。

 

 姐さんも冷や汗流してた。まあ、俺より付き合い長いから、色々な酷い目に遭ってたんだろ。

 

 なまじ実力もあるからな。状況によっては火消し役とかブレーキ役とかさせられていたに違いない。同情するぜ。

 

 などと思いながら、俺達は臨戦態勢でアザゼルと向き合った。

 

「お前ら。俺がお前らに何か酷い事すると思ってんのか?」

 

 心底心外というか傷ついた表情を先生は浮かべる。

 

 俺達はちょっと態度が露骨すぎたかと反省したけど―

 

「俺がそう言う事するのは、基本イッセーだけだ!」

 

「「なお悪い」」

 

 ―その必要はなかったとすぐに思い直したね。

 

 イッセー可哀想だろ。しかも基本って言いやがったから、場合によっちゃあ俺達で実験する時もあるって事じゃねえか!!

 

 俺らの視線にスルーして、アザゼル先生は研究室のモニターをつける。

 

「安心しろ。今回はうるさいお目付け役もいるからよ」

 

『―誰がお目付け役ですか。本当にそういうところは治ってませんね、アザゼル』

 

 モニターに映ったのは、ため息をついたミカエル様だ。

 

 更に隣のモニターも映ると、そこには苦笑を浮かべたサーゼクス様の姿もあった。

 

『やあ。急に呼び出してすまないね』

 

「どうしたのかしら? 貴方ならリアスかイッセーに会いに行くぐらいはすると思ったんだけれど」

 

 姐さんが首を傾げるが、サーゼクス様は更に苦笑を浮かべる。

 

 心なしか、ミカエル様も含めてその顔色は少し悪い……というか、疲れが見える。

 

『魔獣騒動の後始末が忙しくてね。冥府がヴィクターに正式に参入した事もあり、こちらは忙しくて身動きが取りづらいのだよ』

 

『堕天使側はアザゼルが代行となっているので、現総督のシェムハザは顔を見せていません。すいませんが、話は早めに終わらせて彼の援護に向かいたいので、本題に入りましょう』

 

 なるほど。上の政治的な人達はむしろそっちが忙しいと。

 

 まあ、冥界中を揺るがす大騒ぎだったからな。あの事件、今でもニュースで報道されてるらしいしよ。

 

 人的被害がほぼゼロだったのが奇跡だからな。そう言う意味じゃあ、俺達も頑張ったかいがあったぜ。

 

「ま、今回お前らを呼んだのは仕事の依頼だ。リアス達は本来、駒王町(ここ)の管轄だから動かすのもあれだしな」

 

 先生、つまり荒事ですかい?

 

 しかも俺と姐さんを両方呼ぶとなると、それなりにハードな展開になりそうだ。

 

 まさかヴィクターがまた動くのか? 今はハーデスの制御とかの仕組み作りで忙しいと思ったんだけどな。

 

「で、一体何が?」

 

 俺が話を促すと、ミカエル様が苦い顔をした。

 

『―ロキとの一件が、まだ尾を引いているようなのです』

 

 ロキ、か。

 

 北欧神話で知名度だけならトップを争うメジャー神格。いや、名前を知っているかどうかなら、いろんな神話体系全部を見渡してもトップ争いするだろ。

 

 あいつは、北欧神話と日本神話の和議を妨害する為に襲撃を仕掛けた。

 

 ノイエラグナロクやヴァーリチームと共闘する形で戦ったから戦死した奴はいなかったけど、あれはやばかったぜ。

 

 ロキの奴も神滅具三つを仮想敵にしてたから、かなり戦力を用意してたもんな。

 

 妖怪の和平反対派である捧腹と手を組んだり、数々の魔獣を作り出したり。

 

 ほんと、言いたくないけどヴィクターと共闘できて良かったぜ。あれが無けりゃ何人死んでたか想像できねえ。

 

「で? そのロキが今度は何をしたのよ」

 

『いや、厳密にいえばロキは厳重に封印されており、彼が今何かをしているわけではない』

 

 サーゼクス様がそう首を振るけど、その表情は暗い。

 

 そして、ミカエル様がそれを引き継いだ。

 

『動いているのは捧腹です。どうも、京都のクーデターの時に解放されたようでして、現在は北欧でアースガルズの恩恵を受け始めている企業などに対してテロ行為を働いているそうです』

 

 捧腹……か。

 

 俺も姐さんも少しだけ同情を顔に出す。

 

 捧腹。外法を研究する鬼。そして、アースガルズを恨む者。

 

 弱者に施しをできる善良さを持っていたからこそ、それを失った事で要因の一つであるアースガルズを恨み、日本とアースガルズの和平を認めない男。

 

 あいつ自身も下手な上級悪魔より性能が高い上に、十束剣(とつかのつるぎ)を保有。更にソウメンスクナは天龍にもケンカが売れるような化物だった。

 

 そんな奴が脱走してたのかよ。むしろ今までよく動かなかったな。

 

「日本は自衛隊の戦力大幅向上で動きづらいからな。教会がガタガタでそっち頼りでないと異形の力を取り込みたがらねえヨーロッパ諸国の方が、活動しやすいと踏んだんだろうよ」

 

 アザゼル先生がそう推測しながら、一枚の紙を取り出した。

 

「だが、野郎はロキからある情報を抜き出してやがった事が発覚した」

 

 俺と姐さんはその紙を覗き込む。

 

 そこに書かれていたのは、でかそうな培養カプセルに入った、フェンリルだ。

 

「フェンリルとその子供は、既にヴァーリチームとヴィクターが確保してるでしょ? これが今更何だっていうの?」

 

「そう思うだろ? ところがどっこい続きがありやがった」

 

 アザゼルは姐さんにそう答えると、心底いやそうな顔をする。

 

 そして、ミカエルさんが目を閉じながら眉間に手を当てた。

 

 なに? 何が起きてんだ?

 

『それがどうやら、ロキはフェンリルの子供だけでなく、クローンの製造を試みていたようなのです』

 

 …………マジ?

 

 ヴァーリが覇龍使うほどにまで追い詰められた、あのフェンリル。子供も龍王とまともにやり合えるレベルの、あのフェンリル。ロキの作り出した最強の魔獣の、あのフェンリル。

 

 それの、クローン!?

 

『コードネームはフェンリスヴォルフ。ロキの研究施設の捜索で存在が発覚したが、保管されている場所は未だ分かっていない。目下アースガルズとオリュンポスが共同で捜索中だ』

 

「話によれば完成直前に失敗して死亡。その後はサンプルとしてロキが隠し持っている施設に保管されてるらしいんだが、どうも捧腹の奴はロキからその情報を盗んだっぽくてなぁ」

 

『ソウメンスクナのこともあります。あの報復がフェンリスヴォルフを所持していた場合、非常に危険です。……アースガルズは各勢力から捜索及び迎撃の為の戦力貸与を要請しているのですが、こちらはこちらは未だ数々の被害から立ち直っておらず、あまり戦力を差し向けれないのです』

 

 三者三様に頭を抱える、三代勢力のトップ(元含む)。

 

 なるほど、つまり―

 

『貴方方二人に頼みたいのは、三代勢力(こちら)が派遣部隊を用意できるようになるまでの繋ぎです。相手がフェンリルのクローンともなれば、最上級クラスを複数名必要としますが、現状ではどこも魔獣騒動の後始末に手いっぱいでして……』

 

 ミカエルさんが申し訳なさそうにそう言った。

 

 まあ、天界とか教会とかはヴィクターに初手で大打撃くらってるからなぁ。

 

 動かしたくても動かせねえだろ。魔獣騒動のどさくさに紛れて、内通者の大規模捕縛とかもやったから余力がないだろうし。

 

「とりあえず、一週間だけ頑張ってくれや。それさえ凌げば、ユグドラシルの方のローラー作戦が終わるからよ。そっちに行ってる鳶雄達が引き継いでくれる」

 

「鳶雄も動いているの? まあ、堕天使側でフェンリルと同格の化け物に対抗できるのは限られてるけど……」

 

 姐さんがアザゼルの言葉に感心する。

 

 そのとびなんたら、相当の使い手なんだな。今度会ってみたいと思うぜ。

 

 まあ、とにかくそういうわけなら……。

 

「俺はOK。もとより契約金分の仕事はしますぜ?」

 

「私もいいわ。久しぶりに西洋人を食べたいと思ってたから」

 

 もとより、フェンリルには俺らも因縁あるからな。そう言う事なら断る理由はない。

 

 捧腹の野郎にも、ペトのメンタルボコボコにしやがった恨みがあるからな。狙ったわけじゃないと言っても、ボコれるならボコるに越したことはねえ。

 

 俺達二人の快諾に、三人とも苦笑交じりに頷いた。

 

『そう言ってくれて助かる。君達なら安心して任せられるからね』

 

『淫蕩はほどほどにしていただきたいのですけどね』

 

「いいじゃねえか。その分外敵は排除してんだからよぉ」

 

 などと話し合う三人を横目に、俺と姐さんはもう一度資料を確認する。

 

 ……コンセプトは、フェンリルの完全な複製か。

 

 捧腹の技術は天下一品だ。二年ほど前に倒した姐さんが、対大型生物用のキョジンキラーを投入してなお追い込まれるほどに、ソウメンスクナは強敵だった。

 

 そのソウメンスクナの技術を、フェンリスヴォルフに使用されたらどうなるかなんて分かり切ってる。

 

 マジモンのフェンリル並みに恐ろしい、正真正銘の化け物が暴れまわる事になる。

 

 それは阻止しねえとな。

 

「一週間で動くとは思えないけど、とにかく動くわよ、ヒロイ」

 

「OKだ姐さん。数日ぶりに暴れるとすっか」

 

 さて、それじゃあそろそろ決着をつけるとするか。

 




捧腹の逆襲。フェンリスヴォルフの猛威!








……とでも題名をつければいいんでしょうかねぇ。









捧腹に関する完全な決着をつけてないと思いまして、今この場で決着をつけようと思いいたりました。ちょうどミリキャスくんが来てる間の出来事とか書きたかったですしね!

当初の予定ではミリキャスくんが来訪したタイミングで自衛隊の新兵器発表会的なもんが開催することになり、希望により見に行ったらまたトラブル発生……的なものを考えていたりしました。

が、其のために新しい敵勢力を作るのもあれですし、あんまり自衛隊ツエーするのもあれですし、そういえば捧腹の決着完全にはついてないなぁと思ったので、こういうことにしました。

後ヨーロッパですので、ある人物を絡めることにしております。
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