ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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明日は投稿できないので、常連さんの感想も来たしもう一つ投稿します


第一章 12 第四の超越者。汝は神器の支配者なり

 

Other Side

 

 その光景を見て、最も衝撃を受けたのはミカエルだった。

 

「あ、あり得ない……っ」

 

「ミカエル様、結界が綻びます、落ち着いてください」

 

 グレイフィアに指摘されてすぐに我に返るが、それでも動揺は消しきれない。

 

「あり得ません。煌天雷獄はともかく、黄昏の聖槍に同型が存在できるわけがない」

 

「そうね。一部の神滅具は代えの利かないコアが使用されてる。聖槍もそのうちの一つだったはずよん」

 

「ああ。二天龍の魂を核にする赤龍帝の籠手と白龍皇の光翼など、一部の神滅具はその製法ゆえに同じものは作れない。……あれは本当に本物なのかね?」

 

 セラフォルーとサーゼクスもまた、僅かながらに動揺していた。

 

 神器の中でも、ポテンシャルだけなら神殺しを単独で可能にするレベルで高い神滅具。

 

 これまでは全十三種でかつ同型が存在しないがゆえに各勢力もそこまで重要視していない節があったが、これが現実である以上、状況は大きく動くだろう。

 

 なにせ、聖槍であるはずの黄昏の聖槍すら2本目が前に存在しているのだ。

 

『その通り♪ 神滅具が一種類一つしかないのは、もはや過去の出来事なのさぁ!!』

 

 そんな声が、響いた。

 

 サーゼクス達が一斉に声のした方向へと視線を向けると、結界の一部が裂けて人影が舞い降りる。

 

 しかし、その頃には既に戦線は三大勢力側に傾いている。

 

 地上の魔獣の対空砲火をリアス達が減らした事で、空で戦っている護衛達が体勢を立て直す事に成功したのだ。

 

 今回の会談は、その前代未聞さゆえに過剰なまでの戦力が投入されている。それこそその気になれば他の神話体形の拠点の一つぐらいなら楽に攻め落とせる量と質だ。

 

 それがそれぞれの勢力の分だけ存在している。……ただの魔獣でどうにかできるような規模ではない。

 

 ゆえに、一部の者達が速攻で動いた。

 

 それをなすのは最上級悪魔とその眷属。

 

「魔王様の御前でこの狼藉! 死によって償うがいい!!」

 

 莫大な魔力が集まり、そして放たれる。

 

 その火力は間違いなくこの場の者達でも最高峰の一撃であり、その気になれば神クラスにも深手を負わせる一撃だ。サーゼクス達でも本気の迎撃を必要とするほどのものである。

 

 誰もが、この場に現れた新参者に痛打が入ることを確信した。

 

「―ちょっとうるさいよ」

 

 その瞬間、深手を負ったのはその最上級悪魔の方だった。

 

 乱入者が放ったのは素手の一閃。単純に魔力によって攻撃を強化して放ち、余波を飛び道具にするというシンプルなものだ。

 

 しかし、その一線で最上級悪魔クラスの渾身の一撃はあっさり霧散。

 

 そして、余波はそれだけで最上級悪魔に即座の治療が必要なほどの重傷を負わせたのだ。

 

「主!?」

 

「貴様……っ」

 

 王を傷つけられたことで激昂する眷属達が襲い掛かろうとするが、しかしそれに割って入るように魔力の塊が割って入る。

 

 一発一発のサイズは大したことはない。しかしそこに込められた魔力は上級クラスすら一撃で消し飛ばすほど強力。そしてその数は一瞬で十数発も存在する。

 

 滅殺の魔弾(ルイン・ザ・エクスティンクト)。サーゼクス・ルシファーの放つ妙技である。

 

「下がっていたまえ。君達では勝てる相手ではない」

 

 サーゼクスが、いつの間にか空へと浮かび男と相対する。

 

「しかし魔王様! このままでは結界が―」

 

「気づいていないのかね? 彼が来たその時点で、その数倍は強固な結界が張られている」

 

 転生悪魔の進言は、もう意味のないものと化していた。

 

 既に三大勢力の重鎮達が張った結界は意味をなさない。其れよりはるかに強固で頑丈な結界が薄皮のように張られているからだ。

 

 そして、其れをなしたのもおそらく目の前の男。

 

 まず間違いない。この男こそ、今この場で最強の存在である。

 

「オーフィスではない。ならば君は一体誰だ?」

 

 それがあまりにも危険度を感じる。

 

 これほどの実力者が、今まで無名だということが信じられない。

 

 だが、間違いなくサーゼクスは知らない。そしてこの場にいる者達が誰も知らない。

 

 神滅具が児戯に感じるほどの妙技。それほどの使い手ならば、まず間違いなく名と顔が知られてなければならない。

 

 まるで、突然いきなりこの世界に現れたかのような違和感すら感じさせる。

 

「こちらでははっじめまして、サーゼクス・ルシファー!」

 

 その男は、その声とともに両手を大きく広げる。

 

 そしてその瞬間、滅殺の魔弾がすべて消滅した。

 

「……っ!」

 

 その芸当にサーゼクスはさらに警戒度を上げ、そしてそれゆえに即座に動けない。

 

 どう考えても彼の戦闘能力は桁違いだ。

 

 低く見積もっても神クラス。それも主神クラスの領域だとすら考えられる。下手をすれば龍神をもってしてもてこずるかもしれない。

 

 それほどまでの実力者と戦う方法は一つしかない。少なくともサーゼクスが取れる行動では一つしかない。

 

 そして、そんなものを発動させれば、この場にいる大半のものを消滅させてしまう。

 

 そんな状況下で、男は不敵な笑みを浮かべると、優雅に一礼した。

 

 道化師のようなおどけた態度。それがむしろ警戒心を強くする。

 

「僕の名前はリムヴァン。禍の団副官、リムヴァン・フェニックスっす!」

 

 軽く手を挙げての挨拶。

 

 その軽さが、むしろ恐ろしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前にいる男は、槍を肩に置きながら自然体だった。

 

 そして、俺は動けない。

 

 脇腹を刺され、さらに人間とは思えない威力の蹴りを叩き込まれた。

 

 こりゃあばらが五本は折れてんな。

 

 くそ、アーシアも近くにいないし、これはまずい。

 

「まったく。これがまがい物とはいえ聖槍の使い手とは……と、言いたいところだが驚いたよ」

 

 曹操はなぜか感心してやがる。

 

 苦も無く俺をぶちのめしておきながら、なんだ、この態度は。

 

 俺が睨むと、曹操は片眉を上げて怪訝な表情を浮かべる。

 

「……気づいていないのか? 君は一つだけ、俺よりも槍の性能を引き出している」

 

「敵を前に講釈とは余裕ね!」

 

 そんな曹操相手に真正面から光を放つ姐さんだが、その肩から血しぶきがほとばしる。

 

 いつの間にか、槍そのものが十メートルも伸びて姐さんの肩を切り裂いていた。

 

 いや、むしろ姐さんは反応してとっさに体をずらしていた。そうでなければ頭をやられていたはずだ。

 

 しかし姐さんはそれを気にせず、逆に槍を掴む。

 

 そして、強引に引っ張った。

 

 なんつー馬鹿力だよ姐さん! そこも素敵だ!!

 

 姐さんはそのまま強引に曹操を引き寄せると、蹴りを放つ。

 

 その足裏には氷の槍が形成され、そのまま止めを刺す体勢だった。

 

「流石はジークを一蹴した多重神器保有者。やるね」

 

 それを、曹操は膝蹴りで砕く。

 

 そしてそのまま強引に姐さんの腕を振りほどくと、一回飛び退って後退すると同時に、槍からオーラを放った。

 

 それを氷の壁を作って迎撃しながら、姐さんは俺を庇う。

 

「無事ね!? とにかく意識をしっかり持ってなさい!」

 

「いや、姐さんも肩が……」

 

「それは大丈夫だよ、偽りの使い手くん」

 

 曹操が、俺の言葉を遮る。

 

「彼女は始原の人間(アダム・サピエンス)を移植している。それは人間が持つ機能をすべて向上させる神器でね、自然治癒力もずば抜けているのさ。既に血は止まってるよ」

 

 マジだ。本当に出血は止まっているし、傷口も塞がりかけてる。

 

「あなたも持っているようね。さっきの交通事故じみた威力の蹴りはそれによるものね」

 

「正解だ。俺は弱っちい人間なんでね、それ位の備えはしておかないと」

 

 そう告げる曹操は、再び俺に視線を向ける。

 

「で、彼が大丈夫だという理由だが、それは単純だ。彼は槍の加護を俺より受けている」

 

 や、槍の加護だと?

 

「槍そのものの攻撃力、さらに槍の伸長やオーラの放出といった機能の引き出しぶりに関しては俺の方が圧倒的に上だ。だが、性格上の問題か、槍の中に眠る聖書の神の遺志から加護を受けているという点だけは、彼は俺より優れているということ。だから致命傷は負ってない」

 

 そういうと、曹操は苛立たし気な表情を僅かに浮かべる。

 

「まったく、この英雄の末裔より一点でも聖槍を引き出すとはね。俺もまだ未熟ということか」

 

 その言葉で苛立ちを吐き捨てきったのか、曹操は再び薄ら笑いを浮かべると、姐さんへと視線を向ける。

 

「さて、リセス・イドアル。今回俺が来た理由は大きく分けて二つだ」

 

「何かしら?」

 

 両手にいつの間にか斧を持ち、さらに炎を纏わせながら姐さんは聞き返す。

 

 それに対して、曹操は指を一本たてた。

 

「一つは見せつけだよ。そこの偽りの聖槍使いが、真なる聖槍の担い手だと思われ続けるのは屈辱でね。真の使い手としての能力を見せつけたかった」

 

 さっきから俺のことを偽りだのなんだのと、マジでむかつく。

 

 むかつく……けど、実際手も足も出てないんじゃ意味がない。

 

 くそ! 英雄の末裔とかほざきやがったが、英雄本人ってわけでもねえのにこれだけ強いのかよ。

 

 俺のいら立ちを知ってか知らずか、曹操の野郎は不敵な笑みを浮かべてもう一つの指も立てる。

 

「二つ目は体験したかったのさ。俺達という完成品を生み出す礎となった、二人の成功作の性能を……ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……君が、ヒロイ君とリセス君に神器を移植したというのか?」

 

 サーゼクス様の攻撃を全部無効化しながら、リムヴァンとか言う野郎はとんでもないことを告げた。

 

「YESYESYES! ヒロイ・カッシウスとリセス・イドアルに神器を移植したのは、何を隠そうこの僕だよん!」

 

 ふふんと得意げになりながら、リムヴァンはそう言い切った。

 

「君は既に、神滅具の製造にまで成功しているというのか」

 

「黄昏の聖槍も絶霧も魔獣創造も十個前後持ってるネ。封印系は相性が悪かったから木っ端もんしか保有してないけど、大小合わせて数千個はかき集めたアルよ」

 

 ふ、ふざけた物言いだけどマジでヤベえこと言ってる。

 

 だって、神滅具って聖書の神様が作った、ものすごい神器なんだろ? しかも一つ一個しかないはずの。

 

 それをいくつも持ってるなんて、いったい何者だよ、こいつ!!

 

 ああもう、サーゼクス様も絶句してるし。とんでもないことだけは嫌ってぐらいよくわかる。

 

「何てこと……っ! 同種の神滅具を複数確保しているなんて、異常としか言いようがないわ」

 

「しかもそれをテロリストが保有しているなど。最早これは、三大勢力だけの問題ではありません……!」

 

 部長も会長も驚いていることが隠せていない。

 

 他の皆も、ヤバイのがよくわかっているのか動けない。

 

 これ、マジでやばいんじゃねえか、おい!

 

 そんな視線を浴びながら、リムヴァンはなぜか不機嫌な表情を浮かべた。

 

「む~ん。テロリストとは失礼だなぁ。僕達禍の団は、もっとすごい組織なんだからね?」

 

 子供を叱るようにそんなこと言うけど、テロリスト以外の何物でもないだろうが。

 

「危険因子の集まりをテロリストと呼称しない程、我々は耄碌してはいない」

 

「……ああ、確かに今の段階だとそうなるかな? ま、すぐにその認識は変わるだろうけどね」

 

 サーゼクス様の言葉に、リムヴァンは不敵に笑うだけ。

 

 くそ、なんだこいつ。

 

 得体が知れない。わけがわからない。

 

 とにかく、こいつはやばい!!

 

「……一つ聞こう。この結界や私の力を無効化したのは、神器によるものだね?」

 

 サーゼクス様の確認するようなお言葉に、リムヴァンは小さく頷いた。

 

「もち。僕が研究して開発した、複合禁手によるものさ!」

 

 ふ、複合禁手?

 

 聞いたことないぞ、そんなもの。

 

 皆疑問に思ったのを察したのか、リムヴァンは小さく笑う。

 

「簡単だよ。複数の神器を組み合わせて一つの禁手を生み出すのさ。神器の組み合わせ方や数次第じゃ、神滅具の禁手を超える出力だって発生できる」

 

 な、なんだそりゃ。マジかよ。

 

 そ、其れなら。神器をいくつも集めている堕天使側は同じようなことをすることができるってことか。

 

「んなことできるわけねえだろうが馬鹿野郎!!」

 

 と、そこでカテレアと戦ってるアザゼルが声を荒げた。

 

「神器は移植するだけでも本来の能力の低下や寿命の削減が起こるリスクがでかいしろもんだ! しかも同時使用なんてそれだけで失うもんがでかすぎる!! それを複合させて禁手に至らさせるなんて―」

 

「できるんだよ、僕はね」

 

 アザゼルの言葉をさえぎって、リムヴァンははっきり言った。

 

「……生まれつき究極の羯磨(テロス・カルマ)を持っていた影響か、僕はその手の可能性をある程度操作できる。だから神滅具を十個以上移植したうえで同時運用できるし、その気になれば引っこ抜けるよ? それも、相手を殺さずに」

 

「………っ」

 

 さらりと言われて、アザゼルは目を見開いて固まった。

 

「神滅具の適合者の発見が、さらに他人にも理論上複合禁手を発動させるところまで行かせてくれたよ。あの手この手で実験したけど、成功体のヒロイくんとリセスちゃんには感謝しないと♪」

 

 それを面白そうに見て、リムヴァンはさらに告げた。

 

 そ、そんなにすごいことなのかよ、其れって!

 

「あり得ない。そんなことが本当にできるのなら、それはもう超越者の領域だ……っ」

 

 サーゼクス様も顔色が真っ白になってるし!

 

 そんな二人の様子を見て、リムヴァンは得意げに嗤った。

 

「四番目の超越者……な~んて、呼ばれたこともあったっけ」

 

 な、なんかよくわからないけど、こいつ化物だ。

 

「恐ろしいでしょう、アザゼル。ある意味であなたすら凌駕する神器の含蓄は、我々にとっても大いなる力となりました」

 

 カテレアも、あえてアザゼルを攻撃しないで挑発してくる。

 

 その言葉に、アザゼルは青筋を浮かべてカテレアをにらんだ。

 

「……これだけの化け物を保有してたとはな。この調子じゃ、俺達の想像を超えた強者達がゴロゴロいそうじゃねえか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ。俺もいるしな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その瞬間、アザゼルが全く想定してない奴からの攻撃を受けて地面に墜落した。

 

 Side Out

 




ついに登場、本作の最重要キーパーソン、リムヴァン。

原作と違う要素は大体この男が根幹にかかわってます。つまり本作における大体こいつのせい担当。

本当に神滅具を大量に確保している男であり、アザゼルですら困難かつ失うものが多いと断言する神器の多重移植を平然と行える化け物じみた体質の持ち主です。相性というものはありますが、それでもその能力は驚異的。拡張性に特化した超越者といっても過言ではありません。


そんな奴が今まで無名だったのには理由がありますが、それはまだこの段階ではわからないはずです。

ですが、いくつもの神滅具、こと上位陣滅具を平均して十個以上持っているのは明確な事実。其の影響力によりこの男は禍の団の事実上のトップに君臨しております。B―2の派遣もこいつがやったこと。

ちなみに精神性としてはリゼヴィムに近しいタイプです。……嫌な予感を感じた貴方。それは正解です。








ちなみに、本作における敵キャラ強化はリムヴァンが提供した神器によるものだとお考えください。オリジナルにしろ原作にあったものにしろ、いくつもだしてきますのでお楽しみに。
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