ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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まあ、大体推測されているでしょうが、リムヴァンの秘密が明かされます。


第六章 83 リムヴァンの真実

 

 まあ、ちょっと流れが脱線したがそれはともかく。

 

 とにかく冥界の上層部は本当に真っ黒だってことがよくわかった。

 

 いや、少しぐらい黒いのがあるのは良いんだぜ? 教会だってやれ聖剣計画やらやってたんだし、人のことは偉そうに言えねえだろ。

 

 というより、サーゼクス様達リベラル側と上役たち老害側でキレイに分かれてねえか? もうちょっと中間層の人に出会いたいんだけどよ。

 

「……話を戻そう。まあ、そういうわけで現状のレーティングゲームは非常に真っ黒なわけだ」

 

 と、アジュカ様が話を戻す。

 

「実力さえあればだれでもレーティングゲームで大成できる可能性は、狭き門だが確実にある。しかし、同時に今のトップランカーを砕くには君たちのような規格外の特例でなければ困難であるのも事実だ」

 

 なるほど。

 

 王の駒による強化と、上役たちによる援護射撃はそれだけ強力ってか。

 

 ま、運営陣がどっぷり腐敗してるんだったらそりゃ無理だ。あの手この手で妨害行為をしてくるにきまってるからな。案外駒のリミッター解除もやってる連中居るんじゃねえか?

 

 いやまあ、接待試合とか堂々とやってる連中が、さらにこっそり質の悪いことしてんのはそりゃ納得だけどなぁ。

 

「では、レーティングゲームのランキングが変動しないのも……」

 

「むろん、運営と上役がバランス調整を行っているからだ。なにせトッププレイヤー同士の試合が生み出す利権は莫大だ。それを独占している古い悪魔たちからしてみれば、しない方がおかしいレベルで動いている」

 

 震えるソーナ会長の言葉に、アジュカ様ははっきりといった。

 

「転生悪魔の存在そのものを疎んでいる節のある純血主義が裏でかかわっている以上、『王』の駒を使用したトッププレイヤーをどうにかするのは壁としてあまりに高すぎる」

 

「まあ、昔から金の生る木に真っ先に群がるのは、欲の皮が突っ張った俗物だものね」

 

 そういう経験は豊富そうな姐さんは納得するが、これはお嬢やソーナ先輩には酷な話だろ。

 

 ああもう、ソーナ先輩に至っちゃ膝をついちまってるしな。

 

 なんつーか、お嬢もソーナ先輩もきれいすぎるところがあるからな。こういう腹芸というか権謀術数は刺激が強いってか。

 

 ちっとばかし気の毒に思っているときに、アザゼル先生はため息をついた。

 

「サーゼクスでもこれをどうにかするのは困難ってことか」

 

「下手に動かせばかつての内乱を超える規模で争いが起きますからね。きっかけがあれば一気に崩せますが、老獪極まりない古い悪魔たちはなかなか隙を見せてくれない。超越者と呼ばれる俺やサーゼクスでも、政治面ではさすがに苦戦必須です」

 

 だろうな。

 

 サーゼクス様もアジュカ様も、たぶん千年も生きてねえ。人間なら長寿なんてもんじゃねえが、万年生きれる悪魔からしてみりゃ若手だ。下手すりゃガキとしかみなされねえ。

 

 そんなルーキーに好きにされるほど、経験豊富な老人共も耄碌はしてねえってことか。

 

「だがさっきも言ったように、それに染まっていない純血悪魔もいる。……問題は、その筆頭こそがレーティングゲームのトップランカーだということだ」

 

 なるほど、な。

 

 それが今回のひと騒ぎの原因ってことかよ。

 

「ディハウザー・ベリアルか。奴は生粋の?」

 

「ええ」

 

 アザゼル先生の問いに、アジュカ様はうなづいた。

 

「彼は純粋なまでに突出した才能でトップに上り詰めた者。『王』の駒も上役の援護もなく上り詰めた本物です。そして、それゆえに先日の行動を起こしてしまったのです。―リゼヴィム・リヴァン・ルシファーとリムヴァン・フェニックス。どっちが接触したのかは知りませんが、アグレアスの強奪未遂は彼らの取引によるものです」

 

『『『『『『『『『『!?』』』』』』』』』』

 

 マジか! レーティングゲームの騒ぎどころか、そっちまでかかわってたのかよ。

 

 いや、内通者がいなけりゃおかしいタイミングでいろんなピースがそろいすぎていた作戦だったのはわかってるぜ?

 

 俺がふと気づいていなけりゃ、アグレアスだって奪われてたはずだ。ホントにあれはたまたまだった。

 

 そして皇帝は確かにアグレアスにまで足を運んでいた。俺たちも会った。

 

 その時からすでに接触してたのかよ。

 

「待ってくださいよ! 真実を知りたいなら他に方法があるはずです! なんでわざわざリゼヴィム達なんかに!?」

 

「そのあたりは彼にも事情がある。突き詰めれば古い悪魔たちのせいだ。年寄りたちの強欲は冥界の屋台骨を少しずつ確実にゆがめていった。そしてそれに楔を打ち込んだのが、王者だったということだ」

 

 イッセーの問いに、アジュカ様はそういった。

 

 そして瞑目する。

 

「……俺が駒王町の近くに施設を持っていることは知っているだろう?」

 

 なんかいきなり話が変わってきたんだけどよ。

 

 そりゃ知ってるぜ? イッセーが体消滅させた時に俺たちが行ったからな。

 

 あの時はリムヴァンが姐さんの急所をぶち抜く三人衆を連れてきてたから大変だったぜ。奇跡が連続して起きなかったら死人が出てたな。

 

「そして、君たちも知っている八重垣正臣。彼と恋仲になったクレーリア・ベリアルは、まさに格好の口実を老人たちに与えてしまった」

 

 ん? 八重垣?

 

 たしかあいつの恋人がそんな名前……待て。

 

「そういや皇帝が動く可能性があるレベルの人物って聞いてましたけど……」

 

「……彼女が死んだのは八重垣さんとの恋仲が理由じゃなかったんですか?」

 

 イッセーとイリナが首をかしげる中、アジュカ様は瞑目する。

 

「……駒王町の前任だった彼女は、俺が近くにいることを知って王の駒の真実をしらべようとしていた。そして、上役たちはそれまでにも何人も王の駒の秘密に近づいた者たちを暗殺している。……そんな悪魔が格好の粛正理由を持ってしまったとしたら?」

 

 ………っ

 

 なるほど、そういうことか。

 

 恋仲騒ぎはあくまで言い訳。本命は、王の駒かよ!!

 

「……その話はあとでいい。ライザー・フェニックスとのレーティングゲームで動いた理由は?」

 

 アザゼル先生が話を先に進める。

 

 まあ、今はそっちの方が重要だしな。

 

「俺を呼ぶためでしょう。彼は『無価値』という特性自体を無効化してしまう力を有するのですが、それによってライザーとレイヴェルの不死のみならず、レーティングゲームのリタイアシステムを無効化してしまった。故に緊急用プログラムが起動し、俺も気になってその場に転移したんです」

 

 なるほどな。それがトラブルの理由か。

 

 でも、それってつまりレイヴェル達の身柄はアジュカ様が確保したってことだろ? なんで今まで?

 

 そんなことを俺が気にしてる間に、アジュカ様はさらに続ける。

 

「彼は『王』の駒と、ヴィクターに協力していることを打ち明けてくれました。だが最悪なことに、レーティングゲームには運営側だけが確認できる監視カメラがあり、上役なら簡単に見れる。その会話の内容は筒抜けだ。そうなると……」

 

 それに対して、アザゼル先生は得心したのかため息をついた。

 

「その場にいたライザー・フェニックスとレイヴェルに聞かれたと思ってもおかしくねえな。しかも、秘匿事項のオンパレードだ」

 

「当然、そういうどす黒い連中がすることは決まってるわね。ここまで時間をかけたのは、2人が殺される可能性があったからね?」

 

 アザゼル先生の言葉を引き継いだ姐さんの確認に、アジュカ様はうなづいた。

 

 うっへぇ。そこまでするかよ老害共は。

 

 アジュカ様は冷や汗すら流す俺たちを見まわしながら続ける。

 

「奴らは体裁を保つためなら何でもやる。クレーリア・ベリアルの二の舞を防ぐために、ディハウザー・ベリアルは真相確認のついでに俺をうまく利用したのさ」

 

「それでは、レイヴェルたちが行方不明とされていたのは、リセスの言う通りなのですか?」

 

 お嬢の言葉に、アジュカ様はうなづいた。

 

「彼らの無事を確保できるまでは解放できなかったからな。未来ある若者が年寄りの思惑で殺されるのは、さすがに納得できない」

 

 なるほど。その点についてだけは皇帝にも感謝しねえとな。

 

 いや、やるにしても王の駒の使用者とのレーティングゲームとかいろいろあっただろうに。やっぱ一遍、勢いよくどついても罰は当たらねえ気がしてきた。

 

「でも、どうしてライザーとの試合なのかしら? ライザーが王の駒に関与してないのは予想できそうですが……」

 

 お嬢が気になるのも当然だな。

 

 わざわざ手の込んだ真似をして迄安全を確保する必要がある相手を、なんでそんな真似をして迄危険にさらす?

 

 誰を巻き込んでもいいぐらいの覚悟なら、わざわざこんなことする必要はねえし、一試合目でいいだろうに。

 

 俺たちが首をかしげてると、アジュカ様は小さく笑った。

 

「それについてはいずれ分かる。彼は意外と目ざとい」

 

 ライザー・フェニックスじゃないといけない理由? いったいなんだろうな。

 

 ま、それはともかく。

 

「問題は、皇帝がこの後どうするかですわな」

 

 俺はそこが気になる。

 

 ヴィクターに情報を流し、レーティングゲームを利用していろいろやらかしたチャンピオン。

 

 そして真実を確認して、あの人何をする気なんだ?

 

「簡単だ。―ここまでの事実を冥界は愚か、あらゆる勢力に至るまで打ち明けることだろう」

 

『『『『『『『『『『っ』』』』』』』』』』

 

 全員がまたしても息をのんだ。

 

 おいおい。そんなことすりゃ大騒ぎになるのは確実だろ。

 

 冥界政府が非難される程度で済むならまだいい。下手すりゃホントに内乱が起きて冥界滅ぶぞ?

 

「……今まで以上の犠牲が出るかもしれませんね」

 

「だろうな。ディハウザーはかなり強引に事を進めている。アグレアスの強奪未遂の件といい、その影響はあまりにひどい」

 

 ソーナ先輩の懸念を、アジュカ様も認める。

 

 だろうな。まず間違いなく大騒ぎになるぞ、コレ。

 

 最悪、王の駒の使用者とその後援者たちが、カルディナーレ聖教国のように独自の組織としてテロル可能性だってある。

 

 そうなったら、トライヘキサ対策を取ってる余裕がなくなるんじゃねえか、オイ。

 

「しっかし、監視カメラの映像を見られたってことは、老害悪魔はお前らの会話を全部聞いたんじゃねえか? 絶対うごくだろ」

 

「一応改ざんはしましたけどね。まあ、そろそろ勘付いているころでしょう」

 

 アザゼル先生に言葉に、アジュカ様はそう頷いた。

 

 ですよねー。それで気づかなかったら数百年も不正なんてできねえよな、うん。

 

 ああ、これもう最後の手段として本当に悪魔版カルディナーレ聖教国が誕生するかもしれねえ。

 

 っていうか、王の駒を大量生産されたら神クラスでも太刀打ちできねえんじゃねえのか? まずくね?

 

「まあ、王者がことを起こしたときのための対抗策も用意はしている。悪魔の王として、サーゼクスにできないことをするのが俺の役目だからね。表があいつなら俺は裏だ」

 

 などとアジュカ様は安心させるように言ってくれるが、絶対俺たちの仕事が増えるな、コレ。

 

「つっても、ことが起きたとしても犠牲は少なくするべきじゃねえか?」

 

「それは当然ですよ。罪のない民や若手に犠牲を出すわけにはいきません」

 

 と、アザゼル先生とアジュカさんが意味深に見つめ合う。

 

 流石は組織のトップ同士。思うところはあるな。

 

 いろいろ不可思議なことしてたり、ヴィクターからも繋がれると考えられるような人だが、この人もこの人で魔王としての在り方ってもんがある。そして仕えてくれる人々のことを考えている。

 

 あの三つ首蜥蜴みたいな自分勝手な野郎とは違う。ま、一応安心できそうだな、こりゃ。

 

「レイヴェルの件はありがとよ。これでうちの教え子たちも安心できる」

 

 先生はそう言いながら、いまだ眠っているレイヴェルの頭をなでる。

 

 うん。レイヴェルも先生の教え子だからな。面倒見がいいタイプだし、この人も気にしてたんだろうよ。

 

 ま、ライザーとやらも引き渡しが終わったってことはその辺は何とかなったんだろ。レイヴェルに関しても問題ねえだろ。

 

 アジュカ様は笑みを浮かべていた。

 

「ま、それ位はしますよ。有望な若手がせっかく出てきたのに、古い悪魔たちの都合で死なせるわけにはいかない。そもそも今のレーティングゲームの現状は、俺の見通しが悪すぎたのが原因ですしね」

 

「人間界の国際競技も似たようなもんだろうがな。ゲームの発案者ってもんは、そこから一歩離れただけで厄介者だ。千年も生きてねえ若者にそこまで対処しろっていうほど、俺も無責任じゃねえよ」

 

 半分茶化す感じのアザゼル先生の言葉に、アジュカ様は肩をすくめる。

 

「そうもいきませんよ。こうなった以上、できるだけのことはしなければ悪魔の危機以外の何物でもないですから。それに、対策そのものは貴方の協力があってこそだ」

 

「ま、必要だしな」

 

 ん? なんだなんだ?

 

 なんかあるのか? それもまたアザゼル先生の発案で。

 

 まあ、真面目な天界だから大丈夫だろうが。それでも時々突拍子もないことで俺たちに被害を生んでくるから不安になるな。

 

「まあ、こういう面倒なことは俺たちに任せてくれ。これから何が起きようと、若い君たちは暴れるべきところで暴れて、守るべきものを守ってくれればそれでいい。ややこしいことは大人の仕事だ」

 

「あら、私は大人なんだけど?」

 

 アジュカ様の言葉に姐さんが茶化すけど、それを見てアザゼル先生は鼻で笑った。

 

「二十代半ばなんて俺らからしてみりゃ赤ん坊だっつの」

 

「それもそうね」

 

 姐さんもクスリと笑いながら返す。

 

 その流れで、ちょっとだけ空気が弛緩した。

 

 そうだな。俺らは前衛の戦闘担当。そういう政治的なことにはかかわれる立場でもねえし、俺らがこれで動いたら、その時は冥界の大内乱が起きるだけだ。最悪の展開だし頑張って阻止してもらわねえと。

 

「さて、最後に聞きたいことがある。現存する王の駒は後いくつだ?」

 

 と、アザゼル先生がアジュカ様に尋ねる。

 

「生産自体は初期ロットでストップさせてます。そもそも製造自体俺にしかできませんし、製造方法も教えてないので増えることはないでしょう。把握しているのはここにあるのも含めて九つ。王者から受け取った分も合わせて俺の手持ちが三つ。魔王の祝福(キングス・オーダー)はシシーリア用に再調整しているので、これは安全視していいです」

 

 なるほど。ってことは上役連中が持っているのは残り五個と。意外と少ねえな。

 

 だけど、アザゼル先生は苦い顔をする。

 

「多いな。いざという時状況をひっくり返すことも不可能じゃねえ。残り五つの駒が全部魔王クラスの連中を生み出したら……」

 

 そんなギャンブル成功してほしくねえ。

 

 アジュカ様も同じ気持ちなのか、静かに決意を込めていた。

 

「数千年かかろうと、製造者としての責任として回収しますよ」

 

 なるほど。こりゃ渡されなかったら奪い取ってた感じだな。

 

 まあ、下手すると世界の流れがひっくり返りかねえから当然か。

 

「そう言えば、リゼヴィムの奴も知ってるんじゃありませんか?」

 

 あ、イッセーの言う通りだ。

 

 リゼヴィムが王の駒でパワーアップなんてしたら目も当てられねえぞ。

 

「間違いなく知っているだろう。だが、『王』の駒は特異な能力を持っていたり元から強すぎるものが使用するとオーバーフローを起こす。命の危険も生じるし、後遺症も残るだろう。それならリリスをつかって無理やりオーフィスの蛇を作り出す方がまだ安全だろう」

 

 あ、なるほど。

 

 強力すぎるからリスクもでかいと。それもかなりでかいな。

 

 ならリゼヴィムもリムヴァンも使うことはねえな。……あいつら超強力だしな。

 

「とはいえ、リムヴァンは使っているのだけどね」

 

 ん? いまなんかすごいこと言わなかった? アジュカ様?

 

「どういうことかうかがってもよろしいでしょうか、アジュカ様?」

 

 木場が何言ってんだオイって感じの視線を向ける。

 

 それは、信じたくないって感じだ。

 

 当然だ。もし安全に使用されてたりなんてしたら詰むぞ。

 

 今でも主神が複数人いて圧倒するような化物だ。それがさらに大幅にパワーアップなんてしたら、半分になったオーフィスぐらいなら一蹴できるんじゃね?

 

 寒気すら感じることだけど、アジュカ様は首を振った。

 

「それは違う。……この世界のリムヴァン・フェニックスがすでに死んでいることは知っているな」

 

「はい。夏休みのパーティでアジュカ様が仰っていたことを聞きました」

 

 と、朱乃さんが答える。

 

 ああ、そういやそんなこと言ってたな。密度濃い数か月だったんで忘れてたぜ。

 

 ……ん? まてよ?

 

 そういや、アイツはアジュカ様に恩があるようなこと言ってたな。そして、アジュカ様は自分のせいでこの世界のリムヴァンが死んだと言ってもいいとか言っていた。

 

 それってまさか!

 

「リムヴァン・フェニックスは神滅具をもって生まれたが、虚弱体質で神器に体が耐えられなかった。……神滅具を惜しんだこちら側の判断で、王の駒を使うという博打を審議していたんだ。……この世界では結局は結論が出る前に死んでしまったけどね」

 

 そういうことか。

 

 つまり、使用を結論して助かっちまったのが、あのリムヴァン・フェニックス。

 

「『王』の駒の使用は本当に禁止するべきだ。後天的に超越者すら生み出すあれは、少なくとも今の悪魔には過ぎた力だろう。シシーリアにテストさせたのは、やはり気の迷いだった」

 

 ……そういう、ことだったのか。だから恩人であるアジュカ様に対してだけは、リムヴァンも積極的に仕掛けたりしなかったのか。

 

 とんでもないところでリムヴァンの秘密が明かされちまった。おいおい、すげえな王の駒。

 

 俺たちが戦慄しているその時だった。

 

「……アジュカ様!! いえ、イッセーさん!!」

 

 少し離れたところでお茶の準備をしていたシシーリアが、耳元に魔方陣を展開しながら大声を上げる。

 

「どうした、シシーリア?」

 

 アジュカ様が尋ねる中、シシーリアは顔を真っ青にしてイッセーに視線を向ける。

 

 そして、震える唇を動かして、イッセーにこう言った。

 

「……イッセーさん、落ち着いて聞いてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イッセーさんのご両親が、クリフォトに誘拐されました。その足でオーフィスが襲撃されたとの報告が」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おいおい、マジかよ

 




リムヴァン関係に関しては、あと一つの動機を除いてこれで本格的に知れ渡りました。

王の駒に適合しまくったことで誕生した、後天的超越者。アジュカに対してある程度の礼儀と理解があるのも、リムヴァンにとって命の恩人である空に他なりません。

そして、一気に事態は急展開。こっから第六章ラストバトルが勃発します。

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