結論から言うと、『ダメだこりゃ』
ばいきんまんは、リアルにそう口に出していった。
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はやい物で、アンパンマンと士郎の“聖杯せんそう“が始まって、はや1週間。
今衛宮家の居間では、ジャムおじさん、蟲爺ちゃん、遠坂凛、アハト爺ちゃん、バゼット。
そして専門家枠としてキャスター、ばいきんまんが集まり、会議を行っていた。
ばいきんまんの提案により招集されたこの会議。議題はズバリ……。
『この聖杯、ダメなんじゃないの?』
これだった。
ばいきんまんは独自の調査により、この聖杯戦争は「な~んかきな臭いな」と以前から感じてはいた。
とにかく部下やばいきんまんお手製の機材を駆使してがんばって調べてみると、まぁ~案の定、出るわ出るわ。
この聖杯戦争ってもうほとんど成立しとらんのではないかという、確信に至る。
前回、前々回などの過去の聖杯戦争の事も調べ、生存者その他にも話を聞き、調査を行った結果がもうこれだ。
この聖杯ってもう、願望機なんかじゃない。
このまま聖杯戦争を続けたら、どうなるものか。
その調査結果が出てから、ばいきんまんは即座に聖杯戦争の代表者メンバーに招集をかけた。
ちなみに今、アンパンマンや士郎達イリヤなどちびっ子の面々は「どっかで遊んでこい」とばかりに、外へ追い出さてれいる。
……余談になるが、本来聖杯戦争の監督役である言峰綺礼も当然この会議に参加するハズだったのだが、諸事情により、彼は欠席している。
理由は、『バゼットにぶん殴られたからだ。』
有能極まるばいきんまんの調査によりバゼットは発見、救出され、今はめでたくまたランサーのマスターをやっているのだ。
言峰が殴られた時、ギルお兄さんはクワガタを獲っていた。
更に余談となるが、バゼットの義手は、ばいきんまんが制作した。
ばいきんまん技術の粋を集めた優秀な義手のおかげで、バゼットは今、ロケットパンチが出せる。
意外と渋いばいきんまんの趣味により、彼女は今、コブラをリスペクトした小さめのサイコガンまで装備しているのだ!!
彼女は今、まともにやったら間違いなく、最強だった――――
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「……結論は出ましたな。」
本会議の議長を務めるジャムおじさんが、会議を締める。
「この聖杯戦争は、もはや成立しておりません。よって今後聖杯戦争は一時的に休止し、戦闘などの対立、殺害行為を禁止。以降は聖杯の更なる調査と機能回復の為、魔術師として各自尽力、協力し合う事とします。」
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この一週間は色々あったなぁと、アンパンマンは思う。
昨日は士郎くんやイリヤちゃんと一緒に、パンを作った。
その前の日は、あいんつべるん城にみんなで遊びに行き、初めてアハト爺さんと会った。
新しい士郎くんの家族バゼットさんはすっかり元気になって、今はランサーさんとなかよくケンカばかりしている。
バーサーカーさんにジャムおじさんのパンを食べてもらったら、しゃべったりは出来ないんだけど何故か物凄くやさしいおじさんになったのはびっくりした。
でもきっとこれが、バーサーカーさんの本来の人柄だったんだと思う。よくイリヤちゃんと士郎くんを肩に乗せて、散歩に出かけているよ。
ライダーさんはアンパンマン号をすごく大切にしてくれているし、今度桜ちゃん慎二くんを乗せてあげるんだと言っていた。
たまにぼくはライダーさんに「ちょっと真顔になってみてくれませんか?」っておねがいをされるんだけど、ぼくは演技が下手っぴだし、あんまし上手くはいかないみたいだ。
ちなみに桜ちゃん慎二くんは、ばいきんまんとすごく仲がいい。
ばいきんまんは元々女の子にすごく弱い所があったんだけど、そんな事関係なく桜ちゃんはばいきんまんにとって、まるで妹のように特別な子になったんじゃないかな。
イリヤちゃんが一番仲が良いのは、やっぱり士郎くんだ。
今、ばいきんまんの作った機械のおかげで、イリヤちゃんはとても身体が元気になったみたい。
そしてイリヤちゃんは、ジャムおじさんの事がすごく好きみたい。
ジャムおじさんといる時のイリヤちゃんを見ていると、まるで本当の親子のよう。
ぼくはそれを見て、すごく嬉しくなるんだ。
小次郎さんは夜になると、あそこでおむすびまんと剣術の稽古をしてる。なんかチーズも小次郎さんのファンになったんだって。
遠坂さんは、何故がぼくの事が少し怖いらしい…。でも士郎くんと仲良しなんだし、ぼくも遠坂さんと仲良くしたいな。
これからたくさん話をしたりしていけば、きっとぼくともいつか仲良くしてくれるんじゃないかと思ってる。
アーチャーさんも、ぼくの事はまだ苦手みたいで…、話しかけようとぼくが近寄って行ったらさりげなくどこかへ行ってしまう事がある…。
でもアーチャーさんも遠坂さんと一緒に、今士郎くんの魔術や戦い方の先生をしてくれているよ。
戦い方の中には、マウントの技術とかも入ってるのかな?
士郎くん、強くなれるといいね。正義の味方になるんだって、いつもがんばってるもん。
ぼくは士郎くんの事、すごく応援してるんだ。
ちなみにセイバーさんは、いつも士郎くんにべったりだよ。可愛いよね。
そしてぼくは、キャスターさんとすごく仲良くなった。
キャスターさんの名前は、メディアさんって言うんだって。
キャスターさんはたまに自分の事を「悪い魔女なのよ♪」って言って、僕をくすぐったり、冗談を言ったり、ぼくを抱え上げて、抱きしめたりする。
ぼくは、やさしいキャスターさんの事が大好きだ。
また一緒に、星を見に行きたいな。
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『 雑種共、ようやく異変に気が付いたか。
聖杯戦争は一時休止だそうだぞ、¨童¨(わらし)』
アンパンマンが公園で、士郎やイリヤ達が楽しそうに笑顔で遊んでいるのを、見守っていた時。
アンパンマンの背後から、黒い服をきた金髪の青年が、彼に声をかけた。
「君はだれ?初めまして、ぼく、アンパンマンです。」
「………。っふっふっふ。我の顔を知らぬか。まぁ良い。とくに許す。」
ギルガメッシュはアンパンマンを見てクスクスと嬉しそうに笑い、名乗りを返さないまま、アンパンマンへと言葉を続ける。
「お前の事を、我はずっと見ていたぞ¨童¨。
雑種共が相手とはいえ、まぁ随分と奮闘していたではないか。
褒めてつかわす。なかなかに愉快な一週間であったゆえな。」
「おにいさんは、ぼくの事を知ってるの?」
アンパンマンはきょとんとした顔で、未だ楽しそうに笑い続けるギルガメッシュを見た。
「ああ、我はお前の事を知っている。お前がこの聖杯戦争をどのように戦い、
そしていったい、何を成してきたのかをな。まぁ聖杯戦争も、
あの俗物共ではここいらで潮時になるらしいが……。ところでな、¨童¨よ。」
ギルガメッシュの表情が、真剣な物に代わる。
そしてアンパンマンとまっすぐに向かい合い、彼の目を見据えて、問いを投げる。
「お前、聖杯が欲しいのか。もしそうならば言うがいい。
なぁに、今まで散々笑わせてくれた褒美だ、我がお前にくれてやる。」
ギルガメッシュは、アンパンマンに語りかける。
「お前、この聖杯戦争が終われば、元の世界に戻るつもりか?」
「我は、¨純粋¨な物を好む。幼子の心のような¨無垢¨さも。」
「悪にも俗にも染まらぬお前のその¨白さ¨を、我は好ましく思う。」
「我と来い、¨童¨。 …いや、アンパンマンよ」
「お前ならば、我の民にしてやってもよい。」