身体はパンで出来ている。   作:hasegawa

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瞬殺。

 

 

 アンパンマンは、空戦においてはアンパンチ。

 陸戦においてはマウントパンチを旨とする。

 

 

 ¨アンキック¨という技もあるにはあるのだが、個人的に何故か¨成立していない気がする¨という思いがあり、実はあんまり使いたくないと思っている。

 前に一度『アーンッ、パイルドライバーーッ!!』と叫んでばいきんまんを頭から地面におもいっきり叩きつけてみた事があるのだが、威力はともかく、なんか言いにくかったのでやめた。

 絶賛新技募集中の、アンパンマンであった。

 

 とにかく、彼は武闘派だ。己の身体ひとつで、全部なんとかしてきた。

 

 武器を使いたいなら、使うといい。

 ロボットに乗るなら、早くしろ。

 それを使って、初めて君とぼくは¨対等¨だ。

 

 彼は自らの格闘スタイルを¨あんぱんシステマ¨と名付け、そう呼称している。

 そんな殴ってナンボみたいな所がある彼が今、拳を力の限りに振るっているそのきっかけは、あるばいきんまんの言葉だった。

 

 

「いいかアンパンマンよ~く聴け? これは本当に大事な話だぞ?

 これはな……俺様んトコのモンが調べてきた“言峰教会“に関しての情報なのだ……」

 

 

…………………

………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「やろぉおぉああッ!! ぶっころしてやぁああぁぁーーーるッッ!!!!」」」

 

 

 

 言峰教会の聖堂の大きな扉、それが大砲のような凄まじい勢いで〈ドゴオオオオン!!!!〉と吹き飛ぶ。

 そしてアンパン、しょくぱん、カレーパン、ジャムバタチーズその他の面々が、両手を振り上げながら教会になだれ込んだ。

 

 奥の部屋でお昼時にも関わらす「ふふふ…」と優雅にワインを飲んでくつろいでいた言峰綺礼は、びっくりしすぎて座ったまま〈ビクゥ! ピョン!〉と飛び上がった。

 

 

「どぉおおこ行きやがったぁおらぁあ゛あ゛あ゛あ゛っ!!

 こ゛ら゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーっっ!!!!」

 

「アンパンマンッ! 爆破しましょう!!

 構いませんっ! 爆破してしまいましょう!!」

 

 

 カレーパンマンとしょくぱんまんが、なにやら物騒な事を叫ぶ。

「わああああ!!」と腕を振り上げ、ドドドドドッと煙を上げて教会内を進軍する一同。

 このふざけた教会ごとぶっ壊してやると言わんばかりの勢いで、彼らは進む。

 

 その爆音と振動を、言峰は絶句&硬直しながら感じていた。

 

 

 バンッ! ドンッ!

 

「「「 てめえかあああああああああーーーーーっっっ!!!! 」」」

 

 

 部屋の扉が吹き飛び、何者かが大挙して部屋になだれ込んだ途端、言峰は顔面に衝撃を受けて吹き飛び、壁に叩きつけられ、倒れた所を複数人がかりでボコボコに蹴られ始める。

 ――――ここまでが、言峰が状況を認識出来ない程の手際とスピードで行われた。

 

「わあああああああ!! わあああああーーーっっ!!!!」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっ!!!!」

 

「反省しなさい! 反省しなさい!!」

 

 バタコさんは叫びながら、カレーパンマンは発狂しながら、しょくぱんまんは反省をうながしながら全力で言峰を踏みつける。

 アニメのような土煙を上げながら、三人でゴスゴスと足を振り下ろす。ゴスゴスと。

 

「いけぇ! チーズッ!!」

 

「あんあーーん!」

 

 チーズが言峰の足首に噛みつき、そのままおもいっきりワイパーのように首を振る。

 空中へと持ち上げられた言峰の身体は、反対側の地面に¨万歳!¨の態勢で〈ベチャ!〉っと叩きつけられる。

 そして即座にまた反対側へと叩きつけ、言峰の身体はメトロノームように左右を行ったり来たりする。

 ゴシャッ!! バギャアッ!! ドスゥウッ! ドゴォォーーンッ!!

 

「ジャムおじさん! もう大丈夫です!

 地下にいた人達みんなにアンパンを食べさせて救出してきました!!」

 

「よぉ~し! それじゃあ決めろっ! アンパンマンッ!!」

 

 人命救助を終えて地下室から部屋に駆けつけたアンパンマンが、ジャムおじさんのGOサインを受け「えーい!」と言峰の身体に飛び乗る。

 そして馬乗りの態勢から、おもいっきり顔面に拳を打ち下ろす。

 愛らしい「えーい!」という掛け声と共に繰り出したその一撃が、〈グシャアアッ!〉というとんでもない音を立て、言峰の顔面にめり込んだ。

 

 

「えいえいえいえーいっ!!」

 

 

 ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!

 

 

「どうしてこんなひどい事を!! どうしてこんなひどい事を!!」

 

 

 ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!

 

 

 

 連続的な破壊音が鳴り響く中……彼は涙ながらに言峰に問いかけ、殴り続ける。

 

『俺がお前の千手観音だ』と言わんばかりの勢いで拳を振るうアンパンマンの姿を、士郎はあっけにとられながら、ただただ見つめていた。

 

 

………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「 もう二度とするんじゃないぞっ!! 」」」

 

 

 プスプスと煙を上げ、まるでボロ雑巾のようになった言峰にそう言い放ち、アンパンマン一同は〈プンプン!〉と肩をいからせながら、お家に帰っていった。

 

 






【固有スキル】

あんぱんシステマ:A

 アンパンマンが実戦の中で独自に練り上げた格闘術。
 対武器、対複数、対巨大兵器に至るまで様々な状況への対応が可能な戦場格闘術。
 アンパンチなどの技やマウントポジションからの技術の他、″アンパリィ″という攻撃を受け流す技も備える。
 ただし、近接格闘術ゆえかぶっかけられる液体などに対しては対応しきれない。
 当作品では、アンパンマンは陸戦において大幅な戦闘力補正が入る。
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