もしもこんな山の神




※この物語は深夜廻の二次小説です。あの切なく、心に残る世界観を壊したくない、というかたはこの小説を無視して戻ってください。

 二次小説だから大丈夫、世界観なんかぶち壊せ、というかたは




    ″先に進んでください″




この小説の前提条件として、ユイちゃんが絵馬を書いていません。これに伴い、お母さんの精神状態はまだ普通、前日譚の帰り道では最短ルートで無事に終了しています。

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あらすじ、タグを確認いただいてからお読みください。

※会話が流暢なのはイメージだからです







山の神『百合が見たくてやった、後悔はしていない』

『というわけで、オレは百合が見たくなった。ロリ、ペド、手伝え』

『……ハァ~、親分、またなんか見て感化されちゃったんですか?この前は人妻、さらに前は制服萌えだったじゃないですかぁ』

『親分は趣味がころころ変わるから仕方ないね、どうせまた子分の拾ってきた本でも読んだんでしょ』

『ああ、コレだ』

『……コミック百合姫ですか』

『面白かったんだが、どうにも物足りなくてな』

『どれどれ……』

 パラパラパラ

『えー、どれもいい内容だと思うんですけどねぇ…』

『それで、親分はボクたちに何を手伝ってほしいの?いつもだったら自分の力で山に誘い込んで終わりでしょ?』

『それはだな、お前たちのお気に入りがいるだろ?ちょうど今山に来てる、あの赤いのと青いの』

『ユイちゃんと──』

『ハルちゃんですね』

『そうだ、その二人で百合を見ようと思ってな、お前たちなら詳しいだろうから、作戦ぐらい思いつくだろ?』

『ダメですよ!そんなことしたら!ハルちゃんとユイちゃんは、あの微笑ましい距離感がちょうどいいんですから!二人に手を出したら怒りますからね!』

『えぇー、ボクは別にいいと思うけどなぁ』

『ペド!てめぇはズリネ○が欲しいだけだろ!黙ってろ!』

『……そんなこと言うけどさぁ、実はロリだって見たいんじゃないの?ユイちゃんとハルちゃんの百合』

『……そんなことはない』

『えぇー、そうかなぁ?いつも二人のことをつけまわしてハァハァしてるじゃん。昨日なんて、バレそうだったから帰ってきた、なんて言ってたし…。それに、もしかしたら二人が同意の上でイチャイチャしてるのを見れるかもしれないよ?』

『…………』

『まぁ、別にいいけどね。ロリが手伝わないって言うなら、親分とボクだけでやるから、ね!親分!』

『……あ、あぁ、そうだな』

『じゃあ、向こうで作戦会議をしよっ!…あ、ロリは聞かないでね。手伝わないんでしょ?それに、二人がイチャイチャしてるところを見るのも禁止だから。じゃあね!』

『……待てよ。………っ…ぅょ』

『……え?なにか言った?聞こえなかったなぁ?』

『だからっ!おれも手伝うって言ってんだよ!…親分とペドだと、何をしでかすか分からないし、あの二人にケガをさせないか心配だから!それだけだからな!』

『(ロリはちょろいなぁ……。それに、建前ってバレバレだし)』

『(うわっ……、オレの幹部、ちょろすぎ……?)』

『まず約束してください!二人にケガをさせないって!そうしたらおれも作戦を考えます』

『……まぁ、お前たちの作戦次第だからな、別にいいぞ』

『……よし!で、早速なんですけど!おれに考えがあります!ズバリ、吊り橋効果です!』

『ほう』

『ベタだなぁ……』

『まず、親分の力でハルちゃんを神域(自宅)に誘い込みます。で、ハルちゃんを探しにユイちゃんもくるので、おれたちがちょっと(おど)かしてから、一緒に帰してあげます。そうすれば二人はもっと絆が深まるはずです!』

『ねぇ、別に最初がユイちゃんでもいいんじゃないの?』

『なんでハルちゃんなのかというとだな。……最近、ちょっと暗い表情をするんだよ。ユイちゃんと遊んでるときも、最初は笑顔なんだけど……、思い出したように暗くなるんだ。だから、なにか後ろめたいことがあるんだと思う。その状態なら親分が誘いやすいはずです』

『なるほど……、で、脅かすってのは具体的にはどうするんだ?』

『それは今からおれが台本を書くので、親分はいつもの場所に待機しててください。で、子分も脅かし役に使うので、ちょっと全員集めてもらっていいですか?』

『いいだろう』

 

 ──子分ども 全員集合!

 

  ……カサカサ カサカサ カサカサ カサカサ

 

『よーし、全員揃ったな。……お前ら!今から幼女が二人!順番にココに来る!お前らにして欲しいことは!二人目の幼女を脅かすことだ!ギリギリまで近寄ってもよし!上から急に降りてくるのもよし!どんなことをしてもいい!ただし!触るな!絶対に二人にケガをさせるな!かすり傷のひとつでもつけたら自分が死ぬと思え!それと!進路の妨害は無しだ!わかったな!』

 

『『『『『『『『ギィー!』』』』』』』』

 

『いい返事だ!入り口の地蔵をどかしたら!各自!配置につけ!以上!解散!』

 

  カサカサ カサカサ カサカサ カサカサ……

 

『……ねぇ、親分』

『……なんだ』

『ロリ、すごくノリノリだね……』

『そうだな、あんなに反対していたが、やっぱり百合は見たいんだろ』

『親分!ハルちゃんを誘い込んだ後の対応なんですが、さすがに地べたに寝かせるのは可哀想なので、こんな時のために用意しておいた!クモの糸100%使用の敷き布団に寝かせてあげてください!』

『えぇ……、なにそれこわい』

『……ロリ、こんな時のためって?どういう時?』

『それはアレだ、もしもおれとハルちゃんが仲良くなって、お客さんとして招くことがあった時のためだ。それと、見えない位置に暖房も用意してるぞ。ココの温度は人間にとって肌寒いからな。まぁ、この洞窟は広いから気休め程度だけども』

『…………』

『…………』

『親分!もうそろそろ暗くなってきます!はやいとこハルちゃんを誘い込んでください!二人とも帰っちゃいますよ!』

『……ああ、そうだな』

『……ところでロリ、ボクはなにをしたらいいの?』

『ペドはおれと一緒に奥の暗い場所で待機だ!』

 

 

 

 

 

『親分、これ、台本です。もうそろそろユイちゃんがきますよ』

『ああ、任せておけ』

 

 

 

 

─────────────────────

 

 小さな穴に入っていくと、それは洞窟への入り口だったようで、入り口の大きさからは想像もできないほど広い場所に出た。

 

「……山にこんな場所があったなんて……」

 

 洞窟の中は、光なんて見当たらないのに、ぼんやり明るくて、こっちだよ、こっちだよ、とわたしに教えているみたい。

 少し進むと、長い橋があった。橋は古びていて、所々にヒビが入っている。

 

 ──わたしが渡っても、壊れたりしないよね……?

 

 渡ろうか少し迷ったけど、他に道も見当たらないから、落ちないようにゆっくりと橋を渡っていく。わたしが一歩進む度にギシッ ギシッと軋む音が聞こえてきて、イヤな想像をしてしまう。

 やっと、橋の真ん中まできた。あと半分、そう思って進むと、いきなり強い風が吹いた。風に体が煽られて、橋から押し出されそうになる。

 

 ──このままじゃ、落ちる……!

 

 とっさに自分から体を倒して、橋にしがみつく。パラ パラと、橋の木片が落ちていく。橋の下は、底の見えない暗闇で、落ちたらもう戻ってこれない、そう思った。もしわたしがあと少しでも倒れるのが遅かったら……、そう考えてゾッとする。……立ち止まるわけにはいかない、先に進もう。また風が吹いても大丈夫なように、姿勢を低くして進んだ。

 

 橋を渡りきると、小さな人影がたくさんあった。わたしは怖くなって、少し止まって様子を伺う。

 

 ──うごかない……?

 

 音をたてないようにゆっくりと近づいてみた。よく見てみると、人影は全部お地蔵さんで、なんだか、怖がったのが恥ずかしくなった。……とりあえず、お地蔵さんにお祈りしておこう。

 

 ──ハルといっしょに、無事におウチに帰れますように。

 

 それにしても、なんでこんなところにたくさんお地蔵さんがあるんだろう……。不思議に思ったけど、先を急いだ。 

 

 奥を目指して進んでいくと、不意にナニカが現れた。それは、ブキミな見た目をしたクモのオバケだった。オバケは、徐々にわたしのほうに近づいてくる。わたしは思いきり走った。運がいいことに、オバケはそれほど早くなくて、しばらくすると姿が見えなくなった。わたしがほっとしていると、今度は上からオバケが降ってくる。休む間もなく、再びわたしは走り出した。

 

 ──あのオバケの体、人の手のように見えた…。

 

 そんなことをわたしは思った。でも、近づいて確かめることもできない。確かめたとしても、わたしにはなにもできない。

 

 ──あのオバケに捕まったら、わたしはどうなってしまうんだろう…。

 

 もしも……、もしも捕まってしまったら。そんなことを考えて、わたしは不安になる。

 

 ──こんなんじゃダメ!もしかしたら、ここにハルがいるかもしれないのに、わたしがこんなに弱気じゃあ、ハルを安心させられない!

 

 不安な気持ちをごまかすように、わたしは強く踏み出した。

 しばらく進むと、洞窟の雰囲気が変わった。石でできている道が青白くなって、心なしか、寒くなったような気がする。

 

 ──あれ?

 

 ずっと聞こえてた風の音が、ここに来てから、人のうめき声のように聞こえてきた。いや、わたしの気のせいだ。そうに決まってる。風の音はあまり気にしないようにしよう。

 

 ──なんで……、どうしてこうなったんだっけ……。

 

 わたしはオバケを避けて進みながら、思い返した。

 

 

 

 

 

 今日はハルといっしょに山にリスを探しに、それと、となり町で花火大会があるから、よく見える場所の下見にきていた。

 昨日と同じ空き地で待ち合わせをして、お菓子を買いにコンビニへ、気分はいつものピクニック。ハルとおしゃべりしながら、山を登っていく。

 以前来たことのある、となり町がスッゴくキレイに見える場所についた。

 わたしはまだ平気だけど、山を登ってきたからか、ハルはちょっと疲れぎみだ。

 ハルは運動が苦手で、走るのも遅めだ。学校のみんなと鬼ごっこをする時も、真っ先にハルが捕まり 鬼になって、ハルはみんなを捕まえられない ということもよくある。わたしが走り方のコツを教えてみても、あまり変わらなかった。

 

「ハル、ここでちょっと休憩していかない?」

 

 ちょっと早い気もするけど、まだまだ時間はある。なにより、ハルを休ませてあげたい。

 

「えっ、でも、リスは?」

「大丈夫、まだこんなに明るいんだから!それに、わたしお腹が空いちゃって、お菓子が食べたいなって。もしかしたら、お菓子につられてリスが来てくれるかもしれないよ。ね、ハル、いいでしょ?」

「う、うん、いいよ。…………ユイ、ありがとう」

 

 ハルはわたしの考えていることに気づいたみたいだ。

 

「ん?ハル、なんのお礼?」

 

 わたしはすごい笑顔でそう返した。

 

「うぅ、ユイのイジワル……」

 

 笑顔のハルも可愛いけど、拗ねてるハルも可愛いなぁ。ハルの反応が可愛くて、つい、からかってしまう。……この夏が終わったら、こんな風にハルのいろんな表情を見れなくなっちゃうんだ。

 

「ハルは可愛いなぁ。ね、こっち向いて?」

「も、もうっ!わたし、怒ってるんだからね!」

 

 口ではそんなことを言ってるけど、耳まで真っ赤になってる。……可愛いけど、そろそろ謝っておこう。からかい過ぎると、呼び掛けても返事をしてくれないし、無言でジッと目を見つめてくる。ハルは本気で怒ると怖いのだ。

 

「ハル、ごめんね。ハルが可愛くって、ついイジワルしちゃったの。本当にごめんね」

「……むぅ、……反省してる?」

「してるしてる。だから お願い、許して?」

「……うん、いいよ」

 

 よし、許してくれた。ハルの気が変わらないうちに、お菓子を食べさせて機嫌を──

 

「ユイ」

 

 ポツリと、ハルがつぶやいた。

 

「ん?ハル、どうしたの?」

「……ユイのほうが、可愛いよ」

 

 えっ、なに?えっ?普段、わたしがハルのことを可愛いって言っても、照れて赤くなるか、そっぽ向くかなのに、なんで?……と いうか、ハルにそう言ってもらえてすごく嬉しい。顔がほころぶのが抑えられなくて、多分、顔も真っ赤だ。

 

「ぅ……、ありがとう、ハル。ほ、ほら、お菓子食べよっか」

「うん、食べよう」

 

 良かった、ちょっと露骨だったけど、なんとか話をそらせた。ポシェットからレジャーシートを取り出して、並んで座る。

 

 

※説明しようっ!!夜廻シリーズの幼女が持っているポシェットの中は 見た目よりも容量があり、アイテムごとの最大所持数制限があるものの、なんでも入れられるのだっ!!(CV:勇者王)

 

 

 となり町の景色を見ながらハルといっしょにお菓子を食べる。ちなみにわたしは たけのこ派だ。ハルはどの派閥でもなかったから、たけのこの里を布教したら たけのこ派になってくれた。わたしのお母さんもたけのこ派で、お父さんは、…………きのこ派だった。

 

 

 ──そう、あれは半年ぐらい前のこと。お母さんとわたしは大好きなたけのこの里を二箱ずつ食べていた。お母さんといっしょに買い物に行った時、広告の品で安かったから、たくさん買ったのだ。……思えば、それが間違いだったのかもしれない。

 

「……おい、なんだ、コレは?」

 

 お父さんは、帰ってくるなり、たけのこの里を指差して、そう言った。わたしたちは、安かったからたくさん買ってきたこと、おいしいからお父さんにも食べてほしい ということを伝えた。

 

「ふざけるな!おれはきのこ派だ!誰がたけのこの里なんて喰うか!!」

 

 その日から、お父さんは変わってしまった。今まで優しかったお父さんは見る影もなくなってしまったのだ。日に日にエスカレートしていく酒癖の悪さ、暴力、暴言、わたしたちが何度も、きのこ派になるから!と訴えかけても止まらない。

 

「同情で派閥を変えるだぁ?ふざけるのも大概にしろ!クソッ!クソォ!なんで最初からきのこ派じゃないんだよ!なんで!なんで!!アアァァァァッ!」

 

 そして先日、お酒に酔ったお父さんが、お母さんにひどいことをしていた。お父さんのきのこをお母さんに無理矢理食べさせようとしていたのだ。

 

「お父さん!やめて!お母さんをいじめないで!」

「……なんだぁ、その目は。それが親に対する態度かァ!」

 

 頬を強く叩かれ、吹っ飛んだわたしはテーブルで頭を強打して、気を失った。

 この出来事で、ついに嫌気のさしたお母さんとわたしは、神社にお詣りをしに行った。すぐにお父さんはいなくなった。

 わたしは喜んだ。もう叩かれたり、悪口を言われたりしなくていいからだ。……でも、お母さんは最初、あまり喜んでなかったな……。少したってから、いつものお母さんに戻って、安心したのを覚えている。

 そういえば、神社はゴミだらけで汚かったし、お礼に今度 掃除しにいこうかな……。

 

 たけのこの里を食べながら考える。もしもお父さんが、たけのこ派だったら──

 

「……ィ!ユイ!」

「……えっ?ハル、なぁに?」

「ユイがボーッとしてて、話しかけても返事してくれないから……。ユイ、どうかしたの?」

 

 しまった。考え事をしていて、ハルの言葉が聞こえてなかった。今はハルと遊んでるんだから、他のことは忘れて、ハルに集中しよう。

 

「ううん、たけのこの里はやっぱりおいしいなって 味わってたんだよ。ハルも好きでしょ?たけのこの里」

「うん、ユイが好きだから、わたしも好きだよ。たけのこの里」

 

 それからは、あさっての花火大会の話や、もしかしたら わたしの家にハルが遊びにこれるかも、といった話をしながら、二人でお菓子を食べた。

 

 

 

 お菓子を食べ終わり、そろそろリスを探しに行こう、といったところで、お腹がふくれたからか、ハルがうとうとし始めた。

 

「ハル、ちょっと寝る?」

「………、だいじょぶ……。りす、さがしにいこ……」

 

 といっても、大丈夫には見えない。

 

「いいから寝なさい。少ししたら、起こしてあげるから」

 

 わたしはハルの体をゆっくり横に倒して、膝枕をしてあげる。

 

「……ぅ……」

 

 ハルはすぐに寝てしまったようで、スゥ スゥと可愛い寝息が聞こえてくる。わたしはハルを起こさないように やさしく頭を撫でる。ハルの髪がサラサラしていて、とても気持ちいい。ずっとこうしていてもいいぐらいだ。わたしはハルの頭を撫で続けた。

 

 

 

 

 

「…………ハッ!」

 

 膝枕をしているうちに、いつの間にか、わたしまで寝ちゃったみたい。もう夕方だ、そろそろおウチに帰らなくちゃ。ずっと座ってたからか、体がイタイ。立ってノビをして、体をほぐす。というか──

 

 ────ハルが、いない。

 

 もしかして、先に帰ったのかな?そう思ったけど、ハルがわたしに黙って帰ることなんて、一度もなかった。ハルは、自分がやりたいと思ったことは必ずわたしに伝えてきたし、そういうイタズラも絶対にしなかった。……わたしはハルに喜んでほしくて、いきなりプレゼントをすることもあったけど。……もしかして、さっきからかったのをまだ怒ってたのかな……。

 わたしはハルを探すために、レジャーシートをしまってから山を()りた。ひとまず、今日の待ち合わせ場所に行ってみよう。

 

 空き地にたどり着くと、茂みからクロが出てきた。……チャコはおやすみしてるのかな?

 

「クロ、ハルがここに来なかった?ハルったら、どこかに行っちゃったみたいなの」

 

 クロは頭がいいから、わたしの言葉にもちゃんと反応してくれる。ここには来ていないよ、と返事をするように首を横に振っている。

 

「そっか、ありがとね。もしかして、おウチに帰ってるのかもしれないから、そっちに行ってみるよ。クロ、またね」

 

 クロにそう言って、その場をあとにした。

 

 

「……あれ?ハルの家、真っ暗……」

 

 ハルの家についた。もし、ハルが帰ってきてたら、明かりがついてるはずなのに。念のため、インターホンも鳴らしてみる。……なんの反応もない。さっきお昼寝してたから、もう寝てるってことはないはず、買い物に行ってるのかな?今度はコンビニに向かう。

 

 

「いらっしゃいませ!」

 

 コンビニについた、入店すると、特有の音楽と挨拶が聞こえる。店内にハルは見当たらない。店員さんと、大人が数人いるだけだ。

 

「ぁ、あの……」

 

「はい!……おや、たけのこの赤い子、どうなさいましたか?」

 

 わたしとハルはここにくる度に、たけのこの里を買うから、店員さんにすっかり覚えられてしまった。わたしは たけのこの赤い子、ハルは青い子で覚えられてるみたい。この名前はけっこう好きだ、わたしはたけのこ派です、って感じがするから。

 

「ここに、青い子がきてませんか?いっしょに遊んでたら、はぐれちゃって……」

「午前中に二人でいらっしゃってからは、来店されていませんね……。お役に立てず、申し訳ございません」

 

 ハルは、ここにもきてないみたいだ。いったいどこに行っちゃったんだろう。次は公園に──

 

「──もしかしたら、どこにいるか分かるかもしれません。少々お待ちいただけますか?」

「えっ?」

 

 そういって、店員さんはお店の奥に入っていった。

 

「お待たせいたしました。店長が調べたところ、青い子は山の中にいるようです」

 

 少しして戻ってきた店員さんは、どうやってか、ハルのいる場所がわかったみたいだ。……ウソをついてるようには見えないから、多分 本当なんだろう。

 

「わかりました、行ってみます!……あっ、なにか買っていきます」

 

 あぶない、買い物もせずに 聞くだけ聞いて帰るところだった。早く買って、山に探しにいこう。

 

「いえ、いつもご利用いただいているので、結構ですよ。……友達が心配なんでしょう?早く行っておあげなさい」

「えっ、でも……。……また二人でゼッタイに買い物にきます。ありがとうございます!"ダーブラさん"!」

「もうそろそろ暗くなるので、お気をつけて。ありがとうございます!またおこしくださいませ!」

 

 わたしは、コンビニ"バビディ マート"を出て、再び山へ向かう。

 

 山を登るころには、すっかり暗くなってしまった。

 夜の山は、昼間と雰囲気がガラリと変わって、風の音、木々のざわめき、茂みから聞こえるガサガサする音、同じはずなのに、どこか違って、怖くなる。

 足元が見えにくいから、つまずきそうだ。それでも、できるだけ早めに歩いて、下見の場所についた。……ハルは、いない。

 もしかしたら、分かれ道のバリケードを越えた先にいるのかもしれない。……でも、ハルが一人で行くとは思えない。

 

 ──もしかしたら、学校で先生が話していた『へんしつしゃ』に、連れていかれたのかも……!

 

 わたしはハッとした。ハルの春が危ないかもしれない、わたしは怖さも忘れて、先を急いだ。

 

 お母さんといっしょにお詣りにきた神社についた、この前と同じでゴミだらけだ。ハルがいないか、ひととおり探してみるが、いなそうだ。あと探していないのは、山の上のほうだ。

 神社の道を戻り、上のほうへと進んでいく。途中で 花がたくさん咲いている。キレイな赤い花、無事に帰れたら、ハルといっしょにまた来よう。今は無視。

 

 どんどん進んで山の上にたどり着くと、奥へと続く小さな穴があった。穴から出ている空気がやけに冷たく感じる。一応、道の先にも行ってみたけど、大きな木に花が咲いているだけで、行き止まりだった。

 

 ──もしかしたら、この奥にハルがいるのかも……。

 

 わたしは穴に入っていった。

 

 

 

 

 

 考えながら進んでいると、いつのまにか (ひら)けた場所に来ていた。ここにはさっきのオバケたちはついてこないようだ。

 

「あっ、ハル!」

 

 倒れているハルを見つけて、わたしは急いで駆け寄った。

 

「ハル!だいじょうぶ!?ハル!」

「…………」

 

 返事は無かったけれど、見た感じではケガは無さそう、服も乱れてないし、息もある、無事で良かった。……それにしても、なんでおフトンが?あと、ハルのまわりだけ少しあったかいような──

 

 

 

オイテイケ

 

 

  ……ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

 

 ──な、何、今の声。それにこの音は!?

 

 

  ゴゴゴゴゴ ヌゥッ……

 

 

 

オイテイケ そのむすめを オイテイケ

 

 

 

 底の見えない暗闇から、とても大きなオバケが現れた。たくさんの目があって、その目が全部、わたしに向けられている。

 

 ──怖い……、こわい、コワイコワイコワイコワイ……!

 

 カチカチカチと歯が鳴る。体がすくんで、今にも崩れ落ちそう。だってなんとなく分かる。かなわない、どうしようもない。それほどの圧倒的な存在感、お父さんの怖さなんて比べ物にもならない。

 

 

 

おいてイカナイト おまえもタベテしまうゾ

 

 

 

 おいていく……?なにを?…………そうだ、わたしはハルを探しに、助けにきたんだ。こんな大事なことを忘れていたなんて……。それに、食べる?つまりこのオバケが、コイツが先生のいっていた──ハルをここに連れてきた──へんしつしゃ……!

 わたしはどうなってもいい!あのコは、ハルだけは絶対に助けなきゃ!なにかない!?アイツの注意を引けるもの!なんでもいい!なにか──

 

 

 "視界内に拾うことができるアイテムがあると頭上に?が表示されます"

 

 

 "アイテムに近づくと?は星のアイコンに変わります"

 

 

 なんでだろう、落ちている小石が気になる。わたしは近寄った。

 

 

 "星のアイコンが表示されている間はアイテムを拾うことができます″

 

 

 小石を拾った。 

 

 

 "アイテムを使用してください″

 

 

 こんなものでどうにかなるとは思えない、でももしかしたら、という思いで小石を投げた。

 

  シュツ コツン  グシャア!!

 

 

 

グウゥゥ  メガァ  メガァァァ

 

 

 

オノレェ  オノレェェェェェ

 

 

 

  ゴゴゴゴゴゴ ズズズズズズ……

 

 

 えっ。…………倒せたの?下に落ちていっちゃった。……ともかく、ハルといっしょにここから出よう。

 

「ハル!いっしょにかえろう!ハル!おきて!」

「……ぅ、うぅ……」

 

 ハルはわたしの言葉に反応はするけれど、意識がハッキリしないみたい。倒れているハルの体をおこして、支えながら歩きはじめる。今日はすごく疲れたけど、ハルが無事で本当によかった。

 

 

 

 

 ──まずい、すっかり忘れてた……!

 

 さっきのへんしつしゃに気をとられて、道の途中で小さいオバケがいっぱいいたことを忘れていた。あと少しで洞窟から出られる、といった辺りでカサカサ カサカサと聞こえて、なんだろうと思って振り返ったら、オバケがたくさん追ってきていた。

 オバケはそれほど早くないといっても、今の ハルを支えながら歩いている状態ではあっちのほうが早い。

 

 ──このままじゃ、二人とも捕まっちゃう。

 

 オバケとわたしたちの距離が徐々に近づいていく。

 

 ──そういえばこのオバケたち、あのへんしつしゃに似ているような、…………もしかして、仲間だったり?……ヤバイ!捕まったら、わたしとハルがひどいことされてしまう!でも、もうそこまで迫っている。どうしようも──

 

 ──ワン!ワンワン!ウゥー、ワン!

 

 クロだ!クロが助けにきてくれた!素早い動きでわたしたちとオバケの間に割り込んで、普段とは違う怖い声で、オバケを追いはらおうとしてくれている。

 オバケはクロのことが怖いのか、それ以上近寄ってこなくなった。

 チャンスだ!今のうちに出口へと向かう。橋を急いで渡って、洞窟から出る。

 

「クロ!クロも早く出て──」

 

 洞窟から出ようとするクロの背後に、オバケがものすごいスピードで迫ってきている。さっきまでの早さが嘘みたい。

 クロもすぐに気づいて、オバケの脚による攻撃を跳んで避け、その跳躍で洞窟から出る。やった!すごいよクロは…!

 クロが着地するその瞬間、空振りしたオバケの背後からもう一匹が飛び出してきて、脚を振りかぶった。その光景が、やけにゆっくりに見える。オバケの脚が吸い込まれるようにクロに突き刺さって──

 

 

 ──クロが……死んだ

 

 

 





とりあえずここまで書きました。最後までのイメージはあるのですが、文章として引っ張り出すのが難しくて遅くなりそうです。



変更点:山の神の配下を二匹追加、山の神は二匹に感化(洗脳)されて、感情豊かに、サブカルにも興味を持ちます。山の神の行動の理由を変更。
下見の日の内容を捏造しました。
ユイのお父さんの暴力の理由を捏造。
コンビニの名前がわからなかったのでバビディマートにしました。入店音は、てーれーてってれー
入り口の地蔵をどかしました。絵馬を書いていないので。ユイの力のみではどかせません。
最初のハル救出時におけるコトワリさまの出現を無くしました。絵馬を書いて(ry
クロが死んだと思われる位置を洞窟の外に変更しました。


キャラ紹介などは本編が書き終わってからいっしょにのせます。


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