世界で唯一ISを扱える男子「見抜きさせてもらえないでしょうか……? 」 作:佐遊樹
原作:インフィニット・ストラトス
タグ:R-15 織斑一夏 篠ノ之箒 下ネタ ここぞという時敬語主人公 しょうがないにゃあ
完全に深夜テンションの突貫工事作品です
ゆるして
今や世界の軍事バランスを一手に担っている女性にしか扱えないはずの超兵器インフィニット・ストラトスを扱える男子が発見された――――!!
世界中に激震が走る。
女性のみに使えるというのは実際デメリットも多い。
まず女性でありながらいざという時に戦争へ赴くことを覚悟してISパイロットになろうとする人間は少ない。
また現在も軍上層部には男性が多く軋轢が発生しやすい。
あと妊娠したら前線に出れなくなる。
もちろん男性にも同じようなデメリットはあるが、だからこそ男女どちらも使えるといいねーとみんな思っていた。
「使えるかもしれねェの!?!?」
アメリカ国務長官が興奮のあまり上記の叫びを発したのも咎められない。
それほどのビッグニュースであった。
使えると判明したのはごく普通の男子中学生織斑一夏。特徴は実姉が世界最強というぐらいだ。
「うーんあのさ、ちょっとだけ遺伝子検査してもいい?」
「あ、いいっすよ」
混乱から守るために保護していた日本政府からの申し出に対して、本人は快諾。
しかしここに大きな壁が立ちはだかった。
「だめです」
「げえっ 関羽」
どこか懐かしいやり取りと共に実姉ブリュンヒルデがダイナミックエントリーし、見事に一夏の安全を確保。
実際各国は遺伝子検査だけでなくバリバリ人体解剖する気満々だったのだ。コワイ!
大いなる邪魔者を前にして、時の内閣総理大臣は唸った。
正直男子でもISが動かせるギミック、めっちゃほしい。それを確保すればワンチャン世界のパワーバランスを一変させるはおろか掌握できるかもしれない(希望的観測)。
「しょうがねえなあ……おい、ちょっとハニトラ見繕えや。赤ちゃん製造ミルクから解析すっぞ」
「は、はい」
彼が札束のプールの中で閃いた名案に対して、裸の内閣総理大臣に絡みつく美女たちを見て興奮していた部下は素早くハニートラップを見繕った。
国内で実働可能なハニートラップは……基本的に妙齢の美女である。どう考えても偏っていた。仕方ない、今まで相手と言えば政界の有力者などだったのだ。
男子中学生相手にどうすりゃええねんと部下は頭を抱え、美女の谷間に一万円札を何枚挟めるかゲームに熱中している内閣総理大臣に指示を仰いだ。
「とりあえず織斑一夏君の性癖を知らなくてはなりません」
「ああ!? そんなもん処女に決まってんだろ! 大体あんな年頃の男子中学生は処女以外受け付けねえよ!」
「あ、そっかあ」
とんだ偏見である。
しかしそれが的を射ていることを自身の実体験から知っていた部下は、気軽に一夏の下へ送り込める処女を検索した。
日本だけではない。同じようなやり取りが世界中の国家でなされたという。
結果――
IS学園に入学した時、一夏の同学年は何故か彼に好意を寄せる処女であふれかえっていた!
「地獄か?」
篠ノ之箒は呻いた――同室の織斑一夏は、くたびれた笑みを浮かべて頷く。
クラス中の女子が一夏になぜか好意を寄せていたのだ。もうここから裏事情を読めない人間などいない。
「一夏、お前、引っかかったりするなよ」
「流石に手を出せって言う方が難しいぜ」
箒は昼間、延々と続く一夏へのアタックを身体を張ってガードし精神的に疲弊していた。
リフレッシュのため部屋着に着替えて竹刀を素振りしている。剣筋が空を裂く小気味いい音が部屋に響く。盗聴している英国代表候補生がもしかして肉と肉がぶつかる音ではなくて? と勘繰る。彼女は処女のくせに散々色仕掛けについて学んだせいで脳内が真正のピンク色になり果てていた。座学の限界である。
「そ、それにそのだな」
「ん? どうしたんだ?」
「千冬さんから言われたんだ……私はほら、姉さんが、ああいう立場だろう?」
「そうだな」
流れ変わってきたな。
盗聴中の生徒や教員らが震えあがった。
「故に私は、ああいった……色仕掛けをしてくるような命令は、受けていない。国も出すに出せないんだ、姉さんからの報復が怖くて」
「だからこそ、箒を同室にしてくれたんだろ?」
「それだけじゃない」
流れ変わりスギィ!
盗聴している内閣総理大臣や首相や大統領が頭を抱えた。これは勝てない。
完璧な布陣だった。手出しできない、ある種の絶対領域だった。
「わ、私を、性処理に使うことも、あるやもしれんと……」
「箒……」
一夏は目を見開いたが、すぐに穏やかな笑みを浮かべて立ち上がる。
ゆっくりと近づいてくる想い人に、箒の頬が紅潮した。
「やめろよ。そんなこと」
「え?」
「お前の気持ちを無視してそんなこと……できるわけないだろ」
紳士ムーブに盗聴していた人間全員が渾身のガッツポーズ。青天の霹靂であった。
内閣総理大臣が「勝ったな、風呂入ってくる」と席を立とうとした瞬間。
一世一代の告白に近いことを口走っていた箒は――呆気なくその頭脳をオーバーヒートさせて叫んだ。
「わ、私はお前のことが好きだ! なんというんだったか、そう、肉便器というものだとしても、お前の隣にいられるのなら、それで構わない……!!」
人類を超越した聴覚を保持する織斑千冬と篠ノ之束は、箒のあまりにあまりな台詞を聞いて、膝から崩れ落ちた。
『ちょっとちーちゃん!? 束さんだって計画自体には賛成したけど、束さんの可愛い箒ちゃんに何を吹き込んでくれちゃってるのさ!?』
「知らん知らん知らん! 私はあそこまで言ってないッ!」
考え得る限り最悪の告白だった。一夏は頬を引きつらせて、それから数秒目を閉じた。
「……そ、そういう言葉はもう使わない方がいいぞ、うん」
「そ、そうだな」
理性を取り戻したのか、箒も素直に謝る。ここに真剣があれば間違いなく切腹していた。
「でも気持ちはうれしい。正直、手を出すわけはないんだけど、目に毒っていうかさ」
「――――ッッ!?」
まさかの切り返しに、箒の手が震えた。
え?
まさかこれあんの?
ワンチャンあんの?
自爆特攻し得じゃんヒャッホホホヒャッホイ!
人間としてどうかと思うことを言えば長年の想いが成就する。頭がフットーしそうな展開だが箒にとっては両手を天高く突き上げそうになる僥倖だ。
(つ、つつつつついに……!? 一夏と、結ばれる……!?)
この女は色仕掛けの命令を受けてもいないのに、脳内真正ピンクだった。
間近にいる一夏の目を直視して、反射的に逸らしてしまう。緊張と期待からくる反射だった。奇しくも箒は処女である。
盗聴している人間全員が歯噛みした。一部女子が部屋に突撃を敢行しようと部屋を出て、バッチリ待機していた織斑千冬の拳を受け逆再生のように部屋へ叩き戻される。
箒は竹刀を取りこぼして、一歩、一夏に近づいた。
一夏は――その場に、突然正座した。今から首でも落とされるのかというぐらいに清々しい表情で、男が口を開く。
「あの、すいません、お願いが」
「……? なにかな」
「見抜きさせてもらえないでしょうか……?」
「見抜き?」
箒はおうむ返しに問う。完全に思考が止まった。
「はい」
見抜きさせてもらえないでしょうかなんて世にも情けない頼みを吐き出してるのに、彼はこれ以上なく男らしい表情だった。CV内山昂輝で見抜きさせてもらえないでしょうかである。
盗聴している全員の世界が凍り付く。
「あー」
うめき声を上げて、箒は天井を見た。高級ホテルのような、シミ一つない上品な天井。何も箒には告げてくれない。
想い人と? 性的接触があるかも? そして? その性的接触が? 見抜き?
悲しいことに脳内真正ピンクの箒はその行為を知っていた。
「判った。そういうことか……」
「いいでしょうか」
食い気味に確認する一夏。見抜きにかける熱意が伝わった。身体も前のめりになっている。というかズボンが膨らんでいた。恐らく問いかけをわざわざすることで自分を昂らせているのだろう。とんだ迷惑行為である。
「うーん」
悩むに決まっていた。
箒は一応、確認をしてみた。
「たまってる、ってやつなのか?」
「はい」
即答。瞳はブレない。そこに幼馴染の成長を実感して、箒はうれしくなった。
現状を理解することを諦めたとも言う。
やめろと誰かが叫んだ。
やめてくれと世界中が紛糾していた。
制止など二人に届くはずもない。
箒が決定的な一言を放つ。
「しょうがないにゃあ……」
噛んだ。自分が噛んだということすら彼女は認識していない。
「いいぞ」
「――――ッ!」
織斑一夏は瞬間にズボンとパンツを脱ぎ捨てる。デストロイモードだった。
ちなみに破壊するのはニュータイプではなく自身の社会的尊厳だし、ドライブの方だとしてもドライブしているのは一夏の頭だ。
雲一つない空を見上げて、織斑千冬は目を細めた。
無数の星屑が散りばめられた夜空。手を伸ばしても届かないからこその美しさがそこにはある。
星空に目を凝らした。自分が宙に投げ出されたような感覚が好きだった。千冬はこうして、空を見上げることが好きだった。
けれど今は、どちらかといえばとにかく聴覚を無にしたかった。人智を超えた鋭敏な聴覚は寮内部で行われているイカれたパーティーの様相を克明に感じ取っている。
何かをこする音。親友の妹の熱っぽい吐息。愚弟――正真正銘の愚弟に成り下がった家族のハァハァ声。
最悪の気分で千冬はひたすら星を見ていた。
不意に、通信を開きっぱなしにしていた束が口を開く。
『……ちーちゃん。これどうするの』
「私に聞くな」
『いや……どうするの』
「私だって同感なんだぞ。ただ……」
『ただ?』
「見抜きは近親相姦には入らないよな」
『いい加減にしろよ』
愚弟が「うっ」と呻くのを聞いて、千冬は静かに目を閉じた。
見抜きされているという感覚がクセになってどんどんドツボにはまっていく箒ちゃんのss誰か書いてください!お願いします!何でもしますから!