選ばれた男は選ばれなかった子へ   作:猫ペンギン

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さっくり投稿します。


飛行訓練と真夜中の冒険

「君達、あのスネイプから褒められたんだろう?」

 

「どうやったんだ?」

 

ウィーズリーの双子は単純な噂を気にしているだけだった。

ここホグワーツには娯楽というものがあまりなく、噂話が広がりやすい。しかも、変な尾びれをつけて。

 

「本当に分からない。魔法薬をうまく作れたからじゃない?」

 

「そんなこと言ったら、俺達だって何回か成功させているさ」

 

「それくらいのことじゃあ、あのスネイプが笑って褒めるなんてありえないぞ」

 

「笑って褒めるだって?」

 

ドラコと僕はあまりのことに聞き返した。

 

「それを信じるなんてどうかしてるよ!」

 

双子はお互いの顔を見て思案顔になったと思うと、

こちらを見て楽しそうに言った。

 

「本当のことを言わないと、悪戯するぞ?」

 

双子といいピーブズといい悪戯好きに目を付けられやすい僕だった。

 

「いや、むしろ一緒に4人で悪戯を考えましょう」

 

そう返すと、双子とドラコは目を丸くした。

 

「「望むところさ!」」

 

双子は嬉しそうに笑って、しばらく話すと満足そうに去っていった。

 

「おいネビル!僕は何も聞いていないぞ?」

 

「面白そうじゃないか」

 

「まったく・・・」

 

ドラコはやれやれといった感じだが、本当に嫌そうにはしていなかった。

 

「今から手紙を書くけど、ネビルはどうする?」

 

「僕は宿題をするよ」

 

「もう終わってるくせに」

 

「じゃあ予習かな」

 

その後は平和に過ごすことができたのだった。

 

それから数日後、グリフィンドールの談話室に『お知らせ』が掲示された。

 

『飛行訓練は、木曜日に始まります・・・・・・グリフィンドールとスリザリンとの合同授業です』

 

「そら来た」

 

それを見てハリーが暗く言っていた。

英雄なのに勉強ができないとか大したことないとかいうことを、スリザリン生からねちねちと言われているみたいだ。マルフォイがスリザリンにいなくてもそこは変わらないようだ。

ドラコは意外にも、スリザリンからの攻撃は今のところ受けていない。怪しいな、と思っている。

でも、魔法界の子はみんなクディッチに夢中で、ドラコとシェーマスは2人して箒に乗った過去の武勇伝を大きな声で話していたし、その話をきいたハリーも乗ってみたいと楽しみにしていた。ロンも箒の話になるとそわそわしていた。ハーマイオニーはクディッチ今昔を暗記したようで、箒に乗るコツを大きな声で喋っていた。

 

木曜日の朝食の時間に思い出し玉が届けられることもなく、無事に飛行訓練の授業を受けることができると思っていた。

 

その日の午後3時半にグリフィンドール1年生全員で、はじめての飛行訓練を受けるために校庭へと向かうと、スリザリン生は既に到着しており、20本の箒がグラウンドに整然と並べられている。

マダム・フーチがやって来てすぐに僕たちは箒の横に立たされた。

 

「右手を箒の上に突き出して!そして『上がれ!』と言いなさい」

 

みんなが一斉に「上がれ!」と叫んだ。

ハリーとドラコの箒はすぐに上がって、それぞれの手におさまっていて、もちろん僕の箒も僕の手におさまったのだった。

全員が箒を手に取ると、マダム・フーチは箒に跨る方法を見せてから、生徒たちの箒の握り方を直していった。

 

「さあ、私が笛を吹いたら、地面を強く蹴って!」

 

マダム・フーチが笛を鳴らす前に、スリザリン生数名が悪戯に、ハリーの箒を引っ叩いた。

ハリーの箒はハリーの右手に掴まれたまま、びっくりしたように地上から離れてどんどん上昇していった。

 

「おい!なにをしているんだ!」

 

ドラコとロンがスリザリン生に怒鳴ると、スリザリン生はなぜか罰が悪そうな顔をして引っ込んでしまった。

マダム・フーチも降りてきなさい!と言うだけで、何もしていない。

そのままハリーは箒にどうにか跨って、地上に降りてきた。

 

「どこか怪我はしていませんか?」

 

「ありません」

 

「でも念の為に、医務室に連れていきます。みなさん、その間誰も動いてはいけませんよ!」

 

「僕は大丈夫です!」

 

ハリーがそう言うが、マダム・フーチは無理矢理ハリーを連れて行ってしまった。

 

「おい!なんであんなことをしたんだ!怪我じゃすまないぞ!」

 

ドラコとロンを先頭にグリフィンドール生がスリザリン生に詰め寄った。

 

「まさかドラコ・・・本当に?」

 

「いや、これも・・・じゃないのか?」

 

詰められたスリザリン生は小声でそう喋っている。

 

「僕がなんだって?」

 

「ここで言うのはやめておく。けど、僕たちは僕たちの好きなようにさせてもらうぞ!」

 

背が高い生徒がそう言うとグリフィンドール生とスリザリン生の言い争いになっていて、ドラコは何かを考え込むように下を向いていた。

マダム・フーチとハリーが帰ってくるまで言い争いは続き、合同訓練はそのまま解散となったのだった。

 

その日の夕食時になってもドラコはまだ考え込むようにしていた。

 

「どうしたっていうんだ?ドラコ」

 

「いや、ちょっと確認したいことができた」

 

ドラコはそう言うと大広間を出て行ったのだった。

僕は今夜、4階の立ち入り禁止の廊下にドラコとハリーを誘って行こうと考えていたのに。ハリーにあの部屋の存在を教えておこうと考えてのことだった。

そう思っていると、ハリーとロンが近づいてきて、ロンが口を開いた。

 

「その・・・今までごめん」

 

「どういうこと?」

 

「ハリーが悪戯をされて、真っ先にマルフォイが怒っていただろう?それで、その、あいつはそんなに嫌な奴じゃないんじゃないかって」

 

「ようやく気付いたわけだ。なんで僕に謝るんだ?」

 

「ネビルにもいろんなことを言ってしまったし」

 

ロンは口をもごもごさせながら謝罪をしてきて、ハリーも不安そうにこちらを見てきている。

その様子を見て、今夜廊下を見に行くのはハリーとロンにしようと考えたのだった。

 

「ドラコが許してくれるなら、僕はもう気にしないよ」

 

そう言うとハリーがほっと胸をなで下ろした。ロンも下を向いたまま嬉しそうにしている。

 

「仲直りもしたところで、2人に話があるんだ」

 

僕は誰にも聞かれないように、ハリーとロンの肩を組んで小さく呟いたのだった。

 

夜遅く、ディーンとシェーマスの寝息が聞こえてきた頃に、僕とハリーとロンはベッドから抜け出した。

 

「なんで今日なんだ。なんで僕たちなんだ。いつもドラコと一緒にいるんだから今日もドラコを誘えよ」

 

ロンが文句を言ってきた。

 

「ドラコはなぜか部屋に戻ってきてないんだから仕方ないだろう?今までこんなことなかったのに・・・」

 

「いいじゃないか、ロン。夜中の探検に付き合えば君を許すってネビルが言うんだもの」

 

3人でガウンを羽織って、杖を手に、寝室を這って横切り、音を立てないように談話室へと降りていった。

出口の肖像画の通路に入ろうとした時、一番近くの椅子から声が聞こえた。

 

「ハリー、ネビル。まさかあなた達がこんなことをするとは思わなかったわ」

 

ハーマイオニーがピンクのガウンを着て立っていた。まさか聞かれていたとは思わなかった。

ロンが「また君か」と怒っている。この2人はまだ仲良くなっていないのだった。

さっきまで乗り気じゃなかったロンが先頭に立って「行こう」と真っ先に肖像画の穴を乗り越えたので、僕とハリーもついていき、後ろからハーマイオニーまでガミガミと文句を言いながらついてきた。

 

「グリフィンドールがどうなるか気にならないの?スリザリンが寮杯を取るなんて嫌よ。わたしが呪文を知ってたお陰でマクゴナガル先生がくださった点数を、あなたたちがすべて台無しにするんだわ」

 

「点数を沢山稼いでいるのはネビルだろう。あっちへ行けよ」

 

いつのまにかロンが探検を主催したようになっていた。

ハーマイオニーは文句を言った後、呆れた様子で寮に帰ろうとしたが、肖像画の太った婦人はいなくなっていた。

 

「もう、どうしてくれるの?」

 

「知ったことか」

 

「ここに居続けると周りから丸見えだ。ちょっと移動しよう」

 

そのままハーマイオニーも夜の探検についてくることになり、どういうわけか原作通りの4人で移動することとなった。

 

4階の階段を抜き足差し足で歩いているとロンが小声で聞いてきた。

 

「これ、どこに向かってるんだ?」

 

「トロフィー室を見に行こう。面白い物があるかもしれない」

 

なんとなく原作通りに動こうと考えて4人でトロフィー室に来た。トロフィー棚のガラスが月の光を受けてキラキラと輝いている。

そうしてトロフィーや盾を見ていると、隣の部屋で猫が鳴く声が聞こえた。

 

「いい子だ、しっかり嗅ぐんだ。隅の方に潜んでいるかもしれないからな」

 

管理人のフィルチが猫のミセス・ノリスに話し掛けた。

フィルチがここにいるのは、僕がわざわざ呼んだからだった。

今度はハリーを先頭にして、音を立てないようにフィルチの声とは反対側のドアへと急いだ。

間一髪でドアを出ると、走って回廊を抜けていった。

全速力でハリーが走っていて、呪文学の教室の近くの廊下に出た。

 

「なんで、フィルチが、いるんだよ。生徒が、いるのを、知っている、みたいだったぞ」

 

「そろそろグリフィンドール寮に帰ろうか」

 

僕は息を切らせながら文句をいうロンに向けてそう言った。

しかし、扉の取っ手がガチャガチャとなり、ピーブズが目の前に現れたのだった。ピーブズは大きな声で歓声を上げている。

 

「真夜中にフラフラしてるのかい、一年生ちゃん?チッ、チッ、チッ、悪い子、悪い子、お前達は捕まるぞ。フィルチに行こう。言わなくちゃ」

 

ピーブズは目をキラりと光らせて、丁寧な物言いでそう言った。

 

「退いてくれよ!」

 

「生徒がベッドから抜け出した!」

 

ロンがピーブズを払い退けようとすると、ピーブズが大声で叫び出した。

 

「ベッドから抜け出した生徒が、呪文学教室の廊下に居るぞ!」

 

僕たち4人はピーブズの下をすり抜けて、廊下の突き当たりまで全速力で走ると、鍵のかかった扉の前に出た。

ようやく辿り着いた。偶然ここに来てしまったように。

 

「アロホモラ!」

 

僕が錠を杖で軽く叩いてそう呟くと、鍵が開いて、扉もパッと開いた。4人で折り重なるようになだれ込んで、急いで扉を閉めてみんなで扉に耳をくっつけて聞き耳を立てている。

扉の向こう側ではピーブズとフィルチが問答をしており、最終的にピーブズがヒューッと消える音とフィルチが悪態を付く声が聞こえた。

 

「もう大丈夫だ」

 

「大丈夫なものか」

 

僕がそういうと、ロンが後ろを向いて唸りながら言った。

目の前には頭が3つあり、床から天井まで届くような大きさの犬のような怪獣がこちらをじっと見ていた。

僕は落ち着いて仕掛け扉を目視していると、ハリーによって、ガウンの裾を掴まれて思いっきり引っ張られた。

ハリー達は悲鳴を上げた後、その部屋から急に飛び出して、全速力で走って8階にあるグリフィンドールの談話室まで駆け込んだのだった。

4人で息も絶え絶えに肘掛け椅子にへたれこむと、しばらくしてみんな呼吸が戻ってきた。

 

「あんな怪物が学校にいるなんて・・・僕は2度と、ネビルの探検にはついていかない」

 

「同感だよ・・・」

 

「けど楽しかっただろう?」

 

「どこが!」

 

ロンとハリーがそう言うとハーマイオニーも落ち着いたのか全員を睨んできた。

 

「あなた達、どこに目をつけてたの?あの犬が何の上に立ってたか、見なかったの?」

 

「床の上じゃなかった?」

 

ハリーがそう答えるとロンも頷いた。

 

「いや、仕掛け扉の上だったよ。あの犬は何かを守っているんじゃないかな?」

 

僕がそう返すと、ハーマイオニーは睨んでいる目を更に光らせて言った。

 

「さぞやご満足でしょう、あなた達。もしかしたらみんな殺されていたのかもしれないのに。もっと悪くて退学ね。では、お差支えなければ休ませていただくわ」

 

ハーマイオニーはそう言い残して、足早に女子部屋の方に歩いていった。

 

「なにをしているんだ?」

 

ハーマイオニーとすれ違うようにドラコが男子部屋から降りてきた。

 

「ドラコ!どこに行ってたんだよ!」

 

「あー、それは君達だろう?」

 

ドラコは何かを隠すかのように、そう言い返した。

僕とドラコが話をしている横で、ハリーがロンの脇を小突く。

 

「あー、マルフォイ。その、僕が悪かった。今までのことを謝りたいんだ」

 

ロンがドラコに対してそう言うと、ドラコは目を大きく見開いたが、その後でニヤリと笑って返事をした。

 

「気にするな、ウィーズリー。君はただ慎重になっていたんだ。それは大事なことだよ」

 

「ぼく、本当にごめん。その、良かったらなんだけど、ドラコって呼んでもいいかな?」

 

「もちろん」

 

2人は照れくさそうに笑っていた。

その後は全員でこっそり寝室に戻ってベッドにダイブしたのだった。

 

次の日の朝、ハリーとロンは昨夜とは打って変わって、素晴らしい冒険をした気分になっていた。三頭犬が何を守っているのかを興奮しながらこそこそと話していた。

僕にもその話を持ちかけてきたけど、僕はもちろん知っているので、興味がないふりをしたのだった。

 

ハーマイオニーが無視をすることをハリーとロンは嬉しそうにしていたけど、僕はハーマイオニーと仲直りしたいと思っている。

ドラコは、あの飛行訓練の日から、どこかちょっと様子がおかしい。

そうして日々を過ごしていると、ハロウィンまであっという間だった。




ハリーがクディッチの選手になるのは2年生からです。
ネビルの忘れっぽさがないと、言い争いになりません。
ドラコがグリフィンドールにいるのも要因のひとつです。

次回はハロウィーンです。お楽しみに。
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