霞と司令官の切ないラブストーリーです。短編です。


※台本形式です。
※あまりこういうものは書いたことが無いので自信はないです。
※この小説には実は自分の中で前日譚みたいなものがあるのですが、さきにこっちの方が完成してしまい、こっちだけで小説として昇華させた方がまとまりがよく感じたので一話にまとめさせていただきました。ご了承ください。

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司令官のくれたハンカチ

提督「ほら、これ」

 

霞「何よこれ」  

 

提督「ハンカチだよ。そのお前の誕生日にって」

 

霞「こんなの頼んだ覚えないわよ」

 

提督「いらないのか?」

 

霞「……一応貰っておくわよ。でも礼は言わないわよ」

 

提督「そうか。ありがとな」

 

霞「何であんたが礼を言ってるのよ」

 

提督「はは、何でだろうな」

 

霞「誤魔化すんじゃないわよ」

 

提督「おっとすまない。もうそろそろ仕事に戻らなくてはな。またな霞」

 

霞「……」

 

霞「……えらく不格好なハンカチね。縫ったのがバレバレじゃない。らしくないことすんじゃないわよバカ」

 

霞「ん?」

 

霞「このハンカチ、一回折り畳んだ後に一ヶ所以外糸で縫いつけて袋のような形になっているわね……何でこんなことしてるのかしら?」

 

霞「まあこんなハンカチ使うこともないだろうし、どうでもいいか」

  

 

 

 

 

提督「今日は霞のために手料理を作ってみたんがどうだ?」

 

霞「……これは何?」

 

提督「カレーだ」

 

カレー「」サラサラ

 

霞「ルーが全然溶けてないけど」

 

提督「はは、水分量間違ったか?」

 

霞「水分量間違ったってレベルじゃないわよこれは。どうやったらこんな味噌汁みたいなカレー作れるのよ」

 

提督「まあとりあえず食べてみてくれ。案外うまいかもしれない」

 

霞「食べたくないけどこれしか食べるものないし、仕方ないわね……」パク

 

提督「どうだ?」

 

霞「……分かってはいたけど、不味いわね」  

 

提督「そうか……」

 

霞「」パクパク

 

提督「その割には食べてくれるんだな」

 

霞「これしか食べるものがないからよ。残すのは義理じゃないし……最後まで食べるわよバカ」

 

提督「はは、ありがとうな」

 

霞「だから何であんたが礼を言うのよ……」

 

 

 

 

 

提督「霞、今度映画を見に行かないか?」

 

霞「何よ急に……」  

 

提督「ダメか?」

 

霞「仕事はどうするのよ?」

 

提督「休む」

 

霞「あんたなしで鎮守府回ると思ってんの?」

 

提督「代役をたてておいたから大丈夫さ」

 

霞「あてになるのかしらその代役ってのは」

 

提督「ああ、大丈夫だ。だから映画を見に行こう、な?」

 

霞「……」

 

提督「やっぱりダメか?」

 

霞「ダメなんて言ってないでしょ。しつこいわね、行くわよ」

 

提督「そうか、ありがとうな」  

 

霞「ふん」  

 

提督「実はもうチケットはとってあるんだが、気に入ってくれたら嬉しいよ」

 

霞「どんな映画?」

 

提督「ホラーだ」

 

霞「え?」

 

 

 

映画視聴後

 

提督「はは、面白かったな。な?霞」

 

霞「……」

 

提督「霞?」

 

霞「べ、別にビビってなんかないわよ。ほんの少し驚いただけであんなの全然ホラーでもなんでもないわ!」

 

提督「ん?俺は一言も霞がビビってるなんて言ってないぞ?」

 

霞「うるさいわね!そもそも何でホラー映画をチョイスしたのよ!バカなんじゃないの!?」

 

提督「いや霞って強気な性格をしてるだろ?だから恋愛とかコメディ映画より刺激のあるホラー映画の方がいいと思って」 

 

霞「刺激強すぎでしょ!何でr-15指定のスプラッターシーン見せられなきゃいけないのよ!しかもあんた途中で席立ってどこか行っちゃうし!私、途中から一人で見てたんだからね!そのせいか何だか知らないけどちょ、ちょっと怖かったのよ……」ボソッ

 

提督「うん?何か言ったか?」

 

霞「な、何でもないわよ!」パシッ

 

提督「アウチ!」

 

 

 

 

 

提督「霞、明日どこかに出掛けないか?」

 

霞「ほんといつも急ね。予めこの日に決めておくとかないの?」

 

提督「すまない俺も時間がなくてな。どうしても明日がいいんだ。明日は出撃や演習もないし空いてるだろ?」

 

霞「空いてるけど……」

 

提督「よし、なら明日山に行こう。海や川よりあまり行くことのない山の方がいいだろ?もちろん代役は立てておいたから大丈夫だ」

 

霞「なんだか用意周到ね。まるでこの日に決めてたみたいに……」

 

提督「はは、あまり深いことは考えるな。とりあえず明日山行くぞ。いいな?」

 

霞「分かったわよ煩いわね」

 

 

 

 

ブーン

 

霞「あんた運転できたのね」

 

提督「意外か?」

 

霞「別に。普段のあんたしか知らないから新鮮に思っただけよ」

 

提督「そうか」

 

霞「で、山と行ってもどこ行くのよ」

 

提督「富士山だが?」

 

霞「は?」

 

提督「山と言ったら富士山に決まっているだろう。それ以外にどこがある?」

 

霞「まさか登るとか言わないでしょうね」

 

提督「いや登りはしないさ。ちょっと山の下腹を行ったり来たりして観光するだけだよ」

 

霞「そう、ならいいけど」

 

 

 

 

とある公園

 

提督「アイスクリームを食べよう。ほら霞の分も買ってきたぞ。バニラでよかったろ?」

 

霞「何でもいいわよ。早くよこしなさい」

 

提督「ほい」

 

霞「ふん」

 

提督「にしてもいつ見てもここの公園に咲いてるひまわりはいいな。ほら俺の身長よりもずっと高い。霞なんか小さいからこんな花畑の中で迷ったら探すのは難しいだろうな」

 

霞「うるさいわね!駆逐艦だから仕方ないでしょ!」

 

提督「はは、まあそれもそうか……」ゲホッゲホッゲホッゲホッ

 

霞「ちょっと何よ。風邪?」

 

提督「ああちょっとな……すまんが少しこの辺りで待っててくれないか?トイレに行ってくる」

 

霞「この辺りってこんなひまわり畑の中で?この中じゃどこにいるのかなんて分からないでしょ」

 

提督「大丈夫だよ。すぐ戻ってくる。それに俺ならお前をすぐに見つけられる自信があるからさ。な、待っててくれ」

 

霞「分かったわよ……」

 

提督「じゃ行ってくる」タッタッタッタ

 

霞「……」

 

霞「……はぁ」

 

霞(まったく、こんなところまで引っ張り回してまた一人にさせるんだから、とんでもない男ね。それにしてもあの咳の仕方……本当に風邪かしら?)

 

 

 

 

十分後

 

霞(すぐ戻ってくるなんて見えきった割りには随分と私を待たせてくれるようね。本当にとんでもないグズねあいつは……どこほっつき歩いてんのよ。さっきから人に会うたびに恥ずかしいったらありゃしないわ)

 

霞(ん?あれは……)

 

ブーンブーン

 

霞「は、蜂!?い、いや!」タッタッタッタ

 

 

霞「ハァハァハァ」

 

霞(随分と走り回っちゃったけどここまで来ればもう大丈夫かしら?)

 

霞(それにしてもこのひまわり畑広すぎるのよ。ほんと迷路みたいだわ)

 

霞(ところでここは今何処なのかしら?どこを見てもひまわりで自分がどこにいるのかなんて分かりゃしないわ)

 

霞(というかあいつは何やってんのよ早く来なさいよ全く……)

 

霞(……)

 

 

 

ミーンミンミンミンミーン ミーンミンミンミンミーン

 

 

 

霞(……何だろうものすごい疎外感を感じる。まるで小さい頃に両親とはぐれて一人迷子になったような、そんな感覚)

 

霞(本当に何があったんだろう……普通はここまで時間かからないわよね?まさか誰かの手によってなんてことはないわよね……それとも事故かしら?)

 

霞(遅い……遅い……)

 

霞(まさかもう帰ってこないなんてこと……)

 

霞(…………うっ)

 

霞「早く戻ってきなさいよ……」ジワッ

 

提督「あっこんなところにいた!やっと見つけたぞお前!」ハァハァ

 

霞「あ、あんた!?」ゴシゴシ

 

提督「ったく移動するなって言ったろ?お陰でこちとら別の場所も探しに行っちまったじゃないか」

 

霞「……」

 

提督「ん?何だ目が赤いぞ?泣いてたのか?」

 

霞「な!?んなわけないでしょバカ」ポコッ

 

提督「ぶべら!」

 

霞「いいから次行くわよ!こんなとこにいたらまた蜂に遭遇するかもしれないし」

 

提督「蜂?そうか……お前蜂に遭遇してここまで逃げてきたのか」

 

霞「煩いわね!いいから行くわよ!」

 

 

霞(その後、私はあいつと富士山の五湖を巡ったり、風穴に入ってひんやりとした空気を感じたり、最後は温泉に入ってのんびりとした一日を過ごした)

 

 

 

 

帰宅後

 

提督「はぁ疲れたな」

 

霞「そうね」

 

提督「でも楽しかったろ?」

 

霞「否定はしないわ」

 

提督「ふふ、随分と素直になったなお前」

 

霞「な、何よ!」

 

提督「以前のお前なら多分そこで全然楽しくなんかないわよ!くらいのこと言ってたと思うぞ」

 

霞「べ、別にこんなとこで嘘ついたって仕方ないでしょ?だから本音を言っただけ。楽しくなかったら楽しくないってはっきり言うわよ」

 

提督「ふふ、そうか」

 

霞「何、一々笑ってるのよ。気色悪いわね」

 

提督「霞、今日はありがとうな」

 

霞「だから何であんたが礼を言うのよ……」

 

提督「おかしいか?」

 

霞「その台詞はあんたの台詞じゃないでしょ」

 

提督「じゃあ誰の台詞なんだ?」

 

霞「……知らないわ」

 

提督「はは、霞は意地悪だなぁ」

 

霞「ふん。それよりもう夜遅いし、私は自分の部屋に行くわ」

 

提督「そうだな夜も大分深まっているし。ここでお別れだな。じゃあまたな」

 

霞「……またね」ボソッ

 

提督「……」ニコニコ

 

霞「ふん」スタスタスタ

 

ガチャン

 

 

 

 

満潮「最近、あんた司令官とよく出掛けに行ってるけど二人で何したりしてるの?」

 

霞「別に……」

 

荒潮「なになに、お姉ちゃんたち気になっちゃうなぁ」

 

霞「な、何でもないわよ!」

 

荒潮「もう、素直じゃないんだからぁ」

 

満潮「まあ、あんたが司令官とどこ行ってようが私には関係ないけど、あまり恋愛に現を抜かして戦闘が疎かになったら困るわ。気を引き締めなさい」

 

霞「恋愛って……そんなんじゃないわよ」

 

満潮「でもあんた司令官と出会ってから大分丸くなったじゃない」

 

霞「そ、そんなことないわよ」

 

満潮「いやそんなことあるわね。だってほら、今あんたとても幸せそうだもの」

 

霞「え?」

 

荒潮「うんうん、それは荒潮も思ってたわぁ。霞ちゃん、普段しない顔をしたりするんだもの」

 

霞「な、な……」

 

満潮「まあ、あんたが幸せになるのは何よりだわ。あんた達がデキたら私は素直に祝ってやるわよ」

 

霞「ちょ!な、何を言ってるのよ!そ、そんなことあり得ないわよ!バカ!」

 

荒潮「ふふ、霞ちゃんかわいい」

 

霞「うるさぁぁい!」

 

\キャハハウフフ/\ハハハハハハ/

 

 

 

霰「……」

 

 

 

 

コンコン

 

霞「霞よ。失礼するわ」

 

ガチャン

 

霞「バカ司令官、この前の出撃の資料持ってきたわよ」

 

霞「っていないじゃないの……まったくどこ行ってるのよ」

 

霞「まあいいわ。机の上に置いて立ち去ろう」

 

霞「……ん?何かしらこれ……ノートが開かれたままじゃないの。ほんと不用心ね」

 

 

映画を見に行く  スラッシュ

 ホラー? アクション

 (七月中)

 

山に行く 7.25 スラッシュ

 ↑

 富士山、南アルプス?

 

手料理  スラッシュ

 カレーの作り方を間宮に教えてもらう

 

プレゼント 6.28 スラッシュ

 ↑

 編み物? ハンカチ

   鳳翔に教えてもらう

 

遊園地 

 ↑八月中行けたら

 

プール

 ↑行きたい 

 シーパラ?

 

スカイダイビング、バンジー

 ↑許可降りれば……

 

沖縄 8.28-8.30 予約済み

 国際通り→水族館→旅館→二日目……

 

 

 ↑必ず!絶対!

 

 

霞「これって……あいつと私が行った場所……?それにこれから行く予定のところを書いてある……」

 

霞「てか沖縄の予約済みってもう行くの決定してるのね。何勝手にやってんのよ……」

 

霞「でもこういうの不器用なあいつらしいわね」

 

霞「ふふ」

 

霞「ん?最後に書いてあるやつだけ上に紙がテープで貼られてて見ることができないようになってる……」

 

霞「……」

 

ソォッート

 

霞「……やめた。不器用なあいつだもの。多分ここには特大スペシャルなことが書かれてるんでしょ」

 

霞「まあ、楽しみって訳じゃないけど見ないでおいてあげるか」

 

ガチャ

 

霞「!」

 

提督「なんだ霞居たのか」

 

霞「え、ええ。こ、この前の出撃の資料を持ってきたんだけど、あんたが見当たらなかったから机の上に置いといたわ」

 

提督「ああすまない、ありがとうな」

 

霞「別に礼を言われることではないわよ」

 

提督「ふふ、そうか」

 

霞「……じゃあ私はもう行くわ」スタスタスタ

 

提督「あっ待ってくれ霞!」

 

霞「何よ?」

 

提督「今度の日曜、遊園地に行かないか?」

 

霞「……」

 

提督「……ダメか?」

 

霞「はぁ、仕方ないわね」

 

霞「いいわよ」ニコッ

 

 

 

 

遊園地

 

霞「きゃっ」

 

提督「お前、意外と高い声出すんだな」

 

霞「う、うるさいわね!そ、それよりもあいつこっちに来てるわよ。何とかしなさいよ」

 

提督「何とかってあの人達は怖がらせるのが仕事なんだよ。俺たちは十分に怖がってやればそれでいいんだ」

 

霞「な、何よそれ!」

 

ガオー

 

霞「きゃっ」

 

提督「でも大絶叫しないところはさすが霞だな」

 

霞「感心してないで何とかしなさいよ!きゃっ」

 

 

 

 

プール

 

提督「水着!水着!」

 

霞「……//」カァ

 

提督「おお!!いいぞ霞!!かわいらしいフリフリなんかしちゃってぇ。お前にしては大分攻めたじゃないか!」

 

霞「わ、私が選んだ訳じゃないのよこれは!あ、荒潮が勝手に……」

 

提督「でも買ったのはお前だろ?」

 

霞「うっ」

 

提督「はっはっは。まあ霞も女の子だ。もっと恥ずかしがらずに素の自分の出していけばいいさ」

 

霞「うるさいわねっ!こんなの恥ずかしいに決まってるでしょ!ろ、露出が多すぎるのよ!」

 

提督「いや、女の子はやっぱ露出が多くなきゃな!ほら、見ろ。この水着が尻に食い込む様なんか絶景だ」ソローリソローリ

 

霞「なに触ろうとしてんのよ?」ガシッ

 

提督「あれ?バレた?」

 

霞「バレたじゃないわよこの変態!」バコーン

 

提督「ぎゃあああ」

 

バッシャーン

 

霞「ふん!」

 

 

 

 

スカイダイビング

 

提督「流石にスカイダイビングは許可が降りなかった……」

 

霞「当たり前でしょう?あんたはバカだけど一応司令官なのよ?それで飛び降りてそのまま死んじゃったらどうするのよ?もう少しは自分のことを考えなさいよね!」

 

提督「そりゃそうか。考えてみればそうだな。まあ、でも俺はそれで死んでも本望だけどな」ニコッ

 

霞「ば、バカ言わないでよ!あんたは本望だとしてもこっちは……」

 

提督「ん?こっちは何だ?」

 

霞「うるさい!」

 

提督「霞はほんとに意地悪だなぁ」ニコッ

 

霞「笑顔で言う台詞じゃないでしょ。気持ち悪いわね」

 

提督「仕方ない。今日は一日中お前と一緒にいてやろう」

 

霞「は、はぁ!?な、何でそうなるのよ!?」カァ

 

提督「お前顔真っ赤だぞ?」

 

霞「違っ!こ、これは……!」

 

提督「ははは、可愛いやつだなお前は」

 

霞「……//」カァ

 

提督「!」  

 

霞「でも一日中は無理よ。私だって今日出撃はないけど霰の演習指導に行こうと思ってるし。だからその……昼以外の時間ならいくらでも……」チラッ

 

提督「」ゲホッゲホッゲホッゲホッ

 

霞「ちょ、ちょっと大丈夫?ね、ねえ!」

 

提督「はぁはぁ、大丈夫だ……」ニコッ

 

霞「全然大丈夫じゃないわよ!ち、血吐いてるじゃない!」

 

提督「はは、朝飲んだトマトジュースかなんかじゃないか……?」ゲホッゲホッ

 

霞「バカ言わないでよ!早く医務室に……」アワアワ

 

提督「……」ドン

 

霞「ひっ」

 

提督「大丈夫だよ霞。俺は大丈夫だ。だから……心配すんな……」

 

霞「し、司令官……?」

 

提督「……」ジー

 

霞(ち、近い……!)

 

提督「……」ジー

 

霞「……」ドキドキ

 

提督「いや、すまない。忘れてくれ」

 

霞「……」

 

提督「……少しトイレに行ってくる」

 

霞「あ、ちょ……」

 

バタン

 

霞「……」

 

霞「何よ何なのよ……」

 

 

 

 

霞「」ソワソワ

 

霰「どうしたの霞?何だか落ち着いてないようだけど」

 

霞「いや、その……」

 

霰「もしかして提督のこと?」

 

霞「知ってるの!?」ガバッ

 

霰「お、落ち着いて……」

 

霞「あっ、ごめん……」

 

霰「いいよ。霞の言いたいことは分かる。今朝の提督の吐血のことでしょ?」

 

霞「ええ、ちょっとびっくりしちゃって……」

 

霰「あれはね病気なんだよ」

 

霞「病気?」

 

霰「うん。悪い病気」

 

霞「……治るのよね?」

 

霰「」フリフリ

 

霞「じょ、冗談でしょう?だってあいつ、この前まですごく元気そうに……」

 

霰「それはそう振る舞ってただけ。霞の前では辛い姿見せたくないからって」

 

霞「そんなの嘘よ」

 

霰「嘘じゃないよ。全て現実」

 

霞「嘘よ」

 

霰「霞……」

 

霞「嘘……嘘!嘘!嘘!嘘!!嘘なんだからそんなの!私は信じないんだから!あいつは……司令官は……!」

 

ガチャン

 

提督「おっ、ここにいたか。さっきはすまないな霞。やっぱあれ、トマトジュースだったみたいだ。いやあ、口からトマトジュースとかどんなドッキリだよと思うかもしれないだろ?本当にあるんだなこれが。ん?霞?どうした?」

 

霞「」モギュ

 

提督「えーと、これは……」

 

霞「嘘よね司令官?病気だなんて」

 

提督「は?病気?いやだからトマトジュ……」チラ

 

霰「……」

 

提督「……はぁ、そうか。そういうことか」

 

霞「?」

 

提督「ああ、そうだよ。俺は病気を患ってる」

 

霞「!」

 

提督「不治の病だよ。現代の医療でも治せない」

 

霞「そんな……」

 

提督「余命もそんなに長くはない……」

 

霞「……」

 

提督「明日にでも死んでるかもしれないな、なんつって」

 

霞「どうして……言ってくれなかったの?」

 

提督「……すまん」

 

霞「すまんじゃない!!どうしてもっと早く言ってくれなかったの!?」

 

提督「……」

 

霞「もっと早く知ってたらあんたを助けられたかもしれないのに」

 

提督「……」

 

霞「もっと早く知ってたらあんたにもっと素直になれたのに」ポロ

 

提督「……」

 

霞「もっと早く知ってたらあんたともっと一緒にいたのに」ポロポロ

 

提督「……」

 

霞「もっと早く知ってたら……!もっと早く知ってたら……!」ポロポロ

 

 

提督「……すまん」

 

霞「うわああん」ポロポロ

 

霰「……」

 

 

 

 

 

提督「じゃ後は任せた」

 

代行「あいよ」

 

霞「いつも悪いわね」

 

代行「いいんだよ。旧友の病気とあっちゃ俺が出ない幕はねえからな」

 

霞「ええ」

 

提督「あいつらをよろしく頼むな」

 

代行「ああ、任しとけ。俺が責任持って預かるから。お前らは好きなだけ楽しんでこいや」

 

提督「ああ」

 

霞「たった三日間だけどお願いね」

 

代行「あいよ」

 

提督「じゃ、行ってくる」

 

代行「提督!」

 

提督「ん?」

 

代行「無理すんなよ」

 

提督「ふっ、ああ」

 

提督「じゃ、行ってくる」

 

代行「おう、いってら」

 

ガチャン

 

代行「……」

 

代行「霞ちゃん、まだあいつのこと司令官だと思ってるのかな……」

 

 

 

 

沖縄

 

霞「ねえ本当に大丈夫なの?」

 

提督「大丈夫大丈夫!ほら俺体ピンピンしてるから!!」ガッツ

 

霞「車イスに乗って言う台詞じゃないでしょ……」

 

提督「はっはっは、それもそうだな。いやあまさか本当に沖縄行けちゃうだなんてなぁ」

 

霞「あんたが沖縄行けたのは代行の人が話分かってくれるいい人だったからでしょ。帰ったらちゃんと感謝しときなさいよ」

 

提督「ああ、もちろんだ」ニコッ

 

霞「」ドキッ

 

提督「ん?なに赤くなってるんだ?」

 

霞「う、うっさいわね。とっとと行くわよ」タッタッタ

 

提督「っておい!俺を置いてくなぁー!」

 

 

 

 

ある水族館

 

提督「はぁ、ひどい目にあった……」

 

霞「あ、シロイルカかわいい」ホワホワ

 

提督「……」

 

霞「ん?何よ?」

 

提督「いや、そんな顔もするんだなと」

 

霞「うっ、そりゃするわよ。私だって今日は楽しみに……してきたんだから」

 

提督「ふふ、そっか」

 

霞「何よ?おかしい?」

 

提督「いや全く。さて、俺も楽しむとするかね」トントン

 

霞「何よその手」

 

提督「車イス押してくれないか?」

 

霞「……言われなくてもするわよ」

 

提督「ありがとう」

 

霞「一々礼を言わなくていいわよ」

 

カラカラ カラカラ

 

提督「そう言えばさ」

 

霞「なに?」

 

提督「お前俺の作ったハンカチ使ってる?」

 

霞「使ってない」

 

提督「いや使えよ」

 

霞「使えないわよ勿体なくて」

 

提督「勿体ない?何で?」

 

霞「そ、それは……一応よ一応」

 

提督「一応?よく分からないな。それよりそのハンカチ今持ってるのか?」

 

霞「ええ」

 

提督「貸してみろ」

 

霞「はい」

 

提督「……」スッ

 

霞「?」

 

提督「ほい」

 

霞「何したの?」

 

提督「まじないだよ。霞がこのハンカチを使ってくれますようにっていうまじない」

 

霞「何よそれ」

 

提督「これでお前はこのハンカチのことを思い出して使うことになるからな」

 

霞「どうだか」

 

提督「まあ、使わなかったら霞に一週間水着で過ごしてもらうけどな」

 

霞「ちょ、何よそれ!」

 

提督「はは、冗談冗談。本気にするな。それより、なんかあっちの方でショーやるみたいだぞ。見に行こう!」

 

霞「あ、ちょっと!はぁ、本当無鉄砲なんだから」

 

 

 

 

 

提督「うおお、すごいな。あのお姉さん、イルカの上に立ってるぞおい」

 

霞「あんた、イルカショー知らないの?あれは結構どのイルカショーでもやってるわよ」

 

提督「俺は初めて見たぞ」

 

霞「え、そんなことある?」

 

提督「やばい!こっちの方に来るぞ」

 

霞「大丈夫よ、別に水から飛び出すわけじゃないんだから」

 

提督「わああ、水飛沫が」

 

霞「え?」

 

バッシャーン

 

提督「……」ビチョビチョ

 

霞「……」ビチョビチョ

 

 

 

 

ホテルにて

 

ハックション

 

霞「ああ最悪……」ズズー

 

提督「今日はとても楽しかったな」

 

霞「能天気ねほんとに」

 

提督「当たり前だろ。これが最後の旅行になるかもしれないんだぞ」

 

霞「!」

 

霞「そうだったわね……」ションボリ

 

提督「だから俺は楽しむよ。どんなことがあっても楽しいと思うことが大事だ」

 

霞「……」

 

提督「明日も楽しもうな霞」

 

霞「ええ……」

 

 

 

 

提督「」スピースピー

 

霞「……」

 

提督「」スピースピー

 

霞(司令官との最後の旅行……私がしっかりしなきゃ……私がしっかりしなきゃ……)

 

提督「」スピースピー

 

 

 

 

 

首里城

 

霞「ねえ、大丈夫なの?階段登れるの?」

 

提督「平気平気。超余裕だから」

 

霞「結構段数あるけど……」

 

提督「だから余裕のよっちゃ……」グラ

 

霞「危ない!」

 

モギュ

 

提督「ふぅ、死ぬとこだった……」

 

霞「馬鹿!本当に死ぬとこだったじゃない!何やってるのよ!!」

 

提督「す、すまんて。もう調子乗らないから」

 

霞「バカァ」グス

 

提督「はぁ、楽しみにしてたけど首里城は諦めるか」

 

霞「……」

 

提督「さて、行くぞ霞。ん、霞?どうした行くぞ?」

 

霞「……乗りなさい」

 

提督「は?」

 

霞「私の背中に乗りなさいって言ってんの!」

 

提督「いやいや無理だろ。俺、65キロあるぞ?」

 

霞「いいから早く!」

 

提督「……どうなっても知らないからなっと」

 

霞「ぐっ」

 

提督「やっぱ重いだろ?」

 

霞「余裕、超余裕よ」ゼーハーゼーハー

 

提督「おい息上がってるぞ」

 

霞「いいからちゃんと私にしがみついてなさい!ぐっ!」

 

提督「大丈夫かよ……」

 

 

 

 

 

霞「」ゼーハーゼーハー

 

提督「よく辿り着いたよなお前……」

 

霞「当然でしょう?駆逐艦のパワー舐めるんじゃないわよ」ゼーハーゼーハー

 

提督「ま、それもこれも心優しい外国人の観光客がお前のこと見かねて一緒に手伝ってくれたお陰だけどな!センキュー!グッバイ!」フリフリ

 

外国の方「」フリフリ

 

霞「」ゼーハーゼーハー

 

提督「おいおい、いつまで息切らしてんだ。行くぞ?」

 

霞「え、ええ……」

 

霞(あれ?なんだろ?急に視界が回って……)

 

提督「おい霞?霞?」

 

霞「」バタッ

 

提督「霞!おい霞!しっかりしろ霞!」

 

 

 

 

 

霞(あれ、ここどこだろう……天井が見える……私、一体……)

 

提督「起きたか?」

 

霞「司令官……ここは?」

 

提督「旅館だよ。引き返してきたんだ」

 

霞「何で」

 

提督「何でも何もお前、熱中症で倒れたんだよ。記憶にないか?ったく心配かけさせんなって言ったのはどこの誰だよ」

 

霞「……」

 

提督「しばらく安静にしてろ。今、ポカリ持ってくるから飲め」

 

霞「ごめんなさい……」

 

提督「謝るなよ。お前は俺のわがままに付き合ってもらってるだけだからな。よっこらしょういちっと」グラ

 

霞「ちょっと!」

 

提督「はは、余裕余裕」

 

霞「……」

 

提督「ほら」

 

霞「……ありがとう」

 

霞「」グビクビ

 

提督「どうだ?少しは違うか?」

 

霞「ええ、大分違うわ」

 

提督「そっか」

 

霞「ねえ、あんたどうやって私をここまで運んできたの?」

 

提督「さっきの外国の方だよ。いやあ、優しい人だったなぁ。急いでその場で応急処置してくれて、タクシーも呼んでくれたよ」

 

霞「へえ、そんな優しい人もいるのね」

 

提督「ああ、今度あったら是非ともお返しがしたいところだな」

 

霞「そうね……」

 

提督「ああ」

 

霞「……」ポロ

 

提督「!」

 

霞「……」ポロポロ

 

提督「な、何泣いてんだよ急に」

 

霞「もう時間がないのに……こんな、私がこんなんじゃ情けないなって……」ポロポロ

 

提督「ばか、変に責任感じてるなよ。お前のせいじゃないって……迷惑かけたな」モギュ

 

霞「!」

 

霞(司令官の腕の中、温かい……)

 

霞(いつまでもこうしていられたらいいのに……)

 

霞(司令官……)

 

霞「」スースー

 

提督「眠ったかな?」

 

提督「さて、俺は少し出掛けるとするか」

 

提督「最期に最高のプレゼントをあいつにあげなくちゃな」

 

 

 

 

その日の晩

 

提督「さて、熱中症が治ったら明日も楽しむぞ霞。あっ水分補給は忘れないようにな!」

 

霞「分かってるわよ」

 

提督「あっあと霞、しっかり寝ろよ」

 

霞「あ、当たり前よ」

 

提督「お前、昨日全く寝てなかっただろ?ずっと俺の側に付きっきりでさ。最後の旅行になるかもしれないとは言ったが、そう簡単に死んでたまるかってんだ。俺は大丈夫だ。だから、安心して眠ってくれ」

 

霞「分かったわよ……」

 

提督「じゃあ、おやすみ霞」

 

霞「ええ、おやすみ司令官」

 

 

 

 

 

国際通り

 

カラカラ

 

提督「へえ、ほら見ろこれ。砂とか売ってるぞ。沖縄の砂ってきれいなんだな。おーあのTシャツ。俺の人生だほっとけだってさ、着るの恥ずかしいだろうな」

 

霞「それよりもお土産でしょ。皆が鎮守府で頑張っている間に休暇もらってるんだから」  

 

提督「へいへい」

 

霞「まったく、あんまりはしゃがないでよ。はしゃいでもろくなことにならないんだから」

 

提督「分かってるって。おっ、あそこソーキそばやってるみたいだぞ!おい、食べに行くぞ!」

 

霞「本当に分かってるのかしら……」

 

 

 

 

 

霞「重い……」

 

提督「ははは、たくさんお土産買いすぎてしまったなぁ」

 

霞「買いすぎでしょ。中国人の観光客じゃないんだから」

 

提督「大丈夫か?持とうか?」

 

霞「大丈夫よ余裕よ」

 

提督「……また熱中症とかになったりしないよな?」

 

霞「なっ!ちゃんと水分補給したし、昨日もちゃんと眠ったから大丈夫だってば!」

 

提督「なら安心だな」

 

霞「それよりあんた。鎮守府帰ったらちゃんと皆に礼を言っときなさいよね。いつもいつも休暇もらってばかりなんだから」

 

提督「はは、そうだな……」

 

霞「そうよ。まったくもう」

 

提督「なぁ霞。心して聞いてくれ」

 

霞「な、なによ急に」

 

提督「俺さ、もうあの鎮守府の司令官じゃないんだよ」

 

霞「え?」

 

提督「」コク

 

霞「司令官じゃないって、あんたは司令官でしょ……?」

 

提督「ああ、司令官だった。でも今は一般人だ」

 

霞「……」

 

提督「こんな体だろ?だから、もう提督業は実はとっくのとうに辞めてんだ。流石にいつまでも病体引き摺ってできる仕事ではないからな。今いてくれる代行の奴にずっと前から任せてたんだ。だから今はあいつが提督であり、あいつがお前の司令官だ」

 

霞「……」

 

提督「言うのが遅くなってすまんな。お前が悲しむかと思って言わなかった」

 

霞「……悲しまないわよ」

 

提督「そうか」

 

霞「まあ、当然よね。何となく分かってたわ」

 

提督「……そうか」

 

提督「……すま」

 

霞「待って」

 

提督「?」

 

霞「そこは今日はありがとうじゃないの?」

 

提督「え……?」

 

霞「分からないならいいわ……」

 

提督「……」

 

提督「霞」

 

霞「なによ?」

 

提督「今日はありがとうな!」ニコッ

 

霞「……」ドキッ

 

霞「それはあんたの言う台詞じゃないでしょ」

 

提督「じゃあ誰の台詞なんだ?」

 

霞「さあ、誰かしらね?」フフッ

 

提督「ほんと、意地悪だなぁお前は」

 

霞「司令官」  

 

提督「ん?」

 

霞「好き」

 

チュッ

 

提督「え?」

 

霞「……」カァ

 

提督「お、おま……」

 

霞「さっ、早く行くわよ。飛行機来ちゃう」タッタッタ

 

提督「マジかよ……」ドキドキ

 

 

 

 

 

霞(あれから司令官は入院生活に入った。様々な延命治療が行われ、日に日に司令官の顔色は悪化し、痩せ細っていった)

 

霞(私はそんな司令官を見るのがとても辛かったけど、彼の前ではいつもの私で振る舞ったつもり。だって、いつ彼の最期になるか分からないのだから)

 

霞(夏が終わり、秋がやって来た。窓の外には色づいた葉が鮮やかに彩り、地面には紅葉の絨毯が出来上がっていた)

 

霞(そんなあるときのことである)

 

 

 

カラカラ

 

霞「本当によかったの?外に出ても」

 

提督「ああ、いいんだ。どうせ長くない命だからな。自分の命は自分の好きなように使わせてもらうさ」

 

霞「そう」 

 

提督「鎮守府、どうだ?何か変わりあるか?」

 

霞「まあ……特にないけどね」

 

提督「そうか。ならよかったよ。あいつ、いい奴だろ?」

 

霞「今の司令官のこと?まあ、悪い人じゃないわね。よくやってると思うわ。艦娘たちに聞き込みしてあんたの代わりになろうとしてるみたい。そんなの無理なのにね」

 

提督「無理でもあいつはやるんだよ。口は悪いがすごい努力家だ。俺なんか当然のように超えていくだろうな」

 

霞「そう?まあ、全然期待してないけど」

 

提督「少しぐらいは期待してやれよ」

 

霞「いやよ、口悪いし」

 

提督「はは、あいつもお前に言われちゃうとはな」

 

霞「な、なによ……私、口悪くなんかないでしょ?」

 

提督「さあ、どうだかな」

 

霞「何よもう!」

 

提督「はははは」

 

 

 

提督「霞」

 

霞「何よ」

 

提督「この辺りで止めてくれないか」

 

霞「分かったわ」

 

カラカラ キキ

 

提督「綺麗だな紅葉」

 

霞「そうね」

 

提督「霞、沖縄行ったときのお前の告白の返事の話なんだけど」

 

霞「ず、随分と急ね」カァ

 

提督「返事、明日でもいいか?」

 

霞「え?」

 

提督「明日お前の進水日だろ?その日に返事がしたいんだ」

 

霞「そういえばそうだったわね」

 

提督「返事、期待しててくれ」

 

霞「そうね。それは期待しておいてあげるわ」

 

提督「ありがとう霞」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霞(それが私が最期に見た司令官の笑顔だった。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霞(司令官は翌日の朝に亡くなった。それは、私に告白の返事をする前であった。死に顔はとても安らかなものだった。まるで苦しさなど微塵にも感じさせない綺麗な顔だった)

 

霞(彼の死後、私と鎮守府の艦娘たちは葬式に参列した。遺影には彼のとびきりの笑顔の写真が飾ってあって、とても彼という人物をよく表しているなと思った)

 

霞(式の後、私は満潮たちと合流した)

 

 

 

 

荒潮「」グスグス

 

満潮「ちょっと、あんたどんだけ泣いてるのよ」

 

荒潮「だってだってぇ……」ポロポロ

 

満潮「司令官がこうなるのは分かってたことでしょ。いつまでもメソメソしてないの」

 

霰「そういう満潮は司令官が亡くなった当日、誰よりも泣いていたと思うけど」

 

満潮「うっ……悲しいときは誰だって涙するものよ。仕方のないことだわ」

 

霰「じゃあ今は悲しくないと?」

 

満潮「そんなんじゃないわよ。できるだけ司令官のことを考えないようにしてるだけで、いざ考え出したら……」ポロ

 

荒潮「うわああん」ポロポロ

 

満潮「うっうっ」ポロポロ

 

霰「やっぱり悲しいのは皆一緒だね。霞」

 

霞「」ポロポロ

 

霰「!」

 

霞「」ポロポロ

 

霰「霞?」

 

霞「えっ」ポロポロ

 

霰「涙、流れてるよ?」

 

霞「あ、やだ。無意識に流してたんだ私」

 

霰「はいハンカチ」

 

霞「ありがとう」

 

霞「……」

 

霞(そう言えば……)

 

霰「ん?どうしたの?使わないの?」

 

霞「ええ、確かハンカチがあったはずだから」

 

霰「そうなの?」

 

霞「ええ、確か自分のポケットにずっと入れっぱなしだったから、これ」

 

霰「何か不格好なハンカチだね」

 

霞「ふふ、司令官が作ったのよ?」

 

霰「えっ、作れたんだあの人」

 

霞「全然だけどね」

 

霞(私は霰の言葉にそう言って、その不格好なハンカチで涙を拭った。すると驚いたことに涙を拭った箇所に文字が表れてきた。私は他の箇所でも涙を拭うとやがてそれは一つのメッセージとなって浮かび上がった)

 

 

 

"ありがとう霞"

 

 

 

霞「いつものあいつの言葉ね……」

 

霞「本当ならその台詞はあいつに私が言いたいぐらいなんだけど……」

 

霰「ん?そのハンカチ何かはみ出してるよ」

 

霞「あれ?本当だ。何か紙がはみ出してるわね。て言うかいつの間にこんなものが入ってたのかしら」

 

霞「どれどれ。病室、一番上の引き出し……って何これ?」

 

霰「病室……司令官の病室のことかな?」

 

霞「……」

 

霰「行ってみたらどうかな?」

 

霞「いいの?」

 

霰「いいも何も司令官が霞に託したんでしょ。いいから行きなよ」

 

霞「……うん行ってくる」タッタッタ

 

 

 

 

霰「……」

 

霰「司令官、死んじゃったんだよね」

 

霰「司令官……」ポロポロ

 

 

 

 

 

霞「すみません、まだこの部屋入れますか?」

 

看護婦「あなたは提督さんのとこの……ええ、まだ入れるわよ」

 

霞「ありがとうございます」

 

看護婦「忘れ物かしら?」

 

 

 

霞「引き出し……引き出し……」

 

霞「一番上の引き出し……」

 

ガラッ

 

霞「箱と手紙がある……」

 

霞「まずは手紙から読もうかしら」

 

 

 霞へ

 

 これを読んでいるということは俺が死んでるか、俺が生きてるうちにお前に告白の返事ができたかのいずれだろうな。だが、今回は前者の方で話を進めさせてもらうぞ。後者ならその場でお前に思いを告げるからな。だから、この手紙は俺が死んじまった世界へのお前あてのものだ。

 

 で、早速返事の内容なんだが、正直お前から言ってくると思わなかったからビックリしてる。完全に俺から言うつもりだったからな。だから、

せめて手紙の中だけでは俺から言ったことにさせてくれないか?なんか格好つかなくてさ……

 

 まず、箱の方を開けてくれ。

 

 

 

 ……開けたか?箱の中身は結婚指輪だ。沖縄行ったときにこっそり買ったんだ。死ぬかと思ったけどな笑。まあ、気に入ってくれたら嬉しい。

 ……じゃあ、言うぞ?

 

 

 

 

 ”霞、お前のことが好きだ。結婚してください”

 

 

 

 

 死んでしまった後にこんなこと言うのは罪かもしれない。結婚もできないし、好きという気持ちも直接は伝えられない。でも、お前にはどうしてもこの気持ちを伝えたかった。

 

 これに対する返事はそっと心の中にしまってくれ。そして、いつかはその返事を別の誰かに返してやってくれ。俺はもうこの世に居ない人間だからな。俺以外に好きな人ができることを祈ってる。

 

 お前には辛い思いばかりさせてしまって本当にすまん。そして、今まで本当にありがとうな霞。お前には感謝しても感謝しきれないよ。

 

 もっと色々と書きたいが、俺の体調的にあまり長くは書けないんだ。許してくれ。

 

 じゃあな、元気でやれよ!

 

                                               提督より

 

 

霞「」ポロポロ

 

霞「こんな形で告白なんかされたら断れるわけ…ないじゃないバカァ……」ポロポロ

 

霞「大好き……司令官……」ポロポロ

 

霞「返事は心の中にしまえだって?無理よ、だって大好きなんだもん……」ポロポロ

 

霞「あぁほんと……何であんたなんかを好きになったのかしら……こんなに辛くて苦しいのに……」ポロポロ

 

霞「あんたが魅力的すぎるのがいけないのよバカ……」ポロポロ

 

霞「でも……」

 

霞「本当に……本当に……ありがとう司令官。私、あんたといれてすごい楽しかった。あんたと出会えてよかった。あんたと過ごした時は絶対忘れない」

 

霞「なにせあんたは……私の……私の……大好きな司令官なんだから!!」ニコッ

 

 

 

 

 

”ありがとう司令官、本当にありがとう”

 

 


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