彼女が唯一安心して眠れる場所…それは
学校の『保健室』だった
最近、私はよく保健室で授業をさぼる
コンコン
「はーい、どうぞ」
ガチャ
「先生~…寝かせてぇ…」
「来たなサボり魔…って、すごいクマ…今日も少しも寝てないの?」
「うん…もう…まったく…」
「しょうがない…ほら、ベッド行きな」
「わぁーい…」
「あー…先生…」
「わかってる、手…握ればいいんだよね」
「うん…ありがとう」
「おやすみ…沙弥(さや)ちゃん」
「おやすみぃ…先生」
ぐー
この子…沙弥ちゃんが、毎日のようにここ…保健室に通うようになったのは1ヶ月前
保健委員に運ばれて来た沙弥ちゃんは
顔色を真っ青にしてベッドに倒れ込んだ
「ありがと、ここは私に任せて、君は授業戻りな」
「…」
「うー…」
「大丈夫?お水飲む?」
「飲む…」
「落ち着いた?」
「はい…」
「えっと…」
「あ、佐藤 沙弥です…1年B組の」
「沙弥ちゃんね…沙弥ちゃん…顔色悪いけど…大丈夫?授業戻れそう?」
「…」
「とりあえず熱はかろっか?はい」
そう言って私は、女生徒に体温計を渡した
ピピピピピピ…
「ん、熱はないみたいね」
「とりあえず…ベッドで横になりな、こういう時は寝るのが1番だからね」
「…」
「…私…寝たくないです…」
「え…どうして?」
「怖い夢を…みるので…」
「もしかして…そのせいで最近眠れてない?とか?」
「…はい…お恥ずかしながら…」
「そっか…それは大変だね…でも、寝ないっていうのは体によくないからなぁ…そんなに怖い夢なの?眠れないほど」
「はい…」
「そっか」
ぎゅっ…
「え…」
「こうしてさ…私が手を握っててあげるから…さ…頑張って…寝れないかな?」
「…」
「すごい無責任かもしれないけど…大丈夫…私がついてるから…」
「…//////」
「顔…赤いけど…大丈夫?」
「あ…////」
「もしかして…照れてる?」
「あ…いや…/////」
「恥ずかしいなら、手は離すけど」
「あ…いえ…その…握っててください…先生の手…なんだか、暖かくて…安心します」
「そう?じゃあ、握っててあげる」
「はい…」
「寝れそう?」
「は、はい…私…寝ます」
「うん、がんばれ…」
そう言って私はその子の手を握った
気が抜けたのだろうか
気絶するようにスっと…
その子は眠りに落ちた
「あ…」
気がつくと午後6時を回っていた
何時間寝てたんだろ
こんなぐっすり寝たのは…久しぶりだ…
ふと、横を見ると
保健室の先生が私の手を握ったまま寝ていた
あ…
私…怖い夢を…見なかった…
「んー…んん…むにゃ…」
気持ちよさそうに寝ている先生を見て
私は頬が緩んだ
「ありがとう…先生のおかげです…」
それ以来
私は夜眠るのを我慢して、毎日保健室で寝るようにした
「でも、不思議だねぇほんと…私が手を握ると怖い夢をみなくなるなんて」
「… 」
「あ…寝ちゃった?」
「…」
「寝顔…可愛いなぁ」
「…」
「いい夢…みろよ」
ナデナデ
この保健室は
この子にとって憩いの場所になった
私にとっても…
沙弥ちゃんが来るたびに私の胸が高鳴る
すごく…ドキドキしてる
情けない…
生徒に恋するなんて…
教師失格だな…
そう思いつつも
私は沙弥ちゃんの頬にキスをして言った
「沙弥ちゃん…好きだよ…」
これが私の最近の楽しみ
ただの自己満足
叶わぬ恋の…
いや、絶対に叶っちゃいけない恋の…
心の穴を埋めるように
私は生徒にキスをする
卑怯だな…って自分でも思う
いつまでもこんなことしてちゃ駄目だって…
分かってるけど…
「…」ムクリ
「あ、沙弥ちゃん…起きた?」
「おはようごさいます…ふわぁ…」
「よく眠れたみたいね…」
「はい…今…何時?」
「4時」
「…はぁ…また午後の授業まるまるサボっちゃった」
「…」
「沙弥ちゃん…相談があるんだけど…」
「え?…なに?」
「先生…」
「ん?」
「やっぱ悪いよ…」
「いいっていいって、親御さんの了承も得たし」
「でも…」
「やっぱり…嫌?先生と寝るの」
「い、嫌じゃないけど…お仕事忙しいのに…こんな…」
「私がしたくてしてることなんだからいいの!」
「…うん…ありがとう」
「いーえ…」
夜
私の家
私の部屋
私のベッドの上で
私と先生は手を繋いで寝た
その日はとってもいい夢をみた
私がこの学校を卒業しても…
いつまでも先生が私の隣にいる
私が作った朝食を
美味しいねって…2人で笑いあっている
とても…幸せな夢
チュンチュン
「沙弥ちゃん…沙弥ちゃん」
「ん…先生…」
「おはよ…もう朝だよ」
「え!?わぁっ…先生!?……あ…そうか…えと…おはようございます…先生」
「私がいること忘れてた?」
「ビックリした…」
「あはは…」
コンコン
「おはよう沙弥、先生もおはようございます」
「おはようお母さん」
「おはようございます」
「どう?怖い夢…みなかった?」
「うん!それどころかとってもいい夢みれたよ」
「そう…よかった…先生…本当に…ありがとうございます」
「いえいえ!…私がやりたくてしたことですから…」
「よかったら、朝食食べていってください、沙弥も喜びます」
「じゃ、じゃあ…お言葉に甘えて」
「では、行ってきます」
「行ってきます」
「はい、いってらっしゃい…先生、沙弥のこと…お願いします」
「はい」
「先生、行こ!」
「うん」
「そういえば、さっき言ってたいい夢って…どんな夢見たの?」
「ん?んー…秘密」
「ええー…教えてよー」
「駄目ー…で、でも…まぁ…///そのうち教えてあげる」
「ほんと?じゃあ楽しみにしてるね」
先生は嬉しそうに私の手を握ってそう言った
終わりです
読んでくれてありがとうございました