真・恋姫†無双 - 王の側にて香る花を慈しむ者   作:ぶるー

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第十一話

 

南西の村に盗賊が出没したとの報を受け、討伐隊として使命された夏侯淵が準備を急ぐ。

最近盗賊の被害に会うことが多い状況もあって、素早く準備が完了した。

 

 

「準備整いました。いつでも出られます。」

 

王蘭が夏侯淵に報告する。

 

「うむ。他の者たちも用意はいいな?………総員、騎乗!!」

 

こうして報告のあった村に急ぐ夏侯淵隊。

 

 

 

村にたどり着き、無事盗賊たちを討伐。

許褚と出会った村の時と同様、何人かの敵兵はわざと逃し斥候兵を後からつけさせる。

 

 

それと同時に、村の人たちに盗賊たちが現れる前の状況を確認する。

 

「そう言えば、そんな旅芸人さんたちが村に来ておりましたのう………。可愛らしい娘らじゃったです。」

 

年若い者たちは盗賊になってしまったのであろう。

老人や女子供たちが多くいる村の状況だった。

 

「ふむ………。そうですか。ご協力感謝致します。」

 

そう言って王蘭は村の老人に礼を言う。

 

やはり旅芸人たちが訪れた村々で、盗賊の被害にあっている事が確認された。

もはやここまでくれば、偶然とは言い難い。いよいよ、その線を主軸として考えるべきだろう。

 

 

 

討伐を終え、城に戻る頃には晩遅くだったが、夏侯淵は早速曹操に報告。

通常なら早朝に行われるはずであろう軍議も、すぐに招集されて開かれることになった。

 

 

夏侯淵は軍議に参加し、王蘭たち小隊は出撃の片付けを行う。

 

 

この所、黄巾の討伐のために多くの斥候兵を活用していた王蘭。

当初考えていた以上に斥候兵の活躍する場があり、そろそろ規模拡大を上申しても良いかと考えていた。

 

 

 

 

片付けが一段落しそうな頃、またしても斥候からの報告が入る。

だがその斥候兵の表情はあまり優れず、悪い報告であることを物語っている。

 

 

「ご、ご報告します!黄巾の賊が再度出没した様子!ただし、これまでよりもかなりの大規模な集団でした!数については夜間のため不明!」

 

 

 

かなり慌てた様子である。

それ程に大きな規模なのか、とこれから起こるであろう事を危ぶむ王蘭。

 

 

 

「わかりました………。私からこの事は報告しておきましょう。ご苦労さまです。」

 

 

そう言って、軍議を開いている部屋に向かいながら情報を整理する王蘭。

その部屋に辿り着き扉を開けようとすると、兵の状況を確認していた夏侯惇と出くわす。

 

「貴様!今は軍議中であるぞ!!………ん?お前は確か秋蘭のところの。」

 

「はっ。夏侯淵隊小隊長の王徳仁と申します。曹孟徳様を始め将軍皆様方に至急ご報告すべき情報があり参りました。」

 

「む………そうか。こちらで引き取ろう。申してみよ。」

 

「はっ。件の黄巾の賊徒がまた出没致しました。その規模はこれまでと比べかなりの規模となっております。」

 

「またか………。では後はこちらで華琳様に報告しておこう。」

 

 

詳細を確認したあと、そう言って部屋に入っていく夏侯惇。

王蘭は再出動の可能性も考え、片付けを行っていた兵たちにいつでもまた出られるようにと、情報を共有しておく。

 

 

 

 

軍議が終わって隊の宿舎にやってきた夏侯淵。

 

「む、皆起きていたか。すでに解散して休んでいるものと思っていたが………。とすれば、先程姉者が持ってきた情報は王蘭の情報か。」

 

「はい。すでに他の小隊も含めた全隊員達には、念の為再出動があっても良いように、と伝えてあります。必要であれば、すぐにご命令ください。」

 

「流石に準備が良いな。我々夏侯淵隊に再出動の命が下った。だが今回の主力隊は季衣が率いる。我々はその補佐となるが、戦いは避けられぬだろう。各位、準備を整え至急向かうぞ。」

 

「はっ。」

 

夏侯淵からの命令に返事を返す小隊長たち。

急いで隊員たちに指示を出し、待機していた隊員達が出撃の用意を整える。

 

 

 

 

準備が整い、許褚隊、夏侯淵隊が揃い、将軍からの号令を待つ。

許褚が一歩前に踏み出し口を開く。

 

 

「これからボクたちは、黄巾の盗賊たちに襲われちゃいそうな街の救出に向かうよ!ただ普通に暮らしている街の皆から、悪いことなんにもしてない良い人たちから、何もかもを奪っていく盗賊なんて、ぜえええぇぇぇっっっっっっっったいに許さない!!!だから皆、ボクに遅れずついてきて!!!皆で街の皆を助けるんだよ!!!総員、出撃いいいいいいいい!!!!!」

 

 

許褚の号令が響き渡り、彼女の民を思う優しい気持ちと、街を襲おうとする盗賊への怒りがひしひしと伝わってくる。

これに応えぬ兵はおらず、皆一様に表情を引き締め、思いを一つにするのだった。

 

 

 

 

 

 

軍が街に到着したが、まだ盗賊たちからの攻撃は受けていない様子。

 

「ほっ………。よかったぁ。まだ街の皆は無事なんだね、秋蘭様。」

 

「その様だな。だが様子が変だな………。民たちは既にどこかに避難しているのか?」

 

 

街の状況を確認している許褚と夏侯淵だが、そこに声を掛ける者が。

 

「曹操軍の将軍方々とお見受けします。お間違いありませんか?」

 

「ん?そうだが、お前は………?」

 

「いきなり失礼しました。我が名は楽進、後ろにいる2人は于禁と李典と申します。義勇軍として、この街を防衛すべく参上いたしました。」

 

「そうか………。その義勇軍が街の皆を避難させてくれたのだな?」

 

「はい。まずは街の人々を守ることが優先だと考えました。………よろしかったでしょうか?」

 

「あぁ。助かる。敵の情報は掴んでいるか?」

 

「はい。ですがこの近くに大規模な盗賊が現れたことくらいしか………。」

 

「ふむ。了解した。王蘭!王蘭はいるか。」

 

「ここに。」

 

「すぐに近辺の情報を集め、報告せよ。まずは街の防衛に必要な情報だけで良い。」

 

「はっ。承知しました。」

 

 

 

夏侯淵の命により、近隣の情報を探らせる王蘭。

敵がいる方向、人数、統率がとれているか、など、今回の戦闘で懸念すべき内容について集めさせる。

 

 

その間に曹操軍から夏侯淵、許褚を筆頭に以下小隊長達が、義勇軍からは先程の3人が集まり、防衛の方針を固める事に。

王蘭も部下に指示を出したあと、軍議に参加する。

 

 

「今回の戦闘の指揮は季衣に任せるが、それまでの備えについては私の方で指揮を取るが、良いか?」

 

「はいっ。戦闘に関してはボクでも何とかできるけど、作戦とかそれまでの準備とかはよくわかんないから、秋蘭様がしてくれると助かります!」

 

「うむ、任されよう。ではまず賊らがやってくるまでに、備えられることは何か考えていこうか。皆、どうだ?」

 

「はい、先程我々も実施しようとしていたのですが、まずはこの街の東西にある門に防柵を設置してはどうかと。」

 

 夏侯淵の問に楽進が返す。

 

 

「あ、防柵作んねやったら、うちがそのあたり得意やで。」

 

「ふむ、李典だったな。お前の意見を聞かせてくれるか?」

 

「はいな。正直敵がいつ来るかもわからん状況やから、あまりガッツリ組み上げてられへんのやと思います。まぁせやけど、無いよりは全然ましやから………東西それぞれ5つほどならできるんとちゃいますか?」

 

「ではそれぞれの門に設置してくれ。その指揮は李典に任せてよいな?」

 

「了解っ!」

 

「次、というか先に確認しておくべきだったが、義勇軍も我々に協力してくれると思ってよいのだな?」

 

「はい。もちろんです。我々義勇軍よりも、夏侯淵様たちの方が戦いの指揮には優れていらっしゃいますので、統制もお任せいたします。沙和もいいか?」

 

「もちろんなの〜。凪ちゃんがそうした方がいいって判断したなら、私もそれでいいの〜!」

 

「了解した。大切なお前たちの義勇兵の命、確かに預かった。」

 

「はいっ!よろしくお願いします!」

「お願いしますなの〜!」

 

 

 

確認と決定を進めていく中、斥候より報告が入る。

 

「報告します!敵はこの街の北側にて確認!夜間のため細部まで確認できませんでしたが、目視できる範囲で既に、先遣隊の兵数と同等と思われます!また敵は隊列を組んでおり、統率されていると考えられます!」

 

「………ふむ。その中に張角と思わしき女の姿はあったか?」

 

「いえ、確認できる範囲では女性の姿は見えず、また聞こえてきた指示命令の声はすべて男のものでした!」

 

「わかった。ご苦労だった。下がって良いぞ。」

 

夏侯淵が斥候兵とのやりとりで情報を整理する。

 

「見えぬ範囲にもまだ敵がいると考えるべきだな。我々よりも敵数は多く、組織化されている。また首魁の張角の姿はなし。………といった感じか。誰かある!!華琳様に早馬で一先ず今の状況を報告せよ。くれぐれも、余力を残してこちらと合流して欲しい、とな。」

 

 

 曹操、夏侯惇への伝令を走らせ、いよいよ戦いの気配が漂ってくる。

 

 

「我々から攻撃をしかけることはせず、本隊の到着を待つことを基本路線とする。攻撃は恐らく明朝。夜間は隊で交代しながら備えることとする。………こんなところか。ではあとは季衣、戦闘に入れば指揮権をすべてお前に託そう。よろしく頼むぞ。」

 

「はいっ!がんばりますっ!」

 

 

李典指揮のもと、東西それぞれに防柵を設置したあと、各隊が交代で休みを取ることになった。

 

 

 

 

そして夜が明け。

 

 

 

 

「街の北より砂塵確認!盗賊たちが押し寄せてきています!!」

 

見張り台に立つ兵が声を上げた。

 

 

 

 




三羽烏と出会いました。

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