真・恋姫†無双 - 王の側にて香る花を慈しむ者   作:ぶるー

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第十二話

 

いよいよ盗賊たちが姿を見せ始める。

どちらの門にも既に防柵が建てられており、王蘭たちも迎撃の用意を整えている。

 

防柵の強度的に東門の守りが不安なため、そちらに主力部隊である許褚隊が配置され、

夏侯淵も許褚の全体指揮を補助するために東門に控えていた。

 

 

西門には義勇軍と夏侯淵隊が配置。

そして何故か、この西門の指揮権は王蘭に委ねられる事になっていた。

 

 

「な、何ゆえ私が西門の指揮を………?」

 

「季衣の補助をするため、私はなるべく近くに居る方がいいだろう。だが隊全員で東門に配備してしまえば、西門の防備が薄くなる。では誰かに指揮を任せ西門を防衛するほか無いであろう?お前は過去、自分の村を少数の村人だけで見事に守りきった実績があるではないか。」

 

「それはそうですが………。」

 

「隊の皆も、お前がそうして華琳様に見初められて入隊したことを知っているし、何よりお前の事を皆が認めているのだ。他の者に異論などあるはずもなかろう。」

 

「っ………。」

 

 

突然の指名に驚きを隠せず、夏侯淵に詰め寄る王蘭だったが、思ってもいなかった口撃に思わず言葉を詰まらせる。

そんなやり取りがあり、王蘭は渋々ながらも西門指揮官を引き受けるのだった。

 

 

 

盗賊達の姿が徐々にはっきりと見えてくる。

戦闘が開始される直前、許褚は夏侯淵からの助言に従い本陣へ伝令兵を放つ。

 

 

 

 

 

そして、防衛戦が開始された。

 

 

 

 

………。

 

 

 

 

開戦からしばらくは、なんとか敵の攻撃も防ぐことができていたが、やはり戦力の差は大きく、徐々に押され始める。

 

 

「3つ目の防柵を破棄して後退します!!」

 

王蘭も良く敵の攻撃を防いではいるが、やはりすべてを受けきれるわけもなく再度防柵を捨てる事を選択。

自分の村の防衛時よりも、かなりの苦戦を強いられている。

 

「防柵はまだ2つあります!本隊の到着まで防ぎきれば我々の勝利は必至です!気を落とすことなく防衛にあたってください!」

 

状況を共有すべく夏侯淵へと伝令を放ち、兵たちを鼓舞する王蘭。

それと同時に、東側の状況を知らせる兵が王蘭のもとに駆け寄る。

 

「夏侯妙才将軍より伝令!東の残りの防柵は1つのみと苦戦中!西門は王小隊長ら防御部隊にお任せし、義勇軍指揮官の皆様方は東門への応援を要請されております!」

 

「………わかりました。義勇軍の方々にはそのままあなたがお伝えし、将軍のもとに向かってもらってください。お願いします。」

 

 

やはり主力部隊といえども、脆い防柵を配した東側の防衛はかなり厳しいようだ。

伝令からの報告を聞き、楽進たちが抜けたあとどう処理していくかに考えを巡らせる。

 

 

 

 

が、しかし。

 

 

 

 

 

 

………突然、銅鑼の音が街中に響き渡る。

 

 

 

 

 

 

「この銅鑼は!!………無事本隊が到着した様ですね!!」

 

 

 

銅鑼の意味に気付いた王蘭が兵たちに向かって声を上げる。

 

「本隊がこの街に到着しました!勝利は目前です!!我らも本隊に呼応して、敵を押し返します!!」

 

防衛にあたっていた兵たちは、本隊到着の報告に活気づき盗賊たちを押し返し始めた。

 

 

 

本隊の攻撃により、盗賊たちは壊滅。

これにより、街の防衛戦は無事に曹操軍の勝利で以て片付くことができた。

 

 

 

 

 

戦が終わり、王蘭ら小隊長達と楽進、于禁、李典、許褚と防衛にあたった、主だった者が集まっていた。

 

 

「皆ご苦労だった。無事にこの街を守りきる事ができた、我々の勝利だ。」

 

夏侯淵が皆を労い、活躍を称賛する。

 

「義勇軍の活躍がなくては守り切ることなど出来はしなかっただろう。改めて礼を言うぞ、楽進、于禁、李典。」

 

「いえ!我々の方こそ、助かりました。我々だけでは到底守りきれるものではありませんでしたし。」

 

「えへへ〜。でも沙和疲れちゃったの〜………。」

 

「うちらも助かったんは凪の言う通りやしなぁ。ホンマにありがとうございます〜。」

 

 

義勇軍の3人がそれぞれの反応を受け取ったあと、王蘭に目をやる夏侯淵。

 

 

「王蘭も、ご苦労だった。よくぞ兵たちをまとめ上げ、西門を守りきったな。お前の働きなしでもまた、守り切ることなどできなかっただろう。」

 

「はっ!ありがとうございます!」

 

 

そんなやり取りをしていると、夏侯惇がこちらにやってくる。

 

 

「秋蘭!季衣!無事かっ!」

 

「あぁ、姉者。危ないところだったがな………。まぁ見ての通りだ。」

 

「春蘭様ー!助かりましたっ!」

 

「二人とも無事で何よりだわ。損害は………大きかったようね。」

 

 

 

夏侯惇、曹操らが会話に加わり、状況を確認する。

防柵はやぶられ、街の状況としてはかなりの損害を受けているが、街の民は皆無事で、兵の損失も最小限で抑えられていた。

 

 

 

 

そうしたやり取りを、少し身を引いて聞いている王蘭のもとに兵が歩み寄る。

昨日の村の救出の際、討伐後に逃げた賊の後を追っていた斥候兵のようだ。

 

 

「王小隊長、お話中失礼します。………あの後盗賊たちを追っておりますと、糧食集積所と思われる場所を発見いたしました。」

 

「………それは誠ですか?」

 

「はっ。しばらく張っていましたが、荷車に積まれた食料が徐々に運び込まれていくのを確認しました。もちろん、それを運ぶ者に黄巾があることも確認しております。」

 

「よくやりました!場所を確認しますのでこちらに。それが終わればゆっくり休んでください。」

 

 

地図のおいてある場所で兵が見つけた場所を確認し、夏侯淵たちのもとに戻る王蘭。

どうやら義勇軍の3人が曹操の配下に加わることになったようである。

 

荀彧とのお決まりのやり取りをしつつも、楽進、于禁、李典の3人は北郷の部下となることに決まった。

 

「取り急ぎはそんな所かしら………?街の民への物資の配給の準備が終わったら、この後の方針を決めることにするわよ。」

 

喫緊まとめるべき話が終わったと、曹操が締めに入るが、王蘭がそこに声を上げる。

 

「申し上げます!ここより半日ほどの距離に、黄巾たちの糧食の集積点と思われる拠点を発見致しました!」

 

 

王蘭の報告により、場の空気が一変する。

まず反応したのは荀彧。

 

 

「王蘭の情報が確かであれば、この機を逃す手はありません。早急に隊の再編を行い、明日中にはその場所まで辿り着いておくべきかと。」

 

「その案で行きましょう。各隊、明日までに部隊の再編を完了させておきなさい!夜明けと同時に拠点討伐に向かうわよ!」

 

 

 

 

軍の方針が決まり、それぞれの隊で編成が行われる。

この日防衛に当たっていた夏侯淵隊も例外ではなく、休む間も無く隊を整える。

 

 

「ふむ………。これでよいか。夏侯淵隊、集合!」

 

夏侯淵の一言で小隊長を始め、隊員が集合する。

 

「今日は街の防衛、ご苦労だった。お前たちの活躍のおかげでこの街も、街の民も皆無事に守り切る事が出来た。感謝する。だが黄巾の賊らは大陸全土に広まっており、我々にはそれらを討伐する義務がある。皆疲れている事はわかるが、遅れる事なく付いてきてほしい。」

 

夏侯淵の労いの言葉に、一層表情を引き締める隊員たち。

 

「明日、黄巾の糧食集積所と思われる拠点へ、討伐に行くことになった。ここに軍の再編案がある。これに従い、明日行軍する!各々確認しておくように!それまではしっかりと身体を休めておいてくれ。解散!!」

 

そう言って隊員を解散させ、編成案を伝えるため小隊長のみを再度集める。

 

 

「皆集まったな………?よし、では再編案だ。これに従い、各隊調整しておくように。」

 

 

そう言って広げられた竹簡に早速目をやる小隊長たち。

そして、その全員が驚きの表情を浮かべる。

 

 

「………将軍。この項目に私の名前があるような気がするのですが、書き損じか、なにかの間違いでしょうか………?」

 

「いや、何も書き損じてなどおらぬよ。間違いなくお前の名前がしっかり記されているであろう?」

 

「確かに私の名前なのですが………え?………え??本当ですか………?」

 

「何だ、私の口から直接聞きたいのか?………全くしょうが無いやつだな。皆、聞いてくれ。」

 

そこで一度切った夏侯淵は、自分の隊の小隊長一同の顔を見渡す。

 

 

 

「此度の活躍を以て、この王徳仁を我が夏侯淵隊の副隊長に任命する!以後この王蘭には、これまで以上に部隊の運営に尽力してもらうことになる。これまで誰も任じておらぬ役職だったが、私の腹心として、今後も活躍してくれる事を期待しているぞ?王蘭。」

 

 

「は………、はっ!!この王徳仁、身命を賭して務めさせて頂きます!!」

 

 

 

その場に居た小隊長たちから祝福の拍手が送られ、王蘭が夏侯淵隊の副隊長に任命された。

 

 

 

 

その場が解散したあと、残った夏侯淵と王蘭が今後について詰める。

 

「我らは先遣隊としての役目を果たしたばかりだから、明日の行軍でも後ろの方になるだろう。兵たちをしっかり休めてやってくれ。」

 

「はっ、承知しました。」

 

「明日からの事についてはこれくらいか………。よし、ご苦労だった。これからもよろしく頼むぞ、副隊長殿?」

 

「は、はぁ………。からかわないでくださいよ………。正直かなり緊張してるんですから。」

 

「こんな出陣している先での任命となってしまって申し訳ないな。本来ならば城に戻って、落ち着いてからの任命がよかったのだろうが。」

 

「い、いえ、そんな………。この任につかせて頂くだけでも、身に余る光栄です。」

 

 

萎縮している王蘭をじっと見つめ、夏侯淵が口を開く。

 

 

「ふむ………。王蘭、これからお前は私の腹心として働いてもらうことになる。お前を信じて隊の全てを任せる事も出てくるだろう。」

 

 

 

 

 

 

「………王蘭、お前に我が真名を預けよう。私の真名、”秋蘭”だ。今後とも、よろしく頼む。」

 

 

 

 

 

そう、王蘭に語りかける夏侯淵。

 

 

 

 

 

副隊長任命の衝撃など忘れてしまうほど。

一瞬が、永遠に感じてしまうほど。

 

 

王蘭にとって、驚きと喜びとが一度に押し寄せてくる。

 

 

 

気持ちの整理がつかない時、人は涙を流すのだろう。

2つの眼から大筋の涙がこぼれていた。

 

 

「どうした………?そんなに泣くほどの事か?」

 

そう微笑みながら王蘭の肩をさする。

 

 

 

「あっ、あり………ありがどう、ございますっっっ!!!!」

 

 

 

 

「受け取ってくれるな?王蘭。」

 

「はい゛っ!………、お見苦しい姿をお見せしました………。」

 

涙を腕で拭い、顔を上げる王蘭。

 

 

 

「夏侯………、秋蘭様の御真名、確かにお預かりました!!………あの、もしよろしければ、なんですが………私の真名も受け取っては頂けないでしょうか………?」

 

 

少し驚いた顔をした夏侯淵だが、すぐに微笑みを浮かべ、

 

「もちろんだ。お前の真名を聞かせてくれるか?」

 

 

 

「はっ!!姓は王、名は蘭、字は徳仁!!我が真名を”蒼慈”と申します!!どうか、これからもよろしくお願い申し上げます!!!」

 

 

 

「蒼慈………だな。確かに受け取った。よろしく頼むぞ、蒼慈。」

 

 

「はっ!!!」

 

 

 

 

 

 

こうして夏侯淵隊の部隊再編が終わり、明日の拠点討伐に備えるのであった。

 

 

 

 

 

 




三羽烏合同戦線終了!
そしてやっと真名交換できたあああぁぁぁぁぁぁぁ。


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