真・恋姫†無双 - 王の側にて香る花を慈しむ者   作:ぶるー

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少し短め。


第十九話

 

 

 

公孫瓚軍、劉備軍に情報の伝令に出ていた王蘭が、曹操軍に戻ってくる。

 

「あぁ蒼慈、どうだった?彼女らの軍については。」

 

「只今戻りました。………そうですね、報告で聞いた複雑さは幾分か解明出来たように思います。」

 

「そうか。 帰ってきて早々で悪いが、華琳さまも含めた席で報告してくれるか?」

 

「はっ。承知致しました。」

 

 

曹操、荀彧を含めた全体会議の場で、公孫瓚、劉備軍の複雑に感じた理由についての報告をする。

 

劉備という人物が、公孫瓚はもとより、誰かの下に収まる将格では無かったこと。

更には劉備その人に魅せられて、数名ではあるが優秀な部下、義姉妹がいること。それらの影響もあり、誰かの下に収まる人物ではないと感じた事など、王蘭が見て、聞いて、直接感じた事をそのままの言葉で曹操たちに伝えた。

 

 

「そう………。大器たる人物だが、それに伴った地位をまだ得られていないために、公孫瓚軍の援助を得ている、と。なるほどね。」

 

「はい。公孫伯圭殿も、あまりその援助に対して渋る様子も見られないことから、劉玄徳殿の軍としては此度のこの戦の武功を持って、世に飛び立つ算段ではないかと。これもまぁ、先方の軍師殿がお考えになった筋書きかとは思いますが。」

 

「というと?」

 

「劉玄徳殿は確かに誰かの下に収まるような方ではないと感じました。なので必然的に近い将来、頭角を現してくるのでしょう。ですが、あまり劉玄徳殿御本人からは、出世欲と申しますか、自分の立身について拘るような人物には見えませんでした。先の伝令に於いても、純粋に曹孟徳様も洛陽の民を憂いているために情報を共有してくれている、と考えている面も見受けられました。勿論、貸し借りの認識は出来ているだろうとは思いますが。………大陸がこうして荒れて居なければ、自ら立ち上がる機会も無かったのではないでしょうか。」

 

「………私には考えられないわね。だがそれもまた面白い。汜水関での戦い、じっくり見せてもらおうじゃないの。」

 

こうして偵察としての報告を終え、軍は汜水関に向かって進められる。

 

 

 

 

 

 

「あれが汜水関かぁ………でかいな。」

 

 

この声の主、北郷一刀が呟く。

 

 

 

巨大な砦の足元に広がるのは、公孫瓚と劉備の連合軍である。

それぞれが隊列を組み、いよいよ汜水関攻略が始まる。

 

曹操軍の面々は、戦闘態勢を維持したまま待機している。

 

 

 

 

王蘭は夏侯淵と共に、本隊近くで戦場を見つめていた。

 

「兵が出てきたわね………。公孫瓚も劉備もこちらの情報をうまく使ったようね。」

 

「はい。やはり敵将華雄は短慮で猪突猛進な将なのでしょう。使い所、使い方を正しく理解すれば驚異となりえましょうが、今回の様にただ守将として配置するには適さない将かと思われます。」

 

 

少し離れたここから見える汜水関の攻略の様子を見て、曹操と荀彧が言葉を並べる。

 

劉備軍の関羽と守将の華雄が一騎打ちを始めるようだ。

数合交わす所までではあるが、明らかに華雄の側が押されており、決着も近いうちに付きそうだ。

 

 

「誰か一刀たちの所に伝令に行って頂戴。公孫瓚、劉備の両軍が汜水関の将を破り次第、直ちに軍を動かします。彼女らの軍が様子見で一旦引いた隙に、一気に突破して敵に追撃を掛けるわよ。」

 

「華琳さま、では私が行って参りましょう。」

 

「あら、秋蘭が行ってくれるの?なかなか贅沢な伝令兵ね。まぁ今は特にすることも無いし、よろしく頼むわ。」

 

 

 

夏侯淵を伝令に送り、じっと戦場を見つめていると動きがあった。

 

一騎打ちをしていた敵軍の将、華雄が馬から落ちたのを曹操たちが確認する。

 

「どうやら一騎打ちは関羽の勝利で終わったみたいね。伝えていた通り、このまま追撃に移るわよ!春蘭!!」

 

 

「はっ!これより我が軍は、汜水関に追撃をかける!!全軍、突撃ぃぃぃぃぃぃいいいいいい!!!!!!」

 

 

 

曹操軍が汜水関への追撃を始めた。

先鋒の夏侯惇に合わせ、本隊、北郷隊らも続き追撃を開始。

 

 

敵将華雄が一騎打ちに破れて、既に敗走を開始していたこともあり、またたく間に敵軍の数を減らしていく。

 

 

こうして曹操軍は敵軍への追撃を完了させ、汜水関への1番乗りという誉れ高い功を得ることができたのだった。

 

 

また公孫瓚軍、劉備軍としても追撃に出られるだけの余裕もなく、曹操軍に1番のりは持っていかれたものの、敵軍の守将を打ち破ったとして武功は得ており、追撃に出るだけの余裕もなかったため曹操軍の武功を受け入れる。

 

 

 

 

翌日。

 

 

 

「麗羽から軍議の招集がかかったから行ってくるわ。桂花、虎牢関の攻略、私達はどうするべきかしら?」

 

「はい、昨日の汜水関への功があるため、恐らく袁紹、袁術あたりは今度は自分たちが、と考える事でしょう。此度は守将を打ち破る事に重きを置き、全体の指揮権が欲しいところです。虎牢関への1番乗りは譲っても構いません。」

 

「そう………。わかったわ。春蘭、秋蘭、一刀、行くわよ。」

 

 

そう言って初回軍議と同じ人員で軍議へと向かう曹操。

 

 

その間に残された側では虎牢関に関する情報を整理する。

 

 

「王蘭、虎牢関に関して新しい情報は入っているかしら?」

 

「はい、先日汜水関で打ち破られた華雄が虎牢関に戻っています。また元々配置されていた呂布、張遼の2名の他、軍師として陳宮が配置されている模様。」

 

「陳宮………確かあの、呂布の横にいた小さいやつよね。あいつが軍師、ねぇ………。」

 

 

そう呟いてからしばらく考え込む荀彧。

 

 

「仮にも軍師と名乗るくらいなのだから、多少なりとも戦の計算くらいはできるのでしょう。だったら私は、華琳様のためにその計算を打ち崩してあげるまで。幸いにも華雄が虎牢関にいるなら、それを使わない手はないわね。」

 

 

 

しばらくすると、軍議から曹操たちが帰陣する。

予定通り指揮権を引き受けてきた、とのこと。

 

また陣内で張遼を捉えるために夏侯惇と荀彧がその役目を担うことになった。

 

 

「では桂花。全体の動きの指示を。」

 

 

 

 

 

虎牢関攻略が開始される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




汜水関攻略完了。メインで請け負う担当ではなかったのでさらっと行きました。
次回より虎牢関。


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