真・恋姫†無双 - 王の側にて香る花を慈しむ者   作:ぶるー

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第二十二話

王蘭は援軍の長として、劉備軍の元にいた。

その王蘭たちを指揮するのは劉備軍筆頭軍師の諸葛亮や関羽ではなく、龐統。

 

そして彼らが担っているのは洛陽の城門の攻撃。

城攻めの継続である。

 

 

伏龍鳳雛と並び称される彼女の指揮は流石のもので、未来が見えているかのように、次々展開されゆく事態を予測し、細かく指示が出されていく。

また劉備軍の兵士たちも、その指示の出し方には慣れている様で、彼女から出される指示を一心にこなそうと努めているようだった。

 

 

敵将全員が出陣して野戦を展開している以上、数で勝る連合軍が城攻めで負けるはずもなく、

間もなく城が落ちるであろうという状況だ。

 

 

 

「もうすぐ城の門が開きます!皆さん、ここで一気に攻め立てますので力を奮ってくだしゃい!!」

 

 

龐統の可愛らしい鼓舞?により劉備軍は猛攻。

これにより、いよいよ洛陽の門が開かれた。

 

 

 

門が開かれたことにより、この大戦の大凡の決着がついてくる。

城攻めもこれで一段落がつくため、これを機に、王蘭たち援軍は劉備軍の指揮下から抜けることに。

各々の軍として城内活動を行う事になった。

 

軍働きとして援軍に出された王蘭たち。”こんびに”作戦の援軍として劉備軍にやってきた以上、城内での制圧活動とは、分けて考えねばならない。

 

これは劉備軍からしても同じで、城内での立ち居振る舞いがそのまま軍の風評につながってしまう。

自分たちが許可していること、していないことが軍によって違うと考えたためだ。

 

 

 

指揮から外れる事の挨拶にと、劉備軍の本陣に顔を見せる王蘭。

 

 

「劉玄徳殿、我々はこれで貴軍指揮下より抜け、曹操軍として行動をすることになります。数日という短い間ではありましたが、お世話になりました。」

 

「あっ、徳仁さん。そうですかぁ………残念ですが、わかりましたっ!曹操さんによろしくお伝えください。援軍ありがとうございました!」

 

「はい。諸葛孔明殿、龐子元殿も、また他の皆様方も、ありがとうございました。関雲長殿にも、どうぞよろしくお伝えくださいませ。では。」

 

 

 

 

劉備軍本陣にいた劉備、諸葛亮、龐統らに挨拶をして、劉備軍から離れる。

劉備軍から離れた事を確認して、王蘭は城内の活動について指揮をとる。

 

 

「王蘭隊の皆さんは私とともに、城内で要人確保のための活動を行います。その他の隊の皆さんは一度本隊に戻った後、各自の所属隊に戻ってください。では解散!」

 

 

 

 

 

 

一方その頃、城の外では。

 

 

 

 

「待て!貴様が張遼かっ!」

 

「あちゃぁ………このクソ忙しいときに。一騎打ちの申込みなら、もう締め切っとるで!」

 

「ふんっ!そんなことは知らん!私との勝負に応じるまで追いかけるまでだ!」

 

「その目ぇ………ダメっちゅうても仕掛けてくる目やな。恋や華雄っちとおんなじ目ぇや!」

 

「………貴様も同じ目をしているぞ?」

 

「あかんなぁ。自分を殺しとるつもりやったんやけど………ええよ。どうせこの戦、ウチらの負けや。最後くらい自分の趣味に走ってもバチあたらんやろ。………名ぁ名乗りぃ!」

 

「我が名は夏侯元譲!行くぞ!!」

 

 

曹操からの命に従い、夏侯惇が張遼との一騎打ちを始めていた。

 

 

 

 

 

 

また別のところに視点を向けてみると、呂布の姿が。

 

やはり人中の呂布。一筋縄でいく相手ではなく、彼女の周りには夏侯淵、許褚、典韋、張飛、文醜と、連合を代表した武将が数多く寄せていた。

 

 

「………くっ!呂布め、何という強さだ………!」

 

あまりの強さに夏侯淵が言葉を漏らす。

 

 

「流琉!いっちー、ちびっこ!もう一度、仕掛けるよ!」

 

 

「うん!」

「おっしゃ!」

「だから、チビにチビって言われたくないのだ!」

 

 

「………何度やっても無駄。」

 

 

彼女らの波状攻撃を受けても、眉一つ動かさずに安々と対応してみせる呂布。

 

「………くっ、やはり関羽でも連れて来ねば足止めすら難しいか………。」

 

 

とそこに、呂布を呼ぶ声が聞こえる。

 

「恋殿!恋殿はいずこにっ!」

 

「………ここ。………月は?」

 

「城は陥ち、月殿と詠殿は既にお逃げになりました。恋殿もお早くです!」

 

「………霞は?」

 

「霞殿と華雄殿は行方が知れません。けれど、あの2人のことですからきっと無事でしょう。今は2人で逃げるのです!」

 

「おお、貴様ら!こんな所にいたか!」

 

「………ちっ。」

 

 

呂布のもとに、陳宮、華雄がやってくる。

城の状況が伝えられ、撤退するようだ。

 

 

「行け。むしろその方が助かる。」

 

 

夏侯淵の言葉を受け、3人は洛陽から離れていく。

残された将たちは、残りの兵の制圧のため、それぞれの軍へと戻ることになった。

 

 

 

 

 

 

再び視点を王蘭の場所に移す。

 

 

王蘭たち斥候部隊は城内の制圧よりも、董卓、賈駆、天子様の確保を優先して駆け回っていた。

 

城門が空いてからまだあまり時間も経っておらず、主に宮廷近くを探らせることに。

本陣に戻した兵も戻ってきたため、状況の確認をしてすぐさま探索の指示を出す。

 

全ての指示を出し終えた王蘭も中心部へと向かうが、基本的な斥候能力としては部下に劣る王蘭。

であれば自分はそこから少し離れた小道でも探ってみようか、と、1人の部下だけを連れて適当な細い道を進んでいた。

 

 

これが功を奏したのか、ある細道を進む王蘭の先に女の子が2人、何か急いだ様子で走っている姿が見えた。

 

 

「あれは………?」

 

 

城外で戦闘が行われているのに、小さな女の子が誰も連れずに自分たち2人だけで、しかも急いだ様子でどこかに駆けていくのだ。

何かある、と思わぬ人はいないだろう。

 

そっと気付かれないように後を追う王蘭。

 

 

「月!ほら、急いで!!」

 

「う、うん。ごめん、詠ちゃん。」

 

 

近づいてみると、あまり運動は得意ではないのだろう。

ひらひらした服をまとった女の子が、少し疲れた様子で立ち止まっていた。

 

 

庶人では着られない様な衣装を纏い、逃げる少女たち。

これは要人その人である可能性が高いと、王蘭が2人の前に姿を見せる。

 

 

「失礼、お嬢様方。どちらへ向かわれるので?」

 

「誰!?………その格好!!月っ!!ここは私に任せて先に行って!!」

 

「で、でも!」

 

「いいから!!!早く!!!!」

 

 

これまでに見たことのないような彼女の剣幕に負けたのか、1人の少女が逃げていく。

王蘭は部下に目で合図を送り、その少女を捕まえるように指示を出す。

残った少女がその道を塞いでいるため、多少の回り道をするように追いかけ始めた。

 

 

 

その場に残された王蘭と少女。

 

 

 

ゆっくりと、目の前に立つ少女に向かって口を開く。

 

 

 

「さて、はじめまして。………賈文和殿でお間違いありませんね?」

 

 

 

 

 

 

 

 




さーて………ドキドキしてます。


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