真・恋姫†無双 - 王の側にて香る花を慈しむ者   作:ぶるー

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第二十三話

 

 

「さて、はじめまして。………賈文和殿でお間違いありませんね?」

 

 

 

 

 

「………えぇ、はじめまして。どうかしらね?そういうあなたは誰?」

 

 

 

 

 

「これは失礼。我が名は王徳仁。曹操軍のしがない兵士ですよ。………はいそうです、なんて簡単には答えて頂けませんか。」

 

 

 

 

 

「………それで、私急いでるんだけど。行っていいかしら?徳仁さん?」

 

 

 

 

 

「まぁそう慌てずに。………あぁそうだ、少し独り言を呟きましょうか。何処かで賈文和殿が聞いていれば、気になっているであろう情報を持っていましてね? 城外で戦闘を繰り広げていた董卓軍の呂布、華雄、陳宮は既に逃亡。また張遼については、今頃我が軍の夏侯元譲将軍と、夏侯妙才将軍の両名によって捕縛されている頃でしょうか。そうなると、残りは董卓と賈駆の2人だけ………となりますねぇ。城外のどなたかと合流する予定があるのでしたら、それは叶わぬ事になりそうですねぇ。」

 

 

 

 

 

「………そう。董卓軍麾下の将たちだったかしら?私には関係ないわ。」

 

 

 

 

 

「ふむ、そうですか………。………そうそう、先程のあなたがお連れだった、もうひとりの少女。城内を制圧中の連合軍の兵に見つかって襲われては堪りませんからね。私の部下に護衛するように命じましたのでご安心くださいね?」

 

 

 

 

 

「………!!………そう。それはありがたいわね。でもあの子、見た目に反してなかなか素早いのだけれど、ちゃんと捕捉できたのかしら?」

 

 

 

 

 

「んー………どうでしょうか?出来ていれば良いのですが………。なにせ、彼女を追った私の部下、戦闘を生業とする人間ではないので………。」

 

 

 

 

 

「………どういう事?」

 

 

 

 

 

「そうですねぇ………あなたが賈文和殿でないならば、あまり詳しくお話することはできないのですが、これだけは言えます。………曹操軍として、洛陽の情報を掴むのは、本当に難しかった………。」

 

 

 

 

 

「………そんな………あ、あんたが………!!………くっ………そうよ!僕が賈文和。これで満足?………お願い。僕はどうなってもいいから、月だけは見逃して頂戴。」

 

 

 

 

 

「………ようやく認めて頂けましたか。賈文和殿。流石に見逃すわけには参りませんが、部下が無事董仲潁殿を捕まえられていれば、身の安全は保障致します。もちろん、あなたが私と共に曹操軍まで来ていただけるなら、ですが。」

 

 

 

 

 

「………この段になって、もともと僕に選択肢なんて無いでしょうに………。わかったわ。あんたに着いていってあげる。でも月が無事じゃなかったらただじゃおかないわよ………。」

 

 

 

 

 

「確保したことがまだ確認できていないので、そこは保証できませんが………。部下が追いついていれば、身の安全は保証いたします。すでに城内の制圧が開始されていますので、無事に追いつけているといいのですが。我々曹操軍に見つかるのならばまだ良いのですが………。袁紹軍や袁術軍に見つかってしまえば、こちらとしては対処のしようがありません。」

 

 

 

 

 

「ちょっと!!ちゃんと月を守りなさいよ!!!」

 

 

 

 

 

「いや、だから部下に命じてはいますが、結果の保証なんてできるわけないでしょうに………。取り急ぎ、彼女が逃げた方に向かってみましょう。あ、ちなみにあなたも逃げないでくださいね?流石にあなたを縛り付けて運ぶようなことはしたくないので。」

 

 

 

 

 

「くっ………多少なりとも軍事訓練を積んでる兵隊相手に、この状態から僕一人で逃げたって見込みが無いことくらいわかるわよ………。大人しくついていってあげるから、さっさと月のところに向かいなさいよ。」

 

 

 

 

 

「そうですか。では、参りましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

………。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや、北郷さん。ここで何を?それから、こちらにひらひらとした衣装を身に付けた、小柄な少女は来ませんでしたか?」

 

 

 

 

 

「あ、徳仁さん。城内制圧の任務ですよ。さっきのあの子のことかな?おそらく、その女の子ならさっき見ました。でも俺たちで今保護するわけにも行かなくて、どうしようか迷ってる所にちょうど劉備さん達が来たので、彼女たちに保護してもらっています。それが何か?」

 

 

 

 

 

「劉玄徳殿に………?そうですか、わかりました。ありがとうございます。あ、ちなみに私が来た方には特に敵の兵士はいませんでしたよ。」

 

 

 

 

 

「あ、了解です。助かります!それじゃあ俺たち行きますね。」

 

 

 

 

 

「はい。では。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ちょっと!!全然保護できてないじゃないの!!!劉備軍って大丈夫なんでしょうね!?」

 

 

 

 

 

「落ち着いてください。彼女の身柄を保護できなかったのは確かに申し訳ありません。ですが、劉備軍であれば安心ですよ。彼女たちなら、正体がわかったところで無碍にはされません。」

 

 

 

 

 

「どうしてそう言い切れるのよ!!本当なんでしょうね!?」

 

 

 

 

 

「えぇ、劉玄徳殿の人となりは私もこの目で確認しました。董仲潁殿が表舞台に立つことを望まないのであれば、実際にその通りになるでしょう。宮廷内の死体を使って、うまくごまかすんじゃないでしょうか?」

 

 

 

 

 

「………全然納得いってないけれど、今はあんたの言うことを信じておいてあげるわ。僕にはそうするしかないから。………こんなにも、こんなにもどうしようもできない僕が、僕自身のことが、どれだけ恨めしいか、あんたに分かるかしら………?もし月が、月に何かあったりしたら………。僕はあんたを地獄の果てまで追いかけてでも、殺すわよ。それが八つ当たりであっても、他の何だろうが関係ないわ。」

 

 

 

 

 

「………わかりました。その時は甘じて受け入れましょう。それに、幸いな事に劉備軍には多少私の面も通っております。挨拶に伺うついでに、彼女の確認もできるでしょう。そのためにも、まずは我が主の元に向かいます。よろしいですね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………わかったわ。あんたの主人、曹操に会ってあげる。その代り劉備軍に融通効くなら、後でちゃんと月に会わせなさいよ。これも守られないようならば、あんたに付いていく理由がないわ。わかってるわね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




董卓さんと賈駆さんが別れてしまいました………。
原作からの差異点を書くのはドキドキします。


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本編書いてる合間に思いついた、ちょっとした小話も書き始めました。ギャグ寄りです。
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