真・恋姫†無双 - 王の側にて香る花を慈しむ者   作:ぶるー

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本日2話目。
楽しんで頂けると幸いでございます。
次からまた定期更新できるよう、頑張りますね!


第三十九話

 

 

官渡。

 

黄河から流れる大小様々な支流が複雑に交差する、まさに天険の地。

かねてより曹操たちは対袁紹の要壁として用いるべく、砦の補強に注力していた場所の1つである。

 

その地に袁紹、袁術軍が集結したのは偶然か、必然か。

 

既に両軍大将の舌戦が終わり、戦いの火蓋は切って落とされている。

 

 

 

王蘭隊は戦場の各地を動き回り、敵軍の輜重隊動向を探る事に注力。

袁紹軍、袁術軍、そして孫策軍の大きく3つに分けられた隊には、それぞれ今回新たに新規の斥候道具が手渡されていた。

 

 

そしてそれらがいよいよ活躍する。

 

 

 

「申し上げます! 袁紹軍への斥候隊より狼煙信号あり! 軍後方にある森林近くで輜重隊を発見しました!」

 

「袁紹軍であれば、本隊が近いでしょうか。秋蘭さまに至急報告を。」

 

「はっ!」

 

 

 

「申し上げます! 袁術軍への斥候隊より鏑矢信号あり! 輜重隊発見いたしました。」

 

「袁術軍であれば北郷隊の皆さんが近いですね。北郷さんに連絡してください。」

 

 

 

「申し上げます! 孫策軍への斥候隊より旗信号を確認! 輜重隊を発見した模様!」

 

「流石に軍内部でなければ、孫策軍相手と言えどもちゃんと情報は掴めますね。では霞さんに報告を。」

 

 

 

今回の戦で用いている道具は、李典特性の煙玉、音の高低を出せる幾つかの鏑矢、そして手旗の3種類である。

これら全て、北郷と李典と3人で考えた新たな道具である。

 

 

煙玉については元々遊びで李典と北郷が作ったものを元に、周囲に撒き散らす煙ではなく、持続し、かつ煙の量が多くなるように調整してもらった、王蘭隊特注の煙玉である。

鏑矢については王蘭が元々考えていた手段の一つで、音の高低差を使えば幾つかの信号は送りあえるのでは?という考えの元に調整した道具。

最後の手旗については、北郷の国で使われている手段の一つの様らしく、今のこの時代でも特に必要とする技術や知識もなく使える、手軽な通信手段である。

 

 

そして何より、手旗は通信を行ったという痕跡がどこにも残らないのが大きな利点である。

 

このため、敵軍に気づかれたとしても危険の少ない袁紹軍、袁術軍には煙玉と鏑矢を、危険を伴うであろう孫策軍には手旗を用いることとしていた。

 

 

 

こうした新たな道具の活用もあって、普段より情報の伝達が格段に速くなった曹操軍。

基本作戦である輜重隊に対しての攻撃は、すばやく各地で仕掛けられ、徐々に袁紹軍は開戦時の勢いを無くしていった。

 

 

 

 

──────────。

 

 

 

 

「斗詩さんっ! 猪々子さんっ! どうしてワタクシのご飯がこんなに少ないんですのっ!?」

 

「だから、曹操さんたちに輜重隊がいくつも撃破されて、糧食に大きな被害が出ちゃってるって言ったじゃないですかーー!!」

 

「斗詩ー。あたいも腹減ったぜー………なんとかなんねぇの?」

 

「もう、文ちゃんまで………。でも輜重隊は飽く迄後方支援部隊なので、どうしても見つかっちゃうと狙われちゃうんですよねぇ………。」

 

「えぇぇい、あのクルックルのこまっしゃくれた小娘のくせにぃぃぃ! 斗詩さん! でしたらもうまとめてドカーンと1箇所にご飯を運んでしまいなさいな! チマチマチマチマと運んでるから遊撃隊なんかにやられてしまうのではなくてっ!? ついでに護衛でもなんでも一緒に付けて、確実に運んでしまいなさい! ワタクシ、お腹が減ってお腹と背中がくっついてしまいますわっ!」

 

「おーさっすが姫! いい考えですね! なぁ斗詩、それでいこう! すぐやろう! やっと腹いっぱい飯が食える!」

 

「もう、わかりましたよう………はぁ。」

 

 

 

 

──────────。

 

 

 

 

「敵軍の状況を報告なさい。」

 

「はっ。袁紹軍、袁術軍ともに輜重隊への攻撃効果は大きく、こちらの思惑通り疲弊してきている様子が伺えます。70万もの大軍を賄うのは並大抵のことではなく、やはり今回の作成の効果は如実に現れています。」

 

 

ここは官渡に築かれた砦内。

曹操たち主要な将が、1日の戦闘を終え状況をまとめている。

 

やはり腹が満たされぬ兵の士気は格段に落ちている様で、開戦当初の勢いはもはやどこにも見られない。

 

 

「そう。このままの様子で戦が続けばこちらが想像していた以上の勝利で終えられそうね。」

 

「はい。作戦は大きな修正はせず、このままの攻め方で相手を弱らせ、機会が来れば総攻撃でよろしいかと。」

 

「風、稟、詠。あなた達の意見は?」

 

「概ね桂花ちゃんの言う通りでいいかとー。ただ、袁紹さん自身も何日もお腹が減っていれば、どこかで癇癪を起こす可能性もあるので、そこは軽視してはいけませんねー。」

 

「そのためにも、袁紹軍本陣と南皮とをつなぐ補給経路はある程度維持させては居ますが………。そろそろ動かれてもおかしくはありません。機を見て敏に。情報を掴み次第、すばやく対処するのが重要かと。また、やるのであれば、その時は一気に攻めきるつもりでなければこちらに甚大な被害が出かねません。窮鼠は襲い来る猫に噛み付くものです。」

 

「そうね。ボクもだいたいそんな所かな。今回、蒼慈が投入させた道具もかなり有用みたいだし、情報の優位は格段にこちらにあるわ。こちらの強みを活かした戦い方を継続すべきね。」

 

 

「ふむ………。」

 

 

曹操が軍師たちの意見を聞いて思案している最中に、王蘭から新たな情報が入る。

 

 

「華琳さま、申し上げます。今ほど袁紹軍の最新情報が。どうやら敵軍は大掛かりな輜重輸送を行う様子。護衛の姿も多く見られております。また報告によると、1箇所にまとめて輸送することで、各個撃破の危険を軽減する狙いとのこと。その目的地は、烏巣、と。」

 

 

それを聞いた曹操、軍師の面々は表情を引き締める。

全軍の方針を決めた曹操が、その場に居る各将へと指示を出す。

 

 

「霞! 袁紹軍が輸送完了後、烏巣への突撃と輜重の全てを焼き払って来なさい! あなたの神速の用兵を今こそ見せてご覧なさい!」

 

「了解やっ! くぅぅぅぅ! 燃えてきたぁぁ!」

 

「桂花、霞の攻撃が上手く行き次第、こちらから打って出るわよ! 全軍そのつもりで用意なさいっ! ここが我が軍の勝負どころ、いいわね!?」

 

 

 

 

 

──────────。

 

 

 

 

 

それから数日後、烏巣への搬入を終えた袁紹軍だったが、その尽くを張遼に焼き払われた。

神速の張遼、その名に恥じぬ攻撃で、瞬く間に烏巣に集められた輜重はその姿を消した。

 

 

その張遼が官渡本陣へと帰参し、いよいよ曹操軍による総攻撃が仕掛けられようとしていた。

 

 

「華琳さま、出陣の用意、全て整いましてございます。」

 

 

夏侯淵からの報告を聞いた曹操は深く頷き、眼前に広がる毅然と整列した自軍の兵たちを見る。

シンと静まり返った中、全体をゆっくりと見渡し、口を開く。

 

 

「いよいよ我が軍は、これより総攻撃を仕掛ける。河北四州を治める袁紹軍は70万もの大軍を率いて我らに攻め入ってきた。………だがどうだろうか? 我が軍には大きな損害もなく、こうして皆、我の前に毅然と立っているのだ。数に決して恐れる事なく立ちつけた兵たちを、私は誇りに思う! そしてこれより! 我が軍の全力を以て、今度は敵軍袁紹を打ち破ってやろうではないか! この戦いから、私はお前たちという誇りを胸に、この大陸の全てを手に入れる! その初めの一歩を、お前たちの手で、完全なる勝利を以て飾って見せよ!! 全軍、抜刀!!」

 

 

 

 

続きを受けた、夏侯惇の声が響き渡る。

 

 

 

 

 

「全軍、突撃ぃぃぃいいいいいい!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 




本日2話目。官渡の戦いの一部でした。
戦闘の描写というよりは、説明ちっくでしたがちょっと書きたかった笑
次話、決着です。

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