真・恋姫†無双 - 王の側にて香る花を慈しむ者   作:ぶるー

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第四十七話

 

夏侯惇たち魏の将たちが帰参したことにより、後方からの突撃を受けた劉備軍。

その威力は凄まじく、これにより劉備軍は瓦解。

 

それは、たちまち撤退を始める程にまで至った。

 

 

 

 

「どうして………? どうして、こんなに早く夏侯惇さんたちが戻ってこられたんだろう? ………こんなはずじゃなかったのに!!」

 

「朱里ちゃん………。」

 

「雛里ちゃん、だってそうでしょう!? 曹操さんの臣下の将たちは皆、遠方に出払っている事を確認しての今回の作戦だったのに………。普通に考えれば、どれだけ急いで駆けつけたとしても、明日の夕暮れよりは遅くなるはずだったんだよ!! だからこうして攻城兵器だっていっぱい持ってきたのに………城攻めになる前にこんな、こんな事になるなんて………。」

 

「………朱里ちゃん、大丈夫。」

 

「と、桃香さま………。」

 

「大丈夫だよ、朱里ちゃん。だから落ち着いて? 今回の戦いでは確かに曹操さんたちにやられちゃったけど、私たちはまだ負けてないんだよ。これから、いくらでも力を貯めて理想に向かって歩み続けられるんだよ。だから、顔を上げて前を見よう? 私と一緒に。そのためにも、まずはここをみんなで無事に生き延びよう。だから朱里ちゃん、あなたの知恵を、力を貸して。」

 

「はい………はいっ!」

 

 

さっきまでの沈んだ雰囲気から一転、劉備の笑顔とその言葉によって、サッと頭を切り替えて思考を巡らせる諸葛亮。

 

 

「まず、ここから撤退するためにも愛紗さんには軍の全体の取りまとめを。星さんは曹操軍の遊撃に備えて、あたりの警戒にあたってください。それから………。」

 

 

切り替えた頭ですぐに最適解を導き出すのは、流石の一言。

次々に自軍の将に指示を送りだす。

 

こうして、劉備軍は撤退戦へと移行するのだった。

 

 

 

 

──────────。

 

 

 

 

「華琳さまっ! ご無事でしたか!!」

 

 

夏侯惇たちが、劉備軍の陣形を突き破り敵を一掃。

劉備軍が瓦解し始めた事を確認して、将たちは一度曹操の元へ集まっていた。

 

 

「あなたたち………。お陰様でこうして無事だわ。それよりも、随分と早い到着だったわね? まぁその辺りは城にいる蒼慈も交えて、後でゆっくりと話を聞かせてもらうことにするわ。今は劉備たちの追撃よ。桂花、皆に指示を。」

 

「はっ! 春蘭、秋蘭、季衣、霞の4名はそのまま軍を率いて劉備軍の追走に。残りの将はこの城での戦いの仕上げとして敵兵を片付けてから軍を再編、後続の本隊として劉備の後を追います。」

 

「では皆のもの! 劉備に、この曹孟徳に楯突いた事をしっかりと後悔させて上げなさい!!」

 

「「「「はっ!!」」」」

 

 

こうして劉備軍の追撃へと向かう曹操軍。

士気も高く、あっという間に劉備軍を壊滅に追いやってやるという意気も見える。

 

 

 

通常であれば、この軍の士気や勢いのままに敵軍を飲み込めるのであろう。

 

 

 

だが、それを簡単にさせないのが劉備軍。

 

何せ彼女の軍には、言葉通り天下無双のあの子がいるのだ………。

 

 

 

 

──────────。

 

 

 

 

「くっ………やはり天下無双の名は伊達ではないな………。」

 

「春蘭さま、大丈夫ですか?」

 

「季衣、あぁ何とかな。向こうも撤退を目的としているからあまりこちらを攻めて来ないのもあるが、やはり数合刃を交えるだけで、やつの凄さをまざまざと感じさせる。」

 

 

夏侯惇たちは劉備の追撃部隊として急ぎ後を追うが、そこに待ち構えていたのは呂布。

天下無双の名に相応しく、夏侯惇たちの前に立ちはだかってはその陣を崩してまた逃げていく。

 

無論、夏侯惇たちもただやられるわけではない。

呂布本人を夏侯惇ら将が引き受け、その間に兵たちが劉備軍の兵たちをゴリゴリと削っていく。

 

その甲斐もあって、呂布がとどまる頻度は徐々に少なくなっていた。

 

こうして地道ながらも相手の兵力を削り、いよいよ劉備軍本隊に追いつこうというところ。

夏侯惇たちは呂布に足止めを喰らいながらも、やはり進撃の勢いは凄まじく、荊州は長坂にまで歩みを進めていた。

 

 

 

「申し上げます! このさきの長坂橋にて、敵軍の将、張飛と呂布の2名を確認! その他兵士の姿は見当たりません!」

 

「何だと? たった2人で我らの追撃を受け切ろうというのか………?」

 

 

報告に対して、夏侯淵が首を傾げる。

 

 

「だが、橋を上手く使えば兵数で押し切ることなど出来まい。寡兵で大軍を迎え撃つときの最善手ではないか?」

 

「せやなぁ、春蘭の言う通りやないかな? 橋さえ抜かさんとったら、本隊に敵を進めんくてすむわけやし。」

 

「ふむ………では我らはこのまま進むとしようか。」

 

 

そう言って再び兵を勧める夏侯惇たち。

長坂橋まで進むと、確かに報告通り張飛と呂布の姿が確認できた。

 

 

 

 

「恋っ!」

 

「………霞。」

 

「………ようやく止まってくれたんやな。ゆっくり話でもしたいところやけど、そうも言ってられへんからな。………でも1つだけ、何であんたが劉備とおるんや?」

 

「恋、桃香のこと、好き。」

 

「ほー………そないに劉備のところは居心地がえぇか。月もそこに居るっちゅうし、なんや気になるなぁ。」

 

「霞も、こっち来る?」

 

「いんや、今は曹孟徳に忠誠を誓うとる。そのかわり、劉備を捕らえて直接確認することにするわ。」

 

「………させない。」

 

「させてもらうでぇ、恋! いつかあんたと本気でやりあってみたい、そう思っててん。これが丁度えぇ機会や、あんたの本気、存分に見させてもらうでぇ!」

 

「桃香には、指一本触れさせない。だから恋は霞を倒す………来い、霞。恋の本気、見せてやる。」

 

 

呂布の闘気に応じるかの様に、地面に堂々と突き刺さる深紅の呂旗が、ひときわ大きくバサリとはためく。

 

 

「………くくくっ、この感じ、えぇなぁ! 頭が沸騰しそうや………! いくでぇ、飛将軍、呂奉先! 張遼が神速の槍、味おうてみぃ! うぉらぁぁぁぁあああああ!!」

 

 

呂布と張遼、元董卓軍の将同士の戦いが始まった。

 

 

 

………。

 

 

 

「あっちは始まっちゃったのだー。………で、鈴々の相手は誰なのだー? 右目のないお姉ちゃんか? 左目のないお姉ちゃんか? それともチビペタハルマキか?」

 

「誰がチビペタハルマキだー!」

 

「だってチビだし、ペタンコだし、頭にハルマキつけてるし。」

 

「ぺったんこじゃないやい! おっぱいくらい、ちょっとだけある!」

 

「………ささやかなのだなぁ。」

 

「むきーっ!」

 

「季衣、少し落ち着け。………しかしこの状況で、いつまで一騎打ちで時間を稼げると思うのだ?」

 

「数に勝てないのは重々承知なのだ。………けど、来たければ来れば良いのだ。」

 

 

 

 

 

張飛の周りを一陣の風が吹く。

 

 

 

 

 

 

「天下無敵と謳われた燕人張飛の丈八蛇矛、雑兵の千や二千、地獄に送るのは軽いのだ。桃香お姉ちゃんを無事に逃がすためにも、ここは決して通さないのだ!………さぁ、来るならさっさと来るのだ!!」

 

 

 

 

 

 

燕人張飛の、一世一代の名乗りが上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 




魏ルートでは存在しなかった長坂の戦い。
それに近い話を入れてみたかったので入れました( ゚д゚ )
色々おかしいかも知れないけれど、ご容赦の程を!笑


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