真・恋姫†無双 - 王の側にて香る花を慈しむ者   作:ぶるー

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第五話

王蘭が夏侯淵隊に加入して、しばらくの日が過ぎた。

 

 

 

どこか頑固な性格でもあるのか、王蘭は夏侯淵隊へ入隊するときは、

自分の発した言葉通り、「末席」からの始まりに拘った。

 

その態度は既存の兵にとっても好感の持てるものだったようで、すぐに隊に馴染むことができた。

 

 

王蘭は年若い青年ということもあり、新人隊員恒例なのだろうか、

先輩たちからのしごきという名の手荒い”歓迎”を受けながら、日々訓練に邁進。

 

 

 

数ヶ月に渡って続いたその”歓迎”を乗り切ると、めきめきと頭角を表していく。

 

 

 

 

流石に元警備隊隊長である。

 

軍の動き方、考え方をあれよあれよと吸収していき、

気付けば入隊僅か半年にして、100人を率いる小隊長になっていた。

 

規律に厳しくも、実力を重視する曹操軍ならではだろうか。

勧誘された時に提示された役職ではあるが、ほぼ自力で勝ち取った立場と言っていいだろう。

それでも、こんなにも早い出世は異例のことだった。

 

曹操の側からしても、自力で出世を勝ち取る前例がこうして出てくることで、

他の隊員に好影響を及ぼすと考えて、王蘭の出世を歓迎した。

 

 

 

 

小隊長として、自分の隊員に訓練をしながらも、

世の情勢に目を向けてみると、やはり各地では盗賊の被害にあう村が多いようだった。

 

夏侯淵隊もその討伐に赴く事も多く、自分の村よりも小規模な村への出撃も少なくなかった。

このあたりは流石曹操といったところか。少ない民であっても自分の民は守ってみせると言うことだろう。

 

 

 

 

この日王蘭たちは出撃がなく、ちょうど訓練が終わったところのようだ。

 

「それでは今日の訓練を終了します。

各位、しっかりと体を休め、疲れを残さないよう留意してください。

では、解散。」

 

 

訓練で汗を流した隊員たちがゾロゾロと引き上げていく中、

王蘭に話しかける隊員が。

 

 

「王小隊長、最近巷で有名な噂、知ってます?」

 

「噂…ですか?

いいえ、存じません。どんな噂でしょうか?」

 

「なんでも、管路って結構有名な占い師なんですけど、

確か…

”そのもの白き衣を纏て金色の星と共にこの地に降り立つべし。失われゆく大地との絆を結び、終に人々を碧き地に導かん。”

だったっけかな?全部あってるかどうかわかんないですけど。」

 

横で聞いていた別の兵が、

 

「それ、俺も聞いたことありますよ。

結構街では有名な話見たくて、飯屋行ったら結構な頻度で耳にしますよ。」

 

ふむ…。と顎に手をやり考え込む王蘭。

 

「そのような噂、知りませんでした。市井の声を聞く良い機会ですね。

ご報告、ありがとうございます。

 

………。

でも、一体どういう意味なのでしょうか…。仮に今諳んじてくれたものが正しいものとしましょう。

失われゆく大地、とは、この荒れた大陸を指すのでしょうかね?

だとするならば、その白き衣を纏った何かしらが、星と一緒にこの地にやってきて、

碧き地…これは平和を表すのでしょうか?平和に導いてくれると…。

 

そんな意味なんでしょうか?

余りにもざっくりとした、大雑把な予測ではありますが………。」

 

 

もしもこの予測が正しいものならば、良くない傾向だと王蘭は考えた。

 

 

確かに今は世が乱れ、嘆き苦しむ民が多い。

 

だが、その救済を大陸にいる諸侯や天子様ではなく、

新たに星に乗ってやってくる、得体のわからぬ何かしらに求めている、という点が、

どこか危険な匂いを感じさせた。

 

 

 

王蘭はこの話を夏侯淵にすべく夏侯淵の執務室を訪れる。

 

「夏侯淵様、王蘭です。お耳に入れておきたい報告があり、参りました。」

 

「うむ。入ってよいぞ。」

 

「失礼します。」

 

部屋に入ると、夏侯淵が竹簡を広げ仕事をしていた。

 

「あぁ王蘭。今部隊の編成をしていてな。希望があれば聞くが、どうだ?」

 

「はっ、特に希望は…。将軍の指示に従います。」

 

「ふむ、そうか…。わかった。急ぎでなければこれを仕上げてしまうから、

少しかけて、待っていてくれるか?」

 

「はっ。お忙しいところ申し訳ありません。お待ちいたします。」

 

サラサラと竹簡に筆を走らせ、仕事を進める夏侯淵。

 

「………これでよし。すまない王蘭、待たせたな。

詫びに茶でも淹れよう。」

 

「それならば私が。仕事でお疲れでしょうし。

お口に合うかもわかりませんが…。しばしお待ち下さい。」

 

「そうか…。ではお言葉に甘えようか。」

 

そう言ってお茶の用意をする王蘭。

そこに雑談といった形で、話しかける夏侯淵。

 

 

「どうだ?小隊長殿。立場には慣れたか?」

 

「え、えぇ。村で警備隊も率いていましたし、むしろ一兵卒として訓練頂いていた、

これまでの方が少し新鮮でした。」

 

「そうか。華琳様がお前をお引き立てなさった様に、私もお前には期待しているからな…

頑張れよ。」

 

「はっ、ありがとうございます。

…さて、お待たせしました。お口に合うと良いのですが…。」

 

「うむ。いただこう。………!!」

 

そう言って一口茶を啜り、驚愕の顔を浮かべる夏侯淵。

 

「これは…。すまん。正直ここまで美味しいとは思っていなかった。

うむ、美味いな…。人心地がつく、落ち着く味だ。」

 

「あ、ありがとうございます…。普段、これと言って趣味もないので、

よく飲むお茶くらいは拘ってみようかと…淹れ方も練習してるんです。」

 

照れながら返す王蘭に、

 

「そうか。これから茶を飲むときは王蘭に頼むとしようか。

…さて、何か話があるのだったかな?」

 

「はい。今日の訓練を終えた際、部下数人から巷で噂になっているという、

占い師の予言があるらしく…。

あまり良いものではないかもしれないと思ったので、お耳に入れておこうかと。」

 

「噂…?市井の声はなるべく聞くようにしているが、知らんな…。

どんな噂なのだ?」

 

 

王蘭は隊員たちから聞いた内容と、懸念していた内容を伝える。

それを聞いた夏侯淵は考えるような仕草を見せたあと、

 

「確かにあまり良いものではないかもしれんが…。

まぁ現状はそこまで騒ぎ立てる程でもないだろう。折を見て華琳様にも伝えておくが、

お前の方でどうこうする必要はないよ。そんな噂がある、という位に留めておけ。」

 

「はっ。承知いたしました。では私はこれで失礼致します。」

 

「あぁ。報告ご苦労だった。茶も馳走だったぞ。」

 

 

 

―――――

 

 

 

数日後、なにやら城内が騒がしくなっている。

 

 

「出撃用意!!機動力を重視して整えよ!!」

 

夏侯淵の声が響き渡る。

つい先程、曹操様より連絡があった。

 

何やら領内で保管されていた貴重な財産が盗まれたとの事。

南華老仙の「太平要術の書」という本だとか。

 

それを盗賊から奪還するための出撃である。

 

 

 

夏侯淵隊、夏侯惇隊、曹操隊の各隊準備が整い出す。

いよいよ出陣の号令の間際、曹操が空に何かを見る。

 

「………流れ星?不吉ね………。」

 

 

 

各隊の出立準備が整った事を確認した夏侯惇が、報告する。

 

 

 

「華琳様!出立の準備が整いました!」

 

 

普段なら返答があるであろう夏侯惇の言葉に、反応がない。

不思議に思った夏侯淵が問いかける。

 

 

「華琳様…?どうかなさいましたか?」

 

「………。今、流れ星が見えたのよ。」

 

 

あまりの不自然さに、夏侯惇ですら疑問に思い、問い返す。

 

 

「流れ星、ですか?…こんな昼間に。」

 

 

これに賛同する形で、夏侯淵が曹操の様子を伺うように、

 

「あまり吉兆とは思えませんね…。出立を伸ばしましょうか?」

 

と問いかける。

 

 

 

 

「吉と取るか凶と取るかは己次第でしょう。予定通り出立するわ。」

 

「承知致しました。」

 

曹操の言葉にそう返した夏侯淵が、夏侯惇に目で合図を送り、全軍に号令をかけさせる。

 

「総員、騎乗!騎乗っ!」

 

 

 

出立の用意が整った兵たちに、曹操が声を掛ける。

 

「無知な悪党どもに奪われた貴重な遺産、何としても取り戻すわよ!………出撃!」

 

 

 

 

こうして曹操軍は南華老仙の残した書を取り戻すべく、軍を進めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 




ようやく原作ストーリーに準拠できる位置まで進められました。
予言の内容についてはちょっと遊んでしまいました…笑

そして申し訳ない事に、ストックがこれでなくなりました。
短いスパンで更新出来るように執筆中ですが、
隔日の更新になるかもしれません。

誠に恐れ入りますが、ご了承賜りますよう…お願いいたします。
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