真・恋姫†無双 - 王の側にて香る花を慈しむ者   作:ぶるー

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第五十二話

 

 

 

周年記念の逢引きで、街中へとでかけている王蘭と夏侯淵。

2人はあの曹操も御用達の装飾品店へと来ていた。

 

 

「華琳さまは意匠から全て特注の様ですが、秋蘭さんがどのようなものを好んで選ばれるのかいまいち自信がなくて………申し訳ないのですが、一緒に選んで頂いても構いませんか?」

 

 

そう正直に話す王蘭。

せっかくの記念の品なのだ。日常的に付けられるようにしっかり好みに合わせたものを選ぶべきとして、北郷の記事に従う。

 

 

「別にお前が選んだものなら、どんなものでも付けようと思うのだぞ? まぁでも、お前のその心遣いはありがたく受け取っておこう。」

 

 

そう言うと、店先に並ぶ品々に目を通す夏侯淵。

幾つかを手に取り、実際に自分に当てて見せる。

 

 

「どうだ? 似合うか?」

 

「よくお似合いです。でも先程の髪飾りの方が、私は好みですね………。」

 

 

そんな掛け合いをしながら、幾つかの商品を手にとっては棚に戻しを繰り返していく夏侯淵。

 

 

「そう言えば、ここには指輪や髪飾り、首飾りなど様々あるが、どれを見たら良い?」

 

「えっと………指輪は秋蘭さんは弓を扱うので、今回は避けようかと思ってます。でも日常的に付けていて問題がないのなら仰ってくださいね? なので今回は、首飾りか髪飾りを贈ろうかと思っています………。」

 

「ふむ。指輪は正直付けたことがあまり無いから良くわからんな。では髪飾りと首飾りを中心に見ようか。」

 

 

そう言ってそれらが集まっている辺りを物色する。

 

何度か当ててみては王蘭の意見を伺い、候補を絞っていく夏侯淵。

最終的に3つの候補まで絞り込んだ様だ。

 

 

「この中のどれか、だな。最後まで私が選んでも良いのだが、せっかくこうして蒼慈が私に贈り物をしてくれるのだ。なるべくならお前自身で選んで欲しいのが女心だな。」

 

「わかりました。この中からなら私も選ぶことができます。絞っていただいて助かりました………再度当ててみても?」

 

「あぁ、もちろんだ。納得のいくものを選んでくれ。」

 

 

やはり夏侯淵の選ぶものはどれも良い意匠のものばかり。

髪飾りが2つに首飾りが1つと、どちらの選択肢も残しておく辺りは性格が伺える。

 

それぞれを夏侯淵にもう一度当ててみて、そっと首飾りは置いた王蘭。

どうやら髪飾りで悩んでいるようだ。

 

 

「ふむ、その首飾りは違ったのか?」

 

「えぇ、首飾りだと落ちる心配が無いのでいいのですが、秋蘭さんは首元まで詰まった着物をよくお召しになるので………せっかくなら普段から目につくものがいいなぁ、なんて………。」

 

「ふふっ、そうか………どちらも私が残したものだ。後はお前の判断に全て委ねるよ。」

 

 

王蘭は2つを手にとって交互に見比べる。

うんうんとしばらく悩み、1つを陳列棚へと戻す。

 

 

「こちらにします。………如何でしょう?」

 

「あぁ、良いと思うぞ。私の好みでもあるし、お前が選んでくれたものだ、嬉しくないわけがないさ。」

 

 

それを聞いて喜んだ表情を見せる王蘭。

早速会計を済ませて、夏侯淵へと手渡す王蘭。

 

礼を言って受け取った夏侯淵は、早速それを身に着けてみせる。

 

 

「………どうだ?」

 

「はい、よくお似合いです。うん、それにして良かったです!」

 

 

彼女の青い綺麗な髪に輝くそれは、花を象った細工が入った髪飾りで、さり気なくつく深蒼の宝飾が、主張をしすぎない程度に付けた人を華やかにする、まさに彼女らしい髪飾り。

短髪の彼女でもしっかりと付けられるようになっているのも評価が高い所だ。

 

髪飾りをつけた彼女の足取りは更に軽やかになり、腕を組んで2人並んで歩いているはずが、グイグイと夏侯淵の方から引っ張る様にして進んでいく。

 

 

「次はどうするのだ?」

 

「私が行きたかったお店はあのお店だけですので、夕飯まではこのまま街で買い物しましょうか。」

 

 

そう言うと、今いる場所から街並みを順番に見て回ることに。

装飾品店の他にも、雑貨屋に服屋、休憩に喫茶店と、様々な店に顔を覗かせる2人。

 

途中服屋にて、

 

 

「蒼慈はどんな服が好みなのだ? 切れ込みのふかーく入ったこのような着物か? それともこうしたフリフリとした飾りのついた服が好みか?」

 

「えぇっ!? う、う………私はどちらかと言うと前者寄りの方が好み………です。」

 

 

といった場面も見られた2人。楽しい時間を過ごせているようだ。

楽しい時間はいつの日もあっという間に過ぎゆくもので、もう夕飯時である。

 

 

「秋蘭さん、そろそろ夕飯時ですね。お店に予約を入れてあるので、そろそろ向かいましょうか。」

 

「おや、そうなのか? 」

 

「はい。せっかくの日なので、いつしかの日をなぞってみようかと思いまして。」

 

 

そう言って2人が向かったのは、初めて2人きりで食事をした店だった。

中に通され席につくと、早速料理が運ばれてくる。

 

 

「ふふっ………別に慣れた店でも良かったのだぞ?」

 

「あの時ほどガチガチに緊張していませんから、ちゃんと食事もお酒も楽しめますよ。」

 

 

そう言って2人は乾杯する。

 

 

「………ふぅ。時間が経つのって本当に早いですね。あの時の食事が昨日のことのように感じます。」

 

「だな。あれはまだ黄巾の賊らを討伐する前だったか………懐かしいものだな。」

 

「そうですねぇ………。あのときの秋蘭さん、全然その気がなかったですもんね。」

 

「まさかお前がそんなふうに思っていたなんて思いもしなかったよ。互いに真名も交換してない間柄だったしな。それに、今はこうしてお前を一人前の男として見ているのだ。それで良いだろう? 我が恋人よ。」

 

「ぐ、ずるいですよ………まぁ良いんですけども。」

 

 

そうして昔を思い浮かべながら、当時と同じ料理が次々に運ばれてくる。

 

黄巾から先の劉備との戦いまで、世の情勢は大きく移り変わっている。

2人はそれを辿りながら料理に舌鼓を打ち、ゆっくりと酒を楽しむ。

 

 

 

………。

 

 

 

「ふぅ………そろそろお酒が回ってきましたね。お店、出ましょうか。そう言えばあの時、緊張してるのに飲みすぎちゃって、何かとんでもないことを言っていたような気がしますよ。」

 

「はて、どうだったかな………?」

 

 

そうして笑い合いながら、店から出る2人。

 

 

「少し酔い覚ましも兼ねて、涼みに行きませんか? 夜風が気持ちよくあたる、良い場所があるんです。」

 

「それは良いな。私も少し飲みすぎてしまった様だ。早速行こうか。」

 

 

2人は再び腕を組み、小川の流れる静かな場所へと移動する。

 

 

 

 

──────────。

 

 

 

 

小さな川の流れる、少し開けた場所へとやってきた2人。

街の喧騒など聞こえない、静かな場所だ。

 

座れそうな岩肌に腰を降ろした2人は、しばらく川から聞こえてくる水の音、周囲からリンリンリンと聞こえてくる虫たちの音に耳を傾ける。

昼の暑さなど感じさせない、涼やかで心地の良い時間が流れていく。

 

 

「ふぅ………ここは心地よいな。」

 

「そうですね。お連れして良かったです。」

 

「こんな所、一体どうやって見つけて来るのだ?」

 

「それはまぁ………黄巾討伐の時期からこの日まで時間はたくさんありますので。」

 

 

笑いながらはぐらかす王蘭。

振り返ると、将としてはまだ日は浅い王蘭だが、夏侯淵隊として入隊した日も加味すれば、実は古参の部類に入る。

 

それも相まって、2人は今一度思い出を振り返るように昔を懐かしむ。

一通り会話が盛り上がったあと、不意に静かな時間が訪れる。

 

 

互いに口を開くでもなく、互いの肩をピッタリと寄せ合って、ただただ横に愛する人がいる事を噛みしめる2人。

どちらからともなく、ふと互いの方へとゆっくり顔を向ける。

 

 

静かにそっと、2人の影が重なっていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 




秋蘭さんと2人の拠点フェーズ後半。
爆ぜる?そろそろ王蘭さん爆ぜるかな?


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