真・恋姫†無双 - 王の側にて香る花を慈しむ者   作:ぶるー

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前回投稿日、間に合わずに申し訳ありません。
ですがその分、今回の話じっくり考えられました。
見直せてよかったと思ってます。




第七十九話

 

 

 

益州 成都での決戦。

いよいよ大陸の覇者を決める戦いが始まった。

 

事前に掴んでいた情報通り、曹操と劉備の舌戦が終わると同時に、劉備軍騎馬隊の馬超が先鋒として攻め入ってきた。

 

これを迎え撃つは曹操軍の重装備を身に纏った歩兵部隊。

事前に敵の動向を察知していた曹操軍は、既にそれを迎え撃つ用意は整えていた。

 

重装備の歩兵部隊が盾を構え、密着している。

さらに、その合間を縫うように無数の槍が突き出され、馬超たち騎馬隊に向けられた。

 

 

曹操軍の強みは、圧倒的兵数。

無論、他に特筆すべき点も多数あるが、戦に置いて兵数は即ち力。

 

その強みを活かした密集の槍衾は、まさに圧巻。

ズラリと横に並び、加えて厚みのあるその様子は、回り込むことすら諦めさせる程。

 

それはまるで、万里の長城のような果てしなさを感じさせた。

 

これには馬超もどうしようもなく、堪らずにすぐさま歩みを止める。

 

奇襲の騎馬隊の足を止める事に成功した曹操軍。

それを確認した歩兵達は、一斉に前進を開始。

 

劉備軍は奇襲作戦は失敗したものの、優秀な将の多さが強みの劉備軍。

進軍してくる曹操軍の兵に対して、勇猛な将が率いる部隊がそれぞれ対応を開始。

 

 

戦場は、徐々に熱を帯びていく。

 

 

 

──────────。

 

 

 

劉備軍が誇る2人の軍師、伏竜鳳雛。

 

彼女たちが思い描く開戦とはならなかったが、万が一また作戦が読まれ、防がれた場合も想定している。

その策も事前に将たちに共有はしてあり、各将がそれに従って部隊を運用していく。

流石に戦が始まっては内部の小競り合いなど頭からは消えてしまう様で、魏延も素直にそれに従っている様だ。

 

劉備軍にはまさに一騎当千と言える武将が数多く居る。

武官筆頭の関羽を始め、張飛、趙雲、馬超、魏延など近接武器を得意とするものの他に、厳顔という遠隔の獲物を扱う将もいる。

本来ならばここに黄忠という弓の将も数えられるはずではあるが………。

 

それを活かした戦い方が出来るかどうかが劉備軍の要だと2人は考えていた。

 

 

対するは、魏の軍師たち。

 

元々の優秀な4名の軍師に、あの美周郎が加わった曹操軍の軍師団はまさにこの大陸一の頭脳集団と言えるだろう。

諸葛亮、鳳統の2人が次善策の用意をせずに攻撃を仕掛けてくるはずが無いと考えていた5名は、それぞれの頭を使って事前に状況を読み解いていた。

 

これだけの軍師が集まり、戦況を描き、詰めていくのだ。

更には、長年彼女らのもとに居た孫乾という新たな人物がいる。

 

5名の軍師達が考えた作戦を、ずっと監視し続けてきた孫乾が2人の性格と照らし合わせる。

こうして軍師だけの状況考察だけではなく、内情を知った人間の考察も加える事で、その議論は深みが増し、現実味を帯びていく。

 

こうして考えられた戦況の流れ。

魏の軍師団が諸葛亮らの作戦を読みきれないはずもなく。

 

その英知が詰まった今回の作戦に従い、部隊に指示を出しつつ次々に戦局が展開されていく。

 

 

攻める劉備軍、それを悠然と迎え撃つ曹操軍。

戦場を描く2つの軍が、己の命に炎を灯し、生き残りと理想を懸けて戦う。

 

その様は美しも儚く…。

 

 

 

だが、無情にも時と共に戦況は傾きを見せる。

劉備軍の劣勢が、如実に現れてきていた。

 

それは、その時が近い事を感じさせるには十分で。

 

 

 

 

………そして、いよいよ。

 

曹操軍大将 曹孟徳、出陣。

 

 

 

 

──────────。

 

 

 

 

「季衣、流琉。そろそろこの戦を終わらせるわよ。………ついてきなさい。」

 

「「はいっ!」」

 

 

曹操は近衛2人を連れて劉備軍本陣へと進軍を開始する。

 

戦場は、ふと気づけば両軍本陣の間を遮るものは何もなく。

両軍の主戦力は左右に別れて戦を展開していた。

 

これも魏の軍師団が用意していた筋書き通り。

策とは相手の虚を突く事。

 

劉備軍の軍師2人が思いもつかないこと。

それがこの大将同士による決着だった。

 

魏の軍師達はそれぞれが自分が劉備軍の軍師なら、と考えた時、やはり将の多さを活かすことは一致していた。

その内容に差はあれども、そこが同じであればそうさせないことが我らの務めと、戦場の展開を詰めていった。

 

やはり敵の将の多さは兵数の差を考えても厄介であり、抑えるのに専念させるべきだと判断した軍師たち。

では決着はどうするのか? と考えた時、5人の軍師達はこともあろうか、曹操を手駒の1つとして考えて本陣同士の決着を付けさせようとしていたのだった。

 

方や、主に敵を寄せ付けないためにどうするかを考えた軍師。方や、主をも駒として捕らえ、戦に勝つための最善を尽くした軍師たち。

その差はどちらが良いというわけでもないだろうが、勝利の女神はどちらか一方にしか微笑みを見せない。

 

 

こうして、軍師達が整えた花道の様な一本の道を、悠々と進む曹操隊。

 

 

周りの劉備軍の将たちも、曹操の動きにようやく気づいてそちらに押し寄せようとするが、曹操軍の猛将たちが行く手を阻む。

特に、劉備と義姉妹の契りを結んだ関羽や張飛は強くこれに反応しているが、夏侯惇ら魏の猛将達がついているため、それを無視して通ることなど不可能だった。

また、夏侯惇らにしても気が散っている彼女らに負ける理由などあるはずもなく、行く手を拒む事に容易く成功している。

 

 

そして………。

 

 

「え………? 曹操さん………っ!?」

 

「………大人しく投降なさい、劉備。これだけの兵数の差、如何に勇将揃いのあなた達だって、最早劣勢、いいえ、負けが見えていることは分かっているのでしょう?」

 

 

曹操が劉備の元へと辿り着く。

劉備軍本陣には、劉備の他に諸葛亮、鳳統が居るだけだった。

 

そして軍師2人は、曹操を前にしてそれぞれ反応を示した。

鳳統は曹操を目の前に見るや否や、ヒッと小さな悲鳴を上げ、怯えた様子でその小さな体をより小さく縮めた。

対する諸葛亮は彼女とは正反対。まるで射殺さんばかりの目つきで曹操のことを睨みつけている。

 

 

「ここで降伏しないのであれば、あなたの大事な関羽や張飛まで失うことになるわよ?」

 

「そんな………でも、まだっ!」

 

「………天命は既に下った。その天命を確かめる勇気、あなたにあるかしら? もしあるというのならば、その腰に下げた剣を抜き、私と対峙してみなさい。もしあなたに天の加護というものがあるならば、あなたは私に勝てるはず。………その時は私を討って、この戦いを終わらせればいい。それとも、あなたの貫きたい理想とやらは、私一人も越えられない程ちっぽけなものなのかしら?」

 

「………曹操さん。」

 

「そうでないというのならば、私に勝って違うのだと証明してみせなさい。私を倒し、首級を取り、高らかに曹魏の兵にその事実を示しなさい。」

 

「………わかりました。」

 

「そんなっ! 桃香さま!」

 

「む、無茶でしゅっ!」

 

「確かに無茶かもしれない………。でも、曹操さんの言葉を受け止めなくちゃ、今までの私を、私自身が否定することになっちゃうから………。」

 

「で、でも!」

 

「朱里ちゃん、心配してくれてるんだよね………。ありがとう。でも、やっぱりここで剣を取らないといけないんだ。………曹操さん、私が勝っても、あなたの首級はとったりしません。私が勝ったら、その時は私に力を貸してください。」

 

「ふふっ………とてもあなたらしい提案ね。素晴らしく甘ったるい、ぬるま湯の理想………。でも、いいでしょう。それがあなたの流儀ならば、私はそれに従うまでよ。………あなたが勝てれば、ね。」

 

 

 

 

「ならば………行きますっ!」

 

「来なさい、劉備。天命がどちらにあるのか………決着をつけましょう。」

 

 

 

 

 

 




最終決戦、いよいよ劉備対曹操の一騎打ちとなりました。


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