空立つ”飛”の独器と男   作:阿久間嬉嬉

2 / 90
空立つ男と学園都市

麻帆良学園都市。

 

明治中期に創設され、幼等部から大学部までのあらゆる学術機関が集まってできた都市である。

一帯には各学校が複数ずつ存在し大学部の研究所なども同じ敷地内にあるため、敷地面積はとても広い。そのため、年度初めには迷子が出るとのこと。

多くの生徒が在籍していることもあり、毎朝の通学ラッシュは鉄道・道路ともに大混雑を極め、たくさんの生徒たちが駆け足で登校しているシーンは朝の名物である。

 

 

その広さゆえか、学園内をブラブラと散歩する部「さんぽ部」というものがある。確かに、ものすごく広い学園都市は、散歩するだけでも楽しいだろう。学園の生徒でなくとも歩き回る者もいるはずだ。

しかし―――

 

「……だりー……迷った……」

 

空中を逆さま状態で歩く人など、この男一人を除いてほかにいるだろうか?

いや、逆さま状態で空中を歩く必要がどこにあるのだろうか?

……そもそも、空中を歩いているのだから迷ったもくそもないと思うのだが……。

 

「“麻帆良学園本校女子中等部” ってどこなんだ? ……まさかアレ、数日前の所じゃねーよなぁ」

 

彼はどうやら“麻帆良学園本校女子中等部”を探しているようである。

ちなみに彼の予想は『大当たり』で、彼が数日前までいた場所こそが“麻帆良学園本校女子中等部”であったのだ。

 

「いや、ありえねぇか。妙にでかいのとか、老け顔のやつとかいっぱいいたしな」

 

でっかい等と言っているが、この男の身長はどう見積もっても180cm後半はある。

そんな男に妙にでっかいとかその人達も言われたくないだろう。

 

老け顔の件だって、老け顔ではなくとも、白髪交じりで髪の上方はトゲトゲのボサボサな彼も、いろんな意味で老けていると思うのだが。

 

「……やっぱ不安だから戻るか……めんどーせぇ」

 

ちなみにこの男、この一時間に十五回は面倒くさいと言っている。

……面倒くさがりにもほどがあるだろう。

 

 

■

 

 

ところ変わって、ここは正真正銘の“麻帆良学園本校女子中等部”、学園長室。

 

「お呼びでしょうか、学園長先生」

 

教師のような服を着た。十歳ほどの男の子が、ぬらりひょんのような老人に問いかけた。

 

彼の名は”ネギ・スプリングフィールド”、こんななりでもれっきとした教師である。実は、彼は魔法使いでもあり、修行のために日本へ教師としてやってきたのだ。冗談のような話だが―――

 

「うむ、実はお主に頼みたい事があるのじゃよ。魔法先生」

 

本当の話である。ちなみに、ぬらりひょんのような老人はどうやら学園長らしい。

 

「もしかして……魔法関係で、ですか?」

「いや、そうで有り、そうで無いかもしれんといった……とにかく曖昧なことじゃ」

 

そして学園長は、ネギ・スプリングフィールドに一枚の紙を渡す。

 

「読んでみい」

「あ、はい。え~と―――”謎の人物が麻学園に侵入。警戒されたし”―――これって……!」

「うむ。その人物はいまだ捜索中、見つかっておらん」

「まさか、僕を呼んだ理由とは……」

「その通り―――その人物を捕まえてほしいのじゃ。魔法使いとしての課題じゃよ」

 

ネギは神妙な顔つきとなり、そして意を決して顔を上げる。

 

「わかりました!」

 

そして学園長に礼をし、

 

「失礼しました!」

 

学園長室を出て行った

 

■

 

sideネギ

 

この課題をクリアすれば……『立派な魔法使い』(マギステル・マギ)にまた一歩近づける。

 

よし! がんばるぞ! 待っていろ不審者!

 

 

■

 

side学園長

 

はてさて、向こうは上手くやってくれるかのぉ……

 

「頼むぞ、”仁”。中空を渡る若者よ」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。