・踏脚(ヴィエナードサーヌ)
空中で急加速して眼下の敵に向かって落下し、靴底での蹴りを食らわせる技。真下に急降下するバージョンと、急角度のライダーキックを打ち込むバージョンがある。
重力による落下と仁の脚力、そして普通では耐えられないGが来るはずの急加速を利用した、バカにならない威力を持つ蹴りなのだが、ネギ戦では流石に加減されていた模様。
所謂『高高度からの急降下キック』
名前の元ネタは、日本語に訳すと「等脚」となるラトビア語、vienādsānu。
・砲足(リクムス)
仁の持つ常人ではありえない脚力により、純粋な“蹴りの圧力”を放つ技。仁がよく使う技の一つで彼曰く、「一々近づいて蹴るのはめんどーせぇ」と言う奇妙な考えから生み出された技。
基本故に集中や連射に狙撃、広範囲や貫通など応用が利く。
所謂、タカミチ・T・高畑の『豪殺居合い拳』の蹴りバージョン。
名前の元ネタは、日本語に訳すと「法則」となるラトビア語、likums。
・連足(トゥーリート)
平たく言えば連続蹴り。しかし本人の脚力と技量、そして
所謂『移動しながらの連続キック』で、それを様々な型の蹴りに変えたもの。
名前の元ネタは、日本語に訳すと「連即」となるラトビア語、, tūlīt。
・倒足(ガルヴカーギ)
踏脚が急降下靴底キックだったのに対し、こちらは正面から有りっ丈の力を込めて蹴り抜く技となっている。
もし、仮に仁がこれを(封印状態とは言え)本気で放っていれば、ネギは見るも無残にボロボロとなり、はるか上空へと吹き飛ばされていた程の威力を持っている。
所謂単なる『横蹴り』なのだが、【飛】による異能を幾つか組み合わせてある。
名前の元ネタは、日本語に訳すと「頭足」となるラトビア語、galvkāji
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以上、技解説でした。
仁の技の元ネタは、実は全部ラトビア語なのです。あと、足枷の[独器]を付けているので、基本的に……というか、近距離にしろ遠距離にしろ足技オンリーです。
それでは本編をどうぞ(短いですが)
(なーに言ってんだかね、俺は)
仁はあの後さっさと会場から去り、また試合開始前までいた塔部分の屋根の下に、今度は逆さまで座っている。
髪の毛も垂れ下がらずに血が登らないのを見ると、どうやら
(適当が丁度良いとかほざいてたくせに、『気が向いたら戦ってやる』って・・・ホント何やってるってーか・・・)
言い出したことを引っ込めるわけにも行かず、仁は大きくため息を吐いて項垂れた。
とはいえ、《“術”を解除しなければ》何とかなるというのも事実ではあるので、せめてネギが贅沢を言いませんようにと、仁は祈るだけである。・・・まぁ、いつ会うかとかは決めていないので、ずっと何もしないというのも一つの手段ではあるのだが。
(・・・ありがとう、か)
仁は、ネギが最後に行ったその言葉を思い返す。
何故ありがとうと言ったのか? 自分が特訓を付けてくれる事にか、真面に相手をしてくれたからなのか。
それとも・・・今までも支えてくれてという意味なのか。
だがいくら考えようとも、それは仁の思考でありネギの思考ではないので、明確な答えは出ない。出るはずもなかった。
未だ整備中の能舞台を眺めながら、仁は近右衛門から聞いていたネギの過去、ネギと戦った後だからか思い出した。
彼の故郷は何者かの手によって呼び出された悪魔たちに襲撃され半壊、ネギと彼の姉、そして幼馴染以外の村人達は、強力な石化魔法によって今も石になったままなのだという。
仁とって、ネギという年端も行かぬ少年がなぜあそこまで“何かを背負ったような顔”をするのかが気になり、学園長にしつこく聞いたところ、やっと曖昧にだが話してくれたのだ。
「・・・ネギ、よぉ・・・」
仁は誰に言うでもなく、遠くに見えるネギを見て、呟く。
「不謹慎かもしれねぇが、俺にとっちゃーお前が羨ましい。目指すべき親父がいて、不幸にもまれよーとも支えてくれる人達に恵まれて、英雄譲りの才能があって、帰る故郷があって―――――」
そこで一旦切り、仁は試合後に見せたものとは違う寂しげな笑みを浮かべて、続ける。
「石になってるだけで・・・・・・大切な人は “生きている” んだから、よ」
そう。
仁の故郷は仮に元の世界に帰れた処で、もう既に跡形も無く、大切な人達もこの世に存在しては居ないのだ。
追い出された第一の故郷は戦火のより粉微塵にされ、暖かく迎えてくれる人達がいた第二の故郷は個人の身勝手な欲望により消滅した。
曲がりなりにも血の継った親は顔を思い出す事も出来ない程朧げになり、自身を育ててくれた『爺さん』は・・・その最期を看取ることもできず、墓すら作れていない。
そして肝心の自分の原動力となっている感情は・・・ネギのように僅かに存在しているものではなく、それ一つに染まったのだろう『復讐心』。
恩返しを優先しているのも、もしかしたら自分が壊れないように抑制するために、彼らの雰囲気から癒しを得たいがために、行っているのかもしれない。
「・・・なんで、今思い出しちまーたのか・・・やっぱ、考え事をしていた矢先にネギのやつと戦ったから、かもな」
仁は、その一言を最後に寂しそうな表情を消すと、始まったらしい桜咲刹那とエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルの戦いを、何時も通りの面倒くさそうな表情で見やるのだった。