空立つ”飛”の独器と男   作:阿久間嬉嬉

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キリトさんが斬り掛る



仁に[飛]の力を使われて剣がすっ飛んでいく



キリトさん、仁に顔面蹴られてぶっ飛ぶ



カシャアアン!



 ・・・・という夢を昨晩見ました。


 確かに自分はPoH(プー)がどのSAOキャラよりも好きですが、別にキリトさんが嫌いなわけでもないのに・・・なぜあんな夢を見たのか・・・?



 それはともかく、本編をどうぞ。




対話

 エヴァンジェリンがゆっくり目を覚ますと、おどろおどろしく紫に染まった空が映った。自分は何故ここにいるのかと考えて、数秒と経たずに思い出す。

 

 

 

 

「・・・そうか、そうだったな」

 

 

 

 自分は本来の力を出した仁と戦い、叩きのめされたのだと。多少朧げだった考えも崩壊した建物を見て確信へと変わった。

 

 

 圧倒的にも程がある力の差、まだまだ余力を残しているような佇まい、[独器]の反則的な性能。改めて目の前にすると、紬が怖いのか、ぼーや達を巻き込みたくないのかといった彼女の言動が、ひどく愚かしいものだと思えてくる。

 

 

 ラカンのようなチートや、ナギのような反則的な天才でもあるまいし、特異な力を使うならやり方次第でなんとかなる・・・・・・そんな考えなど訂正だと、エヴァンジェリンは頭を降った。

 

 

 唯飛ぶだけ、飛ばすことだけに特化した力でアレなのだ。もし紬が、炎や氷を操る力を持った[独器]の使い手だったら?

 仁がいくら考慮しようとも、麻帆良が吹っ飛ぶのは目に見えている。加えて確実に対処できる者は仁以外にいないときた。

 エヴァンジェリンや近右衛門、クウネルやタカミチならばともかく、ほかの魔法先生や生徒、ネギ達のクラスの生徒など一瞬で消し飛ばされるのがオチであろう。

 

 そして先に挙げた四人も、そうそう長くはもたない。

 

 

 

([独器]が恐ろしいのか・・・それとも使い手が恐ろしいのか・・・はたまた、どちらもか)

 

 

 

 未だ震えの残る手を見やりながら、そういえば仁はどこに行ったのかと辺りを見回し、見渡す。

 

 すると、壊れた屋根部分に縋る様にして、腕を組んだまま寝ている仁の姿が目に入った。久しぶりに寝つきがいいのか、それとも既に起きているのかは分からないが、少なくとも目だけはまだ閉じている。

 

 

 もし寝ているなら・・・と、エヴァンジェリンは仁に手をかざした。

 

 

 知りたくなったのだ、『独器使い』同士の戦いとはどんなものか、 “紬” とはどんな人物なのか、仁の復讐心の源は何か、――――――相打ちの原因となった紬の技(・・・・・・・・・)とはどんな物なのか。

 

 

 しかし、魔力を込めようとした寸前で、エヴァンジェリンは手を引いた。

 

 

 怖かったのだ。

 独器使いの放つ圧力は、そう思っている思っていないに関わらず、相手を恐怖させる純粋な『死』という恐怖。

 そんなものが本気で、しかも二つ襲って来るとしたら、自分はどうなってしまうのか・・・それを恐れたためだ。

 

 恐るなと口にできるのは、その先にしか掴めないものがあるから、恐れる必要のないものに恐れている時だから、だからこそ言える言葉。

 

 それに、これで知るぐらいなら本人から聞いたほうが早い。

 

 

 見ると、仁は既に目を開けてエヴァンジェリンの方を向いていた。

 

 

 

「・・・やっと起きたかよ・・・めんどーせぇ(・・・・・・)・・・」

「私は、どれぐらい寝ていた?」

「・・・あ~・・・大体三時間ぐらいだな。・・・その間は静かだったから寝てた」

「・・・そうか」

 

 

 

 不自然に間延びした喋り方とダルそうな眼付き。闘っていた時の恐ろしさなど何処へやら、何時も通りの面倒臭がりな雰囲気が漂う仁に戻っていた。

 

 

 

「・・・」

「・・・あれがテメェの知りたがってた『本当の力』の一片だがよ・・・」

「恐ろしい、としか言いようがないな。死を直接恐怖として感じさせる殺意など初めて受けた」

「・・・そりゃ、この世界じゃな・・・」

「仁、お前の世界には、お前のような者がゴロゴロいるのか?」

「ゴロゴロはいねぇけど・・・少なくとも特殊な[武具]持ってる奴に、そうそう『弱い者』は居ない。居たら武器に体持ってかれーからな・・・」

「・・・そうか」

 

 

 あれだけの力を持つ[独器]。

 戦闘向きのものばかりではないとしても、確かに本人が弱ければ武器に体をもっていかれるだろう。

 しかし、エヴァンジェリンには仁の言葉に、何処か引っかかりを覚えていた。

 

 

 

「仁、今お前は[独器]ではなく[武具]と言ったな? 何故だ?」

「・・・もう数えきれねぇ、御伽噺や伝説扱いされちまうぐれー前から[独器]ってのは存在してんだ。当然使い手もコロコロ変わる。・・・広く知られてるわけじゃねーが・・・だが研究者がそれを手に入れて、『独器の模倣品』っての造らんとも限らんだろ。アレだ、そういうこった」

「独器の模倣品があるのか・・・だからこその武具、というわけか」

「・・・あぁょ」

 

 

 

 模倣品は飽くまで模倣品。だからこそ仁はどうでもいいという様な顔をしているのだろう。・・・やはり元からそういう顔だというのもあるが・・・。

 

 

 

「・・・もう二度とヤリたくないと思ったのは、本当に久しぶりだよ」

「・・・俺も二度とやりたくねぇ」

「お前の場合は唯面倒くさいだけだろうが・・・」

「・・・まぁな」

「フ」

 

 

 

 首をひねる仁と口角を釣り上げるエヴァンジェリン。

 

 と、仁が結構真剣な顔で切り出した。

 

 

 

「なぁ、エヴァンジェリンさんよ」

「何だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「外に出て確認してからにするが・・・ここを、利用させてもらってもいいか?」

「・・・言うと思ったよ。答えはYESだ」

「・・・おう」

 

 

 

 

 それだけ言うと、仁とエヴァンジェリンは双方黙り込み、仁は雲も流れず一向に変わることのない空を、エヴァンジェリンはボロボロどころでは済まないほどに壊れた建物を見て、ため息をつくのだった。

 

 

 

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