空立つ”飛”の独器と男   作:阿久間嬉嬉

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ふと思ったんですが、仁は自然災害でまず死なない気がします。


隕石 → 有らぬ方向へ飛ばす。無理なら飛んで逃げる

地震や津波、噴火 → 高高度まで飛んで回避

土砂崩れや雪崩 → 高速で飛んで振り切る

台風や嵐 → 『足場』を作って耐え、“目”の部分まで移動。


 ただ飛んで、ただ飛ばす力(例外有り)なのに、結構やれることが多いw ・・・まあ、だから何だって話ですが。



 それでは本編をどうぞ。


行方は知れず、彼らは何処

 あれから直ぐに、特殊魔法球から別荘へと戻ってきた仁とエヴァンジェリンは、ネギ達の姿がない事に気がつく。

 

 

 

「・・・どこいった?」

「大方、魔法球の外に転移したんだろうさ。そして午前中は学園祭を楽しみ、午後はいよいよ超鈴音との決戦へとしゃれこもう、という魂胆だな」

「・・・そうかいよ」

 

 

 

 仁は頭をボリボリ掻くと、自身も続くべく転移魔法陣へと足を進めて・・・一旦止まり、エヴァンジェリンのほうを向いて、声をかけた。

 

 

 

「・・・特殊魔法球、本当に『特殊な』代物だったら、時々使わせてもらうからな」

「ああ、その場合は設定は多少変更する。お前でも使えるさ。発散するために来るがいい。怖い反面、あの力が何処まで行くか見たくもなったからな」

 

 

 

 不敵に笑うエヴァンジェリンに、仁は少々険しい顔で告げる。

 

 

 

「発散目的では行かねぇよ」

「・・・? ならば何故利用する?」

「・・・・・・『引き出す』為だ、[独器]の力をもっと、な」

「何っ!? まだあれ以上があるというのか!?」

「文献に載ってたし、俺も実物を一度だけこの目で見た。・・・事実なんだろうよ」

「――――――もう、何があろうと突っ込まん・・・」

 

 

 

 ドッと疲れた顔をしたエヴァンジェリンなど、どうでもいいとばかりに仁は放っておき、転移魔法陣の上に乗った。

 

 光の柱に包まれたかと思うと、次の瞬間にはエヴァンジェリンの別荘の地下室に居た。

 

 仁はすぐさま外に出て、何やら唱えて辺りを探るように見回したが・・・やがて安心したようにため息をつく。

 

 

 

「・・・行っていた事は本当みてぇだな・・・利用させてもらうか」

 

 

 

 どうやら紬の気配を探っていたらしい。が、居ないと分かるや否や真剣な表情をすぐに崩してしまった。

 確かに常々気を張っていても仕方ないのだが、それにしたってもう少し緊張感を持つぐらいしても、別に良いのではないだろうか・・・。

 

 

(・・・さて、やる事がねぇんだが・・・別にいいか、適当にブラブラしてりゃいい)

 

 適当とは言いつつも勿論、報道陣に見つからないように人気のない場所を選んで、ではあるのだが。

 

 

 ともかく、仁は歩きで麻帆良学園都市中心部へ向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 学祭で賑やかだからか、穴場のようなコーヒーショップには当然誰もいない。それを利用して、仁は一人椅子に座り、この前と同じトラジャのコーヒーを啜っていた。

 

 

 マスターらしき男は仁にコーヒーを出してお金を受け取ると、仕入れがあったのか何処かへ行ってしまったため、今この店には仁一人である。

 

 

 

(・・・静かなのはいい事だな・・・)

 

 

 

 仁は別段五月蝿いのが嫌いなわけではないのだが、本人の性格上、やはり静かのほうがいいようだ。

 

 入っていた量が少なかったのか直ぐにコーヒーを飲み終えると、仁はまたテキトーに歩き出す。

 

 

 

 

 すると、後ろからドタバタと騒がしい足音が聞こえてきたため、またか・・・と仁が思ったその矢先、

 

 

 

「ぼ、ボクボク! 謎の少年だよね!? ネギ君と戦った少年だよね!?」

「・・・?」

 

 

 

 声に含まれる焦りと、明らかに数の少ない足音だったため、仁は思わず振り向く。そこにいたのは、桃色の髪を持った明るい印象を受ける少女と、黒髪をサイドアップにまとめた少女だった。

 

 何をそこまで焦っているのかと、仁は呆れながら質問する。

 

 

 

「・・・なんすか?」

「ネギ君と、ネギ君と――――――ああ~! ねぎく~ん!!」

「ちょ、まき絵ってば!? 少年呆れてんじゃん、ちゃんと言おうよ」

「う、うん・・・そうだね」

 

 

 

 ひと呼吸おき、桃色の髪の少女が言った言葉で、

 

 

 

「実はね・・・ネギ君や明日菜さんたちとケータイが繋がらないんだけど・・・何か知らない?」

「・・・何・・・?」

 

 

 

 目を見開いた。

 

 

 

「長ネギの奴と通じない、だと?」

「な、長ネギて・・・」

「そうなの! もう何回かけても全く通じなくって・・・何かあったのかなネギ君に・・・」

「いや、まき絵も長ネギに突っ込もうよ」

 

 

 

 ケータイが通じない。

 何時もならば壊しただのなんだのと言えるのだろうが・・・『タイムマシン』という代物が存在する今では、超という転載が何かやらかすということを考えれば・・・深刻にならざるを得ない言葉だった。

 

 何より、ネギはかなりの生真面目。ケータイにずっと出ないのはありえない。

 

 

 

「・・・クソッ!!」

「あ、ちょっと!?」

「ね~ぎ~ぐ~ん!?」

「まき絵、落ち着きなって!」

 

 

 

 騒ぐ彼女達を無視し、仁は気球などに紛れながら、高高度まで上昇し、麻帆良を見渡す。移動しながら見わたすことを繰り返したが――――――ネギ達は何処にも(・・・・・・・)いなかった。

 

 

 

 ならば建物の中かもと仁は思い、屋根から屋根へと走り回るが、彼らの姿はどこにも見当たらない。

 それも、『別荘に来ていた人物たち』の姿のみ全く確認できないのだ。

 

 

 

(・・・はめられたのか、長ネギの奴らは!)

 

 

 

 恐らく、彼が持っているタイムマシンに何かしらの仕掛けがしてあったのだろう。仁は彼等と共に行かず、エヴァンジェリン起きるまで彼女の別荘に居続けたからこそ、罠を逃れたのだ。

 

 

 

「・・・めんどーせぇ!」

 

 

 

 つぶやきにしては大音量の言葉が口から飛び出、そのあと仁はどうするべきかと、着地したばかりの、真新しいが使われていないカフェテラスで、考え込む。

 

 

 自分ひとりで行くべきか? 超の計画が何かはわからないが・・・行くべきだろうか? それとも・・・奇跡を信じてみるか?

 

 

 最終的には自分も動かなければいけないのだから、あまり考えてもしょうがない。そういう結論に至った仁は、取り敢えず床に座ろうとして―――――――上空に唐突に現れた、多数の気配を感じ取る。

 

 

 

「!!(あれぁ・・・!)」

 

 

 

 上を向き目を凝らしてみる。そこに居たのは、

 

 

 

 

「・・・ネギ・・・戻ってきたかよ」

 

 

 

 罠を脱したのであろう、ネギ達の姿だった。

 

 




タイムマシンを使っていない人から見れば、ネギ達の今回の冒険て、大体こんな感じになってしまうんですよね。

 向こうは良くても、知らない人から見ればくたびれ儲けというかなんというか・・・。
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