空立つ”飛”の独器と男   作:阿久間嬉嬉

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あとで、自分が作成した『仁』の設定資料を見たのですが・・・技名がラトビア語だという点を除いて全然違う名前だということが発覚しました。


 観覧者の方々にはどうでもいい事かもしれませんが、私にとっては死活問題!(オイ


というわけで、技名の台詞も説明欄も書き直します。先に行ったとおり、自分にとっては死活問題なので・・・。




 それはともかく、本編をどうぞ。



やるべき事

 アスナ・古菲のいいんちょ連絡組と、このか・刹那・カモの学園長連絡組が出て行ってから十分ほど経ち、ハルナは天才的なペン速であっという間に広告を書き上げ、ベタ塗りなどの作業に入る段階までこじつけていた。

 

 

 のどか・ハルナ・夕映の三人と、ネットを調べている千雨は忙しく手を動かしているが、別段やることがない護衛組の楓と仁は、少し離れたところで突っ立っているのみである。

 

 

 

「ん~・・・襲撃がないのは良いことでござるが、少々暇でござるなぁ」

「・・・同意すんよ」

 

 

 楓が漏らした言葉に仁も暇だったためか律儀に反応。・・・すると、楓は悩むように顎に手を当て、今度はつぶやきではなく話しかけてきた。

 

 

 

「ところで仁殿、聞きたいことがあるのでござるが」

「ん?」

「何故素の力でそこまで強いのに、“気” が身に付かぬでござるか?」

「・・・あ~・・・」

 

 

 

 この答えはすごく単純で、仁がこの世界ではなく『異世界』から来た異邦人だから、いうものなのだが、それをあっさり答えて混乱させて、面倒臭い方向に持っていくほど仁は愚かではない。

 

 かわりに、こう答えた。

 

 

 

「・・・生まれつきだ」

「生まれつき?」

「・・・飛ぶ力の代償か、俺ぁ生まれつき『魔法と “気” が使えない』体質みてぇだ。・・・その代わりかなーか知らねぇが、鍛えれば肉体的に強くなってた・・・」

「なんと、摩訶不思議な体質でござるなぁ」

「・・・散々言われた」

 

 

 

 勿論のこと、これは嘘。

 もっと言うなら、彼の元居た世界には《術式》という、いわば魔法のようなモノはあるのだが、どれもこれもに補助や防御にしか使えない為、攻撃に転用するには特殊な武具や装置が必要となる。

 だが[独器使い]はこの装置を、独器の影響からか使えないため、仁は本当に素の力で戦っているのだ。

 

 少々訝しげであったが、これ以上突っ込んでも何も吐かないことを察したのか、楓は元の笑みを浮かべて、

 

 

「体質ならば・・・仕方のないことでござるなぁ」

 

 

 一応納得した。

 が、話のネタはそれのみだったらしく、また沈黙してのどか達の作業を眺めることとなってしまったのだが。

 

 

 仁は取り敢えず、といった感じでネギの寝ているソファーへと足を運ぶ。すると、何やら真剣な声が聞こえてきた。

 それは、ネギと千雨の会話だった。

 

 

「・・・生真面目な先生にしては、この作戦は結構大胆な作戦ですね」

「超さんは、僕達が最終日に戻ってくる可能性も頭に入れているはずですから・・・なら、彼女が驚くような作戦でもないと、勝てる可能性は低いと思ったんです」

「・・・確かに、そうですね」

「でも・・・」

 

 

 

 そこで一旦言葉を区切り、ネギは再び言葉を紡ぎ出す。

 

 

 

「でも、良かったんでしょうか・・・? 力に力で行使して関係のない人たちを巻き込んで・・・それに――――」

「・・・それに?」

「僕には、超さんが本当に間違っているのかが、まだ分からなくて・・・」

「はぁ!? おまっ、まだそんなこと言ってんのかよ!」

 

 

 

 作戦を立案、開始した本人からでた『悩んでいる』という言葉を聞き、千雨は流石に我慢できなくなったのか、素の口調に戻って怒鳴る。

 

 

 

「言っても分からねえならぶん殴ってでも分からせる! 力には力で対抗する! これは世の心理だぜ!? リーダーがウジウジ悩むな!」

「で、でも・・・もう一度くらい話し合いを・・・」

 

「・・・ネギ」

 

 

 と、そこで今まで傍観していた仁が、彼らの会話に割って入った。長ネギや玉ネギとは呼ばず、『ネギ』と、ちゃんと名前を呼んで。

 

 

「仁君・・・?」

「もしお前が親父に出会えて、よ。その親父がもうすぐ消えそうな時ぁ、お前ならどうする?」

「・・・と、父さんは消えては――――」

「例え話だよ先生。 あの坊主は、仮に先生が親父にやっと出会えたけど、何らかの理由で消えそうならどうするか、って聞いてんだ」

「・・・悲しいです、消えるのが止められないならば、一分一秒でも父さんが長く感じられるように、傍に行きます」

「・・・なら」

 

 

 仁はネギに近づき、彼の目を見ながら言葉を続けた。

 

 

「・・・お前が消えるのを止める手段を持っていて、でもそれは今回限りしか使えない。なのに目の前にそれを邪魔する奴らが立ちはだかっていたら、お前どうする?」

「・・・蹴散らします。父さんを消えないように出来るなら」

「それと同じだよ、ネギ」

「え?」

 

 

 キョトンとするネギに、仁はもう一度告げた。

 

 

「・・・世界樹の魔力が最大まで高まるのは今夜、これを逃しゃぁ次はかなり先になっちまう。魔法先生にも感づかれ、麻帆良内にはいられねー。・・・そんな一回限りかもしれねぇチャンスで行われる大仕事。超鈴音が話し合いで引くと思うか?」

「それ、は・・・」

「・・・相手が力を持って無理矢理推し進めてきてんだ。もう話し合いの場なんざぁ、とっくに失われてんだよ」

「その通りです、先生」

 

 

 

 話を聞いていたのか、そこに夕映の声が交じる。

 仁にジェスチャーで喋ってもいか確認し、仁はそれにイエスで答え、夕映は喋り始めた。

 

 

 

「仁さんの言ったとおり、主義主張相容れぬものが力を行使してきたとき、そこに出てくる選択は、力でもって対抗するかより大きな力を後ろ盾とした交渉のみとなるです」

「ゆえ、さん・・・」

「でも、悩むことも悪いことばかりではありません。自分が正しいと思ってしまえば、そこで全て閉じてしまうですから。・・・少なくとも、私は貴方の悩みを無駄だとは思わないですよ、ネギ先生」

 

 

 

 三人の視線を受けたネギはゆっくりと頷き、眠るようにして思考の海へと沈んでいく。

 

 

 

「しかし、ネギ先生のお父さんを出すとは、中々にわかりやすい説明です、仁さん」

「長ネギにゃ・・・アレだ、そっちのほうがわかりやすいと、思ったからな・・・」

(また変な呼び名に戻ってるです・・・)

(覚えてんのか忘れてんのかはっきりしろよ!?)

 

 

 中々に締まらない言葉だったが、それでもなお、ネギの悩みの少々軽くしたことに変わりはない。

 

 

 

 刻一刻と、超との対決の時は迫っていく中、ネギは思考の海を漂い続けるのだった。

 




仁は普段あまり喋らないだけで、別段無口でもないんですよね・・・
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