空立つ”飛”の独器と男   作:阿久間嬉嬉

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オリジナル設定であるこの二次創作を、[独器]を、仁を、これからもよろしくお願いします!


懸念材料と善と悪

 キーボードを叩く音が静かに聞こえ、最後にエンターキーを叩いたと思われる長めのタップ音が静かに響いたと思うと、その作業を行っていた千雨が、疲れからの溜息を吐いた。

 

 

 

「ふぅ、これで終わりだな」

「よおっしゃ! 終わった!!」

「お疲れ様ですー」

「二人共、まだ浮かれる時ではないですよ」

「作戦開始はこれからでござるからな」

「・・・」

「あ、そっか」

 

 

 

 作業に集中しすぎてちょっと忘れ気味だったらしいハルナが、頭をポリポリとかいて苦笑いする。

 

 

 

「う、うぅん・・・う~ん」

「ネギせんせー、苦しそうです・・・」

「やっと寝たと思ったらうなされてるぜ・・・本当に回復すんのかよ」

 

 

 

 ネギはあれから悩んでいるうちに眠りに落ちてしまったらしく、ソファーの上で横になっていたが、ぐっすり眠るどころかうなされているようだ。

 

 その様子を見てのどかは心配層に顔を伏せ、千雨は少し呆れながらも気遣っている様子がうかがえる。

 

 

 

「まったく・・・何が正しいか間違ってるかとか、世界を変えるか変えないかとか・・・・・・そんなもの、五十過ぎのお偉いさんにだって、判断付き兼ねる重い荷物だろうに」

「それを十歳の子が抱えてるんだもんね~・・・そりゃうなされもするか」

「・・・」

 

 

 

 もしかしたら、一般人を巻き込んだことをまだ後悔しているのでは? という考えもあるのだが、超のようにしたロボ軍団の火力と特性上、実はそこまで深刻になることではない。

 

 ロボ達はレーザー兵器を持つが、そのどれもが一部魔法を転用して作られたものであり、簡単に言ってしまえば服を脱がしてしまう光線止まりなのだ。

 

 

 そして今回進行してくるであろうロボット達は皆、電力供給ではなくせ果樹の魔力を媒介とした自律型好機動タイプ。

 その手の物は、非生命型の魔力駆動体を活動停止に追い込める、ある特殊な魔法具での攻撃を打ち込む事であっさり対処できてしまう。

 

 その魔法具を空輸させるために、カモ達は学園長の元に向かったのだろう。

 最も、アンティーク好きなネギだったからこそ、この案が浮かんだのだが。

 

 

 

「・・・不安要素は、正しいかどーか意外にもあるけどよ」

 

 

 

 と、ネギの方に視線を向けたまま、仁が口を開いた。皆は、仁の発言に疑問を持ち、彼に視線を集める。

 

 

 

「どういう事でござるか?」

「・・・オコジョに聞ーたんだがよ、この大魔法は一時間以上は遅らせる事ができねーらしい――――――つまり裏をかきゃ、『遅らせはできないが早めることは出来る』ってぇ事になる」

「なるほどな。超の奴が計画を断念する理由がない以上、不意をついて準備完了前に大軍勢で攻めてくるって事もあり得るわけか」

「確かに不安要素です」

「ネギ坊主のことだ、きっとその点も頭に入れておるでござろうし・・・」

「やること、考えることは結構山済みだなぁ・・・ネギ君」

「一応ネットで調べてみる。連絡入ったら伝えるからよ」

 

 

 

 時計の秒針は5時40分を指している。開始までは1時間以上あるが、早めてくるとなると猶予はないとも言える。

 

 

 

「起こしたほうが、いいですかー・・・?」

「いや、ギリギリまでは寝かせてあげるでござる」

 

 

 

 先程よりも魘されなくなったネギから、のどかと夕映以外は目を離し、またそれぞれの準備を早める。

 ネットの情報サイトの大本に繋いだり、武器の用意などがひと段落するのを見計らって、夕映が話があると皆を集めた。

 

 

 

「あの皆さん、ネギ先生が未だ悩んでらっしゃることは、知っているですよね」

「ああ・・・まあな」

「うむ」

「まあね」

「・・・おう」

「超さんがやろうとしていることは、厳密に言うと実はテロなんかではなく寧ろ『革命』に近いものなのです。それも、世界中の人々の常識と意識を根底から覆す、極端な話誰の血も流れない世界革命、ともいえるです」

「世界革命でござるか」

「うっひゃぁ~。ちゃおりんてば、結構壮大な計画立ててんのねぇ」

 

 

 

 楓とハルナの言葉に、無言で軽く頷いた夕映は、そのまま話を続ける。

 

 

 

「・・・そして、この超さんの革命により、『今現在、世界で苦しんでいる人々を “魔法” という新たな力で助けられるかもしれない』という事と、『未来人である超さんは、革命の帰結として不幸な過去を変えようとしていること』・・・・・・この二点により、ネギ先生が超さんを間違っていると思えず、逆に正しいのではと悩ませている要因となっていると思われるです」

 

 

 一瞬の沈黙が走り、その後先に声を出したのは、彼女の親友であるのどかだった。

 

 

 

「それだけ聞くと、チャオさんていい人みたいだねー・・・」

「コラコラ、のどかってば」

「ケッ、くだらね」

「もっとわかりやすい悪人なら、やりやすかったんだけどなぁ」

 

 

 

 騒ぐ友人たちを見ながら、夕映は言いたそうに、しかし言いにくそうに指を弄り、目線をせわしなく動かし始める。

 それを見た仁が、彼女の目の前に立った。

 

 

 

「・・・アレだ。言いたい事あるなら、言っちまえ」

「あ、えっと、その・・・」

「・・・」

「じ、実は、以上の2点を踏まえてなお、超さんを止めなければいけない論理的根拠は、提示できるですが・・・」

「・・・・それ、長ネギ起きたらよ。言ってやれ」

「しかし、これはあくまで私個人の意見ですし、ネギ先生の助けになるかは―――――」

「アホ」

「わから・・・ってアホ!?」

 

 

 いつも通りの突発的なひどい一言だが・・・単純な罵倒でないらしく、顔には呆れも嫌味も、何も浮かんでいない。

 寧ろ 『惑うな』 と告げている、そんな真剣な眼をしていた。

 

 

「・・・今はどんな意見でも必要なんだよ、役立つかどうかで悩んでるぐれーなら1つでも多く道を用意してやってくれ・・・じゃねぇと、生真面目な『ネギ』は最後の最後でツメを謝る」

「!」

「・・・・俺が全部決めてもコイツぁ納得しねーだろうし、進むことが出来るように提示してやるべきだ」

「はい! ・・・あの」

「ん?」

 

 

 

 返事をしたあと数泊おいて、夕映は仁に少し音量を下げて尋ねる。

 

 

 

「ちなみに、仁さんはどう思っているですか?」

「・・・ただえさえめんどーせェ事が山済みなのに、これ以上増やされりゃたまらねぇ。だからアレだ、阻止する」

「意外とシンプルなのですね」

「・・・シンプル・イズ・ベスト、だ」

 

 

 

 彼の顔には、その意見とはまた別の感情も浮かんでいたが、夕映はそれをあえて突っ込まず、微笑を浮かべて目線を外す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――と、その時だった。

 

 

 

「・・・チッ」

 

 

 

 仁がいきなりバッと振り向いてある方向を睨みつけ、頭をガシガシと掻いたのだ。

 その動作に何があったと楓と夕映が問おうとして・・・

 

 

 

「―――――ァァァ」

 

「! 今! なんか悲鳴聞こえなかった!?」

「は、はい! って事はまさか・・・!?」

「計画を早めてきたでござるか!」

「・・・来やがったか・・・」

 

「おい! お前ら来てみろ!!」

 

 

 

 焦る彼女たちに向かって、千雨がパソコンを見たまま大声を上げ、地震のそばに来るよう呼んだ。

 そして、彼女の開いているパソコンの、ライブ中継を見てみると。

 

 

 

「なにこれ!? 巨大ロボットぉ!? ってかもう始まってるし、仁くんの予想当たっちゃったじゃん!」

「オイ綾瀬!! 学園内じゃ結界とかいうのがある所為で、こんなデカブツは動かせないんじゃなかったのか!?」

「そのはずなのですが・・・」

「・・・・大方ぁ、結界破られたんだろが。それしか考えつかん」

「とにかく! 私達も行かないと!」

「うん、ネギせんせーを起こして――――」

「ちょっと待て!」

 

 

 ネギに近づこうとしたのどかとハルナを、千雨は声の音量を上げて止めた。

 

 

 

「若干だけどうなされてる・・・つーことは完全に回復しきってないってことだ。まずは小動物に連絡、先生はギリギリまで寝かせてやれよ」

 

 

 

 その言葉に頷き、ハルナがケータイを取り出してカモの番号にかける・・・が、

 

 

 

「何で!? 繋がらないよ!?」

「はぁ!?」

 

 

 

 

 先手を打たれていたらしい。

 

 

 

 

 外に響く声と音で認識させられる・・・彼らの戦いは、唐突に始まりを告げられたのだと。

 

 

 

 

 

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