・斬脚(ノアライディーユムス)
足を神速で振り抜き、鎌風を撃ち放つ技。
もしくは放った後、それに合わせて蹴り込む技。
封印を施していなければ、コンマ数秒とかからない程の速度で蹴ることにより、同じ足でも使える。
のだが、封印を施している今は違う足で隙を消す必要があった。
威力自体は近接用の方が上だが、斬る力は実はソチラの方が劣る。
所謂『カマイタチ』か『足刀による斬撃』。
名前の元ネタは、日本語に訳すと「棄却」(ききゃく)となるラトビア語、noraidījums
以上、新たに登場した技でした。
それでは本編をどうぞ。
何も知らない一般人から見れば大イベントである(ネギ達が偽装したからだが)、超鈴音の計画阻止が終わり、計画阻止も祭りも大成功で皆が後夜祭で浮かれる中、仁は空中にてふたりの人間に尋問を受けていた。
「エヴァンジェリンからいろいろ聞いたが・・・さて、先程の事諸々についても聞かせてもらうぞい」
「おーおー中々に強い奴だったようじゃないか、ん?。それに中身についてはお前に似たモノも感じたぞ? 今回も諸々吐いてもらおうか、仁」
酒を飲みながら言うことかと、仁はエヴァンジェリンと近右衛門を見ながら思う。
少しばかり硬直したのち、呆然としているのか愕然としているのか、定かではない表情のまま頭を搔いた。
先ほどの事・・・・つまり彼らが聞きたいのは、仁が先刻粉々に吹き飛ばした『偽器兵』の事であろう。
他の魔法先生には、仁は学園長の旧友の孫で、超能力を持っている。とか、あのロボットも超鈴音のものだ、という嘘の説明をしたのだがその後に、この私たちだけでも本当のことを知っていてもいいだろう? といった雰囲気で詰め寄ってきたのである。
「・・・わーったよ。何よりほっとけねーことだしなぁ・・・もう、ここらでキチッと説明しとく」
仁はやはり面倒臭さが先に立つか、小さくため息を吐く。
しかし重要が故に誤魔化す気もないらしく、湿布と絆創膏が貼ってある顔を上げて話し始めた。
「・・・・前によ、[独器]やら、異世界やらの事ぁ話したっけか。・・・・今回ぁその延長線とも言えんだよ」
「すると、あの機械兵も[独器]なのかの?」
「・・・・正確に言ーなら模倣品だな。『偽器』っつう、独器を元に作られた劣化バージョン、その生物型だ」
「独器を元にか。ならあの強さもうなずける」
「それにどうやら向こうは傷を負っていたようじゃしのぉ、それを踏まえればとても弱いとは言えんわい」
「今回ぁ最弱の・・・アレだ本能よりタイプだった。能力の数は兎も角、力は弱かった」
「数は兎も角? 弱かった? と言う事はつまり、あいつは複数能力を持っていると?」
「・・・あぁよ。何らかのイメージに沿って組み合わせてあるらしーが、劣化版だから力増やすことでもしねーと・・・元取れねーんだろ多分」
「見た限りでは炎の力に飛ぶ力、レーザーは何かわからんが、それぐらいじゃったかの。しかし何のイメージかはわからぬなぁ・・・」
言いながら近右衛門は眉をしかめる。先生達には嘘を教え、生徒たちにはエンターテイメントとして見られていたが、仁の発言によりあれは脱げビームを放つお茶目なロボではなく、殺戮して回る本物の機械兵器だとわかったのだ。
今回は鉄塔が中程から吹っ飛んだだけで済んだものの、一歩間違えれば本当に死人が出ていたのだから、そりゃ顰めもするだろう。
「爺、今回も仁に感謝だな。あいつが抑えていなければ、学園祭は血の海に沈んでいたぞ? 私たちが深刻だと判断するまで、果たして何人犠牲になっていた事やら」
「今考えてもヒヤッとするわい・・・。仁の報酬は増しにしておくかの」
「・・・」
何時もならば仁の口から、めんどーせぇだの余計な一言が場の空気も読まず飛び出てくるはずなのに、今日の彼は押し黙り、先程の近右衛門同様眉をしかめた深刻な表情のまま、何かを考えている。
仁からの返しがないことに気づいたのか、近右衛門が怪訝そうな顔を向けるが、彼が動く前にエヴァンジェリンが先に口を開いた。
「何を悩んでいる? 仁」
「・・・・何で――――――何で俺の世界の文献や、殺戮生物がこっちの世界に来てんのか、それが分から無くてよ・・・」
「ふむ、確かにな。そもそもお前・・・自分ですら、来た方法がわからないというのにな」
「・・・・あぁよ」
何故、偽器兵がこの学園にいたのか? なぜ文献が散らばっていたのか? ・・・・・そもそも、仁はどうやってこの世界に放り出されたのか? 根本から謎ばかりであるうえに、異世界出身異邦人である仁本人も、そんな術式は聞いたこともないし[独器]でも知らないのだから、八方手詰まり状態である。
しかしそれでも原因を突き止め無ければ、もし麻帆良以外に現れたり仁が不在の時に現れたりしたら対処が難しくなり、最悪の事態が訪れる可能性も否定できない。
「暫くは依頼を停止させてもらっても良いかの? 仁よ」
「・・・・あぁよ、俺もそれがいいと思う」
「やれやれ、超鈴音の件が終わったかと思えば、問題が起こるか。前途多難だな」
「他人事のように言うでないわ」
「まぁ、確かにこの件に関しては他人事じゃないな」
仁はもう一度ため息をつき、酒盛りを再開し始めて二人から目線を外して、下を見る。眼下では楽しそうに元気一杯騒ぎ生徒達がいるが、それに相対するかのように、暗雲の如き不安事は全く消えないのだった。