「なぁぬうっ!? じ、じゃあ兄ちゃんが・・・・!?」
「・・・・あぁよ、お前らが “仁君” やら、“仁の坊主” って読んでーた奴と同一人物だ」
誰もいない、恐らく休憩用であろうロッジの中で、カモは勧められたスープを飲み、そのあとで唐突に言われた衝撃のネタばらしに、心底驚愕していた。
まあ当たり前だろう、今までネギ達と同い年か、もしくは若干年上だと思っていた少年が、実際には年上で――――しかも、身長もかなり高さで――――あったなら、そりゃ驚くだろう。
もし、年齢詐称薬という存在がなければ、頭がこんがらがること間違い無しであった。
「喋り方も雰囲気も仁の坊主とそっくりだしなぁ・・・年齢詐称薬もあるから今までのは仮の姿ってことでもまだ分かるが・・・ひとつ分かんねぇ事があるんだ」
「・・・・何だ」
「何で、アンタは年齢を隠してたんだ?」
確かに真っ当な疑問だろう。その問いに、仁は一秒の間もおかずに即答した。
「ミス」
「なるほど、ミスか・・・・―――え?」
「・・・・だからミスだっての。間違えて大量に飲んだことによる、な」
「――――――」
呆れて口が空きっぱなしになるカモ。実際には、間違えて飲んだのではなく故意に飲んだのだが、どちらにしろ対象を色んな意味で驚愕させるには充分足る理由だろう。
ましてや、何か隠す理由があったわけでもなく、単なる個人的な事情で起きたことが尾を引いていただけなのだから、驚きも倍である。
「・・・オレッチ、そんな奴初めて見たぜ、仁の坊主・・・いや、仁の旦那よぉ・・・」
暫くの間驚愕の表情を顔面に貼り付けていたカモは、やっとこさ元に戻すとスープを再び飲み、ほっと一息ついてから、真剣其の物の口調で話し出す。
「仁の旦那の本当の姿とかも結構驚くべき事だったんだが・・・」
「それ以上に大変なことが起きている、だろ? カモミール」
「ああ。・・・その様子だと何が起きたかもだいたい理解してるみてえだな。やっぱアンタは頭の回転速いな」
それでも念のためという事で、カモはネギ達に起きた事の顛末を話し始める。
大体の内容は仁が考察したものと同じだったのだが、その実行犯が四人組で内一人が京都でもあった白髪の少年であること、ネギ達のように修行を積んだもの以外にも自業自得でやってきてしまったものが四人も居る事を、カモは静かに話し終えた。
「・・・・つまり・・・探すべきなのは残り二人ってわけか」
「そうなるな・・・あ、そういえば」
「・・・・あん?」
「何でゆーな嬢ちゃんやまき絵嬢ちゃんをトラックの運転手にあずけたんだ? アンタなら人を抱えて飛ぶの余裕だろ?」
カモの尤もな疑問に、仁はため息を吐いてから答えた。
「・・・・第一の問題点に “あいつらじゃ飛行速度を落とさないと耐えられない” ってのがある」
「あ、確かに」
「第二点は “海上や密林上は魔物だらけ” ってとこだな。守りきれるにはきれるだろうが、攻撃の余波でぶっ飛んだりしたら元も子もない」
「・・・あ~・・・」
「第三点。他に転移させられた奴らが無事であるとも限らないし、生きていられる場所にいるかもわからない。だから、あの二人にばかり構ってられねぇのよ」
「それにも納得だがよ・・・場所は覚えてのか?」
「・・・・テンペルラ。 道しるべにあったからな」
仁が事を言い終えると、カモはしばし悩んだあと、後で迎えに行ってやらないとなとも考えながら、仁に向かって大きく頷いた。
ともかく僅かに荷が下りた仁は、荷物を手に立ち上がるとカモを荷物の中に押し込んだ。勿論、本人の了解など一切得ずに。
「はぎゅむ!?」
「・・・・大人しくしてろ、外に出ると凍え死ぬ」
一人の時よりも格段に速度を落とし、麓に見える小さな町へと飛んでいった。
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雪山の麓の村についた仁とカモはまず宿を取り、地図を開いて場所を確認したあと、これからの方針を確認する。
「まず、俺っちがこの宿で情報を集めて回って、地図に印づけ。そんで、仁の旦那が捜索係と」
「・・・・あぁよ」
「悪ぃな、本来ならオレッチらの問題でもあんのに」
「・・・・知り合いを見捨てるほど、冷血じゃないんでね」
仁は言い終えると同時に駆け出し、村の箸についたかと思うと消えたと錯覚させるほどの速度で空中に飛び出し、空の彼方へ消えていった。
それを見届けたあと、カモは地図を広げる。
「さーて、現状確認と行きますかね」
そうして仁が回った場所に×をつけ、まき絵達がいる場所に丸を付け、通りかかった者たちにネギらの情報提供を求めるのだった。