自由都市グラニクス。
オスティアで開かれる終戦記念祭にて開かれる大規模拳闘大会に参加するの切符を手に入れるため、数多の拳闘士達がここで開かれているグラニクス杯にてしのぎを削り合っていた。
その選手の中の一人、ナギ・スプリングフィールドこと年齢詐称薬使用のネギは、ベランダにて遠くを見やり、不安げな表情を浮かべていた。
彼の担当するクラスの中の、魔法を知らない教え子達が言いつけを守らず付いてきてしまった為に、事件に巻き込まれ離ればなれになってしまったのだから、不安げな表情も仕方がない。
しかも、魔法を知らない教え子達は場所を知るための発信機であるバッジを付けていないため、居場所を特定するのがかなり厳しくなってきているのだ。
「まき絵さん、裕奈さん・・・」
ポツリと名前を口にしたネギに、その様子を少し離れた場所から見ていた千雨は溜息を吐き、茶々丸は無表情ながらも本当に心配なのか指を組み合わせて動かし続けている。
「まぁ、心配する理由も痛いほどわかるが・・・今はそれを気にしていても仕方ないってのに」
「しかしネギ先生は責任を感じやすい人ですし、しょうがないかと」
「まったく・・・たまにはちょっとばかしボーッとしてみろってんだよなぁ」
すると、そんな暗い雰囲気の彼女らに似合わない声が後ろから響いてきた。
「おーいお前ら! ビッグニュースやでビッグニュース!」
何やら手紙らしきものを二つ手に、小太郎はネギ達に走り寄る。何事かと千雨と茶々丸も小太郎に近づく。
「どうしたの小太郎くん」
「連絡があったんや、仲間からのな!」
「何!?」
「え、ほ、ホント!?」
「放送から数日とは、意外と早いですね」
「それでだ小太郎、その連絡をよこした奴らは誰なんだ?」
「念報やしいろいろ伏せた言い方やったから分かりづらいが・・・多分刹那姉ちゃん達やな」
「AKとSS、そしてKK捜索中・・・ね。なるほど」
「それで、もう一つは誰なのですか?」
茶々丸が聞いた途端、小太郎は少し意地悪そうな笑みを浮かべて手紙を少し後ろに引いた。
「絶対に驚くで、この手紙寄越した奴に。そりゃもう、トンデモない人やったからなぁ」
「もったいぶってんじゃねぇよ、誰なんだよ一体」
「ビックリすんなや・・・・見てみい!」
小太郎が突き出した手紙を、三人は一様に覗き込む。
「えっと・・・“俺は今カモミールと一緒にいる、一ヶ月後に会おう。『仁』より” ・・・って、えええっ!? じ、仁君からなの!?」
「オイオイ、これはマジでとんでもねぇ助っ人じゃねぇか・・・」
「そういえばマスターも言っていましたからね、仁さんもこの世界に行く予定があると」
「カモミールってことはエロオコジョも居るんだろうし、仲間がひとり見つかったな」
思わぬ人物からの手紙に口をパクパクさせているネギへ、小太郎がさらに嬉しそうな顔で告げた。
「それだけやない、続き読んでみい」
「続きだね・・・え!? ま、まき絵さんと裕奈さんを保護したの!? しかも今はテンペルラに!?」
「詳しいことは書いてへんけど、生きとるっちゅうことは確実や!」
「茶々丸」
「はい。・・・テンペルラとは砂漠の中にあるオアシスで、トラック乗りの集まる場所のようです」
「・・・良かった、まき絵さん、裕奈さん・・・」
心の底からほっとした表情を浮かべるネギの肩を、小太郎は軽くたたきニッと笑う。
「何にせよ、ネギま部(仮)のメンバー三人に強力な助っ人と行方不明者の情報まで得られたんや! とんでもない収穫やで!」
「うん! 僕らも頑張らないとね!」
「まき絵達を迎えに行ったほうがいいか?」
「そうですね、危険はありますが検討してみましょう」
希望を一つ得られ、ネギ達は先程までのしずっだ雰囲気など何処へやらと、嬉しそうにガッツポーズをした。
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ネギ達の歓喜から三日後の、グラニクスから遠く離れた地。
その地の空を飛び続けている仁の方はというと、全く嬉しそうではないどころか、歯ぎしりすら聞こえてきそうなほど不快な表情を浮かべていた。
「クソ・・・・なんでかからねぇ・・・なんで何もいねぇ・・・!」
あれから只管に本気で飛び続け、僅かに封印を解いて“気”をぶつけているにも関わらず、目的のモノ達は影の端ほども姿を見せないのだ。
流石におかしいと自ら飛び出していっても、前に見かけたようなクレーターが所々にあるのみで成果などまるでない。
まるで、紬が自分ではなく “別の何か” を求めて、あるいは達成するために動いているような、そんな違和感を感じるのだ。
「・・・・何が起こる、何が起こってやがるんだ・・・? めんどーせぇのはゴメンなんだよ・・・!」
日が経過する度に嫌な予感は増していく。
それを振り払おうとするかのように仁はすでに音速ちかく出ている速度を更に上げ、もう見えてはいないんじゃないかという視界の中、必死に目を凝らし続けた。
紬は何をしようとしているのか? あのクレーターの真相とは?
分からない事のみ積み重なる。
もし、紬が変わった理由がそこにあるのならば・・・この上なく厄介な事を引き寄せてしまうかもしれない。
本当に歯ぎしりをした仁は、一発舌打ちをかまして更に飛び続けた。
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“同時刻・廃都オスティア付近”
「コノ世界ノ雑魚共トハ全然違ウ、強イ強~イ“力”ヲ感ジタ・・・キット仁ダヨネ・・・デモォ、実ハマダ早インダヨネェ? ダカラ、ソウ急カサナイデヨ仁♥」
『《シュルルルル・・・・》』
「ウンウン、君モ最高ノ “作品” トシテ仕上ガッテイルヨ。実行出来ルマデ・・・アト三週間トチョットダネ♥」
『《グルルル・・・》』
「デモ待ツダケジャァ、ツマラナイヨネ。ダカラ幾ツカ先ニ “プレゼント” ヲ贈ルヨ☆ 頑張ンテミテネ仁・・・『いや、