俺たちはライターの売り上げが結構なものになったので念願の屋敷を購入した。
「わぁぁ、ここがカズマの買いたがっていた屋敷ですか」
「悪くないわね、えぇ、悪くないわ、女神の私が住むにふさわしいわ」
「「女神?」」
あっ、そういえば言うの忘れてた。
「を、自称しているかわいそうなやつなんだ、気にしないでやってくれ」
「……そうだったんですか」
「……そうだったんだな」
二人ともアクアの女神発言を全く信じてない。ものすごくかわいそうなものを見る目をしている。
「なんでよぉ!!」
アクアの泣き叫ぶ声が響いた。
「ワンモアこのすば!」 アダルトカズマ アクア めぐみん ダクネス
『緊急クエスト!緊急クエスト!冒険者の方々は町の入り口に集まってください。』
俺たちが苦労して買った屋敷でのんびりしていると町中に警報が鳴り響いた。
この時期の緊急クエストっていうとアレか。
「みんな、行くぞ『キャベツ狩り』だ!!」
「ワンモアこのすば!」 アダルトカズマ
「今年は荒れるぞ」
「……嵐が、来る」
『収穫だ!!』
「マヨネーズもってこーーい!!」
草原の果てからやってくる緑の波を見ながら冒険者たちは大はしゃぎだ。
確か、この世界のキャベツは栄養が豊富で飛ぶようになり、簡単に食われてたまるかとばかりに暴れて誰もいない荒野とかでひっそりと息を引き取るんだよな。
二回目なのに相変わらずこの世界のシステムはわけわからん。
なんて考えてるうちにいつの間にかうちのパーティをはじめとした冒険者たちがキャベツに突っ込んでいった。あーあ、ダクネスのやつ攻撃当たらない癖に突っ込むからキャベツにめちゃくちゃ攻撃されてるじゃん。それなのに喜んでるから始末に置けない。おっ、めぐみんが爆裂魔法を打ったな。十匹近く消し飛んだが。
って、いかんいかん、俺も早くいかなくては。
俺は自分に速度強化と筋力強化の魔法を使いキャベツどもに突っ込む。
突っ込んできたキャベツを掴んではテレポートで戻り掴んではテレポートで戻る。それをひたすらに繰り返す。
「ふぅ、百匹近く捕まえたか。でもまだまだいるな。」
仕方ない、このスキルは俺にとってトラウマの象徴だから使いたくはなかったんだが。
「『スティール』」!!」
おお、羽どころかキャベツそのものスティールできたぞ。
昔よくこのスキルで女性の下着をスティールしたことから鬼畜と言われ始めたのがトラウマで今まで使ったことはなかったが、やはり強力だな。
その後、俺のスティールによりあらかたすべてのキャベツを回収した。
「ワンモアこのすば!」 アダルトカズマ
『緊急クエスト、緊急クエスト、冒険者の方々は町の入り口に集まってください。』
キャベツ狩りを終え久々にのんびりしているとまた緊急クエストの放送が鳴り響いた。この季節のもう一つの緊急クエストって言ったら。
「なぁ、めぐみんお前俺に隠れて廃城に爆裂魔法打ち込みに行ったりしてないよな?」
「? 何言ってるんですか、私の爆裂散歩にはいつもカズマの『テレポート』で」町の外の湖でしてるじゃないですか」
うーん、うそを言っているわけじゃないみたいだな。
「とりあえず皆行くぞ」
「ワンモアこのすば」 ベルディア
やっぱりこいつかよ。
「俺は最近近くの城に引っ越してきた魔王軍幹部のものだ」
俺たち冒険者の視線の先には首なしの馬に乗った、首なし騎士魔王軍幹部デュラハンのベルディア。
確か、以前はめぐみんの爆裂魔法が原因で怒鳴り込んできたんだよな。
とりあえず、俺が代表して前に出る。
「デュラハン、そして魔王軍幹部。ということはお前はベルディアだな?そんな大物がなんでこんなところにいる。」
「ほぉ、俺のことを知っているとは貴様何者だ?」
「俺はただの情報通だ。ちょっと魔王軍の事情に詳しいだけさ。」
「ほう、興味深いな。貴様を魔王様の土産にするのもいいかもしれないな」
「そうなったら、そこで魔王の首を取るだけさ」
「ハハハ、貴様俺を前に大した度胸だ。今日はあいさつに来ただけだが気が変わった。」
そういって、ベルディアは馬から降りた。
「貴様、俺と戦え」
「は?」
「俺が勝ったら、お前を俺の配下にする。」
は?は?
「はぁぁあぁぁぁぁ!!」
「な、なにを言っているのです。カズマが魔王軍に寝返るわけないでしょう」
「そうよ!!カズマは女神である私の従者なんだから。あんたみたいなくそアンデットの下に着くわけあないでしょ!!」
おい、誰がお前の従者だ。
「そいつの意思など関係ないそいつを殺してアンデットにすればいいだけの話だからな」
うわ、いやだー。アンデットになんかなりたくねぇ。
「そんな戦いに俺が望むとでも?」
「ならば、これならどうだ。汝に死の宣告を貴様は三日後に死ぬだろう。」
あの野郎、めぐみんに死の宣告を!!
「『セイクリッド・ブレイクスペル』!!」
俺はベルディアの死の宣告をブレイク・スペルで相殺する。
「俺の死の宣告をを相殺するとは貴様本当に何者だ!!」
「教えるわけねぇだろ、それよりてめぇなんでめぐみんを狙った!?」
「貴様ら結束の固い冒険者にはこちらのほうがきくだろう?」
……この野郎。
「これでもまだ戦わないというなら配下のアンデットどもに街の住人を皆殺しにするか」
「カズマは離れていろ、ここは私が……。」
「待て」
ダクネスが突っ込もうとするがその肩を俺がつかむ。
「……あいつは俺がぶっ飛ばす」
こんなに怒りを覚えたのは始めてだ。
「ワンモアこのすば」 アダルトカズマ(怒)
俺とベルディアは1メートルほど離れた場所で対峙している。
「この石が地に着いたら決闘開始だ」
「それで構わない」
ベルディアが宙に石を放る。落ちた瞬間俺たちは最大の速度で距離を詰めお互いの剣を交えた。
体格もリーチもまともにやってたら勝ち目なんかない。となれば、
「『スティール』!!」
「何っ!?」
とったものは、奴の大剣か!!頭なら大当たりだったが、これでもまぁいい!!
「貴様、俺の剣を!!」
「『パワード』+『豪剣』!!」
筋力強化の支援魔法と、ソードマスターのスキルを使い剣がなくなりがら空きになった奴の胴に一太刀入れる。
「ふっとべぇぇぇぇ!!!」
「ぐぉぉぉおおぉおぉ!!」
ベルディアは俺の剣を食らい後方に押しのけられる。結構なダメージだったようで奴は膝をつく。
この一瞬のスキ、絶対に逃さん!!
「黒より黒く、闇より暗き漆黒に我が真紅の混淆を望みたもう、「きっ、貴様その詠唱は!!」覚醒のとき来たれり、無謬の境界に落ちし理、「ま、待て、待つんだ!!」無行の歪みとなりて現出せよ!!「そんなものを食らえばいくら俺でも……。」今更おせぇぇぇ!!
エクスプローーージョン!!!!!」
ドゴーン!!!
「はぁはぁ……。」
俺の爆裂魔法を食らいベルディアは跡形もなく吹っ飛んだ。
「はぁはぁ、しゃあぁぁぁぁぁあぁ!!ベルディア討伐完了ぉぉぉぉぉ!!」
俺は連続で魔法やスキルを使いすぎた疲労でその場にゴロンと寝ころび。強敵を倒した喜びから大声で叫ぶ。
『おおおおおおおおおおおお!!』
俺の叫びに反応するように、冒険者たちが草原に寝転んだ俺に走って来た。
「「「カズマァァァァァァ!!」」」
その中で特出して早く近づいてくる俺のパーティメンバー。
「すごいです、すごいですよカズマ!!一人で魔王軍幹部を倒してしまうなんて!!」
「さすが、私の従者ね。まさか一人であんなのを倒しちゃうなんて!!」
「これは人類にとって大きな一歩だぞ、長い間倒すことができなかった魔王軍幹部を倒してしまったんだからな!!」
魔王軍幹部を俺が……。
「本当に勝ったんだな……。」
「そうですよ!!カズマが倒したんですよ!!」
「ふっ、どうだアクア、めぐみん、ダクネス、俺勇者っぽいか?」
俺の質問を受けて、三人は目が点になる。そのあとすぐに口元に笑みを浮かべた。
「なにをいってるのよ、今更」
「そうですよ」
「まったくだ」
「「「あんた(あなた)(お前)は、もう私たちの勇者(よ)(ですよ)(だ)!!」」」
満面の笑みでそう返してくれた。
「お~い、皆俺たちの勇者を胴上げだぁぁあ!!」
『よっしゃぁぁぁ!!』
いつの間にか近づいてきた男性冒険者をひきりに倒れてる俺を持ち上げて胴上げをした。
まさか、かつてただの雑魚だった俺がこんな光景を見ることになるとはな。
『ワンモアこのすば!』 冒険者一同
「サトウカズマさん、こちらが今回の報酬三億エリスになります!!」
『おおおおおおおおおおおお!!』
俺たちはほかの冒険者と一緒にギルドに戻り報酬を受け取った。
かつてはアクアの起こした大洪水によって壊れた外壁の修理費に持っていかれた金だ、それだけじゃなく俺の力だけで手に入れた金だ。やっぱり重みが違うな。
つうか後ろの冒険者たちの奢れコールがうるさいな。言われなくても、
「よっしゃぁぁあぁl、今日は俺の奢りだみんな朝まで騒ぐぞぉおぉぉ!!」
『うおぉぉぉぉぉぉぉおぉおぉ!!』
「よっ、花鳥風月!!」
少し離れたテーブルでアクアが人を集めて宴会芸を披露している。俺は頼んだシュワシュワをちびちび飲みながらそれを遠くから見ていた。
「こんなところで、主役がいていいのかな?」
「クリス、戻ってきてたのか?」
「ついさっきようやく、仕事が終わってね。聞いたよ魔王軍幹部を一人で倒しちゃったって!!まさかここまでの大物とはね!!」
「ハハハ、あの野郎めぐみんに死の宣告使おうとしたんでブチギれて倒しちゃったてのが大きいかな。」
「ふーん、よっぽど仲間が大事なんだね」
「まあな」
恥ずかしさを隠すようにジョッキを傾ける。
「そういえば聞いたんだけど、『スティール』でデュラハンの剣を奪ったんだって?」
「ああ、これな」
俺は背中に担いだ大剣をクリスに見せる。この剣は戦利品として俺がもらった。
「……じゃあさ、私と一つ勝負しない?」
無邪気に笑うクリスの顔からものすごく嫌な予感がした。
「『スティール』!!」
クリスが俺に向かってスティールを使った。クリスの手に握られていたのは、
「それ、俺の財布!!」
「へぇ、やっぱり結構入ってるね。どう返してもらいたければ『スティール』で取り返してみれば?」
いうと思った。
「いや、いいよそれあげるから」
貯金はちゃんと銀行に預けてるから。
「えっ、いいの?」
クリスは鳩が豆鉄砲を食らったような顔になった。
「ああ、俺は女性相手に絶対『スティール』は使わないって心に決めてるんだよ」
「えっ、なんで?」
俺は言いたくないので顔を少しそらす。
「ねぇ、なんで、なんで!!」
クリスが俺の肩を揺さぶる。こりゃ、教えるまで引き下がらないな。
「絶対誰にも言わないでくださいよ」
「わかったよ」
「俺が『スティール』を女性に使うとほぼ百パーセント……ツを奪うんですよ」
「え、なんだって?」
「だから、……ツを奪うんですよ」
「え、それ本当なの?」
「ええ、今までほぼ全部そうでした。そのせいで鬼畜だのなんだのと言われましたよ」
「君も大変だったんだね」
第一号はあなたなんですけど。
「なんか悪いから、これ返すよ」
そういって、クリスは財布を返してくれた。
その後、めちゃくちゃ気があい朝まで二人で語り明かした。