転生クックは人が好き   作:桜日紅葉雪

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イャンクック先生は今日も絶好調のようです。
あ、それと感想でご指摘を頂いたのですが、クック先生は鳥竜種です。が、やってみたいネタがあるので当作品内でのみクック先生=飛竜種として扱いますのでよろしくお願いします。

わーにんぐわーにんぐ
多分、残酷描写が入ります。苦手な方はブラウザバックをお願いします~。大丈夫だって人のみ進んでください。


第2話

それは一瞬の事だった。

俺はその日、何時ものように飛んでいたんだ。何時ものように起き、何時ものように食事をとり、何時ものように仲間と飛ぶ。こんな当たり前の生活をしていただけなんだ。なのに、なのにだ!

 

ドスンッ!!

 

という地響きと共に、奴が現れた。俺が何匹いようと足りないだろうその大きさ。

俺がどう頑張っても傷一つつけられないであろうその巨大な鱗。

そして広げられる巨大な翼。

ああ、これが伝せt…

 

俺が思考を終わらせる前に俺を影が覆い隠し、真っ赤な口内を呆然と見上げたまま、俺の意識は闇に包まれた…

 

 

 

 

(う~ま~い~ぞ~!!)

 

どうも、草露 日光あらためイャンクックだ。フルフルとの戦いから7日が経過した。その間に俺は垂直離着陸と日常のサイクルを確立させることに成功したんだ。

朝起きると共に水場に言って水分補給。最近、草食竜さんに逃げられなくなった。まあ、これはおいておいて、水を飲み終わると今度は少しはなれたところの草むらに行く。何をするかと言うと、食事だ。基本的に朝は小食なので虫だけで良い。ちなみに虫を食べるのに躊躇いは無かった。何故か知らんが、躊躇いが無いのだから問題ない。いまさっき、その食事をしたわけだが、雷光虫美味しいです。

翼を広げて飛び立つ。基本的に食事の後は周辺の散策だ。現代日本人としては空から見るこの光景に感動を覚えたわけだが、まあ伝えられるとも思わないから割愛だ。広大な森と草原に大小あわせていくつかの川が流れているとだけ行っておく。

ゲームもネットもないこの世界だ。巣にいてもなんもやることが無いから行く当てもなく空を飛び回る。たまに着地して水を飲んだり青い鳥竜種のランポスをからかったりしながら。

そんなことをやっていると、当然目立つわけで…現在、あのゲームの代名詞とも言える火竜さんに追い掛け回されてます。何これ怖い。

時間的に太陽がちょうど真上にあるぐらい。体の大きさ的に食いでのある昼飯とでも思われてしまったんだろうか?

何はともあれ全力疾走。いや、走ってないからな、全力飛翔か。お、なんかかっこいいなこれ。

ともかく、全力飛翔で逃げ回ってるわけだ。当然、あの火竜より下位に位置する俺では飛行速度でかなうわけもなく、だんだんと差が縮まってきている。…だがしかし、甘いな火竜。俺は唯のイャンクックじゃあない。

 

(エースコン○ット4のベリーハード、初期機縛りプレイに比べれば!!)

 

人間の頭脳を持ったイャンクックなんだぜ?

火竜が大きな口をあけて俺の尻尾に食いつこうとした瞬間、生身バレルロール。空気の流れが一瞬で変わり俺の体は急降下する。それにあわせて体勢が戻っていき、今度は急上昇。火竜の真後ろをとった。一瞬の事で俺の頭がぐらぐらするが、行動に支障は無い。俺を急に見失って減速する火竜の背面に急襲。右の翼膜を足の爪でずたずたに切り裂く。が、思ったよりも翼膜が硬く完全に切り裂くには至らなかった。が、別に問題はなさそうだ。突然の奇襲に驚いて体勢を立て直そうと思いっきり翼をはためかせた。当然左右均等に空気は流れず、揚力はバラバラになって、更にバランスが崩れる。それを立て直そうとまた翼をはためかせ…以下ループ。火竜は地上に落下していった。当然、ダメージは俺の爪と落下のみで右の翼から落ちたせいで右の翼はもう使い物にならないものの元気に生きていた。凄い生命力だと感心するが、何処もおかしい所は無いな。まあ、あの翼じゃあ俺を追いかけることはできないだろう。

こっちを見上げて咆哮を上げる。が、遠いので特に問題は無い。それでは火竜さん、さよーならー。

そんな思いを込めて声を上げ巣に戻る。ゆっくりと着地してさて何をしようか…と考えていると、どっどっと言う音が。不思議に思ってそちらに目を向けると

 

「GYAaaaaa」

 

翼のおれたエンジェ…翼の折れた火竜が走ってきてました。どういうことだ??疑問に思いながら空中へと逃げる。少し高度を上げると、理由はすぐにわかった。

 

(墜落場所、すぐそこじゃん…)

 

たった100メートルほど離れた場所に、地面がえぐれた場所が見つかりましたよ畜生!

なんて事だ、火竜を自分の巣に誘い込んでしまうだなんて…て言うか、巣に戻った時点で気付こうよ俺!

久しぶりに自分の馬鹿さ加減が嫌になった。まあ、落ち込んでいてもしょうがない。まずはあの火竜をどうにかしないと…

とりあえず、巣から離れた所へと飛んでみる。木々を薙ぎ倒しながら突進してくる火竜。

巣に戻ってみる。岩を踏み砕きながら突進してくる火竜。

別方向に飛んでみる。木々を薙ぎ倒しながら突進してくる火竜。

もう一回同じ方向に飛んで見る。止まらないで追いかけてくる火竜。

全力で巣に戻ってみる。全力で岩を(ry火竜。

…駄目じゃん!!

とりあえず、空に避難して作戦を考えよう。そう思って空へと飛び立つ。

火竜はそのまま俺がいた場所を通り過ぎ、洞窟の壁へと突っ込んでいく。その先には少しの窪みと鈍く尖った岩壁が…

 

ズボグチャァ・・・

 

うわぁ…火竜の顔面が酷いことになった。後、足も変な方向向いてる…これは、酷い。

恐る恐る近づいて、背中を嘴でつついてみる。何の反応も無い。背中に乗って潰れた頭を突付いてみる。何の反応も無い。…これはもしや…

 

(死ん…でる?)

 

ヒッ………

……

 

昼飯来た――――――!!!!

俺は喜び勇んで火竜の鱗を剥ぎ取って、背骨を取り出した。ついでに食い出がなさそうな翼をもぎ取って肉を食べ始める。

美味い。超美味い。そして旨い!!これはいくらでも食えるぞぉ!!

半分ぐらい食べた所でふと気付く。

 

(これ、焼いたらもっと旨いんじゃね?)

 

さっそく、ブレスを吐いてみる。肉は焼けた。焼けすぎてちょっと焦げた。流石に火竜だけあって炭になったりはしないがちょっと勿体無い。焦げてない部分が生よりももっと旨いだけに勿体無い。どうしようか…周りを見渡す。そんな中でふと目に付いたのは火竜が踏み潰した岩だった。表面が平らになっている。近づいて、ブレスを吐く。溶けたりはしなかったが赤くなるほど熱せられた。生肉を置いてみる。ジューッという音と共に、いい感じに焼ける。……微妙に赤身の残った………今!!

さっと口に入れる。口の中で蕩ける旨み。これが、これが…!!「ドラゴンステーキ・ミディアムレア」か!!!

 

俺は、幸福のあまり一日中はしゃぎつづけた。ちなみに鱗とかのゴミは全部、ハンターがベースキャンプにしてる所にぶち込んでやった。テントの中に隠れてるッぽいハンターいたけど、俺の聴覚は誤魔化せんぜ・・・まあ、普通に見逃すけど。この火竜素材だって俺には使い様が無いけど彼等なら有効活用してくれるだろうしな。さてと、燻製を作る作業に戻るか。

 

 

 

 

 

ハンター's side

 

 

見習片手

森丘の素材探索ツアー。これが僕の受けたクエストの名前だ。

…クエストなんていっても、別に目的があるわけじゃない。ただ、移動費をギルドが負担しますので、その地の素材を集めてください。その何割かはあげますしそれに手数料なども発生しません。ただし、報酬はギルドの不良在庫だけですし、周囲の肉食モンスターもできるだけ狩って行ってくださいね。っていう僕等みたいな初心者用のクエストだ。まあ、必要な素材があるときとかでたまに先輩ハンター達もやったりするみたいだけど。

…おっ、到着したみたいだね。さあ、今回も頑張るぞ!目標は500z分の素材だ!

そう思っていたんだけど・・・

 

バサッ、バサッって、ベースキャンプに聞こえるはずの無い音が聞こえてきたんだ。僕は迷わずテントの中に隠れた。命あってものものだねだからね。でも、情報も大事だ。こっそりと外をうかがう。

………っ!!良し、耐えた。よく頑張ったぞ僕。

目の前にいたのは大怪鳥イャンクックだった。先輩達ならともかく、今の僕じゃあ手も足も出ないモンスターだ。イャンクックはキャンプの納品ボックスの前に何かを捨てると、僕にきづかずに飛び去っていった。一安心して外に出てみると、見慣れぬ鱗や骨、爪がおいてあった。大きいし、見るからに硬そうだ。これは、もって帰っても良いんだよな。

少し迷ったけど、お金も無かったしもって帰ることにした。ありがとうイャンクック。感謝するよ。

 

ちなみに、ギルドに提出して火竜素材だと言われた時には死ぬかと思った。ギルドのお姉さんに問い詰められたのはちょっと楽しかったけどね。それにしても、火竜・リオレウスの素材かぁ…イャンクックって実は凄いモンスターだったんだなぁ…

 

 

 

ギルド本部への通達

例のイャンクックの続報です。

先先日、登録したての若手ハンターが、素材探索ツアーの帰りに火竜素材を持ち込みました。それも鱗だけではなく、爪や翼もです。事情を聞いた所、ベースキャンプにイャンクックが持ち込んだとの事です。現在、森丘で報告されているイャンクックは1体のみなので前回のフルフルを倒し、ハンターを救ったものと同一の個体であると思われます。たまたま、リオレウスの死体があったのか、それとも、可能性は低いですが、イャンクックが戦闘に勝利したのかは定かではありませんが、素材をベースキャンプに持ち込むなど、人間に友好的でなおかつそれをするだけの知能があると思われます。

 

ギルドポッケ支部への通達

事実確認後、件のハンターをドンドルマに召集する。

なお、前回の依頼の受注ランクをHR3からに変更、契約金を1000から1500に報酬も4000から6000へと変更する。なお、今回持ち込まれた火竜素材をサンプルとしてギルドが買い取ることを決定する。

 

 

 

 

ギルドポッケ支部での会話

 

ポルナ「なあ、なんか面白い依頼ねぇか??」

 

レファン「面白い依頼…ねぇ?そんなの簡単に見つかるわけ無いだろうに」

 

ライラ「…ッ!!ねえ、このクエスト受けない!?」

 

レファン「いきなりどうしたよ??…ってこれ!!」

 

ポルナ「…おいおいおい、これって」

 

下位依頼受付嬢「あら、みなさん帰ってこられていたのですか。」

 

ポルナ「あ、ああ、どうも…って、そうじゃない!これ!この依頼!!」

 

下位依頼受付嬢「ああ、森丘の紳士?ですか?そうですよ、あなた方が接触したイャンクックの調査依頼です」

 

ライラ「やっぱりね。ねぇ、この依頼私たちが受けr」

 

ギルド鑑定士「なんだとっ!!!」

 

見習片手「ですから、イャンクックがおいて行ってくれたんですって」

 

ギルド鑑定士「イャンクックがレウス素材を置いてっただぁ??嘘ぉつくな!!」

 

ライラ&ポルナレフ's「!!」

 

下位依頼受付嬢「………どうします??」

 

ライラ「え?ああ、受けさせてもらうわ」

 

下位依頼受付嬢「そうですか、御武運を」

 

 

 

 




続きが書けた奇跡。キーボードがぶっ壊れたり、学校でネットが使えなかったり、資本金が予定の4分の1だったり(マジ)色々と大変でしたが、何とか乗り越えれました。多くの感想を頂いたおかげかなと思います。これからもだいぶ遅筆ですし、こんなクオリティですが、次がありましたらどうぞ、よろしくお願いします。

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