時空の先導者 〜創生の竜と終末の騎士〜   作:ティア

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久し振りの投稿です。2週間くらい空いた気がする。つながりは投稿できてたんだけどな……。

そんな今回ですが……ファイトないです(おい)。かなり長めの日常回。というか、ここまで長くする気がなくて終わりどころが掴めなかった裏事情が。

なので、後半少し雑な部分があるかもしれない。でも、一応やりたい場面には力入れたし……。いや、決して手を抜いたわけではないから。

では、どうぞ。


turn7 名前

「ネクステージのGB2!CB1、手札3枚とGゾーンのネクステージを1枚表に!」

 

「くっそ!俺のおかげで手に入れたネクステージを、もう使いこなしてやがる!」

 

今はユウキとのファイトの最中。俺がネクステージにストライドし、スキルを使ったところだ。

 

「ネクステージをGゾーンに戻し、ヴァンガードをスタンド!クロノジェットで、再アタック!」

 

「GB2でグレード0しかガードできないんだろ!だったら、こいつらでガード!」

 

「げっ!?」

 

トリガー引いても、アタックが通らない……。

 

「まぁ、俺のおかげで手に入れたネクステージを使ったとは言っても?決められる保証はどこにもないんですな〜」

 

「ぐっ……ターンエンドだよ!」

 

「んじゃ、サクッと決めてやるぜ。ストライドジェネレーション!征天覇竜 コンクエスト・ドラゴン!!」

 

嘘だろ、ここでか!?これは不味いぞ!?

 

「あーこれはカズキ君負けたね」

 

「そうですね……ドンマイです、カズキ君」

 

「ちょっ、まだ終わってないからな!」

 

「それを俺が終わらせる!ストライドスキルとコンクエストのスキルで、前列のリアガードを2体退却!そして俺の前列にパワープラス10000!」

 

やっべ……。手札4枚じゃ、もう無理。アウト。

 

「止めだぜ!コンクエストでアタック!」

 

「ノーガード……。ダメージチェック、アップストリーム・ドラゴン。6ダメージだ……」

 

「っしゃあ!俺のおかげで手に入れたネクステージも、使いこなせなかったら宝の持ち腐れだな!」

 

さっきと言ってること違うだろうが。

 

「……俺のおかげでって、さっきからうるせぇ」

 

「ん〜?事実を言ったまでだぜ?」

 

「こんのヤロウ……」

 

「はいはい、ストップ。喧嘩は止めようね?」

 

ホノカさんが割り込んで、口喧嘩を止めさせる。釈然としないけど、言っても仕方ない。

 

「そういや、お前らチーム作ったんだな」

 

「あぁ。俺とホノカさん。それから、この子が……」

 

「西野マオです。よろしくお願いします!」

 

「おう!俺は真島ユウキだ!よろしくな!」

 

何気に今日が初対面だな。2人は、互いに自己紹介を済ませる。

 

「つーか、何だよお前のチーム。ハーレムか」

 

「違ぇよ。知り合い同士でチーム組みたかっただけだ」

 

「でもよ。結果こうなってるじゃねぇか」

 

ホノカさんとマオさんを交互に見比べて、最後にユウキは俺を見る。

 

「片や元気っ子。片や清楚系。何だよお前!羨ましいぞ!三角関係作りやがって!」

 

「キモいぞ」

 

「うるせぇ!俺のチームとは比べ物にならないくらいなんだよ!」

 

……そういや、こいつのチームメイトって見たことないよな。どんな奴らなんだろう?1回会ってみたいな。

 

「三角関係なんて言うほど、まだ付き合い長くないですよね。私、まだカズキ君と知り合ったばかりですし。ホノカさんも、そうですよね?」

 

「う、うん。カズキ君もきっと、そんな色目で見ているわけないよ」

 

「……何で顔が赤いんですか?」

 

「いいの!気にしないで!」

 

「もしかして……」

 

「それ以上はなし!どうしても話したいなら、後で2人でしよう!うん!」

 

とか言ってる側で、女子は女子で何か話し出したし。それに、何でホノカさんは照れているんだ?

 

「なぁ、そのポジション交換しない?」

 

「って、この話続けるのか。やだよ」

 

「何でだよ!いいじゃねぇか、ケチ!」

 

「むしろ、ユウキの考え方がぶっ飛んでるんだよな……」

 

チームメイトの取り換えとか、そんなの聞いたことないんだけど。てか、チームメイトに失礼だろうが。

 

「あのな。俺はこの3人がいいんだ。みんなも納得してチームに入ってくれたし、

 

「くっ……仕方ない。チームの交換はなしってことに――」

 

「「当たり前だよ!ユウキ!!」」

 

遠くから、ユウキの身勝手な提案に対して猛反対を入れる2人が駆け寄ってきた。1人は小柄。もう1人はポッチャリ体質の男子だった。

 

「チーム交換とか、何言ってるんですか!」

 

「そうだよ、ユウキ。僕たちの絆は、あんな下心丸出しの男1人で揺らぐものだったの?」

 

あのデブ……言い方を考えろ。それに、違うって言ってるだろうが。

 

「す、すまんお前ら。軽いジョークに決まってんだろ?」

 

半分くらい本気に聞こえたのは気のせいか。いや、それはもう突っ込むのはよそう。

 

この3人の慣れ親しんだ感じ……。もしかすると、そうなのかもしれない。

 

「こいつらって、ユウキのチームメイトか?」

 

「おう!この小さいのが、中川ハルキ。デブなのが、今井シンヤだ」

 

「ふくよかって言ってって、いつも頼んでるじゃん!ユウキ!」

 

「「いや、お前のはもうデブだよ」」

 

「そんな〜!」

 

マジで仲良さそうだな。俺たちのチームも、あんな風になれるかな?

 

でもこんな感じのチーム、何かで見たことがあるような気がするんだけどな……。

 

「……何か、アニメに登場するトリニティドラゴンみたい」

 

「「「あんなギャグチームと一緒にするな!」」」

 

……そういうことか。ホノカさんに勧められて、ヴァンガードを学ぶ一環としてアニメを見てたんだけど……ホノカさんの一言で思い出した。

 

「案外、名前もトリニティドラゴンだったりしてな」

 

「違うに決まってるでしょう!?ユウキ、ここはかっこよく紹介しましょう!」

 

「おうよ!いつもの決め台詞、行くぞ!」

 

そう言うと、ユウキたち3人は左手を重ね合わせ、右手を交差する。そして、

 

「ワンフォーオール!オールフォーワン!我ら、ユナイタルナイツ!!」

 

3人がそれぞれ決めポーズを取り、名乗りを終えた。

 

「ふっ、決まった……!」

 

「……やっぱりトリニティドラゴンだよ」

 

「ですね。私も、その……そう思います」

 

「「「1人増えた!?」」」

 

いや、俺もそう思うんだけど。

 

「全く……俺たちが3日かけて考えた最高の名前をバカにしやがって!」

 

「3日も考えたんですね……」

 

「マオちゃん、苦笑しない!そういうお前らは、チーム名何なんだよ!?」

 

「「「……え?」」」

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

チーム名。言われてみれば、そんなもの考えてもなかった。

 

とりあえず、まずはチームメイトを集めること。それを優先させて行動していたからな。

だから……ユウキにその点を指摘されたときには、ハッキリ言って気づかされた。完全に忘れていたことに。

 

そんなわけで、俺たちはチームの名前を考えないといけない。そのために俺たちは今……。

 

「いや、何でショッピングモールに?」

 

「いいでしょ?たまには、ヴァンガード以外の付き合いもいいと思うんだ」

 

ホノカさんの提案で、週末を使ってショッピングモールに来ていた。もちろん、マオさんも一緒だ。

 

「まだまだ知り合ったばかりだし、仲を深める機会だと思ってさ」

 

「いや、俺は嫌だとは言ってないよ。こうしてみんなと休日に出かけるなんて初めてだし、新鮮な感じで悪くないな」

 

2人の私服を見るのも初めてだけど……可愛いな。俺、普通な格好だけど、大丈夫だよな?

 

「でしょ?それに、今日の出来事でチーム名が思いつくかもしれないからね」

 

「そうですね。今日は1日楽しみましょう!」

 

「「おー!」」

 

というわけで、時刻は11時を過ぎたところ。まだまだやれることはたくさんある。

 

「そうと決まれば、これからどうしようか?」

 

「そうだね……。マオちゃん、何かある?」

 

「私ですか?う〜ん……カズキ君は行きたい場所とかないですか?」

 

俺が話振ったのに、見事にブーメラン返ってきたぞ……。

 

「俺?俺は2人に合わせるよ。男子の行きたい場所に女子を付き合わせても、退屈すると思うんだ」

 

「そう言われてもね……」

 

俺だって、そう言われてすぐに行きたい場所なんて思いつかなかったんだよ。仕方ない。

 

「あっ、なら私の行きたい場所でいいですか?」

 

「お、どこだ?」

 

「最近行ってなかったので、服を見に行きたいなと」

 

ってことは、服屋か。それなら、いくつか店があるから、見て回れるな。

 

「あ、でもカズキ君は大丈夫ですか?」

 

「大丈夫だよ。男性の意見もあった方が、服を選びやすいだろ?」

 

「何なら、カズキ君に女性の服着せてみるのもいいかも」

 

「いやホノカさん!?それは待ってくれません!?」

 

それから俺たちは、何軒かの服屋を見て回った。女性物の服を扱う店には入ったことがなかったから、かなり恥ずかしかったけど。

 

でも、マオさんの中で気に入った服が見つかったみたいで、何個か購入していた。ホノカさんも、マオさんと一緒になって服を選んでたけど、今日は断念するらしい。

 

その際、俺がマジで女性物の服を着せられて、2人に何枚も写真撮られたのは、凄く恥ずかしかったけどな。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

私たちは今、休日のショッピングモールに来ている。カズキ君とマオちゃんと、3人で。

 

ショップにいるだけじゃ退屈だし、たまには皆でどこかに遊びに行きたかったからね。私が提案して、2人もそれに乗ってくれた。

 

マオちゃんの提案でさっきまで服屋を回り、今はショッピングモール内のファミレスで昼食をとっていた。

 

「ホノカさん、そのパスタ美味しそうですね?」

 

「うん、美味しいよ。一口食べてみる?」

 

「じゃあ、私のグラタンも一口あげますよ」

 

「ありがとー!」

 

私はパスタ、マオちゃんはグラタン、カズキ君はハンバーグを注文していた。

私はマオちゃんから貰ったグラタンを口に入れる。熱いけど、チーズがトロトロで美味しかったよ。

 

「美味しいですね!」

 

「でしょ?マオちゃんのグラタンも美味しかったよ!」

 

「あ、カズキ君も一口どうですか?」

 

「俺もいいのか?」

 

「はい。じゃあ……どうぞ。熱いので、気をつけてくださいね」

 

そう言って、マオちゃんはグラタンを自分のスプーンですくってカズキ君の口に近づける。

 

「……あ」

 

カズキ君も、されるがままに口を開けて熱々のグラタンを口に含む。熱そうに息をしていたが、すぐに飲み込んだ。

 

けど、これって……。

 

「うん、旨いな。けど、舌が……」

 

「ちゃんと吹かないといけないですよ?」

 

「あぁ……」

 

マオちゃんにその気があるのかはわからないけど、あれは……間接キスだよね。

 

それに、やっていることはまるでカップルみたい……。

 

「……カズキ君。口にチーズついてるよ」

 

「ん?あ、本当だ」

 

「私取ってあげるよ」

 

「大丈夫だよ。自分で取れるから」

 

「いいって。私にやらせて?」

 

私は手を伸ばし、カズキ君の口についていたチーズを指で絡めとる。チラリとカズキ君を見ると、少しドギマギしているみたいで頬が赤くなっていた。

 

何だかこっちも恥ずかしくなり、指についたチーズを口に含むと、さっき食べたグラタンの味とは違って感じた。

 

「あ……俺ちょっと、トイレに行ってきてもいいかな?」

 

「お手洗いですか?いいですよ」

 

「ありがとう。じゃあ……」

 

カズキ君が席を立ち、私たち2人が残された。マオちゃんはまた、グラタンを食べ始めている。

 

「…………」

 

私は、さっきの出来事が気になり、少し話を振ることにする。

 

「あ、あのさ……マオちゃん」

 

「何ですか?」

 

「さ、さっきカズキ君にグラタン食べさせたのって、その……えと……」

 

「ホノカさん?」

 

言葉がしどろもどろになる。その先の言葉を口にしようとすると、何故か胸が苦しくて。どうしてなのかは、よくわからないんだけど。

 

「何か……その、カップルみたいだなって。自分のスプーン使ってたし、間接キスしたし……」

 

「……あっ///」

 

気づいてなかったんだ……。しかも、マオちゃんさっきグラタン食べたよね……。

 

「か、カップルだなんてそんなことないですよ!?何も考えないで、自分のスプーン使ってたし……。それに私、か、かんせ、つ……///」

 

自分の行いを振り返り、口を抑えて真っ赤になる。その様子を見て、少しほっとしている自分がいることに、驚いていた。

 

「お、男の子とそんな……間接キスしたことなんてないのに……」

 

「そんなの私もないよ。いつもお昼一緒に食べるときも、そんなことないのに……」

 

すると、何故かマオちゃんが私の顔をじーっと見つめてくる。そして、クスッと笑う。

 

「何、マオちゃん?私の顔に、何かついてる?」

 

「もしかして……焼きもち焼いてるんですか?」

 

「……っ!///」

 

今度は、私が真っ赤になる番だった。焼きもち。それはつまり、さっきのことを快く思わないこと。その理由は……。

 

「その反応、ホノカさんってカズキ君のことが気になってるんですか?」

 

「え!?ちょっ、何言ってるのマオちゃん!?」

 

「隠さなくてもわかるよ、ホノカさん。今日のホノカさん、楽しそうだから」

 

「…………」

 

私……そう言うことなのかな。カズキ君と出会って、一緒にデッキ作ったりして。気がつくと、いつも一緒だ。

 

それに私は、カズキ君といると、とても楽しいんだ。今日こうして一緒に遊んでいても、ずっと笑っている気がする。

 

多分、今日カズキ君を誘ったのは……一緒に居たかったんだね。知らないうちに、私はカズキ君のことを考えていたんだね。

 

それって、好きってことなのかな。

 

「……うん、好きだよ。そう言い切るだけの付き合いは、まだないけど……私がカズキ君に感じている気持ちは、きっと友達としての関係だけじゃない」

 

「ふふっ。乙女ですね、ホノカさん!」

 

「ちょ、ちょっとマオちゃん!からかわないでよ!///」

 

自分の言ったことを反芻し、本人がいなくて本当によかったと安堵する。こんなの、恥ずかしいもん。

 

「じゃあマオちゃんは……その、カズキ君のことどう思ってるの?」

 

「私は……一緒にいて楽しい人だとは思いますよ。嫌いじゃないです」

 

「それって、気はあるってこと?」

 

「どうなんでしょう?今はまだ、友達だと思ってます。でも、もしかしたらそんな風に見る日が……来るのかもしれませんね」

 

その言葉に少し安心感を覚えながら、私は冷めかけたパスタをフォークで絡め取った。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「……何なんだよ、本当に」

 

食べかけのハンバーグを放っておいて、俺はトイレの個室にこもっていた。

 

別に腹が痛いわけじゃない。問題は別にあった。

 

「思わず逃げ出したけど……あのままだったら、恥ずかしくてまともに食事できなかったぞ……」

 

女子2人と食事。それだけでも緊張するシチュエーションなのに、あろうことか女子に食べさせてもらえるなんて。

 

しかも後で気づいたが、俺マオさんと……か、間接キスしてるよな?///

 

そんなカップルみたいなことされても、俺はどうすればいいんだよ。恥ずかしさを必死に押し殺すので精一杯だったぞ!?

 

それだけならまだいい。追い討ちをかけたのは、ホノカさんだ。顔近かったし、まだホノカさんの指の感触を覚えている。

 

……何だよ、本当に。カップルに有りがちなシチュエーションでしかない。

 

別に、俺は2人のことをそんな風に思っているわけない。色目を使っているとか、そんな誤解は絶対するなよ!?

 

「……ふぅ」

 

ドキドキした気分も、少しは落ち着いたか。いつまでもトイレにいるわけにもいかないし。

 

「全く……ホノカさんもあんなことするんだな……」

 

そんなことを考えている俺の脳裏にふと、さっきのホノカさんの顔が浮かぶ。

 

「……あれ?」

 

何で俺は今、ホノカさんの事を考えたんだ?

 

 

 

 

***

 

 

 

 

その後、特に何事もなく昼食を済ませた俺たちは、次に向かう場所を決めかねていた。

 

「昼過ぎになってきたから、人が増えてきたね……」

 

「そうですね。これからどうしましょうか?」

 

どこに行くにしても、こうも人が多いと場所が限られてくる。どうしようか……。

 

「う〜ん。候補はあるんだけどな」

 

「カズキ君も?私も、1つ行きたい場所があるんだけど」

 

「どこなんですか?」

 

「「映画館とか……」」

 

2人の声がハモる。そして、俺たちは顔を見合わせる。その様子が可笑しかったのか、マオさんは笑いだした。

 

「2人とも、仲がいいですね?」

 

「まさか一緒の考えだとは思ってなかったけどな」

 

「でも、この人波が去るまで時間を潰せそうなのって、映画館くらいしかないと思ったんだけど」

 

「俺も全く同じ理由……」

 

という訳で、俺たちはショッピングモールに隣接している映画館に向かうことに。幸いにも、そこまで人はいなかった。

 

「何見ようか?」

 

「それなら、こういうのはどう?恋愛物なんだけど」

 

「うん、有りだな。マオさんは?」

 

「私は……これですね」

 

「「……えっ?」」

 

で、結局何を見ることになったのかと言うと……。

 

「ちょっと、本当にこれにするの!?」

 

「いや、別にいいだろ。俺も気にはなるし」

 

「えぇ……でも……」

 

「まぁまぁ、大丈夫ですって」

 

俺たちの購入した映画のチケット。そのタイトルは『廃屋の真実』。何となく、タイトルで想像できた人もいるかもしれないが……ホラー映画だ。

 

「けど、意外だな。マオさんがこんなの好きなんて」

 

「怖いけど、結構いける方なんですよ?たまにレンタルして、家でホラー映画を見ることもありますし」

 

「うう……。私、怖いの苦手なのに……」

 

「そんなこと言ってもな……。あ、始まるぞ」

 

会場が暗くなり、映画が始まった。ストーリーは、人の近づく事ができないほど険しい地形に建っていた廃屋で、何故か夜中に聞こえる悲鳴。その正体を探るために、主人公たちは廃屋に向かうことになる……という話だ。

 

テレビでよくCMもしていたし、密かに気にはなっていた。けど俺、ホラー耐性があるわけじゃないんだよな……。

 

「ヤバいですよ。きっと主人公の背後にいますって」

 

「ちょ、そんな事言わないで!もう心臓とか、色々限界!」

 

「まだ半分くらいだろ……。って、うわああ!?」

 

「キャアアアアア!!?」

 

いきなり画面にドアップで女の人の恐ろしい顔が。が、それ以上に驚いたのは、隣に座るホノカさんの悲鳴。

 

「お、脅かすなよ!?」

 

「だってぇ……」

 

ふと、俺の腕を包む暖かい感覚があることに気がついた。横を見ると、暗闇でよく見えないものの、ホノカさんが俺の腕にしがみついているようだった。

 

「…………」

 

不覚にも、別の意味でドキドキしているんだが。

 

「ふぅ、ビックリしましたね。でも、多分もう一段落ありますね」

 

「と言うと?」

 

「主人公の逃げた先の曲がり角。あそこで何か待ち構え――」

 

「「ギャアアー!?」」

 

「あっ。言った通りになりましたね」

 

何でマオさんは、そんなに平然としていられるんだよ!?

 

「あ、ところでホノカさん」

 

「今度は何なの、マオちゃん……?」

 

俺にはよく見えなかったが、何やら耳打ちをしているみたいだった。その途端に、ホノカさんが俺を掴む手に力が入る。

 

「痛っ!?え、何!?」

 

「な、何でもない!ごめんね、カズキ君!///」

 

何か慌てていた?確かめようと俺の視線から逸れるように、ホノカさんは別の方を向く。

 

疑問が残ったが、そこから先の恐怖のオンパレードに、映画が終わる頃には忘れてしまっていた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「いや〜怖かったですね!」

 

「「う、うん……」」

 

恐怖で叫び続けていた俺は、既に体力と気力が尽きかけていた。ホノカさんも、元気がない。

 

「私、今日寝るの怖いな……。ねぇ、カズキ君。夜に電話しても大丈夫?」

 

「そこまでするのか……」

 

映画館から出るときには、ホノカさんほとんど魂が抜けてたからな。マオさんが手を引いて、何とか歩けていたし。

 

「で、今からどうする?ホノカさんこんな感じだし、何か気分転換でもしようか」

 

「賛成!大賛成!楽しいことがいい!!」

 

「わ、わかったから落ち着こう」

 

俺たちはショッピングモールに戻り、適当にブラブラしながら次の行き先を探している。

 

「楽しい場所ですか」

 

「どうしよう?何かいい場所とかない?

 

「そう言うことなら、俺に案があるんだけど」

 

「どこ行くの?」

 

「ちょっとした気分転換なら、ゲームセンターとか悪くないかな……って」

 

そんなわけで、俺たちはショッピングモール内のゲームセンターへ。女子とか、こういう場所には来たことあるのかな?

 

「ゲームセンターですか。私、こう言うところには来たことないですね」

 

「私も。で、カズキ君。これから何をするの?」

 

「そうだな……。どうせなら、分かりやすくて盛り上がれるゲームがいいな。となると……」

 

俺は目的のゲームを探して、センター内を散策する。2人は俺について回りながら、たまに面白そうなゲームを見つけると俺に聞いてきた。

 

「……お、あった。これだ」

 

それは、真ん中にネットが張られて区切られた、長方形の台。

 

「エアホッケー!これ私知ってるよ!」

 

「少し前のバラエティ番組で、やってましたよね」

 

マオさんの言うとおり、これならルールも簡単で女子にもやり易い。UFOキャッチャーやメダルゲームをするよりは、これくらいがちょうどいい。

 

「じゃあ誰から行く?」

 

「私やりたい!マオちゃんは?」

 

「ここはカズキ君に譲りますね。カズキ君の腕前も見たいです」

 

「よし……ならホノカさん、向こうに行って。始めよう!」

 

「うん!負けないよ!!」

 

互いに向かい合い、俺たちはホッケーを始める。ヴァンガードとはまた違った勝負事に、俺たちのテンションも上がる。

 

「そこだ!」

 

「甘いよ、カズキ君!」

 

「くっ……。これならどうだ!」

 

打ち合う音が響き合い、さっきまでの恐怖が嘘のようになくなっていく。勝負に熱中する俺たちに、ついに終幕が訪れる。

 

「抜ける!どうだ!?」

 

「あっ、しまった!」

 

ホノカさんの手をすり抜け、軽快な効果音を鳴らしながら、ゴールを決める。今のが勝負の決め手となり、俺の勝利が決まった。

 

「おお……!凄いですね!」

 

「悔しい〜!次マオちゃん、やろう!」

 

「はい!負けませんよ?」

 

その後もホッケーを続け、気分転換は十分に行うことができた。

だが、せっかくゲームセンターに来たのだからと、さっきから気になって聞いてきたゲームを何個かプレイし、時間を忘れて楽しんだ。

 

その後も、ゲームセンター以外の場所を見て回り、楽しい時間を過ごす。

 

そんな俺たちの休日にも、そろそろ終わりが近づいていた。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「うわっ、もう暗くなってるな」

 

「本当だ。こんなに遅くまでいたんだね」

 

俺たちがショッピングモールの外に出た時には、既に太陽が沈んでいた。昼前には来ていたはずなのだが、かなりの時間を過ごしたみたいだ。

 

「でも楽しかったです!ちょっと疲れちゃいましたけど……」

 

「疲れたと言えば、ホラー映画の時だな。ホノカさん程じゃなかったけど、怖かったしな」

 

「今日は眠れるか不安だよ……」

 

「あっ、見てください2人とも!星ですよ!」

 

マオさんに言われるまま空を見上げると、そこには満天の星空が。

 

「綺麗……」

 

「あぁ。この星空を見られてよかったな」

 

そのきっかけを作ってくれたのは、今日誘ってくれたホノカさんで。そしてマオさんがいて、俺がいたから、楽しかったんだ。

 

「……この先も、こうして3人で一緒に楽しいことしたいな」

 

「うん、そうだね。今度はどこか違う場所に行こうよ」

 

「私もです。今日は本当に楽しかった。私、人見知りであまり知り合いいないし、友達と遊びに行くことなんて、初めてだったから……」

 

約束……星空……。

 

「……スターリープロミス」

 

「えっ?」

 

「今、突然思いついたんだ。俺たちの、チームの名前」

 

星空の下で、いつまでも忘れることのない約束を。この3人で、ずっと仲良くいられるように。

 

そんな思いを込めた、誓いの名前。

 

「スターリープロミス……。うん、いいかも!」

 

「ですね!それで決まりですよ!」

 

「いいのか?俺が勝手に決めたみたいになっちゃったけど」

 

「思ったよりもいい名前だったんだもん。それで行こうよ!」

 

「少し毒吐いたよな……」

 

けど、2人が納得してくれたのなら、それでいい。俺たちのチーム名が、今決まった。

 

「よし……なら決まりだな!俺たちのチームは、スターリープロミスだ!!」

 

俺たちのチームの名前が決まり……スターリープロミスの時が、今動き出した。

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