今回は、ようやくあのキャラのクランが判明します。もったいぶる必要があったかどうかは知りません(おい) かなり長くなっているので、楽しんでもらえたら……嬉しいかな……(ちょっと不安)
さぁ、行きましょうか。
スターリープロミス。私たちのチーム名が、この名前に決まった次の日。私はいつも通りにミルキーウェイに来ていた。
「おはようございまーす!」
「いらっしゃい、ホノカちゃん。昨日は来なかったみたいだけど、何してたの?」
「ちょっと遊びに行ってました。私たちのチーム、スターリープロミスのみんなで!」
「おっ、チーム名が決まったんだね?なかなかいい名前だよ。誰が決めたの?」
「カズキ君です。みんなで星空を見て、その時に!」
ショッピングモールからの帰り道。展望台から眺めた景色を見たカズキ君が、突然その名前を口にした。
やっぱり、昨日みんなで遊びに行ったことは間違いじゃなかったな。カズキ君とも一緒にいられたし……って、いや、そういうことじゃなくて!///
「あれ?顔が赤いですよ?」
「気にしないで下さい!えっと、今日は誰か来てます?」
「そうだね……ユウキ君はチームのみんなと何やら特訓するみたいでしたよ?カズキ君は、見てないですね」
ユウキ君たちはいいとしても……カズキ君、来てないんだ。
「あ、でもマオさんは来てますよ?そこのテーブルに座ってるの、彼女ですよね?」
「本当だ。お〜い、マオちゃん!」
向こうも気づいてくれたみたいで、手を振ってくれた。
「おはよう、ホノカさん。カズキ君は一緒じゃないんですね?」
「うん。今日は来てないみたいなんだ」
「そうですか……。何か用事があるんでしょうか?」
「どうなんだろ……」
ちょっと残念だな……。カズキ君とファイトしたかったのに。
「ホノカさん」
「何?マオちゃん」
「カズキ君がいないと、寂しそうですね?目に見えてわかりますよ?」
「はっ!?う……えぇ、その……///」
もう、マオちゃんは鋭いな……。女の感って事なのかな?
「可愛いですよ、ホノカさん。羨ましいです」
「いきなりからかわれるなんて……」
普段は私がカズキ君をからかっているのに〜……。
「……ところでホノカさん」
「うっ、今度は何?まだ何か表情に出ていた?」
「そう言うわけではないんですけど……」
そう言えば……と、マオは今更ながら気になっていたことを話し出す。
「ホノカさんがファイトしているところって、見たことないです」
私は、カズキ君がファイトをしているところは何回か見たことがある。けど、ホノカさんのファイトは全く知らない。
どんなクランを使うのか、私には見当もついていなかった。
「あれ?そうだっけ」
「そうですよ。もしかして、隠しているんですか?」
「いやいや、そんなつもりないよ。たまたまだって」
「あっ、そう言えばカズキ君が、ホノカさんはデッキを忘れるドジっ子で有名だって――」
「……マオちゃん、その話詳しく聞かせてもらってもいい?」
こ、怖いですよホノカさん……。
「じ、冗談ですって。それより、私はホノカさんのファイトを見たことがありません。だからどうでしょう?ファイトしませんか?」
「ファイト?いいよ。私も、マオちゃんとはファイトしたことなかったからね」
私はデッキを取り出し、ファイトの準備を始める。ホノカさんも、デッキを取り出してシャッフルする。
カズキ君は、ホノカさんのクランを知ってるんでしょうか?私よりは、ホノカさんとの付き合いが長いみたいですけど……。
「言われてみれば、マオちゃんの言うとおりだね。私、カズキ君にもこのデッキ見せたことないかも」
「えっ、そうなんですか?」
「カズキ君とファイトしたの、最初に会ったときだけだからね。あの頃のカズキ君のデッキ、散々だったから」
「散々って……」
「本当なんだよ?デッキ作りに付き合って、ファイトどころじゃなかったから。グレードもトリガーも、配分バラバラ。あれなら、マオちゃんも勝てるよ、絶対」
そこまで言い切れるデッキなんて……逆に興味ありますね……。
「けど……私は強いよ。自分で言っちゃうのも何だけどね」
「お手柔らかにお願いしますよ」
「どうかな?私、ファイトだけは誰にも負けたくないから」
互いにファーストヴァンガードに手をかけ、勝負を始める掛け声を放つ。
「「スタンドアップ!ヴァンガード!!」」
「私は、革の戒め レージング!(5000)」
自分の実力を豪語するホノカさん。そんなホノカさんが使うクランは……。
「……ネオンメサイア!(5000)」
このユニットは、リンクジョーカーに属しているユニット。ロックと呼ばれる特殊能力を駆使するクランだ。
けど、意外。もっと華やかなクランを使っていると思ったのに。このクランは確か……元々は侵略者の集団だったはず。
「リンクジョーカーを使うんですね」
「女の子っぽくないって、初めてファイトする人からは言われるけどね」
私も思ってましたからね。もっと可愛らしいクランを使っているのかと……。
「でも、このクランには思い入れがあるから。何を言われても、私はリンク一筋だよ」
「思い入れですか……。そう言うの、何だか羨ましいです」
「そう?じゃあ、私のターンから行くよー!ドロー、ダークメタル・カメレオン(7000)にライド!」
さて……どんなファイトをするのか、見物ですね。
「ネオンメサイアは先駆で後ろに移動。ターンエンドだよ」
「私のターン。ドロー、神界獣 スコル(7000)にライドします!レージングは後ろに移動して、2体の力でアタックです!(12000)」
「ノーガード!」
「ドライブチェック、神界獣 フェンリル」
よし、キーカードを引くことができました。これなら、上手くファイトを進められそうですね。
「ダメージチェック、アローザル・メサイア」
「ターンエンドです」
マオ:ダメージ0 ホノカ:ダメージ1
「私のターン、ドロー。それにしても、何とかチームとして形になったな〜」
「そうですね。私も、まさかチームに誘ってもらえるなんて思ってませんでしたよ」
「マオちゃん強いのに、スカウトの声かかってもおかしくないんだけどね」
「私はその……あまり表に出ない性格ですから。それに、ヴァンガードの腕もまだまだです」
そんな私の強さを買ってもらって、一緒にチームを組むことになって。学校でもショップでも、目立たないから一人だったけど……カズキ君やホノカさんのおかげで、仲間ができた。
二人にとっては、何気ない話だったのかもしれません。でも、私にとっては……。
「私、本当に嬉しいです。二人と一緒にいると、楽しくて仕方ないんです」
「私もだよ、マオちゃん。カズキ君がウェルテクスカップに参加するのを決めて、チームに誘ってくれたこと、嬉しかった。学校にも、ヴァンガードをやってる仲間はいなかったから」
「ホノカさん……」
「大げさだけど、カズキ君がいなかったら、今の私はなかったよ。本当に感謝してる」
それは私もですよ、ホノカさん。
「本人がいたら、とても恥ずかしくて言えませんね」
「そ、それは……いないから言えるんだよ!/// はい、ファイト再開!重力井戸のレディバトラー(9000)にライド!」
あっ、照れ隠し。ホノカさん、可愛いですね。
「落日の刀身 ダスクブレード(9000)と、デスティニー・ディーラー(7000)をコール!ディーラーのスキルで、手札の中性子星のレディガンナーを公開!」
「と言うことは……」
「デッキから、オルターエゴ・メサイアを手札に。公開したレディガンナーは捨てるよ」
私の使っているスコルと同じようなスキルだ。あのカードをデッキに入れているなら、私同様、ストライドを主軸としたデッキですね。
「ネオンメサイアのブースト、重力井戸のレディバトラーでアタック!(14000)」
「ノーガードします」
「ドライブチェック……アステロイド・ウルフ。クリティカルトリガーだね!パワーはダスクブレード(14000) クリティカルは重力井戸!(14000 ☆2)」
もうこのタイミングからクリティカルを引きますか……。ダメージは、クレイマー・ハリーと黄昏の神器 ヘスペリスでした。
「デスティニー・ディーラーのブースト、ダスクブレードでアタック!(21000)」
「う……ここもノーガードです!ダメージチェック、衰微の女神 ヘル」
「よーし、いい感じ!ターンエンドだよ!」
マオ:ダメージ3 ホノカ:ダメージ1
「私のターンです。スタンドアンドドロー!」
ガードする暇もなく、3ダメージ受けてしまった。ここは少しでも追いついておきたいな……。
「ライド!神界蛇 ヨルムンガンド!(9000)」
「気合い入ってるね〜」
「簡単に負けるつもりはありませんから。もう1体、神界蛇 ヨルムンガンド(9000)をコール!そのままアタック!(9000)」
「おっと、超絃理論の愛し子でガード!」
ガードのための手札は持ってましたか……。
「レージングのブースト、ヨルムンガンドでアタックです!(14000) ドライブチェック、ドリーミング・ドラゴン。スタンドトリガー!」
「いいタイミングでトリガーを……!」
「効果はリアガードのヨルムンガンド!(14000) これで後2回アタックできますよ!」
「やるねぇ。ダメージチェック、真空に咲く花 コスモリース」
完全ガードがダメージに入りましたね。ヴァナルガンドを使う以上、相手に完全ガードを持たせてはプレッシャーを与えられませんからね。
「スタンドしたヨルムンガンドで、もう1度アタック!(14000)」
「アステロイド・ウルフでガード!」
「くっ……。ターンエンドです」
マオ:ダメージ3 ホノカ:ダメージ2
「私のターン、スタンドアンドドロー!」
結局、1ダメージしか与えられなかった。まだリードを保っているのは、ホノカさんだ。それに、このターンからは……。
「行くよ……!儚き世界に舞い降りる、変革の救世主!ライド!オルターエゴ・メサイア!!(11000)」
「おぉ……!」
グレード3にライドされる。先にツインドライブを使われ、次のターンからもストライドが使われてしまう。
「何もコールしないで、ネオンメサイアのブースト、オルターエゴのアタック!(16000)」
ダメージは3……。Gユニットの事も考えると、ここでノーガードはしなくないですけど……。
「……ノーガードです!」
手札に恵まれていない。ここは、ノーガードで乗りきるしかありませんね。
「ツインドライブ!1枚目、デスティニー・ディーラー。2枚目、綻びた世界のレディヒーラー。ゲット!ヒールトリガー!」
「っ!?で、でも回復はできない……」
「あちゃ〜……。なら、パワーはダスクブレード!(14000)」
少し焦ってしまいました……。
「ダメージチェック、青春の女神 ヘーベー。よし、ヒールトリガー!私はダメージを回復できます!パワーはヴァンガード!(14000)」
「まだまだ追撃!デスティニー・ディーラーのブースト、ダスクブレードでアタック!(21000)」
「バンピング・バッファローでガードします!」
「ヒールは予想外だったな。ターンエンド!」
マオ:ダメージ3 ホノカ:ダメージ2
「私のターンです。スタンドアンドドロー!」
これで私もグレード3。それに、お互いのヴァンガードがグレード3以上になるから……!
「神喰らう獣を宿す、鎖の音色が響き合う!ライド!神界獣 フェンリル!!(11000)」
「……でも、それだけじゃないよね?」
「当然ですよ。竈の女神 ヘスティアをコストに、ジェネレーションゾーン解放!」
私はヘスティアをドロップゾーンに。そして、Gゾーンのカードを1枚掴む。
「示し出せ!彩られた未来の形を!ストライドジェネレーション!!天空の女神 ディオネ!!(26000)」
「今回はディオネか……」
前のカズキ君のファイトでは使っていないGユニット。状況を考えると、多分こっちの方がいい。
「フェンリルのストライドスキル!SC3、さらにスキルを与えます!」
「ソウルのカードがドロップゾーンに置かれた時、CB1でその中の1枚をリアガードとしてコールできるんだよね」
「そうです。ヨルムンガンドの後ろに、神界獣 ハティ(7000)をコール。レージングのブーストで、ディオネのアタック!(31000)」
ホノカさんのダメージはまだ2。ここは恐らくノーガードしてくるはず。
「……うん、ノーガード!」
やっぱり。それなら、ディオネのスキルを使うことができますね。
「トリプルドライブ!1枚目、戦巫女 ククリヒメ。クリティカルトリガー!パワーはヨルムンガンド(14000) クリティカルはディオネです!(31000 ☆2)」
「く……トリガーはやっぱり引くよね……!」
「2枚目、神界獣 スコル。3枚目、黄昏の神器 ヘスペリス」
でも、1枚だけですか……。スコルが引けたから、まだいいと思いたいですけど……。
「ダメージチェック。1枚目、落日の刀身 ダスクブレード。2枚目、中性子星のレディガンナー」
「アタックヒットで、ディオネのスキル発動です!SB3、デッキの上から3枚見て……衰微の女神 ヘルを手札に加えます」
「完全ガードが手札に……。守りは完璧って事だね」
これで次のターン、どんなアタックだとしても1回は守れます。リンクジョーカーには、ガード制限を持つユニットはいませんからね。
「確認した3枚のうち、残りの2枚はソウルに置きます。さらに、ヨルムンガンドとハティのスキル!ソウルからカードが捨てられるたび、パワープラス1000!3枚でプラス3000!(ヨル 17000)(ハティ 10000)」
「1列で6000もパワーアップか……」
「続けて、フェンリルのストライドスキルで得たスキル!CB1で、ドロップした貪り喰うもの グレイプニル(9000)をスペリオルコール!」
このグレイプニルは、さっきのストライドスキルでソウルに入ったもの。これで後2回のアタックが可能になる。
「グレイプニルで、ダスクブレードに!(9000)」
「貴重なアタッカーはやらせない!デスティニー・ディーラーでガード!」
「ハティのブースト、ヨルムンガンドでアタック!(27000)」
「こっちは……ノーガード!ダメージチェック、超絃理論の愛し子。ゲット!ドロートリガー!1枚ドローして、パワーはオルターエゴに!」
「でも、これで5ダメージですよ。ターンエンドです」
マオ:ダメージ3(裏1) ホノカ:ダメージ5
「私のターン、スタンドアンドドロー。やるね、マオちゃん。なかなか強いよ」
「まだまだです。ファイトは終わってないですよ」
「アハハ、そうだね。それじゃあ……オルターエゴをコストに、ジェネレーションゾーン解放!!」
このターンからホノカさんのストライドが来る。問題は、何を出してくるかですね。
「純白の剣で闇を払い、未来への道を切り開く!ストライドジェネレーション!!創世竜 アムネスティ・メサイア!!(26000)」
「アムネスティ……!」
「後はないからね。一気に行かせてもらうよ!ストライドスキル!」
ホノカさんがダメージを1枚裏返し、それに応じてネオンメサイアも裏返しになる。
ここに来て、ようやく使ってきた。リンクジョーカーにだけ許された、特殊なスキルを。
「CB1、私はネオンメサイアを“呪縛”して、ヨルムンガンドを“呪縛”!アムネスティにパワープラス5000!(31000)」
「あっ……!」
ヨルムンガンドも裏向きになり、リアガードサークルに置かれる。これが、リンクジョーカーのスキルである“呪縛”……ロックだ。
ロックされたカードは、アタックやスキルの使用、同列での位置交換、上書きコールによる退却。その一切ができなくなる。
持ち主のターンが終われば、“解呪”……アンロックされ、ロックされたカードは表向きになる。ただし、それ以外にもスキルによってアンロックできる例は存在する。
「重力井戸のレディバトラー(9000)と、アローザル・メサイア(9000)をコール!重力井戸のGB1で、アローザルをロックしてパワープラス4000!(13000)」
味方をロックする代わりに、パワーを4000プラスできるGB。一見すると、コストに合っていないようにも見えるけど、これは下準備でしかありません。
何故なら、ホノカさんのストライドしたアムネスティには……。
「デスティニー・ディーラーのブースト、ダスクブレードでアタック!この時、ブーストを受けていることで、ダスクブレードのGB1!CB1で、グレイプニルをロック!(16000)」
「またリアガードを……」
これで私の前列には、動けるリアガードがいなくなってしまいました。
「でも、アタックは防ぎます!ククリヒメのガード!」
「ここからが本番!アムネスティでアタック!スキル発動するよ!」
「来ましたか……」
「CB1、ロックカードを好きな枚数選択して、それらをアンロックするよ。私は、ネオンメサイアとアローザル、グレイプニルをアンロック!」
これがさっき話した、スキルによるアンロック。アンロックしたユニットはスタンド状態になるため、バトルフェイズ中に行えば、連続アタックが可能になる。
けど、わざわざ相手のカードまでアンロックする必要はないはず。それには、ある理由があった。
「アンロックしたカード1枚につき、パワープラス3000!さらに、アンロックしたカードが3枚以上あるから、クリティカルプラス1!(40000 ☆2)」
「くっ……」
「さらにネオンメサイアのGB1で、アンロックされた時に自身をソウルに。デッキからメサイアのグレード3を手札に加えて、デッキをシャッフルするよ」
該当するのは、オルターエゴ・メサイア。次のストライドのコストも確保されてしまいました。
「まだまだ!アローザルのGB1!アンロックされた時、他のリアガード、私はダスクブレードをスタンドして、パワープラス2000!(11000)」
敵だけでなく味方をもアンロックする事で、強力な効果を発揮する。少し前までのリンクジョーカーにはなかった戦い方ですが、より盤面を柔軟に操作できるようになったと言えますね。
「でも、マオちゃんの手札には、あのユニットがいる……」
「そうです。衰微の女神 ヘルで完全ガード!コストはヘスペリス!」
「だったらトリプルドライブ!1枚目、ダークメタル・カメレオン。2枚目、超絃理論の愛し子。ゲット!ドロートリガー!1ドローして、パワーをダスクブレード!(16000) 3枚目、震脚のバルスモンク。ゲット!クリティカルトリガー!効果をダスクブレードへ!(21000 ☆2)」
この土壇場で、2枚もトリガーを引いてみせるなんて……。
「重力井戸で、グレイプニルに!(13000)」
「クレイマー・ハリーでガード!」
「ダスクブレードは、ヴァンガードを攻撃するよ!(21000 ☆2)」
「……ノーガードです」
ダメージは、竈の女神 ヘスティアと神界獣 ハティが入る。これで、私も5ダメージ……。
「ターンエンド!」
マオ:ダメージ5(裏1) ホノカ:ダメージ5(裏2)
「私のターン、スタンドアンドドローです!」
もう後はないですけど……向こうだってそれは同じ。なら、ここで決めるしかない!
「スコルをコストに……ジェネレーションゾーン解放!示し出せ!彩られた未来の形を!ストライドジェネレーション!破壊神獣 ヴァナルガンド!!(26000)」
「前にカズキ君を追い詰めた、ヴァナルガンドか……」
「フェンリルのストライドスキル!SC3、ソウルからドロップされたカードを、CB1で1枚だけコールできるスキルを獲得します!」
ソウルは十分にたまりました。これでヴァナルガンドのスキルは問題なく使える。
「レージングのGB1!ソウルに入れることで、ヴァナルガンドにスキルを与えます!」
「決める気満々ってところかな……?」
「神界獣 ハティ(7000)をグレイプニルの後ろ、ドリーミング・ドラゴン(4000)をヴァナルガンドの後ろにコール!ハティのブースト、グレイプニルでアタック!グレイプニルのGB1で、ブーストされているなら、CB1でSC3!」
「またソウルを貯めてくるか……。ガード!綻びた世界のレディヒーラー!」
「でも、これならどうですか?ドリーミング・ドラゴンのブースト、ヴァナルガンドでアタック!(30000)」
ヨルムンガンドがロックされているから、このままではヴァナルガンドのアタックで終わってしまう。
けど……。
「ヴァナルガンドのGB2!SB6、Gゾーンから裏のヴァナルガンドを表にします!」
「これでヴァナルガンドは、スキルを獲得した……」
「それだけじゃないですよ。フェンリルのストライドスキル!CB1で、ソウルからドロップした神界獣 フェンリル(11000)をスペリオルコール!」
私はグレイプニルに上書きコールする。これで、アタッカーは確保できた。
「続けてレージングの与えたスキル!ソウルからドロップした神界獣 スコル(7000)をスペリオルコール!コールするのは、フェンリルの後ろです!」
「ヨルムンガンドをロックしてなかったら、ちょっと危なかったね。このアタックは真空に咲く花 コスモリースで完全ガード!コストはダークメタル・カメレオン!」
持っていたんですか……!でも、ヴァナルガンドの真価が発揮されるのは、ここからだ。
「ヴァナルガンドのスキル!デッキの上から4枚確認して、その中のカードを好きな枚数デッキの上に戻して、残りをデッキの下に置きます」
「う……」
「私は……2枚を上に。2枚を下に。そして、トリプルドライブ!」
「まぁ、2枚はトリガーで決まりって事だよね……」
「1枚目、戦巫女 ククリヒメ。クリティカルトリガー!効果はフェンリル!(16000 ☆2) 2枚目、戦巫女 ククリヒメ。同じくクリティカルトリガー!効果はフェンリル!(21000 ☆3)」
ここまでは私が操作したもの。後は、運に委ねるだけ。
「3枚目……青春の女神 ヘーベー。ヒールトリガーです!ダメージを1枚回復して、パワーはフェンリル!(26000 ☆3)」
「このタイミングでトリプルトリガー……!?」
よし、これなら行けます!
「スコルのブースト、フェンリルでアタック!(33000 ☆3)」
「く……まだまだだよ!バルスモンク、超絃理論、レディヒーラーでガード!」
「ガードできるだけのシールドを用意してたなんて……。ターンエンド。ドリーミング・ドラゴンのGB1で、このカードとドロップゾーンのカードを全て戻し、10枚以上戻したことで1ドローします」
ヨルムンガンドもアンロックされ、リアガードとして戻ってきた。これでターンは終了だ。
マオ:ダメージ5(裏2) ホノカ:ダメージ5(裏1)
「私のターン、スタンドアンドドロー」
決めきれなかったけど、ホノカさんの手札はかなり削れた。次のターンまで回れば……。
「いいアタックだったね。けど、そう簡単に負けるほど、私は甘くないよ?」
「私だって、まだ負けるつもりはないですよ」
「だよね。でも……勝つのは私だよ!ジェネレーションゾーン解放!」
オルターエゴがコストとして捨てられ、未来への扉を開く。
「純白の剣で闇を払い、未来への道を切り開く!ストライドジェネレーション!創世竜 アムネスティ・メサイア!!(26000)」
「また……!」
「オルターエゴのストライドスキル!CB1、アローザルをロックして、フェンリルをロック!アムネスティにパワープラス5000するよ!(31000)」
さっきのターンと同じなら、まだロックは続くはず……。
「2体目のアローザル・メサイア(9000)をコールして、重力井戸のGB1!今コールしたアローザルをロックし、パワープラス4000!(13000)」
「く……」
「デスティニー・ディーラーのブースト、ダスクブレードでアタック!ダスクブレードのGB1!ブーストされているので、CB1でヨルムンガンドをロック!(16000)」
「ここは……ノーガード!」
アムネスティはまたクリティカルを増やすはず。ノーガードでは逃げられない。なら、逃げられる間に逃げないと。
「ダメージチェック、貪り喰うもの グレイプニル」
「これでどうかな?アムネスティでアタック!スキル発動!CB1で、2体のアローザルとフェンリルをアンロック!アンロックしたカードは3枚だから、パワープラス9000!クリティカルプラス1!(40000 ☆2)」
やっぱり、脅威的なパワーですね……。けど、ここだけはガードしておかないと……。
「2体のアローザルのGB1!ダスクブレードとデスティニー・ディーラーをスタンド!それぞれにパワープラス2000!(ダスク 11000)(デスティ 9000)」
生き残る可能性があるなら、スタンドした方をノーガードしてヒールトリガーを引くこと。クリティカルの増えたアムネスティでは、連続してヒールトリガーを引ける可能性は低い。
「ククリヒメ2体、ヘーベーでガードです!」
「トリガー1枚……なら、引くよ!トリプルドライブ!」
確実な突破法ではない。けど、可能性はゼロじゃない。私のターンまで回るかどうか、このドライブチェックにかかっている。
「1枚目、惑星鉱石のレディサーチャー。2枚目、落日刀身のダスクブレード。3枚目、震脚のバルスモンク。ゲット!クリティカルトリガー!効果は全てアムネスティへ!(45000 ☆3)」
決まった。さすがに3枚連続でヒールトリガーを引けるはずもなく……ダメージには神界獣 フェンリルが入り、私が負けてしまった。
***
「よーし、私の勝ち!」
「強いですね、ホノカさん。もう少しだったんですけど……」
「いやいや、マオちゃんも強かったよ。危ない場面はあったからね」
それでも、勝ったのはホノカさんですからね。カズキ君もですけど、それ以上に強かった気がします。
「今日は負けましたけど、次は負けませんよ」
「次なんて言わないで、今からもう1回ファイトしようよ。たった1回で終わらせるなんて、ちょっともったいないし」
ホノカさんがデッキをシャッフルし始めるので、私もシャッフルを始める。第二ラウンドのスタートを控える中で、話はこの場にいないカズキ君のものに。
「でも、せっかくならカズキ君ともファイトしたいですね」
「だね。私もカズキ君ともファイトしたいな〜。このデッキも見せたいし、前のリベンジもしたいし」
「えっ?でもさっき、前のカズキ君のデッキは散々だって……」
「まぐれ勝ちだったんだよ。上手くトリガーを引かれてね……」
それは確かに悔しいですね……。酷評するくらいのデッキに、運とは言っても負けてしまったんですからね。
「明日にでもファイト挑もうかな。今日いたら、今からファイトしたかったのに」
「私も見たかったです。どっちが勝つのか気になりますから」
「マオちゃんも、カズキ君へのリベンジがあるからね」
「リベンジばかりで大変ですね。カズキ君も」
「アハハ、確かに。……カズキ君、今どこにいるんだろう……?」
***
「はぁ……っ、はぁ……」
「どうした?もう終わりなのか?」
「うるさい……!俺はまだ、終わってない……!」
目の前に浮かぶ台に手をつき、俺は息を切らしながら対戦相手を見据える。カードを持つ方の手にも力が入り、眼光も鋭く相手を刺す。
燃え盛る炎の中、浮かび上がる竜のシルエット。そしてその眼下には、対戦相手の男の姿が。
力なく腰をつく俺のユニットたち。1体、また1体と炎に焼かれ、塵と化して俺の前から消えていく。
無力だった。この男の前では、俺はあまりにも無力だった。唯一残った俺のヴァンガードも、風前の灯火。
「ならば見せてみろ、戸坂カズキ。お前の力を」
「上等だ……!俺のターン!スタンドアンドドロー!!」
俺のヴァンガード……クロノジェット・ドラゴンが立ち上がる。灼熱に身を焦がし、ターンは進んでいく……。