名探偵の事件簿(ケース・ファイル) -コナンVS金田一少年-   作:ワニ夫くん

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11:『幼馴染』

 

 

 

○毛利探偵事務所

 

 パジャマ姿の美雪と蘭が布団を敷いている。

 

美雪「ねえ、何度も聞くようだけど、本当に良いのかしら、今日こっちに泊まっちゃって……」

 

蘭「いいのよ別に。お父さんも今日は仕事でいないし、コナンくんも阿笠博士のところに泊まってるし。それに、私たちも明日はまた目暮警部たちに呼ばれてるじゃない? 明日、不動山市から米花町に行くより、この方が楽でしょ?」

 

美雪「それはそうだけど……」

 

蘭「それに、本当はお父さんもコナンくんもいないから、私の方がちょっと寂しいくらいよ。美雪ちゃんが来てくれて、ちょっと嬉しいもの」

 

美雪「まあ、そういう事なら、御言葉に甘えます……」

 

蘭「そうそう! 積もる話もあるしね! ……で、さー、さっそくだけど、美雪ちゃん。金田一くんとはどうなの?」

 

美雪「え、はじめちゃんとどうって……?」

 

蘭「ほら、二人とも随分親しくしてるじゃない。あれは一体、どっちから告白したのかなって」

 

美雪「告白……? そ、そんなんじゃないのよ! 蘭ちゃん!」

 

蘭「あれ? そうなの……てっきり」

 

美雪「あたしとはじめちゃんは、ただの! 幼馴染です!」

 

蘭「へえ……そうなんだ。でも、美雪ちゃんは金田一くんの事好きでしょ?」

 

美雪「そ、そんな事ないわよ……!」

 

蘭「わかるわよ。だって、二人ともあたしと新一に似てるから……」

 

 蘭が薄く笑う。

 

美雪「……あの、蘭ちゃんと新一さん、恋人だったのかしら?」

 

蘭「うーん、ちょっと違うかな。でも、一応新一から告白はされてたのよ。ロンドンで会えた時にね」

 

回想・新一『好きな女の心を……正確に読み取るなんて事はな!』

 

美雪「へぇ……」

 

蘭「たまに会えるんだけどね、すぐにいなくなっちゃうんだ。あの告白の後も、そうだった。……美雪ちゃんは、どう? 何か金田一くんと決定的な事ってあった?」

 

美雪「そうね。……やっぱり……」

 

回想・金田一『俺……いなくなったら寂しい?』

 

美雪「キス、とか……」

 

蘭「え!?」

 

美雪「あ、あの! はじめちゃんも、雪割荘の事件のちょっと後くらいに、色々あってしばらく旅に出てたのよ! その前に、挨拶みたいに、ね……! 内緒よ、蘭ちゃん!」

 

蘭「……そっか。なんだかんだで美雪ちゃんも……」

 

 ふと、蘭が何かを思い出す。

 

蘭「――そういえば、半年前の事件で会った和美さんも、鬼沢さんとは幼馴染だったわよね」

 

美雪「……そうね。その時にも、三人でこんな事を話したわね……」

 

蘭「あたしたちとはちょっと違うかもしれないけど、そっか……。和美さんも大切な人と離れ離れなんだよね……」

 

美雪「うん……」

 

蘭「鬼沢さんも、和美さんも、今はどうしてるのかな……」

 

 

 

 

 

 

○回想。半年前、雪割荘

 

 女性浴場で、美雪、蘭、和美らが言葉を交わしている。

 

蘭「――でも大変よね、美雪さん、和美さん。幼馴染が探偵で、ずーっと推理推理って!」

 

美雪「うーん……まあ、そうだけど。話を聞いているとちょっと新一さんは度を超しているような……」

 

蘭「この前一緒に帰った時もシャーロック・ホームズの推理がどうのってひたすらウンチクを語られて……もう、何度も何度も! しばらくあいつのウンチクはもううんざり! もう、しばらく聞きたくないくらいよ!」

 

和美「……ホームズがお好きなんですね、新一さんって」

 

蘭「ええ、でもほんと凄いんです。病的なシャーロキアンっていうやつで! なんでも現代のシャーロック・ホームズになるのを夢見てるとかで」

 

和美「でも……ホームズってそれくらい面白いんですよ。私もアキくんも、昔から本当にホームズが大好きで……」

 

美雪「……あ、そういえば、鬼沢さんと和美さんは二人ともうちのミス研のOBとOGだったんですよね! じゃあ和美さんもホームズが好きなんですか?」

 

和美「ええ……私たちがいた頃はまだ、あそこは推理小説研究部でしたけど……ホームズが好きで推理研に入って、アキくんも、あともう一人栗本くんっていう子も一緒に入部していたんです。……三人でいつもミステリーの話をして……アキくんと私はいまは、本当にホームズとワトソンみたい」

 

蘭「……へえ、でもカップルが二組も出来るなんて、そのミステリー研究会も、なんだか恋のキューピットみたいな部活なのね」

 

美雪「カップル……!? そ、そんなんじゃありません! あたしだって、はじめちゃんにはうんざりしてるんです! 早引けしたり、遅刻したり、さぼったり、早弁したり、目を離すとすぐ問題起こすし……!」

 

和美「……あたしも、アキくんとはそういうのじゃ……」

 

 それを、ちょっと遠いところから見る松山美紀、時任新奈。

 

松山美紀「いいわね、みんなカレシ持ちで。もうすっかり彼氏なんて出来ないわ。……時任さん、まさかあなたは彼氏いないわよね?」

 

時任新奈「……」

 

松山「ちょっと、時任さん」

 

時任「え……あ、うん! あ、あたしも彼氏は出来ないんだよね! でもほら、あっちの三人はワトソン役、こっちはホームズ役だから! あたしたちは向こうとは違うワトソン系男子を狙わないと! あはは……」

 

松山「ワトソン系男子……なんているのかしら」

 

時任「うーん、どうだろ……やっぱり少ないんじゃない? どっちにしろ、松山ちゃんみたいにボクシングに、射撃に、乗馬までできる探偵なんて、恐ろしすぎてなかなか声がかからないと思うけど」

 

松山「ちょっと時任さん!」

 

美雪「へえ、意外……松山さんってそこまで凄い人だったのね。……後で、はじめちゃんにも、蘭さんや松山さんに声をかけたら危ないわよって言っとこ」

 

蘭「そういえば、新一も女ホームズだって言ってたわ、松山さんの事」

 

松山「……はぁ、困るわ、本当に。どこかに、私よりボクシングと射撃が強くて、白馬に乗ってやってきてくれる男性はいないかしら……」

 

時任「ムリだと思うなぁ」

 

 蘭が少しそちらを見ている。

 

時任「――あ、でも、彼氏持ち三人も気を付けた方が良いよ! いくら幼馴染で仲が良くても、ちょっとした事で別れ別れになるなんて……珍しくないから! なんてね」

 

 

 

 

 

 

○現代、阿笠邸・風呂

 

 金田一とコナンが一緒に入っている。

 

コナン「――なあ、金田一。笠原和美って覚えてるか?」

 

金田一「ああ。鬼沢さんの助手の和美さんだろ。ちゃんと覚えてるよ」

 

コナン「この前、お前が捕まった時に不動高校で、それからそのあと米花自然公園で和美さんを見た。こっちは最初の事件の後、お前が女装して阿笠博士たちとやって来た時だ」

 

金田一「あ、それでお前はあの時走ってどっかに……!」

 

コナン「ああ。だが、間違いない、和美さんは事件の様子を頻繁に確認していた。もしかしたら、俺や蘭みたいに予告状が届いていて金田一に会いに来て、本陣広場のある米花自然公園の様子を見に来たのかもしれない」

 

金田一「……」

 

コナン「そして、同じ頃に、不動山市で事件が起きた。これが単独犯なら、和美さんは犯人じゃない。だが共犯だったら……。どっちにしろ容疑者の一人には違いないな」

 

金田一「どうして、そう思うんだ?」

 

コナン「決まってんだろ。鬼沢さんと和美さんは、幼馴染で助手という関係だ。今回の事件で亡くなったのは、事務員の戸塚に、検察官の本田……黒須や王が引き起こした鬼沢誠一の冤罪に関わる人間ばかりだ……鬼沢さんのやり残した復讐を完成させるっていう明確な動機がある。それに、鬼沢と親しかったなら、全員の連絡先や、例のフォントも持っていたっておかしくはない」

 

金田一「ああ、確かにそれはそうだけど……」

 

コナン「……勿論、妙な点はある。なぜ、自分が怪しまれる状況まで作って、半年前と同じ手紙を渡したのかという点だ」

 

金田一「ああ、その理由がない。何故わざわざ半年前の事件と絡めて足がつくような状況を作ったのかはさっぱりわからないんだ。警察も当然、半年前に殺された二人との関連性を調べていた。まして、こんな手紙まで用意されていたら、真っ先にあの時のメンバーに疑いが向くだけだ。それなら、最初からあんな予告の手紙なんて出さない方が良い。誰が犯人だったとしてもね」

 

コナン「ああ、一体何故なんだ……?」

 

金田一「最初はその理由をこう考えてたよ。半年前の事件と絡める事で、俺に疑いを向けさせようとしてるんだってね。……でも、それにしては、かなり杜撰なんだ。もしかすると、犯人――“死神の子”は俺がスケープゴートになるところまでは想定していなかったんじゃないか?」

 

金田一「……だから、最初の事件では俺の指紋付のナイフを用意したけど、第二・第三の事件では俺にアリバイのある状況で事件を起こし、俺に関わる痕跡を一切残していなかった。もっと言うと、俺が米花町に来ていたのも、まったくの偶然だ。あれじゃあ、家にいて、母さんや美雪がアリバイを証言してくれる状況だった可能性だって高い。俺を追い込む状況は、まったく完成できてないんだ。実際、すぐに俺の容疑は晴れた」

 

コナン「その死神の子って奴は、一体何をするつもりなんだ……」

 

金田一「……あとは全くの情報不足だよ。明智警視たちからの続報があれば、何かわかるかもしれないけど、今の俺たちじゃ現場の捜査もさせてもらえない」

 

コナン「そうだな……。あとは、これ以上犠牲者が増えない事を祈るくらいしかできねえか」

金田一「ああ。……なあ、それよりコナン」

 

コナン「なんだよ」

 

金田一「――どうでもいいけど、お前のその姿、考えてみると、便利なところもあるよな!」

 

コナン「え」

 

金田一「電車や映画は子供料金だし、宿題もテストも楽だし、夏休みも結構長いし……何より、怪しまれずに女湯入り放題! 添い寝し放題!」

 

コナン「そ、そんな事ねーよ……! バ、バーロー……」

 

金田一「あーっ! まさかお前、既に蘭さんと……」

 

コナン「バ、バーロー!」

 

 

 

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