名探偵の事件簿(ケース・ファイル) -コナンVS金田一少年-   作:ワニ夫くん

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12:『それぞれの手がかり』

 

 

 

○翌日、昼間。米花ホテル

 

 松山美紀、時任新奈、深海十四郎、笠原和美、毛利蘭、七瀬美雪、佐木竜二らが集められている。佐木はずっとビデオを回している。

 明智警視、毛利小五郎、目暮警部、剣持警部らが事情聴取をしている。

 

明智「――皆さん、お忙しい中、お集まりいただき感謝します」

 

松山「あの、イケメン刑事さん。何故あたしたちがこんなところに?」

 

時任「ここにいるって半年前の事件のメンバーだよね。一体、何かあったのかな?」

 

明智「実は、現在、具体的な内容の報道は控えていますが、米花町と不動山市の間で連続殺人と思しき事件が発生しています。この事件が半年前の雪割荘事件と何らかの関わりがあるという本署の見解により、事情聴取の為に皆さんをお呼びしました」

 

和美「このあたりで起きているっていう、例の事件ですか? あれって連続殺人なんですね……」

 

明智「ええ。被害者のもとに送られていた手紙などに、半年前との繋がりを想起させる手がかりが残っていましてね」

 

深海十四郎「ほう。なるほど……。ところで、あなた、もしかしてあに有名な警視庁の明智警視ですか? だとしたら、お会いできて光栄です」

 

明智「あなたは深海さん。確か、元神奈川県警の刑事でしたね」

 

深海「ええ、尤も、今はしがない占い師です。推理はともかく、占いは20%しか当たらないんですよ」

 

 深海はばつが悪そうに笑う。

 

剣持「20%……よくそれで占い師が務まりますな……」

 

松山「簡単よ、刑事さん。深海さんが占った内容とまったく反対の事が起きる可能性は、80%。だから、逆の内容が当たるのよ。それで『当たらないけど結果がわかる占い師』として私たち女子大生や若い子の間では人気なの」

 

蘭「私も聞いた事あるわ。新宿の父みたいに言われてるのよね」

 

剣持「あ、ああ、なんだ、そういう事か」

 

深海「まあ、それも私としては、不本意なんですがね……。そうだ、松山さん。そういえば、あなたは確か、あの事件の以前にも二度、私のもとにお客様としてお越しいただきましたね。去年の12月28日と、今年の2月7日の事です」

 

松山「えっ? 覚えているの? しかも日付まで完全に……」

 

深海「ええ、今日までのお客様は全員、占った内容と日付と名前、すべて記憶しています。そういうのを覚えるのは得意で」

 

美雪「へー、すごいわね」

 

時任「あ! それじゃあ、松山ちゃんはクリスマスとバレンタインの一週間前に占いをしてたんだ! 恋占い? ねえねえ、どうなの!? 今年はワトソン見つかりそう?」

 

松山「もう、時任さん!」

 

目暮「あの、深海さん……」

 

深海「……ああ、話題を逸らしてしまってすみません。無駄話はここまでにして、事件の話に移りましょうか。ねえ、明智警視」

 

明智「ええ、失礼しました。皆さんには、事件当日のアリバイのほか、いくつか聞きたい事があります。そうですね、まずは……こちらの手紙に覚えがないか聞いておきましょう」

 

 明智は、被害者たちに届けられていた手紙を取り出す。

 

深海「そういえば、その手紙なら……私にも届きましたね。半年前のものと同じ人物から届いたようですが……半年前の犯人は逮捕されているので、いささか不審には思っていました」

 

松山「え? そうなの? てっきり、誰かの悪戯だと思って捨てちゃったけど」

 

笠原「これ、手紙に使われているフォントが半年前の手紙と同じなんですよ。私のところにも届きました。……でも、アキくんが出したわけじゃないみたいだし」

 

時任「へぇ、気づかなかったなぁ! あ、刑事さん。あたし丁度持ってますよ! 私宛の手紙、これですよね?」

 

 時任がポーチから手紙を取り出す。

 

明智「……」

 

小五郎「……」

 

 明智と小五郎はそんな彼らの様子を見て思案する。

 

目暮「……時任さん、そちらの手紙を拝見してもよろしいですか?」

 

笠原「ええ、勿論!」

 

 目暮が手紙を受け取る。

 来ていた手紙は、同じ内容。

 

目暮「……招待状。時任新奈様へ。半年ぶりでございます。この度、若き探偵を集めた極上のミステリーゲームを主催致しました。あなたにもぜひミステリーゲームに参加して頂きます。最初のステージは本陣広場。“死神の子”より」

 

明智「金田一くんたちのもとにも、同様の手紙が来ていたそうです。彼と、そこにいる七瀬美雪さん、毛利蘭さんは別口で事情聴取済、工藤新一君は現在行方不明で、足取りがつかめず。……しかし、どうやら半年前の雪割荘事件との関係があるのはこれで間違いないですね」

 

松山「それで、警察はあたしたちの中に犯人がいるって考えてるのかしら?」

 

剣持「あ、そうは言っていません! あくまで……」

 

明智「……いいえ、正直に申し上げて私はあなたたちの中に一連の事件の犯人がいると考えています」

 

目暮「ちょ、ちょっと明智警視!」

 

明智「金田一くんや七瀬さん、それに毛利さんなど、半年前の事件に招かれた事が公になっていない人物がこの中にいる以上、関係者全員にこんな犯罪予告を出す事ができる人物は当時そこにいた人物に限られています。こんな事をする理由はわかりませんし、それが誰かも断定もできていませんが、間違いなく――犯人は、この中にいる!」

 

 

 

 

○マガデーゲームス本社ビル

 

 マガデーゲームスの社員と、金田一やコナンが話している。

 少年探偵団たちはゲームミュージアムなどを見学中だ。

 

金田一「――え!? このフォントを作ったのは、亡くなった戸塚さんだって!?」

 

コナン「それはほんと!?」

 

社員「ああ、すべて、先日亡くなった戸塚さんの作品だよ。なんでも、前職の現場で広告の為に作ったフォントらしいんだけど、タイトルの演出に使えるって開発部のみんなが気に入ったみたいでね。使わせてもらう事にしたんだ」

 

金田一「つまり、これはネットから拾ったものじゃなかったってわけか……」

 

コナン「……出所がわかったのは大きな進歩だな。黒須探偵事務所……そこに俺たちの探っている謎の手がかりがあるみてえだ」

 

哀「――そうね。少なくとも、この手紙の差出人は探偵事務所の関係者か、それを盗めた人物で間違いないみたいよ」

 

金田一「盗めた人物……って言ったら、結局誰でもその気になればできちまうかもしれないけどな」

 

社員「おいおい、なんだか君たちも物騒な話をしているねぇ。気に入られたと言っても、英数字や漢数字がちょっと変わったカタチなくらいで、あとはほとんど明朝体と変わらないんだ。盗むほどのものじゃないよ」

 

金田一「ええ……。そういえば、戸塚さんって、どんな方だったんですか?」

 

社員「ん? うーん……ああいう事があったからあんまり悪く言いたくはないけど、ちょっととっつきづらい感じの人だったね。ちょっと怖い人っていう印象があったし、社長とも元々知り合いだったみたいだし、検察官とかとも知り合いでさ、なんかよく社長に呼ばわれてそういう人たちと会ってたんだよね。だから、トラブルを避けて誰も関わろうとしなかったよ」

 

金田一「そうっすか……ありがとうございます」

 

 そんなとき、マガデーゲームスの社長・佐山天成の怒号が聞こえる。

 少年探偵団たちとトラブルになっているらしい。

 

佐山天成「おい、なんで子供がこんなところにいるんだ!」

 

元太「そんな事言ったってよ、博士に頼んで貰って来たんだぜ!」

 

光彦「僕たちは正式な手続きを踏んでここにいます! 毎週土曜日は、申し込みをすれば本社を解放して見学ができるようになってるはずじゃありませんか!」

 

歩美「そうよ! 社会科見学で来たんだから!」

 

秘書「申し訳ありません、つい昨日に見学の申し込みがあったので……」

 

佐山「社会科見学だと? まだ続けていたのか、誰も来ないっていうのに! それに、保護者はどこだ、保護者は! 保護者の付き添いがないと見学は出来ない筈じゃないか! 前日の申し込みも遅すぎるだろう!? すぐに追い返せよ!」

 

秘書「いえ、それが、開発協力者の阿笠さんのご要望なんです……。大人一名、高校生一名、小学生五名で申し込まれていたのですが」

 

佐山「ん、阿笠……? ああ、あの阿笠博士か! そういう事なら、まあいいや……! それより、阿笠博士はどこだ、今度のエピソードでドームスを使って、実写の爆発シーンを撮りたいんだ。リアルな映像の爆発をさ……! 阿笠博士にもぜひ協力してほしいと思ってたところなんだよ!」

 

歩美「博士なら、いまトイレに行ってるよ」

 

佐山「そうか、あー、サンキュー、お嬢ちゃん!」

 

 そこにコナンや金田一や哀が歩いてくる。

 

コナン「ねー、おじさん。どうしたの?」

 

佐山「おお、君たちも見学者か? バーチャバトラーはやってくれてるか!?」

 

金田一「えっと……失礼ですけどあなたは?」

 

佐山「知らないのか!? 社長の佐山天成だよ。名刺名刺っと。ほら」

 

 金田一が名刺を受け取る。

 

金田一「社長って……え、あのゲーム作った社長ってこんなに若かったんすか! えへへ……バーチャバトラー、ついこの前三万課金しちゃって今月ピンチなんすよね……」

 

元太「え、金田一の兄ちゃん、そんなにバーチャバトラーに使ってるのかよ! そんだけありゃうな重何杯食えんだ!?」

 

光彦「もう、元太くんはそればっかり」

 

歩美「でも、金田一さんももっとお金大事に使わないとダメだよ?」

 

金田一「……反省してます」

 

佐山「ハッハッハッ、さっそくたくさん遊ばれてるみたいで嬉しいな。だが、バーチャバトラーは、もっと進化するんだ! 他のゲームはもう古いっていうくらいにな! ぜひその時までに破産しないように気を付けてくれ! もっと迫力のあるバーチャバトラーが作ってやる!」

 

金田一「……あ、あはは」

 

 その時、阿笠博士が帰ってくる。

 

阿笠「ふぃ~……お、佐山社長! ご無沙汰ですな」

 

佐山「これはこれは、阿笠博士! お久しぶりです! この度は、彼らのような可愛い子供たちを連れて見学に来ていただいて喜ばしい限り……」

 

元太「あのおっさん調子いいぜ……」

 

金田一「同感」

 

哀「でも、こちらがユーザーだと気付けば、最初からもう少し丁寧な態度で接するのが自然よ。社長というには、ちょっと周りの見えないタイプね」

 

 呆れる子供たちを気にせず、佐山が阿笠に交渉を続けている。

 

佐山「……ところで阿笠博士、良ければ時間を頂きたいのですが」

 

阿笠「うーん、構わんが、子供たちは……」

 

佐山「なに、彼らにはしばらくゲームでもしながらお茶でもしてもらえれば――おい、お茶でも出してやれ!」

 

 

 

 

○拘置所

 

 高木と佐藤は拘置所に来ていた。

 係官がドアの向こうから鬼沢を呼んできた。

 鬼沢は、金田一が面会に来た時よりも少しやせている。

 

佐藤「――初めまして、鬼沢誠人さん」

 

高木「初めまして。我々は警視庁の高木と、こちらが佐藤刑事です」

 

鬼沢「初めまして。――あの……刑事さん。今回は、俺に一体何の用ですか? まだあの事件の事で何か訊きたい事でも?」

 

高木「鬼沢誠人さん。……あなたは、その、半年前の雪割荘殺人事件の犯人で間違いありませんよね?」

 

鬼沢「え、ええ……間違いありません」

 

高木「実はいま、あなたが殺害した黒須さんと王さんの関係者が、また次々に殺害される事件が都内で発生しています」

 

鬼沢「えっ!? そんな、一体どうして……!」

 

佐藤「理由はまだわかっていません。だから、あなたに心当たりがないか聞きに来たんです」

 

高木「あなたなら、何か知ってればきっと答えてくれる。我々はそう考えています」

 

 鬼沢は少し考える。だが、何も浮かばなかったように返答する。

 

鬼沢「……いえ。……残念ですが、心当たりは全くありません。しかし、こんな事を言ってしまうのも何ですが、黒須や王は、私の父以外にも多くの事件に冤罪疑惑が囁かれています。黒須絡みなら新聞で読みました。他の事件でも無罪が確定したんですよね!?」

 

佐藤「ええ。それは確かです。ただ、今回はやはり半年前の雪割荘事件との関連している可能性が最も高いんです。これを見てください」

 

 佐藤、何か紙を見せる。

 

鬼沢「これは?」

 

佐藤「今回の事件の被害者たちの自宅から発見された手紙です。『告発されたくなければ現場に来い』といった内容が書かれています。他にも、半年前に事件に呼ばれた探偵たちには、同じ人物が送ったと思われる別の内容の手紙が配られています」

 

鬼沢「まさか。……!?」

 

佐藤「心当たりがあるんですね?」

 

鬼沢「……ええ、これは、半年前に私が使った招待状とほとんど同じです」

 

高木「どうしてそうわかるんですか」

 

鬼沢「この字のフォント、英字と数字と漢数字だけ、ちょっと普通のフォントと違うんです! そうだ、この『五郎』の『五』という字……間違いない。しかし、何故これが!?」

 

 高木が少々声を荒げる。

 

高木「鬼沢さん! このフォント、どこで手に入れたんですか!!」

 

鬼沢「これは、彼らの……黒須探偵事務所から盗み出した事務データに入っていたフォントですよ! 彼らの持っていたデータ抜き出した時、事務所のファイルから一緒に手に入れたんです!」

 

高木「えっ!?」

 

鬼沢「あの事件の前に、俺は黒須たちの不正の証拠データを掴む為にハッキングを仕掛けました。その時に、俺はあのフォントで手紙を出して黒須たちを呼び出す事を考えたんです。自分たちの使っている独自のフォントで招待状が来れば、自然とデータが盗まれている可能性を考えて、ツアーに来ざるを得なくなる。……でも、それなら俺以外にも黒須たちのデータを盗んだ人間がいたという事になります」

 

高木「つまり、彼を騙る為にあのフォントを使ったという事でしょうか……」

 

鬼沢「ええ、おそらく」

 

佐藤「……出どころがわかったみたいね! とりあえず、急いで明智警視に連絡しましょう!」

 

 佐藤がそこから去る。

 高木も後を追おうとするが、それを鬼沢が呼び止める。

 

鬼沢「あ、高木刑事。もう少しいいですか? 他にも色々と、教えたい事があるので……」

 

高木「え? 教えたい事……?」

 

 

 

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