名探偵の事件簿(ケース・ファイル) -コナンVS金田一少年- 作:ワニ夫くん
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○ドームス内
消火器で、ドームスの対面部だけ炎の勢いを消している。
そこにサスペンダーの端を持った金田一が駆け寄り、スケボーの一つを壁に設置させる。
逆サイドにいる時任も同じようにサスペンダーの端を持ってスケボーを壁に設置させ、その板の上にサスペンダーの端を軽く接着させている。
コナンが『凍る・ド・スプレー』をサスペンダーにかけながら歩き、サスペンダーを端から端まで凍らせていく。
コナン(――二つのターボエンジン付きスケボーの車輪を、それぞれ対面上の壁に設置させ、その板上に、サスペンダーの端を接着する。そのあとでサスペンダーを伸ばしたまま、この『凍る・ド・スプレー』で凍らせて、二つのスケボーを繋げる巨大なつっかえ棒にする!)
金田一(そして、あとは、このスケボーに、壁を走らせる! ロケットみたいなエネルギーを持つターボエンジン付きスケボーが二つあれば、間のつっかえ棒に大人二人に子供一人乗せて壁を昇る事も出来なくはない……)
時任(ただし、あたしたちの足場は不安定な棒一本だ。ちょっとでもバランスを崩したり、タイミングを外したり、先にサスペンダーが溶けたりしたら即アウト……! ドームスは名前の通りドーム状だから、壁を走っていたターボエンジン付きスケボーも、あるタイミングで重力に負けて落下する! だから、その前の一瞬でガラスの天井までジャンプして、脱出しなきゃならない……ただでさえ綱渡りな賭けだけど、いまからドームの上に上る方法はこれしかない!)
コナンがつぶやく。
コナン「蘭姉ちゃん……待っててね。すぐにそっちに行くから!」
金田一「……美雪」
キリッと、した瞳で金田一が叫ぶ。
コナン「――いくぞ! さん!」
時任「に!」
コナン「いち!」
ターボエンジン付きスケボーのスイッチを金田一と時任がオンにして、ターボエンジン付きスケボーがかなりのスピードで発射する。
金田一と時任は、急いで中央部まで走り、真ん中のつっかえ棒に掴まると、なんとかその棒の上にまで上る。
スケボーは急速に壁を走っていき、三人を天井に近づけていく。
コナン「ふう、とりあえず、上るところまでは成功だ! あとは、この細長い足場でバランスを保って、最後にうまくジャンプして、天井まで跳ぶだけだ!」
金田一「……やれるか? コナン」
コナン「金田一さんこそ、怖がってない?」
コナンの余裕ぶった笑みに、金田一も笑みを返す。
金田一「そりゃ……びびってるよ!」
スケボーの勢いは想像以上に早く、三人を押し上げる。
コナン「……今だッ!」
金田一「よし!」
コナンと金田一が天井に向けてジャンプし、コナンはガラスの上に飛び込む。空中で体をひねったコナンは、見事に天井部分へと転がる。
金田一もそこに飛ぼうとしていた。
時任「……あっ!」
しかし、時任だけ一歩遅れていた。ジャンプの勢いが足りず、ガラスの窓まで飛距離が届かずに、自由落下していく。
金田一「時任さん!」
直後、スケボーが落下し、地面に激突して破壊される。
金田一が左手を伸ばしている。
時任「……!」
回想・金田一『死んだら終わりだぜ! あんたも佐山も!』
回想・コナン『……それならさ、また生きて償えば良いじゃない』
時任「……」
時任「あたしは……」
時任「生きたい……!」
だが、その手は届かない。
金田一「あ……!」
コナン「くそ……!」
時任「……!」
……しかし、金田一の左手には、時任が伸ばしたパンチングキャッチャー(マジックハンド)が掴まれていた。
最後の瞬間、時任は思わずパンチングキャッチャーを握りしめ、そのこぶしを金田一の手のひらに向けて放っていたのだ。
金田一「新奈さん!」
時任「おじいちゃんの発明は……こんな物じゃないよ……! 金田一くん!」
金田一「良かった……ははは!」
コナン「……ふぅ。そうだ」
金田一は左手でパンチングキャッチャーを掴み、右手でガラスの天井を掴んでいた。
彼の腕からは血が出ている。
レスキュー隊は、既に天井まで降りていた。ヘリコプターの音が鳴り続いている。
コナン「……急いで! 早く、金田一さんが落ちちゃう!」
金田一「うおっ……痛てててててて!!」
時任「は、離さないでね、金田一くん!」
レスキュー隊「よし、もう大丈夫だ、今引き上げてやる!」
金田一と時任の身体がレスキュー隊に引き上げられる。
ガラス片で切ってしまって血まみれの右手。
金田一「いててててて……」
コナン「大丈夫か? 金田一」
金田一「ああ、なんとかな。まあ、これくらいの怪我で済んだのも、奇跡みたいなもんだし……」
コナン「そりゃ良かったけど……」
金田一「……あ! でもこれでしばらくペンも持てねえし、ノート取れねーな……授業とかどうしよ」
コナン「おいおい。元々、授業なんて寝るか、早弁してるか、屋上でサボってるかだけだろ?」
金田一「なっ!? お前ー!!」
コナン「ほんとの事だろ!?」
金田一「どうやって推理したー!?」
コナン「んなもん推理でもなんでもねーよ……」
時任「ははは……」
金田一とコナンは、ふと時任の方を見る。
時任「……二人には……迷惑かけたね。……でも、助けてくれて、ありがとう。二人の名探偵さん」
◆
○米花総合病院
米花総合病院で、時任が警察に連行されていく。
時任「金田一くん、コナンくん……」
金田一「……よかったよ、本当に。あんたを助ける事が出来て。……それから新奈さん。もう一つだけいいかな」
時任「え?」
金田一「いま、明智警視から連絡があってさ! 鬼沢さん、あんたに一刻も早く償ってほしいってさ! 鬼沢さんも新奈さんにほんの少し、淡い好意を寄せてた事もあったけど、そんな時にあの事件が起きた。……だから、それできみの前から姿を消した。でも……それでも鬼沢さんが半年前の事件にきみを呼んだのは……鬼沢さんがホームズにあこがれてたからだ! 自分が信頼する名探偵に、自分の犯行を必ず暴いてほしかったからなんだよ……」
時任「……」
コナン「……また会おうね、時任さん。今度は同じ探偵としてさ」
コナンが見送ると、時任は薄く笑った。時任が連れられて行く。
時任「ああ、またね。二人の探偵さん!」
金田一の目に、ちょっと涙が浮かんでいる。
金田一「……」
コナンはそれを見てあきれている。
コナン「おいおい、犯人を救ったヒーローが泣いてんのか? 金田一」
金田一「うるせー、別に泣いてねえよ」
そこに、いつからいたのか、後ろにいた美雪が声をかけて、コナンの方に歩いてくる。
美雪「――違うわよ、コナンくん」
コナン「え?」
美雪「……はじめちゃんはね、誰かの為に涙を流せるから、ヒーローなのよ!」
金田一「美雪……」
コナン「……うん」
コナン(わかってるよ、美雪さん……)
コナンが笑う。
その時、うつむいて立っていた蘭が、涙いっぱいでコナンに抱き着く。
蘭「コナンくん!」
コナン「蘭姉ちゃん、ごめ……」
蘭「もう……ほんとに……心配したんだからね……!!」
コナン(……ああ。……俺は前にも見た事があるんだよ……! 犯人に同情して涙を流す、そんな優しい探偵をな!)
いまの蘭に、かつての事件の出来事を重ねて、コナンがほほ笑む。
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