名探偵の事件簿(ケース・ファイル) -コナンVS金田一少年-   作:ワニ夫くん

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5:『追跡』

 

 

 

○不動高校・校門

 

 覆面パトカーが止まっている。

 

佐藤「――金田一一、来ました!」

 

 合図とともに、高木や千葉、数名の捜査員がパトカーを降りて、金田一、美雪、佐木、コナン、蘭のもとへと歩いてくる。

 

コナン「あれ……高木刑事?」

 

高木「あれ? コナンくんたち。どうしてここに!?」

 

蘭「高木刑事こそ……」

 

高木「あ、いや……ちょっと色々あってね。外には話せないんだ。用があるのは、金田一くんなんだけど……」

 

金田一「え? 金田一は俺っすけど」

 

高木「ああ、初めまして。警視庁の高木だ。ちょっと、都内で起きた事件についてきみに、聞かなきゃならない事がある。ついてきてくれるかな」

 

金田一「別に構いませんけど、この辺で起きた事件なんて俺全然知りませんよ? あっ、警察の捜査協力とかならパスですよ! 俺この後、家でゲームする用事もあるし……」

 

 そんな折、パトカーから剣持警部と明智警視が降りてくる。

 

剣持「……とにかく、いいから来てくれよ、金田一」

 

金田一「あれ、オッサン!? それに明智さん!? どうしたんだよ、こんなにたくさん若い刑事連れて」

 

剣持「ったく……こんな状況になるまでなんにも知らねえとは」

 

明智「――金田一くん。君には、米花自然公園で発生した事件の殺人容疑がかけられているんですよ」

 

一同「殺人容疑!?」

 

明智「ええ、凶器のナイフに君の指紋がついていて、おまけに米花駅の監視カメラにも君の映像が残されています」

 

高木「あ、明智警視! いくらなんでも、彼は未成年ですから、あんまり一般人の前で情報が漏れるような事は……」

 

明智「大丈夫、彼らなら既に何度も似たような目に遭っていますし、情報リテラシーの面でも心配がありませんからね。むしろ私は、未成年犯の情報流出については、警察組織やマスコミの方が信頼できないと思っていますから。――それにしても、初めて目にかかる毛利蘭さんに……江戸川コナン少年。どうやら、よくこうした事件に巻き込まれると噂のメンバーが揃っているようじゃないですか。まるで死神に好かれたような一場面だ」

 

金田一「お、おいおい、冗談キツいぜ! 明智さん! 確かに最近米花町には行ったけど、ナイフの指紋なんて全く知らないぜ!」

 

美雪「そうですよ、はじめちゃんが殺人なんてするはずありません! 何かの間違いです!」

剣持「ああ。俺もそうは思ってるんだがな……。だからこそ、ひとまずお前の話を聞いて、無実を証明しておきたいんだ。お前は殺人なんてする奴じゃない。ただ、少しばかり運が悪くて疑われやすいだけだってな」

 

明智「……尤も、私や剣持くんが、取り調べを担当したり、あなたに手心を加えたりする事も出来ませんけどね」

 

佐木「うーん。どうやら、予想通り、ピンチの臭いがしますね……」

 

コナン(金田一が殺人容疑……? 妙だ、何か知っている様子にはとても見えない。演技なのか? ん?)

 

 そんな事を考えている横で、半年前の容疑者・笠原和美が不動高校の前を通りすがっている。

 和美、慌てて引き返す。誰も和美には気づいていない。

 

コナン(いまそこで見てた人、どっかで……)

 

高木「あー、きみ、カメラは控えて……」

 

佐木「お構いなく。私用でしか使いませんから」

 

高木「いや、そういう問題じゃなくて……」

 

コナン(……それにしても、一体だれが殺されたんだ? 何故金田一は米花町に?)

 

コナン「ねぇ、ねぇ。金田一さん、高木刑事は良い人だから、一度取り調べを受けてみたら?」

 

 そう言いつつ、コナンが金田一の袖に触って盗聴器付の発信機を取り付ける。

 

金田一「そうは言われたってさ! こういうパターンはろくな事になんねえの! これまでも、捕まっちまったら自由に動けなかったじゃんよ!」

 

コナン「え?」

 

金田一「とにかく、俺はやってない! 悪い、オッサン、明智さん……! これ任意だろ? あと頼むわ!」

 

 金田一が回れ右して校舎に向けて走り出す。

 

コナン「あ、金田一……!」

 

剣持「あのバカ……まったく」

 

高木「え、これってどういう……」

 

コナン(あいつ……逃げやがった!)

 

明智「何してるんですか、高木くん、千葉くん。さっさと彼を追ってみてください」

 

高木・千葉「あ、は、はい……」

 

 校舎に入った金田一を追う高木、千葉。

 

明智「我々も追いたいところですが、ここはともかく、彼らに任せましょう」

 

剣持「いいんですか……」

 

明智「もとより、彼の確保は我々の急務ではありません。私も調べたい事がありますから、彼に構ってもいられませんしね」

 

剣持「はぁ」

 

 

 

 

 

 

○不動高校校舎内

 

 高木と千葉が走り回っている。

 

高木「金田一くーん、話だけでも聞かせてくれないか!」

 

千葉「もう見えなくなった。運動は苦手だって聞いてたんだが……逃げ足は思ったより速いな!」

 

高木「千葉刑事! とにかく向こうを! 僕はこっちを!」

 

 天井裏で高木と千葉の様子を見る金田一。

 

金田一「ふぅ、この高校内のサボリ場所は網羅してるっての。さて、応援が来る前に脱出しちまおう……」

 

 

 

 

 

 

○佐藤警部補のパトカー

 

 コナンと蘭が乗せられている。

 コナンたちを家まで送るらしい。コナンが話しかける。

 

コナン「……ねえ、佐藤刑事。金田一さんって、以前にも警察に捕まった事があるの?」

 

佐藤「え?」

 

コナン「金田一さん、前にも捕まった事があるって言ってたみたいだけど」

 

蘭「そうね、私も気になってた」

 

佐藤「……私も二件ほど、彼をめぐる冤罪事件を把握しているわ。一件目は、軽井沢で発生した暗号解読ゲーム連続殺人事件、二件目は、香港で起きた巌窟王殺人事件……いずれの事件も、非公式だけど金田一くん本人が解決している。警察の信用にかかわる事件だから、あんまり公にはしたくないみたいなんだけど、どうしても耳に入っちゃうのよね」

 

コナン「二度に渡る冤罪事件か……本当の犯人は捕まったの?」

 

佐藤「軽井沢の犯人は自殺、香港の犯人は現在も日本に移送されて服役・更正中よ」

 

コナン「犯人は自殺、か……」

 

佐藤「でも、あくまでこの二件における金田一くんの無実は確定。立派に証明もされてるわ。どちらも間が悪くて起きてしまったみたいで、ある犯罪者によって、わざと彼に疑いが向くように仕組まれた事件もあったらしいし……」

 

コナン「ある犯罪者?」

 

佐藤「おっといけない。つい話しすぎちゃったかしら。……でも、とにかく金田一くんはこれまで多くの殺人事件を解決して、警察に協力してくれている。剣持警部には、とても正義感の強い少年だと聞いているわ。……個人的な考えだけど、私も、あれだけ信頼されている彼が殺人犯だとは思わない」

 

コナン「……」

 

 

 

 

 

 

○覆面パトカー(剣持の運転)

 

 剣持、明智、美雪、佐木が乗っている。

 

剣持「……ったく、いくら俺や明智が直接取り調べる事ができないとはいえ、無実なら逃げださなくてもいいってのに」

 

明智「いくら我々でも、無実を証明できるとは言えませんからね。……いえ、おそらく、あの状況では無実だと主張する事のほうが難しいでしょう」

 

美雪「明智警視、あの状況って? そんなにはじめちゃんが怪しいんですか?」

 

明智「……なんとも言えません」

 

剣持「じゃ、じゃあ、あんたはあいつがやったというんですか!? あいつが人を殺したと本気で思ってるんですか!? 明智警視!」

 

明智「落ち着いてください。そういうわけではありません。彼が犯人ではない事は、この私が一番よくわかっています」

 

剣持「? 明智警視……すみません。あんたがそんな事を言うなんて」

 

明智「……勘違いされては困りますが、これは、論理的な理由に基づいたものです。尤も、論理的である事と、それを警察として主張できる事は少々異なる。我々の立場から彼の無実を暴くのは、今の段階では厳しいでしょうね」

 

剣持「はい? そりゃどういう事ですか?」

 

明智「……凶器に使われていたナイフですよ、剣持くん。気づきませんでしたか?」

 

美雪「ナイフ? ナイフに何かあったんですか?」

 

明智「……いえ。まあいいでしょう。しかし、金田一くんや工藤くんに頼るなと言ったそばから、こんな事を言うのは何ですが……どうやら、この事件には、助っ人が必要になりそうですね」

 

 

 

 

 

 

○場面は夜になる。阿笠邸の庭

 

 民家の木の上でパトカーが通り過ぎるのを確認する金田一。

 

金田一「ふぅ、すっかり米花町の方もパトカーだらけか。無理もないや。……とにかく、この事件、俺の手で解決しないと。えっと、こっから自然公園は……」

 

灰原哀「……何を自分の手で解決するって?」

 

金田一「え、あ、う……! うわあ!」

 

 金田一が木から落ちる。

 

金田一「いててて……」

 

哀「随分と間抜けな泥棒さんだと思ったら、何? あなた。この家には、金目の物はないわよ。あるのはガラクタだけ」

 

金田一「えっと、俺は……とにかく、怪しい物じゃないんだ! ただ、ちょっと警察に追われててさ……!」

 

哀「その言い訳は怪しすぎるわよ。……嘘を暴くのは得意でも、嘘をつくのは下手みたいね。金田一耕助三世さん」

 

金田一「……え? なんで俺の事を……? 君は?」

 

哀「あなたの事は把握しているわ。なんでも金田一耕助の孫だとか」

 

金田一「そ、そう。……えっと、どうでもいいけど、ここは君の家なのかな? ごめんよ、すぐに出るからさ!」

 

哀「待って!」

 

金田一「え?」

 

哀「……この家に匿ってあげてもいいわよ。博士も、すっかりその気だから」

 

金田一「博士?」

 

 

 

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