名探偵の事件簿(ケース・ファイル) -コナンVS金田一少年- 作:ワニ夫くん
◆
○翌日、米花自然公園・本陣広場
巨大なビルに見下される公園。
KEEP OUTの外の野次馬の中に、コナンの姿がある。
内側では捜査こそされていないが、厳重な監視体制。
コナン(ここが殺人事件の現場か……封鎖されてて入れねえや。せめて高木刑事でもいてくれれば助かるんだが)
ふと、コナンが看板を見る。そこに『本陣広場』と書かれている。
コナン(ん? この広場の名前……『本陣広場』!? そうか、手紙に書いてあった本陣広場は、この公園の広場の名前だったのか! それじゃあ、あの手紙はまさか……犯行予告!)
そんなコナンが後ろから声をかけられる。
そこには阿笠と、もう一人謎の女性が立っている。
阿笠「やあ、コナンくん! 奇遇じゃの」
コナン「あ! 博士!」
阿笠「ところで学校はどうしたんじゃ学校は」
コナン「近くで事件があったから、早めに終わったんだよ。……で、博士。隣にいるその女の人は誰?」
阿笠「知りたいか?」
コナン「まさか……」
金田一「……」
金田一、メイクまでして女装をしている。口にはマスクをして、首にはスカーフ。伊達メガネをかけて、髪はロングのカツラ。
阿笠「ふっふっふ。変装じゃよ。どうしても現場に来たいって言うからのう。髪が長いと目立つんで、女の子になってもらったんじゃ!」
コナン「服はどこで用意したんだよ……」
金田一(声は速水玲香)「ふふふ、私、四五(ヨーコ)! よろしく、コナンくん!」
コナン(なははーん……とにかく本人はまんざらでもなさそうってか……)
コナン「へへへ、よろしく……ヨーコさん」
コナン(……まあ、彼の場合、身長は170cm届くか届かないかってとこだ。それに、丸顔で、女装は似合いやすい。あとは、歌舞伎の女形のように肩甲骨を閉じて、胸を張るようにして歩いてもらえば、ほとんど見た目は女性に近づく。変声器付のマスクで輪郭を隠せばほとんど金田一だとわからないし、こうして声を女にしちまえば、万が一話しかけられても女性だと思って納得されるだろう。……にしても、他に方法はなかったのか? 眉毛も剃ってねえし……)
阿笠「ところで、哀くんたちは一緒ではないのか?」
コナン「……こっちは集団下校だからな。俺だけこっそり分かれさせてもらったんだよ。にしても、現場は米花自然公園の『本陣広場』か……あの手紙で指定されていた場所だな」
阿笠「ああ、どうやら、“死神の子供”を名乗る犯人は、ここでの殺人の事を予告していたらしい」
金田一「……」
コナン「犯人はこの事件を『最初のステージ』と表現していた……という事は――」
と、そこまで言ってから哀が現れる。
哀「これからまた殺人事件が起きてもおかしくないって事ね」
コナン「げっ! 灰原、なんでお前が!」
哀「私だけじゃないわよ」
哀の後ろから小嶋元太、円谷光彦、吉田歩美が現れた。
元太・光彦・歩美「少年探偵団参上!」
コナン「げっ! おめーら」
元太「何度も言ってんだろ、抜け駆けは許さねえって!」
光彦「そうですよ。今回の事件は、何しろ犯人も見つかってませんし、今回の犯人は拳銃を持っています。一人では危険です! それに、コナンくんにもちょっと用が……」
歩美「ねえ、それより阿笠博士。このキレイな女の人、誰?」
阿笠「あ、ああ……えっと」
金田一「まあ、キレイだなんて!」
コナン(おいおい……)
阿笠「彼女は哀くんの親戚の金田一ヨーコさんじゃ!」
金田一「よろしくね! キャピ!」
元太「なんか変な姉ちゃんだな……まるで男みてえ」
金田一「むっ」
光彦「し、失礼ですよ元太くん! 確かに背はちょっと高いように見えますけど……」
金田一「そ、そうよ……何も変じゃないわ」
歩美「あれ? お姉さん、なんか誰かに声が似てるー」
金田一「よ、よくいる声だからね。速水玲香に似てるって言われるわ」
元太「速水玲香? 誰だっけそれ」
光彦「もう、沖野ヨーコと双璧を成すトップアイドルの玲香ちゃんですよ。知らないんですか、元太くん」
コナン「おい、それより光彦。おまえ、何か用があってここに来たんじゃねえのかよ」
光彦「ああ、そうだ。コナンくんが先に帰っちゃったのですれ違う形になっちゃいましたけど、なんだか高木刑事がコナンくんに用があるって学校に来てましたよ」
コナン「え? 高木刑事が?」
歩美「いないならいないで別にいいよって言ってたけど……高木刑事、なんだかコナンくんと会えなくてほっとしてたみたい」
コナン(金田一の件で事情聴取か? だが、それなら昨日、俺を家まで送った時でも……)
哀「……案外、捜査が難航してるから、あなたのヒントがほしいなんていう申し出だったりね」
コナン「おいおい、んなわけねえだろ……ん?」
コナンがふと、群衆の中に見覚えのある女性を見つける。左手の薬指には金色の指輪がはまっている。
コナン(あれ。なんだ……あの女の人。どこかで……あっ!)
コナンの脳裏に、笠原和美の姿が浮かぶ。
コナン(そうか! 半年前の事件の容疑者、笠原和美さんだっ! 昨日不動高校に来ていたのは、和美さんだったのか!)
コナン「あ、僕ちょっとトイレ!」
元太「あっ! あいつまた抜け駆けする気だな!」
コナン「ほんとにトイレだよっ!」
金田一「あいつ……!」
コナンが急いで和美を追いかける。
◆
○どこかの公園
初老の男が、銃と刃物を持った犯人から逃げ回っている。犯人は黒いライダースーツにフルフェイスのヘルメットで人相がわからない。
初老の男は、躓いて転ぶ。
男「――ぐああっ! あ、ああ……やめてくれ……何をっ!! まさか……お前か!? お前なのか!? カメ……うわあっ!!」
倒れた男の胸が突き刺される。
犯人は、黒いライダースーツに、フルフェイスのヘルメットで人相がわからない。
そのまま、犯人は持っている銃で倒れた男の足を撃つ。
通行人「きゃあっ!!」
通行人「警察に連絡しないと!!」
公園にいた人々に目撃されたのを悟り、犯人は慌ててそのまま逃げる。
パトカーのサイレン音が流れる。
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○米花自然公園
コナンは和美を追いかけていた。
コナン「くそっ! 見失っちまった!」
そこで警官の声が聞こえる。
警官A「えっ!? 何!? また事件……!?」
警官B「現場は……不動山市不動第一中央公園の石門塔!? わかった、捜査は任せてすぐに応援に行く!」
コナン(また事件か!? 不動山市……? くっ、どうなってんだ!)
パトカーの音が鳴る。
◆
○警視庁・廊下
明智と佐藤が早歩きで進んでいる。
明智「――今回の事件で使われたのも、S&W M66。線条痕も一致したところを見ると、どうやらこれは第二の事件のようですね。金田一くんの行方は不明ですが……彼の住む不動山市が事件の舞台となれば、警察側の心象にはバイアスがかかるでしょう」
佐藤「結局、警察もヒトです。こういうちょっとした繋がりで、金田一くんは心象が悪くなり、疑われやすくなるに違いありません」
明智「ええ。勿論、現段階では彼の疑いは晴れたわけではありませんが、一件目が別所で発生している以上、不動山市内で事件が発生した事実は、彼が犯人であるかどうかとは関係ないと言えます。しかし、おそらく……常にそうした間の悪さが引き起こすのでしょうね、冤罪というのは……」
ため息をつく明智。
佐藤「インターネット上では、様々な憶測が流れています。実銃を使っているので、警察の犯行だとか、ある指定暴力団によるものだとか、中には、ヒットマンを使った政府の陰謀というものまで……どこまで冗談なのかはわかりませんが、本気で信じているような人もいます」
明智「――今回の事件については、極力情報は公表しないようにしましょう。今はまだ、事件の連続性を断定するような発表、二件目も銃が使われていた事などは発表しないように。あとの上層部との会議は剣持警部や目暮警部に任せて、我々は現場へ急ぎましょう」
佐藤「はい!」
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○警視庁某所
剣持警部と目暮警部、高木刑事が上層部の意見を聞いている。
警察上層部A「今回の二件の殺人事件。やはり、容疑者である金田一一が犯人である可能性が極めて高い」
警察上層部B「過去に遭遇した事件の多さ、それに容疑をかけられた事件も多すぎるな。もしかすると、過去の事件についても、洗い直す必要があるかも……」
警察上層部C「普段の学校での素行もあまり良くはないようだし、髪もほら、長くて怪しい」
警察上層部D「早急に家宅捜索を行った方が……」
警察上層部E「剣持警部、きみは金田一容疑者と知り合いのようだが、なんだ、彼を疑っているわけじゃないが、過去に彼が事件の最中に何か不審な行動をしたケースがあれば、この場で報告をお願いしたい」
剣持が回答する。
剣持「ここは、私から、この警察手帳に誓いましょう! 今回を含め、奴が起こしたと考えられる事件は、私の私見においては皆無と断定します! もし犯人があいつだったなら、どうぞこいつはあんたたちが持っていってください!」
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○警視庁・廊下
剣持「ったく……話の通じない奴らめ! 偉いばかりの頭でっかちばっかりだ!」
目暮「まあ、仕方のない事だろう」
高木「それに、金田一くんもあくまで今は疑われてるだけですから……。しかし、やっぱり、今回は毛利さんや、それからコナンくんの力が必要になるかもな……」
目暮「コナンくんが? どうしてまた!?」
高木「あ、いや、あ、その……」
目暮「……おまえ、何か隠しとるんじゃないだろうな?」
高木「あはは……そんな事は……」
剣持「……ところで、高木。あの江戸川コナンとかいう少年は、本当にそんなにいくつもの事件のヒントを警察に提供してきたのか? いくらなんでも、小学一年生だぞ?」
高木「え? ええ。直接解決した事件はあんまりないんですけどね、いつも小学一年生とは思えないヒントをくれるんですよ」
剣持「そりゃあ俺にはどうも信じがたいね。うちにもそのくらいのガキがいるが、まだ漢字もろくに読めんよ」
高木「まあ、ほら。コナンくんは特殊ですから。僕も彼が何者なのか、ある時以来ずっと気になって仕方がなくて……」
目暮「ただの頭の良い小学一年生だろう。まあ、いる事はいるんだろうな」
剣持「……まあ、言われて見りゃそうか。あの金田一や明智のように俺たちの理解の及ばんような奴がいてもおかしくない……あいつらなら、昔から普通と違っていてもおかしくはないだろうな」
目暮「剣持警部……あんたも金田一という少年に対する信頼は相当高いようですな」
高木「僕なら、ああいう風に偉い人に啖呵切れませんよ……。本当、剣持警部のはデカ魂って感じですね」
剣持「そんなんじゃないさ。あいつとはいくつもの事件を一緒に解決してきたからな。あいつの性格や能力は、俺が誰より知ってる。……おそらく……今回の事件、仮に誰の協力も得られずに犯人を見つけ出せと言われたとしても」
にやりと笑う。
剣持「奴なら出来る!」
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