やはり俺が魔法科高校に通うのは間違っている。   作:ガタオガタ

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入学編(5)

あの後、オリエンテーションが行われた。今の時代、担任教師というものは存在しない。何故なら連絡事項などは全て端末にて行うからだ。それにも関わらず、オリエンテーションでは教師らしき人が入ってきた。まぁ実際はカウンセラーだったのが、名前は確か……小野遥?だった気がする。いかん、もう忘れた。まぁなんでもいいが、俺はそのカウンセラーを見て、ただのカウンセラーだとは思えなかった。それに、最後の司波に対する意味有り気な視線は何だったのだろう?まさかナンパ目的……?いやいや、それはないか。いくら司波の顔が整っているからといって、未成年に手は出さないだろう。まぁそんな幾つもの疑問を感じさせられたオリエンテーションは無事終了し、昼休みまでの時間もある為、俺は今日、明日と設けられている授業の見学へと行こうとしている。

 

「八幡も一緒に工房へ行ってみねぇか?」

 

そう俺に声を掛けてきたのは、先ほど俺の背中をバシバシと叩きやがった西条だ。

 

「いや、お前らだけで行けよ」

 

「なんだよ、八幡は闘技場にでも行くのか?」

 

「俺がそんな所に行くふうに見えるか?」

 

「まっ正直見えないな」

 

「そういうお前こそ闘技場に行かないのか?」

 

俺がそう言うと、西条は苦笑いを浮かべていた。なにか変な事言っただろうか?

 

「やっぱそう見えるか?さっき達也にも言われてよ。硬化魔法は武器との組み合わせで最大限効果を発揮するものだからな。武器の手入れくらい、自分で出来るようになっときたいんだよ」

 

「なるほどな、それなら西条が工房へ行きたがるのも納得だ」

 

西条の言った通り、硬化魔法は武器にかけることが多い。確かこいつは将来警察の機動隊とかに就きたいと言ってたな。こんな見た目だが、ちゃんと真面目に将来の事を考えられているらしい。人は見た目で判断してはダメだと言ういい例だな、こいつ。

 

「で?どうする?」

 

多分こいつはどれだけ断っても誘ってくるだろう。それなら抵抗せずについて行くのが得策だな。後ろからひっそりと行こう。うん、そうしよう。

 

「まぁ俺も行く場所は工房だったしな。大人しくついて行くさ」

 

「それなら最初から行くって言えよ」

 

西条はそう言うながら、また俺の背中を叩いてきた。しかも笑いながら。西条、馴れ馴れしいのはこの際仕方ないとしても、もう少し手加減してくれ!かなり痛い……そんな風に思いながらも口に出せない俺は視線で西条に訴えかけていだが、まったく気づく素振りを見せない。俺は諦めて、溜息を零した。

 

 

 

 

入学して2日たった。俺はこの2日とも何故か司波達と共に行動している。千葉や西城はすぐに言い合いを始めるから騒がしいが、認めたくないがこのメンバーは意外と心地が良い。流石に『あいつら』との部活ほどではないけどな。ただ、大人しい子だと思っていた柴田がこのような行動にでるとは……事の発端は今日の昼休み、午後も専門課程見学中だ。俺達二科生グループは昼休みに無事に席を確保した。そこに司波妹が来て、司波達と昼飯を食べようとしていた時に、一科生の奴らが明らかに俺達を見下した言い方で席を譲れといいやがった。俺はあの時の司波妹の顔を忘れない。笑顔なのにまったく目が笑ってないのだ。あれはまじで怖かった……心凍りそうだったよ。まぁその時は司波が席を早々に譲ったためそれ以上拗れる事は無かったんだが、専門課程見学中になんとこいつらは、一科生を押しのけて、最前列で見学しやがった。俺も引き連れて。あの時もつらかったなー。あの視線の数々、長年ぼっちだった俺には流石にくるものがあった。あんな風に悪目立ちしたのは久しぶりだ。そして現在、放課後。俺以外の奴らが会話に花を咲かせながら下校していたら校門で司波妹を待ち伏せしていた一科生の奴らに絡まれ、とうとう柴田が切れた。ここで真っ先に切れたのが柴田なのが本当に意外だ。これが千葉や西城なら凄く納得できるのに。過去を振り返っている俺にはお構い無しに(当たり前)一科生との口論はヒートアップしていく。俺は思考を中断して司波達の少し後ろから眺めていた。

 

「僕達は司波さんに相談することがあるんだ!」

 

「そうよ!司波さんには悪いけど、少し時間をかしてもらうだけなんだから!」

 

いや、悪いって思ってるなら司波妹の顔見ろよ。明らかに望んでないだろ、そんな展開。

 

「ハン!そういうのは自活中にやれよ。ちゃんと時間とってあるだろうが」

 

「相談だったら予め本人の同意を取ってからにしたら?深雪の意思。無視して相談も何ものったもんじゃないの。それがルールなの。高校生にもなって、そんな事も知らないの?」

 

そう言った千葉の顔は嫌に笑顔だった。こんな如何にもな挑発に乗るのだろうか?

 

「うるさい!他のクラス、ましてやウィードごときが僕達ブルームに口出しするな!」

 

……乗ったよ。どんだけ短気なんだよ。というか一応「ウィード」って言うの校則違反だぞ。

 

「同じ新入生じゃないですか。あなた達ブルームが、今の時点で一体どれだけ優れていると言うんですかっ!」

 

「……どれだけ優れているのか、知りたいなら教えてやるぞ」

 

「ハッ、おもしれぇ!是非とも教えてもらおうじゃねぇか」

 

今の状態、正に売り言葉に買い言葉だな……このまま傍観を決め込むつもりだっだが、さすがこれ以上は問題になる。その前に黙らせておくのがいいな。

 

「だったら教えてやる!これが才能の差だ!」

 

そう言った一科生の奴は小型拳銃型特化型CADを素早く抜き、西城に狙いを定めた。

 

「この間合いなら身体を動かした方が速いのよね」

 

「それは同感だが、テメェいま俺の手ごとぶっ叩くつもりだったろ!」

 

こんな時でも言い争う2人はやはり、仲が良い。

 

「くそっ!お前ら!やれ!」

 

千葉にCADを弾かれた男が他の一科生にそう言うと、みんなして西城と千葉に魔法の照準を合わせてきた。その中で一人だけで、攻撃魔法じゃなく閃光魔法を放とうとしている奴もいるが、あれは眩しいから嫌いだ。仕方ない。目立ちたくなかったがここはこの場を『分裂』するか。さっさと手袋を外し、

 

パンッ!

 

俺は勢いよく両の手を合わせる。周辺の生徒達はその音に反応し、俺に視線を向ける。そんなのはお構い無しにそのまま両の手のひらを地面へと下ろした。

 

「なっなにっ!」

 

「なっ、なんだこれ!」

 

「お前ら、一旦落ち着けよ」

 

俺はそう言うと、地面から手を離し、西条達に目を向ける。俺達二科生+司波妹と一科生達との間には、物理的な壁が出来ている。目に見えない壁もあるけどな。壁の向こうでは一科生の奴らの騒ぐ声が耳に入る。

 

「はぁ、とりあえず防げたな」

 

俺がそう言うと、西城と千葉がこちらに迫ってきた。

 

「おい、八幡!これお前がやったのか?」

 

西城はそう言いながら壁を小突き

 

「八幡、この壁どういう原理で作ったの?」

 

千葉はそう言いながら壁を軽く蹴る。

 

 

何君たち。似たようなこと言いながら似たようなことして。やっぱり仲いいでしょ。

 

 

 

「まぁそれは後で説明するわ。とりあえず、なんか生徒会長達が来たみたいだから壁を元に戻すぞ」

 

俺の言葉に司波兄妹を除く3人は、「えっ?」という顔をしているが当然スルーして、俺はさっきと同じように手のひらを合わせ、地面へ下ろす。俺の手が地面に接触したと同時に地面は光を発し、壁は元の形へと戻った。完全に元通りって訳じゃないけどな。

 

俺は壁の外にいた、生徒会長と風紀委員?の人にこう告げた

 

「あー、すみません。魔法使われたんで、自衛目的で自分も魔法を使いました」

 

ちなみ自衛目的と言うところは強調したいった。俺は悪くないぞ!

 

俺の言葉に、生徒会長と風紀委員の人はひどく驚いた顔をしている。

 

「風紀委員長の渡辺摩利だ。さっきの壁を君が?」

 

………風紀委員の人かと思ってたら風紀委員長でした!八幡バンザイ!(悲しみの舞)

 

「はい」

 

「魔法を使われそうだったってのは本当かね?」

 

「はい。事実です」

 

俺の短い返事により、スムーズに進んでいく。しかし、このままでみんなして反省させられるのかなー。

 

「わかった。とりあえず詳しく事情を聞きます。ついて来なさい」

 

やっぱりか。めんどくせー。そう思ってたら何やら司波が行動を起こしていた。

 

「すみません。悪ふざけが過ぎました」

 

「悪ふざけ?」

 

「はい。森崎一門のクイックドロウは有名ですから、語学の為に見せてもらうだけだったんですが、あまりに真に迫っていたもので、思わず手が出てしまいました」

 

「ほう。壁のその生徒がしたとして、そこの1-Aの生徒が攻撃性の魔法を発動しようとしてたのはどうしてだ?」

 

「驚いたんでしょう。それでも条件反射で起動プロセスを実行出来るとは、流石一科生ですね。それに、彼女の魔法は攻撃性を含んでいません。あれは、単なる閃光魔法です」

 

おいおい、こいつ。起動式を読み取れるのか?

 

「ほう……どうやら君は、展開された起動式を読み取ることが出来るそうだな」

 

「実技は苦手ですが、分析は得意です」

 

「……誤魔化すのも得意なようだ」

 

そう言った風紀委員長の目は、値踏みするような、睨まつけるような目をしていた。あの目が俺に向けられたものならば、恐らく俺は死んでいるな。

 

「摩利、もういいじゃない。達也くん、本当にただの見学だったのよね?」

 

生徒会長のその救いの言葉に司波は、静かに頷いた。

 

「生徒同士で教え合うことが禁止されているわけではありませんが、魔法の行使には、起動するだけでも細かな制限があります。このことは一学期の内に授業で教わる内容です。魔法の発動を伴う自習訓練は、それまで控えた方がいいでしょうね」

 

「……会長がこう仰られていることでもあるし、今回は不問にします。以後このようなことのないように」

 

風紀委員長のその言葉にみんなホッとした顔から一瞬で、一斉に、頭を下げた。俺も慌てて頭を下げたが遅れた為無駄に目立っただろうな。

 

風紀委員長はそのまま立ち去ろうとしたが、何を思ったのか途中で立ち止まり、背中を向けたまま問いかけた。

 

「君の名前は?」

 

風紀委員長の首だけ振り向いた切れ長の目は、司波を捉えている。よかったー。錬金術使ったから俺かと思った!

 

「一年E組、司波達也です」

 

司波の名前を聞いた風紀委員長はそのまま立ち去るのかと思いきや、今度は俺に目を向け、まったく同じ言葉を発した。

 

「君の名前は?」

 

「……一年E組、比企谷八幡です」

 

俺は渋々そう告げた。

 

「覚えておこう」

 

その言葉を最後に、風紀委員長は俺達の前から去っていった。

 

 

俺はその言葉を聞いて悲しくなった。年上の女性に名前を覚えてもらえるなんて光栄な事なのに、覚えられ方が明らかに目をつけられたからだ。はぁ俺の平穏な学校生活はどこへ……

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